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カテゴリ: :恩田 陸( 14 )
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2009年 09月 15日 |

懐かしい故人と再会できる場所「アナザー・ヒル」。ジュンは文化人類学の研究のために来たが、多くの人々の目的は死者から「血塗れジャック」事件の犯人を聞きだすことだった。ところがジュンの目の前に鳥居に吊るされた死体が現れる。これは何かの警告か。ジュンは犯人捜しに巻き込まれていく―。
(「BOOK」データベースより)
聖地にいる173人全員に殺人容疑が降りかかる。嘘を許さぬ古来の儀式「ガッチ」を経ても犯人は見つからない。途方にくれるジュンの前に、「血塗れジャック」の被害者たちが現れて証言を始めた。真実を知るために、ジュンたちは聖地の地下へ向かうが…。
(「BOOK」データベースより)

ファンタジーでありホラーでもミステリーでも
ある不思議な世界のお話。
あまりの異世界っぷりに上巻、読み始めて
その世界に慣れるまで時間がかかりましたが
もぅ下巻に入ったらいっきです。

死者たちが還って来るアナザー・ヒルで
行われている「ヒガン」
V.ファーという架空の国。イギリスと日本の文化を
混ぜたような不思議な空間。
登場人物も多いし設定もまったく未知の世界だけに
多少とっつきにくいかもしれません。
けれど、同じように「ヒガンを初めて体験」する
ジュンという日本人を主人公に置くことで
読者も一緒に「知って」いくわけです。

そこにもぅこれでもかこれでもか、といわんばかりの
事件、謎の嵐。これ全部解決するの?と不安になるほど(苦笑)

ラストは色々と意見のわかれるところですが
。。。んー。。。主人公たちの行動ってすべて無駄足?
骨折り損のくたびれ儲け?とつっこんでしまいたくなりますが
それ以上に、この世界観の描写の素晴らしさで
十分堪能。楽しめました。

登場人物が多く最初は混乱しましたがキャラがしっかりしてるので
逆に読み終わる頃には登場人物たちひとりひとりに
妙な親近感すらもつほど。
さすが恩田陸。
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2009年 03月 19日 |
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太古の森をいだく島へ—学生時代の同窓生だった男女四人は、俗世と隔絶された目的地を目指す。過去を取り戻す旅は、ある夜を境に消息を絶った共通の知人、梶原憂理を浮かび上がらせる。あまりにも美しかった女の影は、十数年を経た今でも各人の胸に深く刻み込まれていた。「美しい謎」に満ちた切ない物語。
(「BOOK」データベースより 上巻)

雨の音を聞きながら、静かな森の中を進んでいく大学時代の同窓生たち。元恋人も含む四人の関係は、何気ない会話にも微妙な陰翳をにじませる。一人芝居を披露したあと永遠に姿を消した憂理は既に死んでいた。全員を巻き込んだ一夜の真相とは?太古の杉に伝説の桜の木。巨樹の森で展開する渾身の最高長編。
(「BOOK」データベースより 下巻)

 「利枝子」「彰彦」「蒔生」「節子」の4部からなるこの話は
それぞれの部で語り手が変わることで
過去をそれぞれの視点で思い出し、語り合い
一つの絵を描いていく。

彰彦の発案で「美しい謎」を持ち寄り、旅の間にみんなで
それを解いていくというベースは
はじめは「ことば遊び」のように進むがやがてそれは
本人達すら覚えていなかったことや曖昧としていた部分を
徐々に、それがたとえ本人達の内側だけであっても
さらけ出されて行く。
本当は知りたくないこと、光を当てたくない無意識なところまで
極限まで行きつく過程に不自然さがないのは
物語の舞台がY島という特殊な場所だからこそ盛り上がって行く。

その間、事件が起きるでもなく
大きな展開があるわけでもない。
ただ過去の回想と会話が続くだけなのにこれだけ読ませるというのは
やっぱり恩田陸の非常に高い技術ならでは、と思うのです。

