堪忍箱:宮部みゆき
2005年 07月 26日
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ある菓子問屋に代々伝わる謎の箱の謎を
巡ってその様々な人の思いを描いた「堪忍箱」を
表題とした時代物短編集。
他、やめてしまった乳母に会いたいばかりに
周りの大人に自分をかどわかしお金を
とってくれと頼む子供とその子供に
振り回される大人を描いた「かどわかし」
ひょんなことから自分の命が狙われ
同じ長屋に住む浪人に用心棒を頼む「敵持ち」
奉公にあがった先で代々伝わる怨念が
引き起こした顛末を語る「十六夜髑髏」
実の親と離れ育ての親との間に暮らす子供達と
その親それぞれの秘密が描かれた「お墓の下まで」
突然死んだ差配を軸に差配の生きていた頃の
様々な顔が周りの人から話される「謀りごと」
姉妹同然に育ったお吉とお美代なのに
片方だけが玉の輿にのったことで二人の間の
何かが崩れたそんな矢先の出来事と二人の
思いが描かれた「てんびんばかり」
家族を助ける為に奉公にでたまだ幼い娘が
出会った浪人と母の思い出「砂村新田」
前に読んだ藤沢の時代物短編集は
一作一作読み終えるごとに
様々な意味を持ったため息と共に
その余韻が大きすぎてなかなか次に行けなかったのに
対してこの宮部の短編集は描かれる世界に
どんどんはまりたくて次へ次へと
読み進めたくなる、同じ時代物の短編集でも
まったくここまで趣が違うとおもいしろいです。
by acha-books
| 2005-07-26 11:06
| :宮部みゆき
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