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カテゴリ: :京極夏彦( 5 )
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2008年 09月 07日 |
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匣の中には綺麗な娘がぴったり入ってゐた。箱を祀る奇妙な霊能者。
箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物—箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶ。探偵・榎木津、文士・関口、刑事・木場らがみな事件に関わり京極堂の元へ。果たして憑物は落とせるのか!?
日本推理作家協会賞に輝いた超絶ミステリ、妖怪シリーズ第2弾。
(「BOOK」データベースより)

「箱の中にぴったりと入っている綺麗な娘は、
にっこりと笑うと鈴を転がすような声で「ほう」と言った。」と
奇妙な「物語」から始まる今回の話。

すごい。
いや、厚さ(サイコロ本ですってよ)もすごいけれど
この話の骨組みの緻密さ、情景/心理描写、
事件の猟奇さ、どれを取ってもすごい。

だって「箱にぴったり」ですよ。
想像できます?

もちろん話そのものもとてもよく出来ていて
そう繋がって行くんだ!とかラストを読んでからさらに
そこへ行くのか!というミステリとしての一種の感動もあるけれど
シリーズの醍醐味ともいえる京極堂の
ウンチク、前回よりもぐっときましたね〜。

ちょっと自分のメモ書きとして京極堂の蘊蓄を。

自分を事件というものから切り離したい、あれは
こーいう特殊ななにがしかがあったから起こったものであり
自分には無関係だ、という犯罪者との位置関係の蘊蓄。

「そう、動機とは世間を納得させるためにあるだけの
ものに過ぎない。犯罪など、こと殺人などは遍く痙攣的なものなんだ。
真実しやかにありがちな動機を並べ立てて
したり顔で犯罪に解説を加えるような行為は愚かなことだ。
(中略)そんなものは幻想に過ぎない。世間の人間は
犯罪者は特殊な環境の中でこそ、特殊な精神状態でこそ
その非道な行いをなし得たのだと、何としても思いたいのだ。」


そして宗教者・霊能者・占い師・超能力者の解説はとても
興味深かったです。
これについてはこちらのサイトさんで詳しく、抜粋してくれています。
超能力は脱オカルト、占いは準オカルト、霊能は真オカルト、
宗教は超オカルト、ふーっむ。
オカルトとは本来「隠された」という意味だよ。(中略)当初はオカルトサイエンスと呼ばれた。日本人はサイエンスとつくとすぐに科学と訳す癖がある。
そこで自然科学に対抗した怪しい科学と勘違いしてしまう。
たとえばサイキックサイエンスと来ると心霊科学と訳す。間抜けだね。
サイエンスは元来知識という意味だから、オカルトサイエンスは隠された知識、サイキックサイエンスは霊的な知識と訳すべきだ。科学は関係ない。


こんな蘊蓄の宝庫。
おもしろいでしょ?
ってこんな蘊蓄があってこそ本来の「事件」がより一層
深く味わえる。ぜひ読み飛ばさずにじっくり読んで欲しいです。
「魍魎」に関する蘊蓄もね。

そうそう、読後、「みっしり」という言葉がずっと残りますよ。
あの不気味で妖しい世界。ぜひ味わってください。
分厚いからと逃げずに(苦笑)
(確かに手はやられる。。。)
前作よりもずっと読みやすく、好きな作品ですが
読むのなら「姑獲鳥の夏」からどうぞ。
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2008年 08月 17日 |
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無類の不思議話好きの山岡百介は、殺しても殺しても
生き返るという極悪人の噂を聞く。その男は
斬首される度に蘇り、今、三度目のお仕置きを受けたというのだ。
ふとした好奇心から、男の生首が晒されている刑場へ
出かけた百介は、山猫廻しのおぎんと出会う。
おぎんは、生首を見つめ、「まだ生きるつもりかえ」とつぶやくのだが…。
狐者異、野鉄砲、飛縁魔—闇にびっしり蔓延る愚かで哀しい
人間の悪業は、奴らの妖怪からくりで裁くほかない—。
小悪党・御行の又市一味の仕掛けがますます冴え渡る
奇想と哀切のあやかし絵巻、第二弾。
(「BOOK」データベースより)

