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カテゴリ: :乙一( 8 )
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2007年 03月 30日 |
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 目覚めると、私は闇の中にいた。
交通事故により全身不随のうえ音も視覚も
五感の全てを奪われていたのだ。
残ったのは右腕の皮膚感覚のみ。
ピアニストの妻はその腕を鍵盤に見立て
日日の想いを演奏で伝えることを思いつく。
それは、永劫の囚人となった私の唯一の救いとなるが…。
表題作のほか、「Calling You」「傷」など
傑作短篇5作とリリカルな怪作「ボクの賢いパンツくん」
書き下ろし最新作「ウソカノ」の2作を初収録。
(「BOOK」データベースより)

グロテスクな作品が多い乙一ですがこれはライトノベルと
して刊行されたものに最新作を加え文庫化。
なのでどれもグロ感は薄めなので乙一初心者でも
読みやすい仕上がりになっているばかりではなく
どの作品もぐっと心にくる話ばかり。

「calling you」
誰もが持っている携帯電話を唯一持っていない女子高生
何故なら話す相手がいないから。クラスでも誰も自分に
話しかける人はいない。いつしか心の中で自分だけの
携帯電話を空想するように。そしてその携帯電話が
繋がり人の声が。空想のはずの携帯電話なのに。。。

「失はれる物語」
表題作。
意識はしっかりとあるのに右腕の皮膚感覚しか
感じられる人差し指しか動かせなくなった
主人公の一人称だけで語られる世界。
妻の幸せを祈って取ったたった一つの行動。
泣ける一編。

「傷」
特殊学級に通う小学生オレとアサト。
アサトには不思議な力があった。人の怪我を自分の
身体に移すことができるのだった。
親に虐待されたオレと親に殺されかけたアサト。
どちらもいらない存在なんかじゃない。
もぅこの二人の存在、悲しくて痛くて愛おしすぎる!
これもまた泣けます。

「手を握る泥棒の物語」
お金に困り果て辺鄙な旅館に泊まった裕福な親戚の
財布を盗もうと企てた主人公のちょっとまぬけな話。
すぐに掴まるかと思って覚悟していたのに何故か。。。

「しあわせは猫のかたち」
人間嫌いな主人公。人と一切関わりを持たず
カーテンを閉め切って暮らそうと伯父の所有する家で
一人暮らしをはじめるがそこは殺人事件があった家だった。
そしてその家には先住人が残っていた。
ミステリの要素もあるもののほんわり暖かみある作品。
最後の主人公に宛てられた手紙が美しい。

「ボクの賢いパンツくん」
怪作?(笑)たのしすぎ。

「マリアの指」
マリアの死は自殺だったのか、それとも。。。
誰にでも注目される美しい存在、幸せにあるに違いないと
人に思われる存在。絶対的な威圧感とカリスマ性。
けれどマリアはどうだったのだろう?
バラバラになったマリアの死体。残されたホルマリンの
瓶の中の指を見ながら本当のことを追い求めると。。。

「ウソカノ」
書き下ろし。クラスのみんなより一歩リードを
取るために創り上げた「嘘カノ」なのに
どんどん真実みを帯びてくるその存在。そして
ウソカノ仲間まで登場し。。。ほのぼのした一作。
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2006年 12月 30日 |
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 とある町で行き倒れそうになっていた謎の青年・夜木。
彼は顔中に包帯を巻き、素顔を決して見せなかったが
助けてくれた純朴な少女・杏子とだけは心を
通わせるようになる。しかし、そんな夜木を
凶暴な事件が襲い、ついにその呪われた素顔を
暴かれる時が…。
表題作ほか、学校のトイレの落書きが
引き起こす恐怖を描く「A MASKED BALL」を収録。
ホラー界の大型新人・乙一待望の第二作品集。
(「BOOK」データベースより)

ますます乙一が好きになった一冊。
表題作の「天帝妖狐」は本当にせつない話。
もちろんファンタジーホラーとでもいうのか
あり得ないだろう?で終わらせてしまったら
それまで、な話だけれど、そんな世界で
空想を働かせるのも本を読む愉しみの一つ。
こっくりさんを一人でしていたら何者かが
答えてくれた。心をひらいて話をしていくうち
「死への恐怖」をたくみに利用し
「えいえんのいのち」を与えられてしまった為
身体がどんどんと人間の身体から
見るのもおぞましい身体になり
死ぬこのとできなくなってしまったら。。。
優しい心を持った夜木と夜木を助けた杏子との
心の繋がりを描いたとてもとてもせつないお話。

