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夜市:恒川光太郎
2006年 05月 17日 |
夜市:恒川光太郎_a0104226_23114630.jpg
 第12回日本ホラー小説大賞の大賞受賞作です。
ホラーと聞いて、ピンとこなかったものの
1997年の第4回には貴志祐介の「黒い家」も
受賞しているのでちょっと安心して読んでみました。

いやいや「黒い家」を連想しちゃいけません。
まったく違います。
一歩間違えるとファンタジーな異世界を
おどろおどろしく、それでいてユーモアもあり
指の隙間から見ていたくなるようなそんな
不思議な世界が繰り広げられる「夜市」

そこへ行けばどんなものでも買える。
なんでもある。なんでも売っている。
「自転車、スーパーカー、本物の。洋服、生き物、
家具、スパイス、日本刀、銃、麻薬、身長が伸びる薬」
人間の首もライオンや象も
なんでも斬れる剣も
老化が早く進む薬も、遅く進む薬も。
そして
野球選手の器。

夜市に行ったことのある祐司と祐司に連れて行かれたいずみ。
二人が夜市を抜けるには「買い物」をしないと出られない。。。
祐司がまた夜市に行って「買いたかったもの」
そしていずみが夜市を抜けるために買ったものは。。。


「夜市」は受賞作ですがもぅ一編の「風の古道(こどう)」
も同じように異世界を描いた作品。

正式な出入り口の他にある綻びから迷い込んでしまった古道。
古道のものは一切オモテの世界に持ち出すことはできない。
もちろん古道で生まれたものも死んだものも。

12歳だった主人公は友達のカズキと古道を探検しようと
軽い気持ちで入っていく。そこで出逢った古道で生まれた青年レン。
そしてカズキはトラブルに巻き込まれて古道の中で
死んでしまう。カズキを蘇らせるためレンと一緒に
「雨の寺」を探し求める間、私はレンから古道に関する話を
レンの生い立ちを聞いていく。

ちょっと「古道」の死者の行進は「陰陽師」の
百鬼夜行を彷彿とさせるものがあってドキドキ。
個人的には「夜市」よりも「風の古道」のが好きかな。
恐いけれどこんな異世界、存在していて欲しいとどこかで
思ってしまう。
ホラーといってもこんな形のホラーもあるんだね。
短いお話なのでさらっと異世界にスリップできる本。
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