白夜行:東野圭吾
2006年 03月 13日
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ドラマ化で話題の「白夜行」です。
残念ながらドラマ1回目だけ見ちゃった後に
読み始めたので、ラストは初めからわかっていたのですが
それをわかっていても十分に楽しめました。
細かく全編に張り巡らされた伏線
「主人公」である二人の独白は一切ないどころか
内面すら書かれていないのに読者は
十分に彼らの奥深い心の内側の寂しさ、哀しさ
やるせなさを感じることができるのはさすが。
1973年、廃墟となったビルの中で起こった
質屋店主殺し。犯人は見つからないまま迷宮入り。
それから19年後、時効となったこの事件を追う
老刑事笹垣。笹垣が追っていたのは
被害者の息子桐原亮司と容疑者の娘西本雪穂だった。
物語はこの二人の成長を交互に描かれます。
どこにも接点のないままそれぞれの人生を
まったく違った世界で歩んでいくように見える二人。
読み進めるごとに謎は増し、そして隠されていた
謎が一つに繋がる時、なんともやるせない虚無感に
おそわれる。
これはきっと二人の胸の内が一切語られないからこそ。
それはもぅ読者それぞれが勝手に思い作り上げる余韻。
あたしが感じたのは愛でした。暗い暗いダクトの中。
しばらくはこの余韻が続きそうな小説。
by acha-books
| 2006-03-13 22:24
| :東野圭吾
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