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トワイライト:重松清
2006年 09月 13日 |
トワイライト:重松清_a0104226_2150083.jpg
 なんとも言えず苦いお話。
70年代、万博の頃、小学生だった人には
直球で来るのではないのでしょうか。
作者自身の年代ということもあり
時代考証はぴったりと思いますが
そこへさらに「陸の孤島」と称された
「たまがわ」の団地などの使い方など
本当にうますぎる!電車の中では読まないほうがいい(笑)

26年ぶりに廃校が決まった母校で再会した
同級生達。当時6年生の担任だった先生が
提案したタイムカプセル。40歳になったら
集まってみんなで開く予定だった。
ところが、優しくてみんな大好きだった
その先生は、翌年、不倫相手に惨殺され
勉強のできる「のび太」と言われた秀才君は
リストラ寸前、中学受験の為勉強に励む
家族に相談もできない状態
「ジャイアン」と呼ばれた少年はいつの間にか
仕事を転々とし、クラスの人気者で中心人物だった
「静香」ちゃん的なマドンナと結婚したものの
家庭内暴力で崩壊寸前、娘にも嫌われている。
「古文のプリンセス」として一時は世間でも
騒がれた塾講師になっていたクラスの
出世頭の女子はすでに人気を落として
やっかいモノ的な扱いを受けている。
39歳の今、学校そのものが取り壊される前に
集まった夏の日。
彼らは過去の自分からのメッセージに
苦い思いを噛みしめる。

未来があったあの頃、子供の頃思い描いていた
様々な夢、そしてそれは簡単に実現するものでは
ないと知っている今の自分。
そしてその当時とかけ離れた相手の姿や生き様。
「人生の黄昏」に先生はメッセージを
投げかける。

「あなたたちは今、幸せですか?」

とてもリアリティがありそれだけにほろ苦い。
20代で読んでいたら感じなかっただろうことも
ほぼ同年代だからこそ簡単に想像がつく状態。
読んでいていったいこの袋小路のような状態から
何をどう導いていくのかと興味津々で読み進めました。
確かにここには何も答えは書かれていないけれど
一筋の光がさすように
読後感はとても優しく救われた気分。

リストラにドメスティックバイオレンス、不治の病、
不倫、親を見捨てた達観した中学生の娘。。。
オトナになった今だからこそ「ドラえもん」が
必要。。。。ってやっぱ哀しいね。
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