舞台は、江戸時代末期。晴らせぬ恨み
あちら立てればこちらの立たぬ困難な問題を金で請け負い
妖怪になぞらえて解決する小悪党たちの活躍を描く。
同じ作者の「京極堂」シリーズが
妖怪の仕業に見える不思議な事件を科学的・論理的に
解明して解決するのに対し、本シリーズは逆に
人の心の綾を妖怪の仕業に仕立てることで解決するところに特徴があるといえる。
(wikipediaより)


今回も読ませてくれたなぁと。
特に今回は百介の心情を読み手側とより
近い位置に置くことで
闇の住人達と自分の安定した昼の世界との
狭間にいることのなんとも言えない中途半端さ
昼の世界に物足りなさを感じながらも
そちら側へは行けない、という百介の感覚とリンクし
「別世界の人たちだ」と感じることにより「その世界」に
さらに入り込んでいる、という。。。
それゆえにこの「続」の読後感は寂しかった〜。

前回が一話ごとにその仕掛けにほぅ〜と「読み終える」のに
比べて今回は、以前の話が巧みに絡んで来たり
さらに登場人物たち、おぎんの過去なども
どんどん解明されてきたり、さらに話に深みが増し
仕掛けもどんどん大掛かに。
とても読み応えあります。

風景描写の見事さゆえに読んでいてまるで映像を
見ているかのようで、なかなか読んでいる途中に
こっちの世界に帰ってくるのが大変。
それくらい入り込める本だからこそラストは心にくる。
はぁ。。。寂しいなぁ。
一応、まだ「これよりも前」と「これよりずっと後」が続きますが。
もっと前作のような、ちっちゃい仕掛けで連続短編として
長くおつきあいしたかった〜。

すっかり京極夏彦の造り出す世界にやられてますな。

あ、個人的にアニメキャラは好みではなかったのでそちらは
ノータッチ。
wowowでドラマもやってたんだねぇ〜。
渡部篤郎、小池栄子、大杉漣、吹越満。ほぅ〜。
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2008年 05月 12日 |
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時は、江戸。巷の闇の色は濃い。
その闇を縫うように、あやかしたちの姿がほのかに立ち上る。
小豆洗い、白蔵主、舞首、芝右衛門狸、塩の長司、
柳女、帷子辻…。それは、現か、幻か、それとも—と、
その刻、小股潜りの又市の鈴が密やかに鳴り
山猫廻しのおぎん、考物の百介、事触れの治平の姿が現れる。
「御行奉為—」いつの世も、不可解な事件は決して跡を絶つことがない—。
(「BOOK」データベースより)

面白いーっ。
さすが京極。読ませてくれます!
怪異譚を蒐集するために諸国を巡る戯作者志望の山岡百介が
出会った不思議な者たちは実は、闇に葬られる事件の
決着を金で請け負う「必殺仕事人」のような厭行一味。
連作短編集なのですが最後はいつもそーいう仕掛けだったのか、と
計算されつくしたストーリーはもぅ陶酔。

絵本百物語・桃山人夜話に収録されているという妖怪の絵と
その文章が各章ごとにあるのですが
すべてその小話を踏まえてストーリーが展開されていきます。
結局、恐いのは妖怪よりも人の心。

早く先を読みたいのだけれどじっくりこの世界で浸っていたい
そんな本です。まだまだ続編があるので楽しみです。
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2008年 04月 24日 |
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この世には不思議なことなど何もないのだよ—古本屋にして陰陽師が
憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾。
東京・雑司ケ谷の医院に奇怪な噂が流れる。
娘は二十箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。
文士・関口や探偵・榎木津らの推理を超え噂は意外な結末へ。
(「BOOK」データベースより)

いやぁ、大好きだ。これ。
京極作品ってやたらと分厚くて小難しくてみたいな
イメージだったけれどいやいや読みやすい。
うんちくうんぬんなんて逆に心地よいくらいじゃないですか。
好き嫌いはわかれそうだけれど。
テンポもいいし、なんだろ全体に流れる空気感が
とても心地よくて、読んでいる間、異世界に
気持ちが飛んでるようなまさしく読書の醍醐味。
現実世界に帰ってくるのがしんどいほど。