これは30代後半の、登場人物達と似たような年齢の人には
とてもしっくりする話だと思う。
若い人が読んだらまた違った感想になるんでしょうね。
もやっとしてる、とか、「わかんない」とか。。。

ある程度の年齢を重ね、ある程度遡れる過去があるからこそ
そして、覚えているはずなのに忘れていること、忘れたいのに
ずっと引きずっていること、そんな様々なことを抱え
立場は違えど、心地よく感じる空気感と同時に
危うい緊張感を感じられること、そして
また、家庭や仕事をもちながらも、異性を含めた昔の仲間と
ラグジュアリーなホテルに泊まり、偉大な自然に身を任すことへの
色々な意味での贅沢さを羨ましがれる年齢こそぴったりなお話かと。

屋久島、行ってみたいなぁ〜。
。。。何故、Y島とかJ杉とか匿名なんだろう?
別にいいような気がするんだけどね。
どうしても、ふっと止まって「J杉ってなんだ?あぁ!縄文杉のこと?」とか
ストーリーと全然関係ないとこで思考が止まっちゃって
ちょっとやっかいでした。

「三月は深き紅の淵を」 や「麦の海に沈む果実」を読んでいると
また違った楽しさも味わえる本です。
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2008年 12月 28日 |
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四つの高校が居並ぶ、東北のある町で奇妙な噂が広がった。「地歴研」のメンバーは、その出所を追跡調査する。やがて噂どおり、一人の女生徒が姿を消した。町なかでは金平糖のおまじないが流行り、生徒たちは新たな噂に身を震わせていた…。何かが起きていた。退屈な日常、管理された学校、眠った町。全てを裁こうとする超越的な力が、いま最後の噂を発信した!新鋭の学園モダンホラー。
(「BOOK」データベースより)

恩田陸の不思議=静かな気味の悪さいっぱいの
学園モノ。ホラーやミステリというよりもファンタジーなのかな。
確かに、「噂」の発生する理由として
退屈な毎日からの逃避、刺激を求めて、ということなのだと思うし
その年代ならではの退屈さというのも十分ここまでは理解できる。
そして、その噂の発生元を確かめる、という少年、少女達の
動きも面白い。
けれどそれだけに留まらない。
気を抜くともぅついていけない「あちら」側に
話だけが「飛んで」しまって置いて行かれた気分。

東北のある田舎町に重なるようにして存在する「あちら」。
そこは行ける人と行けない人がいる。
必要としていない人もいればそこに安らぎを感じる人もいる。
あちら側へ行くことが進んでいることなのか。
はたまた。。。

と、読後感も消化不良気味。。。

ただ多感な時期の登場人物たちの思考回路を
なぞるのは十分に面白いし、ぐいぐい読み進められる力も
あります。
特に、そういった地域で育った人にはかなり
感じるところがあるかもしれません。
同調する気持ち良さもその中にはあるとは思います。

けれどこの最後に放り投げだされたような感覚。
これが気持ちよいと感じるか不満と感じるかは
かなり人によって別れるところとなりそうです。
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2008年 09月 16日 |
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懐かしく切ない傑作ファンタジー
20世紀初頭の東北の農村。少女峰子は、集落の名家・槙村家の
聡子嬢の話し相手を務めていた。
ある日、聡子の予言通りに村に謎めいた一家が訪ねてくる。
不思議な力を持つ一族を描く感動長編。

「光の帝国〜常野物語」に続く常野シリーズ。
前作は現代が舞台でしたが今回は日露戦争直前の
明治の農村が舞台となります。
「光の帝国」でも登場した春田一家の先祖、でしょうかね。

