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アジアンタムブルー:大崎善生
2006年 03月 15日 |
アジアンタムブルー:大崎善生_a0104226_2228334.jpg
 「泣ける」と本好きのコミュニティ内でも
話題だったので読んでみましたが
泣けましたね。設定からして反則です。
「愛する人が死を前にしたとき、いったい何ができるのだろう。」

SMエロ雑誌の編集者山崎隆二は毎日デパートの屋上で
’巻く余地のないゼンマイをきりきりと巻き上げる」ような
憂鬱な時間を過ごしていた。
愛する人を失った喪失感。
断片的に浮かぶ学生時代のトラウマや官能的な思い出。
そして葉子との出逢い。
葉子とのおだやかな同棲の日々。
互いに優しさと思いやる心で成り立っていた時間。
ある日、それがいきなり幕を降ろす。
末期癌と診断された恋人のためにできること。

水溜まりばかりを撮影している女性写真家の葉子との
最後のせつない時間を描いたラブストーリーだけれど
これだけ哀しい話なのに読後感はとてもやさしい気持ちに。

女性の目で読むと多少なり陳腐な性描写や愛の言葉の
数々に好き嫌いはわかれそうだけれどそれを補うに
十分な透明感を持った文体と行間。
現在と過去をキレイに操り主人公がブルーから抜ける一歩を
自然に涙が流れるほど味わい深い一冊に仕上げています。

ちなみにアジアンタムとはハート型の葉が特徴の観葉植物。
枯れ始めると手の施しようがない繊細さが特徴。
アジアンタムブルーはその病気の状態。

個性的な特徴ををもった登場人物がこれだけいながら
その行動、言葉、発想に差異が感じられないのは残念。
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