うたかたの日々:ボリス・ヴィアン
2004年 12月 26日
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せつない〜。めっさせつない。こんなにカワイイ設定が
たくさんされているのに。こんなにもたくさんの不条理。
ボーイ・ミーツ・ガールの先に待っていたものは
肺の中に睡蓮が咲いてしまう病気にとりつかれたクロエ。
それまで裕福で働いたことなどなかったコランは彼女の
病気を治すため=たくさんの花を買うために働き始める。
コレクターなシックは自分の所有欲を満たすために
もともと同じ対象を愛していたアリーズの寂しさに気付かない。
愛してるから、愛してるのに
どうしてこんなにも悲しいことばかりに満ちてるのかな。
彼らはみな間違ってもあたしのようなせつなフェチではなく
どちらかと言えばシナモン・シュガーのバラ色の雲に包まれ
ちゃうくらい脳天気なパリの若者達。なのに降りかかってくるものは
すべて自分たちではどうしようもないことばかり。
(シックの病的なマニアックな収集癖すら「仕方ない」と
思わせてしまう)
愛してるから花を買い、愛してるから人をも「心臓抜き」で
殺してしまう。部屋が暗く小さくなっていく描写は絶妙。
料理人で召使いのニコラ、いいなぁ。
あ、この小説を漫画化させたオカザキ作品は
絶対に本を読んだあとに読むことをオススメ。
でないと、絵で世界が固まってしまうよ。空想の世界で遊べない
by acha-books
| 2004-12-26 00:37
| 海外作家
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