古本屋の主である京極堂が延々と語る前半があるからこそ
この物語のミステリがより楽しめる、というか
すっと自分の内側に入ってくる快感。
もし、あの京極堂の語りがなければ
そんなんあり得ないだろ、と投げたくなるような
ミステリとしての解決部分。あの最初があるからこそ
逆に、認められないのはおかしいだろ?とすら
思ってしまうくらい。
要するに謎解きの講釈を先にしておきながら
その通りに解いてみせるという作り、これがまた
素晴らしい。
ほんとにこれがデビュー作と思ってしまうほど。

言葉の世界で戯れたい人にはたまらない一冊。
ちょっと京極作品すべていこうと決めました。
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2007年 12月 24日 |
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ミステリー作家京極夏彦が、斬新な解釈を施して
現代に蘇らせた「四谷怪談」。
4世鶴屋南北の最高傑作とされる『東海道四谷怪談』とは
趣の異なる、凛とした岩の姿が
強く心に残る作品である。
直助やお袖、宅悦や喜兵衛、お梅といった
南北版の登場人物に、自身の著作『巷説百物語』の主人公又市を
からませながら、伊右衛門とお岩が繰り広げる
凄惨な怪談話を、悲恋の物語へと昇華させている。
第25回泉鏡花文学賞受賞作品。

小股潜りの又市は、足力按摩の宅悦に
民谷又左衛門の娘、岩の仲人口を頼まれる。
娘を手ごめにされた薬種問屋の依頼を受け
御先手組与力の伊東喜兵衛に直談判した際
窮地に立たされた又市らを救ったのが又左衛門だった。
不慮の事故で隠居を余儀なくされた又左衛門は
家名断絶の危機にあるというのだ。
しかし、疱瘡(ほうそう)を患う岩の顔は崩れ
髪も抜け落ち、腰も曲がるほど醜くなっていた。
又市は、喜兵衛の1件で助っ人を頼んだ浪人
境野伊右衛門を民谷家の婿に斡旋するが…。
(Amazon.co.jpより)

お岩さんと言えば四谷怪談。知らない人はいないであろう作品。
あたしもご多分に漏れずこのタイトルを見た時は
四谷怪談の話かぁ、と、しばらく手に取らずにいたのですが
もっと早く読めばよかった、と思ったほどよかった!

こんな新解釈、やられた、という感じです。
はっきりいってこれはとてもせつないラブストーリー。
愛の話。
そして京極夏彦の文章。
なんて洗練された美しい日本語なんだろう、とうっとり。
おかげで読み終わるのがもったいないほどで時間がかかりました。
そいえば初京極?

主人公のお岩さん、民谷岩の凛とした「正しい」姿の描き方
実の父の介錯をして以来、人を斬れない侍として
世捨て人のように暮らしていた侍、伊右衛門。
この二人が出会い、そして互いに互いを想う形。
思いやれば思いやるほど互いに相手を不幸にしていく。
不器用なそして純粋な二人の慈しむべき夫婦の形。

ミステリーとしても最後に色々な謎解きが用意されており
あぁ、そうだったのか、とこちらの息をのませる流れも巧い。

愛するものを傷つける、遠ざけても決して手離さない
歪んだ愛情をもつ伊東喜兵衛や
犯された妹を慈しみ、その敵を打たんと姿を消し
仇討ちに執念を燃やす直助の思いと妹を死に追いやった真実。
望まぬ子を孕みながら、伊右衛門に思いを寄せる梅。
按摩の宅悦、小股潜りの又市、岩の父、又左衛門
どの登場人物も奥が深く、みな、それぞれの
ストーリーを生きている。
脇役が単なる脇役とぞんざいに扱われる話が
嫌いなあたしは、そんな部分にもやられました。
素晴らしい。

話の作り上かかせないのだけれど、あまりにも蛇の
登場が多くこれには何度もぞっとしましたが(苦笑)

久々に本当に美しくせつない大人のラブストーリー。

ただイブの夜に読了する本としてはどうかと。
ぷぷ。
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