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イン・ザ・プール:奥田英朗
2007年 05月 25日 |
イン・ザ・プール:奥田英朗_a0104226_22515987.jpg
「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある
神経科を訪ねた患者たちは甲高い声に迎えられる。
色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。
そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。
プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…
訪れる人々も変だが、治療する医者のほうが
もっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。
(「BOOK」データベースより)

初奥田作品。
面白かった〜。数時間で読めます。
いやぁこれこれこれ。これくらいラクにかるーく
楽しめる本がちょうど今読みたかったの。
いいね〜、このノリ。

以前、ドラマで阿部ちゃんが主役で釈ちゃんが
看護婦のをちらっと見たけれど
まぁ悪い印象はなくそのうち読みたいなーと
思って忘れてました(苦笑)
もっと早く読めばよかったよ。人気のある本ってのは
やっぱりそれなりに理由があるのね。

現代人にありがちな、でもそれよりもちょっとだけ
進行してしまった患者たちの問題を
いつのまにか癒してしまっている不思議な
破天荒な子供っぽいマザコンで注射フェチな精神科医。
彼は患者を治療しているようにはまったく見えないけれど
結果、患者達が自分自身で、立ち直って行くサポートに
なっている。
「カウンセリングなんかしない」と言い切る伊良部と
初めは不信感いっぱいの患者達。
ところがいつの間にか彼らは伊良部と話す時間が
癒される時間となっていく不思議さがまったく
違和感なく、こちらもすっと入れちゃう説得力はすごいなぁ。


30歳を超えてから自分自身に自信を持ちすぎて
周りに対するストレスから心身症を煩い、適度な運動が
必要と言われプール通いを始めたら今度はプール依存症に
なってしまった男。

浮気され離婚した妻に対して、自分を小馬鹿にする年下の
女性社員に対して、色々なところに怒りを感じながらも
周りを気にしすぎて怒れない男はアタマに血が昇るかわりに
下半身が24時間ずっと何日も何日も「勃ちっぱなし」な状態に。

ストーカーがつきまとっている、と視線を意識しているうち
周り中すべてが自分のストーカーだと恐怖を
感じている自意識過剰で被害妄想になったコンパニオン。

自分には友達がいる、常に繋がっている、そうすることで
不安を感じないでいたはずがいつのまにか
繋がっていないことに不安を感じ携帯、メール依存になった
男子高校生。

「確認行為の習慣化」から逃れられず脅迫神経症を
患っているルポライターは自分の家が火元に
なっているのでは、と不安になり何度も家に戻る。
挙げ句の果て、自分が関わったものすべてにおいて
それが悪い結果を引き起こしていないかと常に不安を感じている。

そんな変な人たちが変な精神科医とあってどう変わっていったか
どうぞお楽しみください。
どれもこれも、他人事として笑える話ばかりなのに
その笑いの中にある哀しみ。
かなり奥深いですよ。

装丁もいいなぁ。この青。
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