A MASKED BALLはトイレの落書きから
顔も知らず会話をする主人公と他3人の人物。
名前もどこのクラスかも学年もわからない。
だからこその楽しさ、息抜き。。。だったはなずなのに
そのうちの一人が学校内の空き缶の多さを問い
その後、校内の自動販売機が壊された。
止め方のマナーの悪い教師の車が破壊され
そして次は「喫煙」していた女子生徒を狙う書き込みが。
彼女を守らなければ、と犯人に罠を仕掛ける主人公。
果たして犯人は?
もぅドキドキですよ。落書きでの会話はまるで
ネットの掲示板のようで読んでいてそれもまた
楽しかったな。

表題作が後ろに来ているので連作?と思ったら
まったくそれぞれ別の短編でした。
どちらもそれぞれ違った味わいがあり楽しめました。
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2006年 12月 15日 |
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 ある日、私は片目を失った。
そして、その日までの記憶も。眼球移植を受けた私の頭に
時折激しい痛みと共に見知らぬ映像がよぎる。
その映像の源を求めて旅に出た私を待っていたものは…。
著者初の長編ホラー。
(「BOOK」データベースより)

いやぁ。。。これはこれは(苦笑)
あたしは好きです。ラストの犯人探しなんてもぅ
すっかり騙されました。単純?いやいやあの意外性は
と、言っちゃいけないね。
話はかなりグロテスク。内臓でろでろんな話が
生理的にダメな人はもぅそれだけでこの本の
面白さが見えなくなってしまうほどグロです。
でもやっぱり、この人の描くせつない世界は
健在。これだけおどろおどろしい設定なのに
やっぱり視点はどこかクールで
「異常殺人」ではなく「医者」「研究者」の目。
何故か読後感はとても爽快。
騙された犯人探しも含めてもぅ一度読み返して
しまったほどです。
記憶をすべてなくし、昔の自分と比較され
おどおどしていた主人公が精神的に強くなっていく姿も
読んでいてとても愛おしくなる。

でも。。。本当に人の目を移植することで
前の持ち主が目に焼き付けたものを
見てしまったら。。。。
オツイチ本人のあとがきもくすりと笑えていいです。
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2006年 12月 15日 |
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 「わたしは腕に犬を飼っている—」
ちょっとした気まぐれから、謎の中国人彫師に
彫ってもらった犬の刺青。
「ポッキー」と名づけたその刺青が
ある日突然、動き出し…。
肌に棲む犬と少女の不思議な共同生活を
描く表題作ほか、その目を見た者を
石に変えてしまうという魔物の伝承を巡る
怪異譚「石ノ目」など
天才・乙一のファンタジー・ホラー四編を収録する傑作短編集。
(「BOOK」データベースより)

すっかりこの人の文章の巧さにやられて続けて乙一。
これは見事。乙一独特のグロさが苦手な人にも
十分に薦められるのではないかなぁ。
ファンタジー嫌いなあたしでも十分に楽しめた
ファンタジーホラー、って感じかのかな。
キモチワルイべたべたさ加減のないクールな視点が
「ばかばかしい」設定をも越えて素晴らしい一冊に。

幼い頃消息不明となった母の思いと
和製メデューサよろしく見たものを石にするという
村に伝わる伝説の二つを軸に進められる「石ノ目」

自分と友達の二人にしか見えない幻想の友人「はじめ」
ほんの小さな嘘から生まれた少女が別世界で命を持って
共に過ごした少年時代のまばゆさ。

一緒に作られた人形達に比べて不出来な「BLUE」
動き話をする彼ら。決してすべてオールライトな
ハッピーエンドではないところにシニカルで
残酷な「童話」の原点が垣間見えます。

表題作「平面いぬ。」は腕に入れてもらったはずの
犬のタトゥが動き出した。肌の上を。
吠えたり刺青でいれた肉を食べるポッキー。
父、母、弟が同じ時期に死を迎えるとき
家族を助けるため、ポッキーを
呼び出さなければいけない。
あたしは家族を助けられるのだろうか?

どの話も心に残る話ばかり。
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2006年 12月 03日 |
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 飼育係になりたいがために嘘をついてしまったマサオは
大好きだった羽田先生から嫌われてしまう。
先生は、他の誰かが宿題を忘れてきたり授業中騒いでいても
全部マサオのせいにするようになった。
クラスメイトまでもがマサオいじめに興じるある日
彼の前に「死にぞこない」の男の子が現れた。
ホラー界の俊英が放つ、書き下ろし長編小説。
(「BOOK」データベースより)