その村の指導者は、私欲に走ることなく
村のために力を尽くし、また村人達もその指導者、槇村家に
尽くす、そんな美しい共存が当たり前のようにあった時代。

槇村家の末娘、聡子は生まれつき身体が弱く
家で過ごすことが多かったため、話し相手として
選ばれたのが村医者の娘、峰子。
この話は峰子の視点で綴られた日記「蒲公英草紙」を
ベースに昔語りの形で勧められていきます。

まだ幼いのに自分の生まれて来た意味、存在意義を
求める聡子には神々しい美しさすら感じられ
読んでいるこちらまでまるで心が洗われるかのような
そして、不穏な動きを見せて行く時代の流れに
その時代の急激な変化に呑み込まれて行く峰子たちに
昔のよき時代を思い起こし語る峰子に
せつない、やりきれなさも。
と、同時に異能としての常野一族へのせつなさもまた。

常野一族は普通の人とは違った能力を持った一族。
春田家の人たちは「しまう」ことが出来る人たち。
その人が生まれてからそれまでのすべての記憶、感覚、思い
そのすべてを我が身の中に「しまう」こと。そして「響かせる」こと。
この春田家の能力が今回のお話の一番深い部分で
存分に活かされ、その能力の素晴らしさに感嘆。
長男の光比古が重要な役を果たしています。

前作を読んでからでも、或いはこれだけを先に読んでも
十分にわかるし、どちらから読んでもいいと思いますが
特に今回は常野をクローズアップしたというより
昔のよき時代の日本人を描いた話として秀作。

優しく澄んだ気持ちに慣れる一冊ですが
ラストの問いかけには深く重く心に沁みます。
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2008年 06月 21日 |
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いつもあなたを見つける度に、ああ、あなたに
会えて良かったと思うの。
会った瞬間に、世界が金色に弾けるような喜びを覚えるのよ…。
17世紀のロンドン、19世紀のシェルブール、
20世紀のパナマ、フロリダ。時を越え、空間を越え、
男と女は何度も出会う。結ばれることはない関係だけど、
深く愛し合って—。
神のおぼしめしなのか、気紛れなのか。切なくも心暖まる、異色のラブストーリー。
(「BOOK」データベースより)

きたーーーーーーーーーっ(笑)
きましたよ。もぅ大好きです!こぅいう設定!
メロドラマといわれようがなんだろうが好きです。

悲しいとか可哀想とかではなく感動
満ち足りた、きゅーっとくる
こみ上げて来るような何か!
そうきたかーっ!みたいな。
泣きそうな瞬間の喉がくぅぅってなるあの感じ。
鳥肌ざわわ。
そして涙が知らないうちに落ちてる。

SFをベースにしたメロドラマ、恋愛ものなんて簡単に
言われちゃうと絶対に読む気しませんが(笑)
あ、これ、SFだったの?みたいな。
(まぁタイムトラベラーものは好きなので
それがSFと言われればあたしはSFが好きだと言わざるを得ない。
ただし今回のこのタイムトラベルはどちらかと言うと生まれ変わりモノ)

夢で何度も見たり、あるいは突然目の前に現れたり
片方しか覚えてなかったり、両方とも思い出せなかったり
「その時」ごと条件が変われど
エリザベスとエドワードは互いに求め合い、やっと出会っても
その僅か後にはまた別れなければ行けない。
その別れがあるとわかっている辛さ、せつなさ
必ず別れなければならないのなら出会わない方が幸せ、なんて
言葉では済まされないほど
「あなたに会った瞬間に、世界が金色に弾けるような喜びを覚えるのよ。」
この為に生まれて来た、この時、この一瞬の為に
生きていた、と思えるような充足感、幸福感。。。

けれどせつなすぎる。辛過ぎる。

その上で、読者はまた楽しんでしまうのです。
次はどんな「エドワード」とどんな「エリザベス」が
どんな形で生まれ変わり、巡り会うのか、と。
そして、そうか、次はこんな形なのね、次はこうなんだ、と
読んで行く二人の様々な「出会いの形」は
各章ごとに章の扉に挿入された絵からまたインスパイアされ
広がって行くのです。

章が進むうち、何故二人がそんな運命のいたずらに翻弄
されるようになったかの「始まり」も描かれ
その物語にすっきり。。。。したところで終わり、ではないのです。

最後に用意された「記憶-1855年-オックスフォード」で迎えるクライマックスは
本当に鳥肌もの!

