甘露梅ーお針子おとせ吉原春夏秋冬:宇江佐真理
2005年 05月 13日
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「蜂」のドキドキな興奮がおさまらなかったので
ちょっと穏やかなもの、と思い宇江佐真理。
もぅ涙、涙。息の詰まるような哀しいやりきれない涙も
じわーんと心の奥が暖かくなるようなラストの涙も味わって欲しい。
岡っ引きの夫に先立たれわけあって吉原で
お針子として住み込みで働きだしたおとせ。
そこは岡っ引きの女房だったおとせにとって
今まで見ることのなかった世界。郭には郭の掟がある、そんな世界。
綺麗に着飾った遊女達の凛とした姿勢とその裏のせつなさ、
そんな中で出会った優しさ。
宇江佐お得意の連作短編集で季節ごとの遊郭の年中行事と
ともに様々な人間模様、恋模様が描かれます。
酸いも甘いも知った甘露梅のような6編。
大人の女性にぜひ読んで欲しい1冊。
おとせと凧助の会話も洒落がきいて粋で素敵です。
そうそう、宇江佐の描くお菓子ってどうしてあんなにも
美味しそうなのかなぁ。和菓子が食べたくなります(笑)
「甘露梅」はその昔、吉原名物7品のひとつなんですね、知りませんでした。
by acha-books
| 2005-05-13 10:09
| :宇江佐真理
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