人気ブログランキング | 話題のタグを見る
:books:
achabooks.exblog.jp
  Top
雨を見たか:宇江佐真理
2007年 06月 25日 |
雨を見たか:宇江佐真理_a0104226_2159718.jpg
伊三次とお文の目下の心配事は少々気弱なひとり息子
伊与太の成長。いっぽう、無頼派の調べに奔走する
不破の息子龍之進のまわりではいろいろな事件が起きて…。
ますます目がはなせない人情捕物帳。
(「BOOK」データベースより)

髪結い伊三次捕物余話シリーズ7作目。
まぁ時間の流れ的に続いてる話なので
仕方ないのかもしれませんが
一時期のような伊三次とお文のエピソードは
控えめ、龍之進をはじめとする見習い組の話と
子供達の話が加わりちょっと寂しいかな。
そのかわり、お文、ますますいいキャラになってます。
前作よりも好きな話が多いし。

「薄氷」
子は親を選べない。親にそそのかされ
幼い子をかどわかす娘。
相変わらずお文の言葉は重みが合っていいなぁ。
「忘れてやることさ。あの娘はわっち等の顔を見るたびに
事件のことを思い出すだろう。だから、道で会っても
知らぬ顔で通り過ぎることだ。向こうから声を掛けてきたなら
それはそれで結構だが、おそらくそんなことはないだろう。」

「惜春鳥」
お文さん、年増芸者に拍車かかってきてます(笑)
桃太郎として座にはあがるもののおもしろくないことも。
一方、見習い組たちはずっと追っている本所無頓派の
動向を探る日々。

「わっちはてっきり旦那に嫌われたものかとがっかり
していたんですよ」
「桃太郎さん、うちの人は気に入った人に邪険にする癖が
あるんですよ」
「まあ、そうですか。それならさしずめ一番邪険に
されたのはお内儀さんでござんすね」

「おれの話を聞け」
龍之進の同僚である佐内の姉、政江が労咳で
実家に戻っていた。嫁ぎ先の親は離縁させる話を
進めていた。夫である広之助の取った行動は。
夫婦の仲は他人にはわからないもの。

「のうぜんかずらの花咲けば」
龍之進が稽古の後に稲荷前でみかけた若い娘が
私娼窟の手入れで連れてこられた女達の中に。
客を取っていたと嘘をついてまで
親がこさえた借金に縛られた娘が望んだのは
少しでも眠れること、吉原ののうぜんかずら、
そして遊女であるいとこと会えること。

「本日の生き方」
若い職人が盗人の疑いで連れられ、後を追う女房。
お文の目の前で起こった出来事。
疑いの晴れた職人の出て来るのを一緒に待つ間
お文もこうして伊三次を待ったことを思い出す。
一方、龍之進は鉈五郎との行き過ぎた詮索に
反省文の仕置きを受けたりと相も変わらず
無頓派を追う。

本日の小生の生き方、上々にあらず。下々にあらず。
さりとて平凡にもあらず。世の無情を強く
感じるのみにて御座候。

「雨を見たか」
無頓派の仕業と探りをいれた伊三次の情報に
誤りがあり龍之進の伊三次を見る目が変わったことに
憤りを感じるもののお文の言葉で目が覚める。
不破は不破で若い頃の、もしかしたら下手人は
他にいたのかもしれないという思いを
引きずる己に気付く。

雨を見たかい、とは空模様を読む漁師たちの言葉。
「雨は見ましたよ、心の中で」とつぶやく龍之進の心情。
<< 椿と花水木-万次郎の生涯 上下... PageTop 象と耳鳴り:恩田陸 >>
XML | ATOM

会社概要
プライバシーポリシー
利用規約
個人情報保護
情報取得について
免責事項
ヘルプ
Starwort Skin by Sun&Moon