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嫌われ松子の一生:山田宗樹
2005年 08月 13日 |
嫌われ松子の一生:山田宗樹_a0104226_11374714.jpg
 小説を読む楽しみというのは
絶対に自分では体験出来得ない人生を
その本の中で得ることができること。
そういう意味ではこの松子の人生は
とても体験したくはないダメダメっぷりなのに
なにゆえその行動に至ったかを「わからせてしまう」
その作者の力量はすごいです。

大学生の川尻笙のもとに突然、九州に住む
父親が尋ねる。今まで存在も知らなかった
30年前に失踪した叔母、松子の遺骨を手に。
松子は自然死でも自殺でもなく誰かに殺された。
松子の住んでいたアパートの後かたづけを
頼まれた笙。初めは、それまでいることすら
知らなかった相手なのだから他人も同じ、と
渋々だったが、笙の彼女の不可解すぎるほどの
松子への関心から松子のこれまでの生き方に
次第に調べてみようと動き始めた。
近所の人から「嫌われ松子」とまで
呼ばれた叔母が何故そうなっていったかを。

松子は病弱な妹にばかり父親の愛が
向けられていると感じて、父親の愛を
受けたいが為だけに優秀な成績を修め
父親の望む地元の、自宅から通勤のできる
中学校教諭の職に就いたがある事件から
学校を追われ、トルコ嬢そして覚醒剤常習、
殺人者とまで落ちていく。

笙の松子の人生を追う現代と松子が一人称で
語る過去の出来事とが交互に書かれ
次第にあきらかになっていく松子の一生。
愛に飢えて育ったからこそ愛を求めて
一途に信じては裏切られ力尽きていく。

学業に優れた人間が人間として一概に
優れているわけではなく逆に、そのプライドゆえに
崩れてしまうこともあるという典型的な松子の生き方。
誰かを一途に愛することは本当なら
素晴らしいことなのに。。。選び方次第だぁね。
愚かだなと思いながらもその激しい生き方に
哀れみと共に不思議と心をよせてしまう1冊。
松子の転落人生を体感できます(苦笑)
(しないでもヨイ?)
最後はその松子の人生の閉じ方のやるせなさに涙。
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