あぁ〜素敵な本を読みました。
大好き。
。。。。少女漫画好きさんにも絶対におすすめ!
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2008年 03月 01日 |
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2002年2月11日午後2時過ぎ
都内郊外の大型商業施設において重大死傷事故発生。
死者69名、負傷者116名。未だ事故原因を特定できず—。
質問と答え(Q&A)だけで物語が進行する
リアルでシリアスなドラマ。
謎が謎を呼ぶ“恩田陸ワールド”の真骨頂。
(「BOOK」データベースより)

読んでいる途中の友達が「おもしろい」とメールを
くれて以来、読みたい!と思っててやっと読了。
前半はおもしろいです。
「これからあなたに幾つかの質問をします」から
始まる大惨事の事故の原因を探っていくのですが
初めのうちは、ある機関に属するであろう女性が
被害者や関係者にインタビューしていくのですが
途中から、それが変わって行くんですよね。
聞く側と聞かれる側が。
まぁ会話だけですべて成り立っているとても実験的な
面白い組み立てなのですが
あたしとしては、最初から最後まで、「かたち」を
変えずに進めて欲しかったけれどそれは難しかったのかなぁ。
まぁ変わって行くからこそ見えてくる局面なりの
面白さはありますけれどね。
まるでそこからは、連作短編集のような濃さも味わえるし。
その分、1つずつ読み終わると、ふぅ〜って感じですが。

パニックが起きた大型スーパーの描写、被害者から
語られる様子はとてもリアルで背筋がぞっとしました。
が、まぁ最後、やっぱそーいうオチなの?という
もやもや感はあるものの読んで損はないんじゃないかなぁ。
こういった形式は面白いと思いますよ。
ミステリというよりは小説として読まれた方が
読後の妙なもやもや感はないと思うし
恩田陸ならでは、と思えばさらに納得。

でももぅ妙な宗教絡みの話からは離れたいんですけど(苦笑)
新興宗教ってパターンとして使いやすいんですかね?
事故のその後として書かれたとは思いますが
あの少女の話はいらなかったように思うな〜。
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2008年 02月 05日 |
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あたしは主人公にはなれない—。
関根夏はそう思っていた。だが半年前の卒業式
夏はテニス部の先輩・志田から、秘密の使命を授かった。
高校で代々語り継がれる“サヨコ”伝説に関わる使命を…。
少女の一瞬のときめきを描く『六番目の小夜子』の番外篇(表題作)
『夜のピクニック』の前日譚「ピクニックの準備」など全10話。
恩田ワールドの魅力を凝縮したあまりにも贅沢な短篇玉手箱。
(「BOOK」データベースより)

恩田陸、好きですか?
「麦の海に沈む果実」はもぅ読みましたか?
「夜のピクニック」は?「六番目の小夜子」は?
そこまで読んだらぜひこちらも読んでください。
それぞれの話の番外編が楽しめます。
さらに、過去、色々な場で発表された話が集められた短編集。

’時間怪談’をテーマにかかれた時間を超え繰り返される
「春よ、こい」
’血の12幻想’の為に書かれた
「茶色の小瓶」
「グリーンスリーブス」の予告編として書かれた
「イサオ・オサリヴァンを捜して」
「麦の海に沈む果実」の水野理瀬の幼少期を書いた
「睡蓮」
密室をテーマにしたアンソロジー’大脱走’の為にかかれた
「ある映画の記憶」
「夜のピクニック」の予告編、その前夜が書かれた
「ピクニックの準備」
ホラー短編として週刊小説のために書かれた喫茶店のウェイトレスの犯した罪
「国境の南」
新世紀新年号の小説新潮に書かれた旅する城塞都市
「オデュッセイア」
「六番目の小夜子」番外編、関根秋の姉、夏のエピソード
「図書室の海」
SFマガジンの女性作家ホラー特集に書かれた
「ノスタルジア」

