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隠し剣 狐影抄:藤沢周平
2005年 08月 28日 |
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 隠し剣 秋風抄の姉妹編、狐影抄です。
前作同様、数々の秘剣とその秘剣の持ち主達の
生き様を綴った短編集。
もちろん武士としての、剣遣いとしての
主人公に引き込まれるのはもちろん
その剣を遣う場面のぐっと読ませる文章はさすが。
それだけでも十分読み応えはあるのに
さらに、女性のこまやかな心の動きも絶妙。
特に、あたしは「必至剣鳥刺し」のラストは涙ぼろぼろ。
以下、ネタバレもありですので未読の方は要注意。
(一応。。。ここを読んでも
藤沢の本を読めばさらに楽しめることは請け負います(笑))

「邪険竜尾返し」
赤倉不動へ初めて特に祈願する者や信仰厚い者が
するようにお籠もり堂で過ごした絃之助。実はそこでは
闇夜に紛れて見知らぬ男女がむつみ合う饗宴が。
絃之助に声をかけてきて、一晩だけ知り合った女の
正体は絃之助が「不敗の竜尾返し」を伝授されたと
思いこみ幾度も試合を申し込んできている赤沢の妻女だった。
試合を受けなければ言いふらすと嵌められた絃之助。
しかし絃之助は本当に寝たきりになり言葉もままならない父から
秘剣はまだ伝授されてなかった。
竜尾返しは流儀の基本にそむく異端の剣。
騙し技と言われるその剣は相手の屍と共に葬るべき剣だった。

「臆病軒松風」
満江は秘剣をも伝授されているという新兵衛と
5年前に祝言をあげたが、とても秘剣を伝授された
人物とは思えぬほどの
臆病振りに半ば失望し軽蔑していた。
そんな折り、遊び人な従兄の道之助に久々に会い
我が夫と比べる自分がいた。
剣使いとは縁遠い自分の身内より剣使いというだけで
憧れ嫁ぎ、実は剣使いであることを疑うような貧相な
臆病者の夫、しかしまた遊び人の従兄と比べたとたん
夫の臆病さに急に愛おしく守りたいものに変化していた。
しかしそんな臆病者の新兵衛に若殿の警護が命ぜられる。
実は松風は守りの剣、臆病者の新兵衛ならでは
松風の秘伝を忠実に伝えていたものだった。

「暗殺件虎ノ眼」
祝言を前にして志野はすでにその相手の太四郎と
家の者を欺き料亭で会っては取り返しのつかない歓びに
身を委ねていた。しかしそんな事の後に
父が何者かに暗殺された。それは「お闇討ち」と呼ばれる
藩主の私の憤りがつのり、堪えかねたときに遣われる
決して表には出ない上意討ちであった。
闇夜に放たれる刺客は虎ノ眼と呼ばれる秘剣を遣う。
闇夜ニ剣ヲ振ルウコト白昼ノ如シと言われるその剣は
藩中にただ一つ父から子に幼い頃より暗闇に
目を慣らすことから伝授されるものだった。
志野の兄、達之助は太四郎に疑いの目を向けたが
本当の代々秘剣を伝えられていた者は。。。

「必至剣鳥刺し」
三左エ門は3年前に藩主の愛妾を城中にて
刺殺していた。その女の浅はかな政治への関心と
藩主への取り込みからの失政の為、藩内には
彼女に対する反発と憤りがみなぎっていたが誰も
それを咎められずにいた矢先、三左エ門はその女を
斬ったのだった。極刑を覚悟してのことだったが
一年の閉門と禄を減らされ役を解かれただけだった。
さらにその後には禄を戻され、藩主の近習頭取の役に命ぜられた。
憎まれているはずの藩主の護衛、その訳は三左エ門自身で
工夫した秘剣、今日まで誰も見たことがなく
彼一人しか遣えない剣の持ち主だからということだったが。。。

「隠し剣鬼ノ爪」
宗蔵は一人相伝、絶対に誰にもその剣を漏らせない鬼ノ爪という
秘剣を伝授されていた。しかし、その伝授に対し不満を
覚えていた狭間は、後に事件を起こし牢に入っていたが
牢破りをした挙げ句に宗蔵を自分の討手に仕向けるよう
言い出してきた。秘剣を受けられなかった恨みにその
秘剣をうち破るべく時を過ごしていたらしい。しかし
その秘剣は流派の本筋とはずれた屋内闘争の為の短刀術だった。
誤解を受けたまま、宗蔵は、身体を差し出すことすら問わぬ
狭間の妻嫁の夫を見逃して欲しいという願いを断ってまで
狭間の出した試合の要求に応えに向かった。

「女人剣さざ波」
美人と評判の姉のその妹というだけの理由で
顔も見ずに祝言をあげた相手邦江は、実は醜く冴えない女であり
なおかつ仲人は彼女を、猪谷流の高足、道場内では
打ち込める相手もいないと押したが、むしろ剣が
苦手な俊之助にはさらに疎ましく反感を持ったくらいだった。
俊之助の母には心映えのよいよく働く申し分のない嫁でも
俊之助はを疎み優しい言葉のひとつもかけずに
幼い頃から顔見知っていた奉公人の娘であり、今は
芸奴になっていたおもんと遊び続けていた。
そんな茶屋通いに目をつけられ、上から、殺された内偵の
変わりに内偵の任務を他言無用と言いつけられる。
同じように茶屋通いをし、その場で繰り広げられているであろう
密談とその相手を探り出すことだった。
面倒な藩内の政争にまきこまれるのもいやだし、何より
俊之助は剣にはまったく自信がない。しかし決して
断れるものではなかった。そして。。。

「悲運剣芦刈り」
病弱でまだ若い妻女を残して死んだ兄に代わり
家を継いだ曽根は祝言を挙げる予定の奈津がいるにも
かかわらず、嫂の卯女の誘われるがままに関係を
持ってしまった。悩んだ曽根は友達であり同門の
兵馬にうち明け相談したものの、夫を亡くしまだ
婚家を去らずにいる美しく若い嫁とその弟に対して
世間の目は当然疑いを向けてくる。
婚約者である奈津の兄は妹の為と、曽根を問いただし
その事実をとどけでると言われ斬ってしまう。
そのまま出奔した曽根の討手の一人は兵馬だった。
秘剣芦刈りを伝授されている曽根に対して兵馬は。。。

「宿命剣鬼走り」
幼い頃より剣で争い、一人の女を巡って争い
互いに妻を持ち子を持った今ですら
ずっと宿命のように常に張り合い続けてきた
小関十太夫と伊部帯刀。
隠居した二人に子供達すらをも巻き込み
家を捨て最後の闘いに出る。
十太夫は秘剣鬼走りを遣い向かっていく。

はぁ。。。。かっこよすぎです。
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