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カテゴリ: :加納朋子( 11 )
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2008年 02月 08日 |
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もしもあの時、別の選択をしていれば、
全く違う人生を歩んでいたのだろうか…。
平凡な会社員・元城一樹のふとした夢想が
すべての始まりだった。
一人娘の和子の前に姿をあらわした不思議な少女沙羅。
その名前が甦らせる、消し去ったはずの過去。
やがて、今ある世界と、あり得たはずの世界とが交錯しはじめて—。
表題作を含む、全10編を収録。珠玉のミステリ短編集。
(「BOOK」データベースより)

この短編集を読む時は心が静かなときのほうがいい。
せつなくてやさしくて、不思議な話ばかり。
加納作品にありがちな日常ミステリというよりは非日常な
幽霊がテーマ。
ミステリというよりはファンタジー色のが強いので
これはこれで好みの別れるところですが。
個人的には、あたしはこの作者のキャラ作りが好きなので
連作モノ、シリーズモノのが「好き」と言いやすいのですが。

にしてもこの「やさしさ」はなんなんでしょう。
彼女の手にかかれば日常の悪意、一瞬にして泥沼になりそうな
ドラマ的な話もすべて優しさにくるまれてしまう。この世に
悪い人なんていない、みたいな。

ゆっくりゆっくり味わうように一作一作丁寧に読みたい本。
そこに隠された大切なものをかみしめるように。
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2007年 10月 13日 |
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堀井千波は周囲の騒音に嫌気がさし、引っ越しの準備を始めた。
その最中に見つけた一冊の本、『いちばん初めにあった海』。
読んだ覚えのない本のページをめくると
その間から未開封の手紙が…。差出人は“YUKI”。
だが、千波にはこの人物に全く心当たりがない。
しかも、開封すると、「私も人を殺したことがあるから」という
謎めいた内容が書かれていた。“YUKI”とは誰なのか?
なぜ、ふと目を惹いたこの本に手紙がはさまれていたのか?
千波の過去の記憶を辿る旅が始まった—。
心に傷を負った二人の女性の絆と再生を描く感動のミステリー。
(「BOOK」データベースより)

表題作「いちばん初めにあった海」と「化石の樹」
中編2作です。
これは絶対にネタバレしないほうがいいですね。
でも正直、あたしは「いちばん初めにあった海」読みづらかったなぁ。
んー?ばかりで。
こぅ最後、確かにするするっと色々なものが解けて
繋がって行くのだけれど、その繋がった最後も
んー?な感じで、こぅいまいち消化不良というか。

わー、という繋がった感が薄いというか
妙に精神的な部分に頼り過ぎな感がないともいえず。
まぁ情緒不安定な女性が主人公なだけに
仕方のないことなのですが。。。
こぅイマイチすべてがすっきりしないという。。。
確かに「ゆき」が誰なのか、わかっていくにつれ
じんわり、心にしみるのですが。
ラストのシーンも、女同士の深い友情っていいよなぁと
そのまますとん、と胸にくる。
でも。。。。とちょっとモヤモヤ。

そんな気持ちを引きずったまま次、「化石の樹」。
うわーーー、とすべてが気持ちよく読了。
一冊の古いノートを見つつ話しかける語り手。
それは、読み手にむかって語りかけるように
始まるのですが、おっと、その話しかけていた相手とは?と
その不思議な感覚をぜひ味わって欲しい。

間違っても「化石の樹」から読まないでくださいね。
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2007年 05月 07日 |
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高校ソフトボール部仲間の通夜で再会した
七人の女性たち。二十五歳を迎え
それぞれが悩みやトラブルを抱えていた。
過酷な仕事に疲れた看護師、厄介な職場で
奮闘する栄養士、過去のあやまちを引きずる主婦…。
彼女たちは、傷つき、迷いながら自分だけの
答えを見つけていく—。ミステリのエッセンスを
加えながら前向きに生きようとする女性の姿を描いた
爽やかな青春群像劇。
(「BOOK」データベースより)

月曜日の水玉模様」の姉妹作にあたるのですが
話はまったく違う進み方をしているので
こちらだけを読んでも話は十分に通じます。
まぁ「水玉」を読んでからの方が楽しめるかな?

