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象と耳鳴り:恩田陸
2007年 06月 23日 |
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「あたくし、象を見ると耳鳴りがするんです」
退職判事関根多佳雄が博物館の帰りに立ち寄った喫茶店。
カウンターで見知らぬ上品な老婦人が語り始めたのは
少女時代に英国で遭遇した、象による奇怪な殺人事件だった。
だが婦人が去ったのち、多佳雄はその昔話の嘘を看破した。
蝶ネクタイの店主が呟く彼女の真実。
そしてこのささやかな挿話にはさらに意外な結末が待ち受けていた…。(表題作)
ねじれた記憶、謎の中の謎、目眩く仕掛け、そして
意表を衝く論理!ミステリ界注目の才能が紡ぎだした
傑作本格推理コレクション。
(「BOOK」データベースより)

元判事の関根多佳雄を主人公とした連続短編集。
かと言って多佳雄自身が事件の中心ではなく
安楽椅子探偵の如く、人から聞いた話の中から
推理をすすめていく「推理小説好き」の本格推理モノ。
鋭い洞察力と観察眼には見事の一言。
もしかしたら、何気ない日常、こんなにも
色々な奇怪な事件が潜んでるのかも。

ふとした疑問、違和感から広げていく空想。
面白いです。
話そのものの面白さもあるけれど父、多佳雄の
キャラがいいです。
長女で弁護士の夏、その兄で検事の春といった
(未読ですが「六番目の小夜子」に関根秋くんが
登場してるらしいです。お父さんの多佳雄も
出て来てるようで)
キャラたちもみな推理巧みでその推理合戦も
読み応えあるし、何気ないエピソードも
くっと心にひっかかる文章が多く
恩田陸のこの系統の話はもっと読みたいな。

以下、蛇足。

*夏に対しての多佳雄の評価がおもしろい。
  「確かに、上と下の息子のナイーブさに比べ、
  夏の感情の安定度は際立っていた。
  とにかく、怒るべき状況でも、悲しむべき状況でも
  彼女には第三者的に面白がってしまう方が先なのである」

*春に対する評価のとき「ツキ」の話がでていてその一部。
  「人間の一生に与えられているツキの総量は決まっていて、
  早く使い果たすとあとがないというまことしとやかな説が
  ある。これは嘘だ。ツキまくる男はずっとツキまくるし、
  ツキのない男はずっとツキがない。多佳雄が思うに、
  人間のツキに対する妄執の量とツキの量は反比例し
  かつ両者を合計した総量は個人によって決まっている。
  総量の大きさは個人の潜在能力によって決まる。
  妄執が大きくなればなるほどツキは小さくなる。
  妄執の大きさに見合うツキを手に入れるには
  妄執の大きさに見合う能力を手に入れなければ
  ならないのだ。ツキに釣り合うだけの実力がなければ
  ツキに潰されるし、大きくなったパイを切り分けることは
  できない。」

*「ニューメキシコの月」に出てくるアンセル・アダムスの写真
  こちらで見れます。

  他、色々な恩田作品に描かれている様々な作品に対する
  「オマージュ」はこちらのページに詳しく書かれていて面白いです。
  国宝・曜変天目茶碗へのリンクもありますよ。

  トップページはこちら。 情報量、素晴らしいです。
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