SFあり、ミステリーあり、ホラーあり多種多様に広がる恩田ワールド。
ラストが余韻を残す作品も読後の広がりを感じさせるものが多かったり
設定をはっきりさせてなかったりと言った話は好みのわかれるところかも?
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2007年 10月 22日 |
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津村沙世子—とある地方の高校にやってきた、美しく
謎めいた転校生。高校には十数年間にわたり、
奇妙なゲームが受け継がれていた。
三年に一度、サヨコと呼ばれる生徒が、
見えざる手によって選ばれるのだ。
そして今年は、「六番目のサヨコ」が誕生する年だった。
学園生活、友情、恋愛。やがては失われる青春の輝きを
美しい水晶に封じ込め、漆黒の恐怖で包みこんだ、伝説のデビュー作。
(「BOOK」データベースより)

あたしは学園ものとか高校生が主人公とか
好みで言えば苦手です。
女子大生が主人公、とか。
まぁ読めなくはないのですが引き込まれないことが多いので。
やっぱり自分により近く共感できるか、或いは
とことん離れて、そのストーリーにトリップできるか
その微妙な位置が「学園もの」
どこかで比較したり、こんなんあり得ない、とか
これはオトナの発想だ、とか物語に入り込む前に
余計な雑念が混じり込んでしまうためと思われます。

それを差し引いてもこれは読めましたね〜、
すんなり世界に入り込んで
あたしも一緒になって真っ暗な講堂に一緒に
座っていたような気分。恐かったですよ、そのとき。
ホントにじわじわと。

登場人物の魅力で読ませるところもあったかな。
特にあたしはさきに「象と耳鳴り」を読んでいたのでなおさらかも。

テンポもよいし、なにより、その根底に漂う恐怖感。
まぁそりゃつっこみどころもありますが、山のように(笑)
(それをすべて挙げていったらネタバレびしばし)
でもこの読後感はあたしはこれはこれでいいのかな、と。
結局、あれはなんだったんだろう?という振り返ってみると
不思議な出来事って学校というシチュエーションというだけで
ありかな、と。
色々な複雑な要素が絡み合って説明のつくような出来事であっても
子供には調べきれない、説明されないことってあるしね。


誰かあたしの高校時代の「バターココナツの怪」を解明してくださいって
これは蛇足(>ε<)ぶっ
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2007年 06月 23日 |
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「あたくし、象を見ると耳鳴りがするんです」
退職判事関根多佳雄が博物館の帰りに立ち寄った喫茶店。
カウンターで見知らぬ上品な老婦人が語り始めたのは
少女時代に英国で遭遇した、象による奇怪な殺人事件だった。
だが婦人が去ったのち、多佳雄はその昔話の嘘を看破した。
蝶ネクタイの店主が呟く彼女の真実。
そしてこのささやかな挿話にはさらに意外な結末が待ち受けていた…。(表題作)
ねじれた記憶、謎の中の謎、目眩く仕掛け、そして
意表を衝く論理!ミステリ界注目の才能が紡ぎだした
傑作本格推理コレクション。
(「BOOK」データベースより)

元判事の関根多佳雄を主人公とした連続短編集。
かと言って多佳雄自身が事件の中心ではなく
安楽椅子探偵の如く、人から聞いた話の中から
推理をすすめていく「推理小説好き」の本格推理モノ。
鋭い洞察力と観察眼には見事の一言。
もしかしたら、何気ない日常、こんなにも
色々な奇怪な事件が潜んでるのかも。