あたしは現在小学校5年生の母親なんで
ちょっと読み始めは冷静じゃいられないほど
嫌悪感を感じたのですが(苦笑)
それにしてもこの「いじめ」の始まり
先生という存在の力、精神的に相手を
洗脳していく言葉の力、リアリティがあって
これはとてもコワイ。
言葉を心の中ではたくさん持っているのに
それを表に出せないマサオの控えめな優しさが
とてもせつない。
最後、マサオ自身が生まれ変わって先生に
問いただすシーンはもぅほっとし、新しい先生に
次の新しい生活が見え読後感は不思議と爽やか。
読み始めは、乙一、あたしもぅダメかぁ?と
思いましたがやっぱ好きだなぁと思い直した一冊。
あ、2時間程度で読めますよん。
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2006年 10月 12日 |
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 乙一、かなりお気に入りの作家になってます。
これはもぅ語り手がスゴイ。だって「死体」ですよ。

9歳の殺された女の子の視点で淡々と
語られていくんです。いや、びっくり。
そしてこの話を作者が書いたのが16歳と知って
これまたびっくり。乙一のデビュー作です。

夏休み、兄が好きな妹。あたしもお兄ちゃんのことを
「健くん」って呼びたかった、という思いを
知ってしまった五月は「弥生ちゃんの秘密を
知ってしまったから自分の秘密も告白しなきゃ」という
気持ちで「あたし、健くんが好き」と告げたとき。。。
高い高い木の上から突き落とされた。
兄妹は死体を隠す。ちょうど起こっていた
子供を狙った連続誘拐事件だと思わせてしまおう、と。

子供がどこまでオトナの目を騙せるのか、という
とてもコワイ話。19歳もコドモとしてね。

オチについては賛否両論みたいですが
あたしはこの話、好きです。

もぅ一編「優子」も素晴らしい。
人の言葉を追う上での思いこみって。。。と唖然。
せつないショートミステリー。映画化は無理(笑
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2006年 09月 30日 |
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 乙一、前に読んだ「暗いところで待ち合わせ」
結構気に入ったのでまたまた読んでみました。

今回主人公は高校生の「僕」
同級生の黒髪で色白の少女森野とは
普通の人は顔をしかめるような話に
惹かれ合う仲間のような存在。
世界中の拷問器具やさまざまな死刑の方法に
ついて話をするとき、小声で会話をするような
そんな関係。
けれど彼らの間にはなまったるい友情も愛情も
表現されない文体、いいです。
そうでしょ、そうあるべきでしょ。
そーいう人物設定ならば!と膝を打つくらい
人物設定が魅力的(笑)
罪悪感とか、良心というものは持ち合わせず
これだけ淡々としていると逆に面白い。

この二人の周りに起こる様々な殺人などを
描いた連作短編集。
それなりグロい描写もありますが
それを越えるストーリー性も各話に
しっかり収められまた謎解きとしても十分に
楽しめる。その謎を解き披露していく
「殺人者に畏怖の念すら持つ」〈僕)の位置は
非常にいい感じ。
またこの短編の中には叙述トリックとしての
ミステリーも含まれるのですが
どれも巧い!いいよ〜、すごく。
文体も好きだなぁ。猟奇モン苦手〜な人にも
読んで欲しいなぁ。
連続殺人鬼だって妙にせつないしね(笑)
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2005年 11月 27日 |
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 初乙一です。「はじめ」かと思ったら「いち」なのね。
視力をなくして、家族もなく一人で駅のホームの見える
一軒家で父の残した保険金でじっと暮らすミチル。
幼馴染みのカズエが一緒に外に出てくれる以外は
見えない恐さに負けて外に出ることもままならない。
ある日からミチルは家の中にある気配を感じる。
それは駅のホームから人を突き落とした犯人として
追われているアキヒロだった。
人に馴染むことを拒否し、職場の人間関係も
うまくいかず悩んでいたアキヒロ。
死んだのはアキヒロの同僚であり、アキヒロを
追いつめた張本人でもあった松永だった。
自分が気づいていることを悟られたら
己の身の危険になると怯えたミチルは
気づかない振りをしようと決めて普通に
過ごそうとする。
そうして二人の奇妙な生活が始まった。

ミチルとアキヒロの交互の視点から進められる物語に
次はどうなるのか、と、一気読みです。
適度な緊張感と二人の心をしめる他人との距離の取り方への
悩みにどんどんと引き込まれ、事件の結末を追うよりも
二人の関係の行き着く先に気を奪われている矢先に
唐突に明かされる事実。
んー、やられた。

ご都合主義的な結果論なんてどうでもよくなるくらい
読み終わった後、とても心地よい作品。
突拍子もない設定なのに繋げ方のうまさに長編ながら
いい意味でまとまっていて「面白い!」と素直に読めます。
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