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きよしこ:重松 清
2005年 12月 14日 |
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 泣きました。
決してお涙頂戴モノではないんです。
障害にもめげずに頑張ろう、みたいな励ましモノでもないです。
ただ、フツウに少年はずっと闘ってきてたんです。
それはそれはとてもストレートで
その真っ直ぐさに、読み始めから涙ぐむ始末。
かわいそう、なんて生やさしい言葉はきっとこの本を
読んで、出てこないと思います。
そしてそんな同情を求めている本でもないのです。

クリスマスの季節から始まるこのお話。
今の季節にもちょうど合ってヨイです。

少年、白石きよしはほんのちょっと言葉がつっかえる、
吃音(どもり)を持っている。
そんなきよしが神様のいじわるか転校を繰り返す。
カ行やタ行、濁音がつっかえてしまう。
だから自分の名前がすんなりと言えない。
きよしの「キ」でどうしても止まってしまう。
転校した先での挨拶がいやだった。

言いたいことが言えない。伝えられない。
伝えたいのに話したいことがたくさんあるのに。

小学校1年からずっと成長するまでを連作短編の形で
進められていくこの本は、吃音を持つ子供の母親から
どうか息子にがんばれと励ましてあげて欲しいという
依頼の手紙を受け、「吃音なんかに負けるな」という
その母親に違和感を感じ、返信用の封筒もそのままに
自分自身の話を伝えるといった設定で綴られます。

以下、少々ネタバレってもこれはネタバレされても全然
問題ないのですが。。。

「きよしこ」
小学校1年生のきよし。「きよし、この夜」を
「きよしこの、夜」と思っていたきよしは
ずっと「きよしこ」を待っていた。きよしのたった
一人の友達。
引っ越した先の学校では
いじめっこが二人いる。
両親は毎夜、心配して自分のことを相談しあう。
クリスマスがやってくる。
本当は欲しいものがある。でも
その名前が言えない。魚雷船ゲームが欲しい。
きよしこはある夜、現れて、ずっときよしの話を
聞いてくれる。そして大切なことを教えてくれた。

「乗り換え案内」
また引っ越した先で3年生になったきよしは夏休みに
「吃音強制プログラム」に参加する。
そこで出会ったやたらとちょっかいを出してきては
無言で逃げる加藤くんと出会う。
きよしよりも吃音の強い加藤くんに初めは
いらだちを覚えながらも。。。

「どんぐりのココロ」
5年生のキヨシは次の転校先で失敗した。
田舎もんとクラスの子達を見下し、向こうも
きよしとの関わりを切った。
親にはそんなことは言えない。野球に行ってくる、と言って
向かった神社で出会った「おっちゃん」と友達になった。
どんぐりのことをたくさん教えてくれて、野球の相手を
してくれて、「どどをくっても、ええやんけ」と
笑ってくれて。。。

「北風ぴゅう太」
小学生最後の年、転校先の学校でも吃音はあったが
作文は得意だったきよしは卒業の「お別れ会」での劇の
脚本を任された。37人全員に台詞を持たせること。
マッチ売りの少女をベースに作った話には
マッチをすることで1年から6年までの思い出の
場面を登場させることにした。
きよしが自分自身で自分に与えた役は一番最後に
マッチの炎を消す「北風」だった。
ヒュー、ではない、ピューのヒトコトのが合ってる。
そぅ思った。でも自分には「ピュ」の音がどうしてもどもる。

「ゲルマ」
中学生になったきよしが「親友」になったゲルマは
高校生の兄ともども俗に言う不良。
自分本位で周りの反応に鈍いゲルマにきよしは
振り回される。そこにずっと施設へ送られていた
ゲルマの親友「ギンショウ」が戻ってきた。
きよしはそこで人の弱さについて考える。
『泣いた赤鬼』を読みながら。。。
本当は人間と友達になりたい赤鬼と赤鬼のために
憎まれ役を買って出る青鬼。
「でも僕の友達は青鬼になりたかったのになれなかった」

「交差点」
高校生のきよし、両親の計らいで高校は転校せずに
一緒に野球部の仲間と頑張ってこれた。
相変わらず吃音はあるものの他の言葉に言い換えたり
ジェスチャーを交えたりすることで伝えられたし
小学校の頃のようにバカにするような人もいない。
そこに野球部に入ってきた実力のある転校生。
誰かの場所を奪ってまでいたくない、と悩む転校生の
大野をきよしはかばい続けるが。

「東京」
大学受験を前にして彼女ができたきよし。
年上の大学生の「ワッチ」はY大の福祉サークルに
入っていて吃音のきよしの言いたいことを
先にわかってくれた理解者だった。
Y大に来ると思っていたワッチ。でもきよしは
本当に行きたい場所があった。
でもその場所は言葉にしようとすると
どうしてもどもってしまう単語だった。。。

「それがほんとうに伝えたいことだったら
。。。伝わるよ、きっと」

最初から最後までホント泣かしてくれました。
オススメします。
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