人気ブログランキング | 話題のタグを見る
:books:
achabooks.exblog.jp
  Top
ポプラの秋:湯本香樹実
2008年 08月 02日 |
ポプラの秋:湯本香樹実_a0104226_23445088.jpg
夫を失ったばかりで虚ろな母と、もうじき7歳の私。
二人は夏の昼下がり、ポプラの木に招き寄せられるように
あるアパートに引っ越した。不気味で近寄り難い
大家のおばあさんは、ふと私に奇妙な話を持ちかけた—。
18年後の秋、お葬式に向かう私の胸に、約束を守ってくれた
おばあさんや隣人たちとの歳月が鮮やかに甦る。
世界で高い評価を得た『夏の庭』の著者が贈る文庫書下ろし。
(「BOOK」データベースより)

うわーん。
なんていい本なんだろう!!!

「夏の庭」がよかったのでこちらも読んでみましたが
あたしは「夏の庭」よりもこっちのが好きかも。
向こうが子供向けならこちらはさしあたって大人向けかも。

アパートの大家のおばあちゃんと7歳の主人公。
年寄りを設定に置いているのだから
死をテーマとして扱っているのは簡単に想像がつくものの
そこに重さはなく、暖かく優しい。

決して子供に媚びるわけでもなく仏頂面のまま
接するおばあさん。
あたしはみんなから死んだ人たちに届ける手紙を
預かっているという。
そしてそのおばあさんの行為、思い、それらはすべて
幼い主人公が受けた「父親の死」という体験
そして人の死に対して、きちんと見つめる心を養って行く。

血のつながりのあるなしはあっても
おばあさんと幼い女の子というと「西の魔女が死んだ」と
設定的にかぶってるじゃんと思いましたが
そこだけ簡単に見ちゃだめです。
こちらのおばあちゃんは一筋縄ではいかない。
子供嫌いで、無愛想。
本から漂ってくる匂いはまったく違いますよ。

きっと少し前の時代なら都内でもあったであろう風景。
近所の人たちとの繋がり。
かといって図々しいような空気はなく、ほどよい距離感。
庭でする焚き火に
さつま芋を買って来て焚き火に参加するアパートの住人
そして、通りがかりの人を呼び止めて一緒に楽しむ。
子供の預け先すらままならない今の状態よりも
ずっと人間らしく暖かい。

感動できる本に出会えると本当に嬉しい。
ラストには暖かい涙。
いま一番おすすめの本。
<< 続巷説百物語:京極夏彦 PageTop シャーロック・ホームズの冒険:... >>
XML | ATOM

会社概要
プライバシーポリシー
利用規約
個人情報保護
情報取得について
免責事項
ヘルプ
Starwort Skin by Sun&Moon