ふとした疑問、違和感から広げていく空想。
面白いです。
話そのものの面白さもあるけれど父、多佳雄の
キャラがいいです。
長女で弁護士の夏、その兄で検事の春といった
(未読ですが「六番目の小夜子」に関根秋くんが
登場してるらしいです。お父さんの多佳雄も
出て来てるようで)
キャラたちもみな推理巧みでその推理合戦も
読み応えあるし、何気ないエピソードも
くっと心にひっかかる文章が多く
恩田陸のこの系統の話はもっと読みたいな。

以下、蛇足。

*夏に対しての多佳雄の評価がおもしろい。
  「確かに、上と下の息子のナイーブさに比べ、
  夏の感情の安定度は際立っていた。
  とにかく、怒るべき状況でも、悲しむべき状況でも
  彼女には第三者的に面白がってしまう方が先なのである」

*春に対する評価のとき「ツキ」の話がでていてその一部。
  「人間の一生に与えられているツキの総量は決まっていて、
  早く使い果たすとあとがないというまことしとやかな説が
  ある。これは嘘だ。ツキまくる男はずっとツキまくるし、
  ツキのない男はずっとツキがない。多佳雄が思うに、
  人間のツキに対する妄執の量とツキの量は反比例し
  かつ両者を合計した総量は個人によって決まっている。
  総量の大きさは個人の潜在能力によって決まる。
  妄執が大きくなればなるほどツキは小さくなる。
  妄執の大きさに見合うツキを手に入れるには
  妄執の大きさに見合う能力を手に入れなければ
  ならないのだ。ツキに釣り合うだけの実力がなければ
  ツキに潰されるし、大きくなったパイを切り分けることは
  できない。」

*「ニューメキシコの月」に出てくるアンセル・アダムスの写真
  こちらで見れます。

  他、色々な恩田作品に描かれている様々な作品に対する
  「オマージュ」はこちらのページに詳しく書かれていて面白いです。
  国宝・曜変天目茶碗へのリンクもありますよ。

  トップページはこちら。 情報量、素晴らしいです。
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2007年 05月 24日 |
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三月以外の転入生は破滅をもたらすといわれる
全寮制の学園。二月最後の日に来た理瀬の
心は揺らめく。閉ざされたコンサート会場や
湿原から失踪した生徒たち。
生徒を集め交霊会を開く校長。
図書館から消えたいわくつきの本。
理瀬が迷いこんだ「三月の国」の秘密とは?
この世の「不思議」でいっぱいの物語。
(「BOOK」データベースより)

「3月は深き紅の淵を」の中の第4部「回転木馬」
その中で触れられていた作品が独立したお話。

学園ミステリーとしてはおもしろく読めました。
まぁ中盤まではちょっと退屈だったけれど
話の一つ一つが細かく分かれているので
その一つ一つのタイトルにまた惹かれたり。
主人公はじめ登場人物がすべて「謎」な不思議な
人たちばかりで馴染むまで時間はかかりますが
ひとたびその世界に入り込めば
次々と繰り出される謎にどんどんはまっていく
引き込まれて行くような。
繰り返される殺人事件の謎解きも興味深いけれど
より惹かれたのは学園生活の様子。
登場人物が美形ばかりというのもよいです(笑)
絵が浮かびやすいストーリーテリングは
結構好きです。
まぁ少女漫画的といえば少女漫画的かな。

解説を読むと「三月」と「麦の海」との連動性について
「メタレヴェルとオブジェクトレヴェルを方法的に
混乱させる恩田陸の試み」などと非常に詳しく細かく
分析されてますがあたしはその部分はいらないな。
独立した本として楽しめたし。いやもっと深く
マニアックに分析すればそれはそれでまた
楽しそうだけれどそこまで気持ちが追いつかない(笑)

まだまだこのシリーズ続いてるようなのでちょっと
追ってみたいです。

ラストについては賛否両論のようですが
まだ「続いている」としたらこれはこれでありなのでは、と。
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