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カテゴリ: :天童荒太( 2 )
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2008年 10月 30日 |
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凄惨な連続殺人が発生した。独り暮らしの女性達が監禁され、全身を刺されているがレイプの痕はない。
被害者の一人が通っていたコンビニでの強盗事件を担当した女性刑事は、現場に居合わせた不審な男を追うが、突然彼女の友人が行方不明に…。孤独を抱える男と女の、せつない愛と暴力が渦巻く戦慄のサイコホラー。
日本推理サスペンス大賞優秀作を新たな構想のもとに、全面改稿。
(「BOOK」データベースより)

サイコキラーを扱ったサスペンスものですが
うまい!のひと言。
この1冊では短いと感じるほど「読ませる」力のある一冊。

深夜のコンビニでアルバイトをし、歌を作る青年と
管轄外の連続殺人犯を執拗に追いかける婦人警官
そして連続殺人犯の男。
その3人がそれぞれ心に傷を持ち、孤独な生活を送っている。
そしてこの本の裏テーマとも呼べる物が「家族」
犯人が歪んでいった原因ともなる幼少時代は
悲しすぎるほど。
同様にそれを追う婦警の風希、潤平それぞれが持つ
心の闇の部分も痛過ぎる。
誰にも知られたくない過去、知られたくない自分
それを白日の下に晒すのがなんてうまいんだろう。
サスペンス、サイコホラー、ミステリ、どの分野で
呼ばれてもこれだけ切ない話に仕上げられるのは天童作品ならでは。
初期作品、短編(いや全然短編ではないのだけれど)ということで
やや強引な感じや、台詞のあちこちに「2時間ミステリ」な感が
ないわけではないけれど、ここから「永遠の仔」が、とも読める作品。

次は家族狩りかな。
にしても、この犯人のサイコっぷり。かなり読ませます。
結構、グロめでエグいんでそのあたりが苦手な人は避けた方がよさそうです。
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2008年 03月 29日 |
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再会は地獄への扉だった。
十七年前、霧の霊峰で少年たちが起こした聖なる事件が、
今鮮やかに蘇る—。山本周五郎賞受賞作から三年余。
沈黙を破って放つ最高傑作ミステリー。
(「BOOK」データベースより)

それぞれ家庭に問題を抱えた子供たち。
父親からの虐待、それを信じてくれない母親との間で
心を閉ざした少女、久坂優希が出会ったのは
母親に育児放棄されながらも母親への愛を求める
モウルこと長瀬笙一郎、母に虐待された傷をもつジラフこと
有沢梁平。
誰もが認めて欲しがっている。
生きていてもいい、と。

とても辛い、重い話しながらも
こんなにも引込まれて行く。
3人たちの声がとても痛い。

親とはなんだろう。
作者は、同じく病棟にいる一人の少女に語らせます。
「あなたたちは、自分が静かにしていたいとき、幼いわたしが
声を上げると、愛さなかった。あなたたちは、自分のしてもらいたいことに、
幼いわたしが従わないと、素直でないとののしった。自分の欲求を
抑えられないのが子どもなら、本当はどちらが子どもだったの」
「わたしの幸せを願っていると何度も言いながら、あなたたちは
何が本当の幸せか、実は少しも知らなかったね。ありもしない幸せの
基準を、適当に押しつけ、わたしが基準を超えないと非難したよね。」

大人の醜い部分、大人のエゴイスティックさ
それでも親に、愛されたいと
子ども達は願い続け、親を捨てきれず
内側に澱んでいく思いを抱えたまま大人になって行く歪み。

そしてこの本は子どもへの家庭内の虐待の話だけではなく
老人問題も主題の一つ。
永遠の仔というタイトルは何も子どもを指すばかりではなく
子どもへ戻って行く老人も含めてこそだと。

文庫本にして5冊、けれどあたしはまったく長さを感じませんでした。
話のテンポがいいのと過去と現在が交互に語られることで
あらわになっていく事実。
読み終わったときには3人に対する愛情のような懐かしさのような
不思議な感覚が。
いまなお違う世界で彼らは息し、親への愛を求めて止まないかのように。

もっとだらだらとしたものを想像してなかなか手のでなかった作品ですが
ちっともそんなことなく、もっと早く読めばよかったと思った作品。
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