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空中ブランコ:奥田英朗
2007年 06月 11日 |
空中ブランコ:奥田英朗_a0104226_2165427.jpg
人間不信のサーカス団員、尖端恐怖症のやくざ、
ノーコン病のプロ野球選手。困り果てた末に
病院を訪ねてみれば…。ここはどこ?なんでこうなるの?
怪作『イン・ザ・プール』から二年。
トンデモ精神科医・伊良部が再び暴れ出す。
(「BOOK」データベースより)

いやぁもぅすっかり伊良部の暴走っぷりにやられてます。
実はあたし、この伊良部、本で読む前にちらっと
ドラマを昔、見まして。単発でやってたモノ。
阿部ちゃんが伊良部役のほう。映画じゃなくてね。
看護士のマユミちゃんが釈ちゃんでぴったりだったなぁ。
なので、読むときアタマの中ではマユミちゃん=釈ちゃん。
(釈ちゃんかなり好きだし)
あたしがドラマで見たのはこの本に収録されている
「空中ブランコ」と「ハリネズミ」
まぁコメディタッチのドラマで本作も笑える小説ですので
先に映像を見ていても、全然、嫌悪感ナシ。
まぁ伊良部に関しては、阿部ちゃんではなく
あたしの中での小太りな伊良部に脳内変換。

映像でも文章でも楽しめる貴重な作品かと。
映画の方はまだ見ていないのでわかりませんが
きっとこれならイケルでしょう。

映像と違って、伊良部の受診を受けるまで、と
受診後の心の変化に関してはやっぱり
映像よりも文章の方が深く沁みますけどね。

「空中ブランコ」
人間不信に陥りパートナーが信じられない空中ブランコの
花形スター。相手がちゃんと自分を受けてくれないと
思っていたけれど実は問題があったのは自分だった。

「ハリネズミ」
ヤクザが先端恐怖症。刃物なんて向けられたら。。。
周りに対して自分自身をまるでハリネズミのように
威嚇し、尖っていた自分の心の内側。そんな時に
出会った対立するヤクザも抱えていた悩み。

「義父のヅラ」
おちゃらけキャラだった自分。教授の娘を嫁にもらい
子供も授かり前途洋々。なのに飛んでもない突飛な
行動に走りたくなる衝動。

「ホットコーナー」
騒がれる新人選手を前に自分の野球人生はまだまだなのに
なぜか思い通りに投げられなくなった。
いつまで誤摩化せるか?そして何故自分はそんなことに?

「女流作家」
お洒落な要素だけを取り込んだ中身のない小説。
でも自分が本当に書きたいものは売れなかった。
売れる為に、自分が自分の今の地位を保つ為には
これしかないけれど。。。見栄と虚像、プライド。
人間の宝物は言葉なのに。

どれもこれも本人に取っては深刻な悩みだけれど
周りからみたら些細なことだったり、何?あれ?程度だったり
そう見ると世の中病んでる人だらけ。
その人たちすべてに伊良部の療法(?)に効果があるかな(苦笑)
ただ伊良部の治療(?)のベースはすべて
相手を受け入れること。否定しない。
これってやっぱり基本かもね。

笑えるシーンもいっぱい、くだらないと、こんなヤツいねーよと
思っていてもふっと癒される。
お勧めです。
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