沙羅は和子の名を呼ぶ:加納朋子
2008年 02月 08日
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もしもあの時、別の選択をしていれば、
全く違う人生を歩んでいたのだろうか…。
平凡な会社員・元城一樹のふとした夢想が
すべての始まりだった。
一人娘の和子の前に姿をあらわした不思議な少女沙羅。
その名前が甦らせる、消し去ったはずの過去。
やがて、今ある世界と、あり得たはずの世界とが交錯しはじめて—。
表題作を含む、全10編を収録。珠玉のミステリ短編集。
(「BOOK」データベースより)
この短編集を読む時は心が静かなときのほうがいい。
せつなくてやさしくて、不思議な話ばかり。
加納作品にありがちな日常ミステリというよりは非日常な
幽霊がテーマ。
ミステリというよりはファンタジー色のが強いので
これはこれで好みの別れるところですが。
個人的には、あたしはこの作者のキャラ作りが好きなので
連作モノ、シリーズモノのが「好き」と言いやすいのですが。
にしてもこの「やさしさ」はなんなんでしょう。
彼女の手にかかれば日常の悪意、一瞬にして泥沼になりそうな
ドラマ的な話もすべて優しさにくるまれてしまう。この世に
悪い人なんていない、みたいな。
ゆっくりゆっくり味わうように一作一作丁寧に読みたい本。
そこに隠された大切なものをかみしめるように。
by acha-books
| 2008-02-08 21:15
| :加納朋子
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