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シュガーレス・ラブ:山本文緒
2008年 07月 14日 |
シュガーレス・ラブ:山本文緒_a0104226_15352428.jpg
短時間、正座しただけで骨折する「骨粗鬆症」。
美人と言われてトイレにも立てなくなる「便秘」。
恋人からの電話を待って夜も眠れない「睡眠障害」。
月に一度、些細なことで苛々する女の「生理痛」。
フードコーディネーターを突然、襲う「味覚異常」…。
恋が、仕事が、家庭が、女たちの心と体を蝕んでゆく。
現代女性をとりまくストレス・シンドロームと、それに立ち向かい、再生する姿を描く10話。
(「BOOK」データベースより)

まったく予備知識なく山本文緒だからいいだろうと
手に取った一冊。
読み始めてその短編集にタイトルをみて、おや?と
「彼女の冷蔵庫ー骨粗鬆症」
「ご清潔な不倫ーアトピー性皮膚炎」
「観賞用美人ー便秘」
「いるか療法ー突発性難聴」
「ねむらぬテレフォンー睡眠障害」
「月も見ていないー生理痛」
「夏の空色ーアルコール依存症」
「秤の上の小さな子供ー肥満」
「過剰愛情失調症ー自立神経失調症」
「シュガーレス・ラヴー味覚異常」

ほぅ。
おもしろい切り口。
現代病とでも言えそうな様々なストレスから誘発される病気。
その病気を抱えた女性たち。
みんなこんなにも必死。痛いくらい頑張ってしまっている。
それゆえの病気たち。
不倫の果て手に入れた結婚した相手の娘も
自分と同じように必死で愛を手に入れるために自分の
表面だけを磨き上げているその姿。
大好きなどうしていいかわからないほど大切な
友達と一緒にいたいからと無理して入った高校で
ドロップアウトしていく自分。
仕事に忙しい彼と親元に住む自分、いつ彼から
会えるよと言われるかわからない、一度帰った家から
夜また出かけるのは親の目が。。。と仕事後
ひたすら携帯を気にしながら夜の町をふらふら彷徨う。
みんなみんな必死で
それは時々滑稽ですらあり、いじらしくもある。

妙にリアルで生々しく実際にいそうな人たちばかりどころか
もしかしたら自分の内側にも、と思えるほど
すっと入れる短編集。
読後感はちょっとアタマをかきながら、はっと鼻で笑い
ゆっくりいこか、と自分に言ってあげたくなる
けれど、結局は
「女性とは血まめがつぶれてもハイヒールを履いてしまう」生き物なんだよね。
頑張っちゃう。
頑張る方向は人それぞれだけれど、自分自身の美意識のためなら、ね。
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