ガーデン:近藤史恵
2005年 05月 07日
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初めて近藤史恵、読んでみました。ミステリーとありますが
これはもぅ恋愛小説。それもとても歪んだ。
自殺願望のある女子大生真波とエキセントリックな美しい少女、火夜。
その二人を軸とした話かと思いきやそれはどんどん姿を変え
小節ごとに語り部を変えることで火夜の救われない絶望にも似た
生い立ちと事件が露わになっていく。
登場人物がみんな個性的すぎだし、殺人やカジノや拳銃、クスリに
売春まがいな詐欺などダークな要素と
火夜と大きな美しい庭との対比が逆に美しくすべてが非日常的。
登場人物のせつないやるせない思いは霞んでしまうかも。
あくまで「小説の登場人物」から抜け出せない。(いたらやだし〜)
ただ、その上で
いつ自分にも起こり得るかという日常を描いた恐さよりも
まったく自分とは関係のない世界と思っていたのに
その心理がわかってしまうことで自分にもその異世界へ
踏み込んでしまいそうなあり得ない恐さのがまた恐かったりもね。
謎を解こうとして読むのではなくその冷たい異世界を堪能して欲しい本。
探偵の今泉君かなりツボりました。
(あたしの中では萩尾望都に描いて欲しい本(笑))
by acha-books
| 2005-05-07 09:58
| :近藤史恵
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