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カテゴリ: :宮本 輝( 1 )
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2008年 01月 02日 |
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「一日に五千回ぐらい、死にとうなったり、生きとうなったりする」男との束の間の奇妙な友情(表題作)。
トマトを欲しながら死んでいった労務者から預った
一通の手紙の行末(「トマトの話」)。
癌と知りながら、毎夜寝る前に眉墨を塗る
母親の矜持(「眉墨」)。他に「力」「紫頭巾」「バケツの底」等々
日々の現実の背後から、記憶の深みから、
生命の糸を紡ぎだす、名手宮本輝の犀利な「九つの物語」。
(「BOOK」データベースより)

短編集といっても色々なパターンがあり
短い中に訴えたいことがストレートに凝縮され
これ以上のばす必要のない完成された話が
あたしにとっての「短編」としてのベストと
思っているのですが
この宮本輝の短編集、これはとても「巧い」と
いえるのではないでしょうか。
ただ、短い中で果たして訴えたいことは?というと
それは、さて?と思ってしまうような
日常の中の一部分を切り取った、そんな短編集。
ずっとずっと長い長い人生が続き
様々な出会い、別れ、悦び、悲しみ、色んなことがある
その中でほんの一部で
それぞれの話の前があり、そしてその後もずっと
この主人公たちは生きて歩んでいる、
そいういったことが感じられる、本当に骨組みそのものが
しっかりしたストーリーテラーならでは、と。

余計なことは一切書かれていない、けれど読者にとって
今、その時点の話を読むには十分な情報だけは
与えられ、瞬間、その世界にふっともぐりこんでしまうような
そして、その後はどう続くのだろう?と
不思議な味をのこしたまま消えて行く話たち。

もぅ出版されて20年近く経つ本ですが
もともとが昭和初期を舞台にしたものが多いせいか
まったく時代を感じさせません。

まぁたまにはこんな「巧い」短編集というのもいいかも。
こーいう本を読む時は「で?」は厳禁。
その読んでいる間、トリップしているその感覚を
十分に味わってこそ、の醍醐味です。
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