「水玉」のラストのちらっと出て来たソフトボールの試合。
そこで陶子が高校時代、弱小チームを引っ張っていたことが
語られるのですが、そのチームメイト7人の7年後を描いた
短編集。


「サマー・オレンジ・ピール」
では専業主婦の美久が
死んだチーズこと知寿子と同じ髪型だった訳を語ると同時に
いつも微笑みかける男子高校生の真意にいきつき
「スカーレット・ルージュ」では’キツイ女’陽子が編集者として
会った作家とチーズの死を「跳び箱のロイター板」に空想を広げる。
「ひよこ色の天使」の中では保母となった佳寿美が
行方不明になった園児の母に対し、もしかしたら?な推理を広げ
「緑の森の夜鳴き鳥」で看護婦になった緑は
’甘え’をぶつける大学生の患者に翻弄されながら
自分を振り返る。
「紫の雲路」は姉の結婚式に参列したプー太郎なりえが
2次会で出会った正体不明を男性が何の為に、どうして
そこに現れたのかを探りだし
「雨上がりの藍の色」で、管理栄養士として働く由美子は
初めての出向先が、一癖も二癖もあるトコロ、その中で
少しずつ’改革’を計る。

そして最終話「青い空と小鳥」
陶子は里穂の母親から連絡を受け、元メンバーに連絡を取りながら
チーズの死と失踪した里穂の謎を追って行く。

日常に潜む小さな謎を解き明かしながら
最終的には元メンバーの二人の謎に辿り着く。
この作りはとても巧く、どんどん先を読みたくなるけれど
短編でそれぞれ、きっちり仕上がってるので
そこでひと呼吸置いてそれぞれを味わいたくなります。

みんな特別いい人ということではなく優しいけれど残酷な面も
持ち合わせ、自分と周りとの折り合いを探りながら生きている、そんな
一面をしっかりと描き、よくも悪くも毒を持ち合わせてる。
それでも最終的には優しく包み込むような加納作品ならではの一作。
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2007年 05月 03日 |
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いつもと同じ時間に来る電車、その同じ車両、
同じつり革につかまり、一週間が始まるはずだった—。
丸の内に勤めるOL・片桐陶子は、通勤電車の中で
リサーチ会社調査員・萩広海と知り合う。
やがて2人は、身近に起こる不思議な事件を
解明する〈名探偵と助手〉というもう一つの顔を持つように…。
謎解きを通して、ほろ苦くも愛しい
「普通」の毎日の輝きを描く連作短篇ミステリー。
(「BOOK」データベースより)

気付けば加納作品、結構読んでますね。
加納作品としては王道って感じの
読みやすい日常ミステリー。
日常の中のほんのちょっとの謎。もしかしたら
気付かないかもしれない些細な「いつもと違うこと」
そしてたいていの人はそれを、気付いても
そのまま流してしまう、流さざるを得なくてまた
日常に戻って行く、そんな出来事。
かと言って退屈さはなく、こぎみよい話の展開に
ついついひきこまれていく通勤時間にぴったりな
連作短編集。

ラストの話にこれまでの登場人物勢揃いみたいな
まるでドラマの最終回みたいな大団円、あたしは
そーいうほのぼの空気、結構好きだなぁ〜。

「月曜日の水玉模様」
上司が、社長の隠し金庫にお金を返す、という企み
その金庫を開ける番号は?金庫に書かれた文字は
「触るな、危険、爆発するぞ」

「火曜日の頭痛発熱」
診療所で出された陶子、萩、そしてもぅ一人の薬が
取り間違えられ。取り替えに行くとそこに現れた
笠間と名乗る男性のYシャツのイニシャルはJ.Sだった。
裏をさぐるとそこにはインサイダー取引が?

「水曜日の探偵志願」
電車の中で気になった人を「尾行」したことがあると
話す萩。夢うつつで聞いた「車の事故」の音、「大丈夫」と
言う声。その声の持ち主が事故現場から逃げたわけは?

「木曜日の迷子志願」
陶子が仕事を教えてもらった先輩、和歌子と久々にランチ。
はしゃぐ彼女と別れて社に戻れば、後輩が「迷子につかまって
離れられない」。陶子と母の関係も語られ、和歌子に
「大切なものは絶対に手を離しちゃダメ」と伝える。

「金曜日の目撃証人」
OLとして働いていれば取引会社の女性社員に
かちんとくることも。時間にルーズだと思ったそのわけは
存在していた。盗まれた部内会費、怪しい「植木屋」
なのに目撃者はたくさんいてアリバイ成立。

「土曜日の嫁菜寿司」
急遽決まった大阪出張の新幹線の中、
告白兼ねてケーキをプレゼントした女の子に今度は
デコレーションケーキで告白することを勧めた理由を
陶子はその中年女性に、自分の思いを重ねて話す。

「日曜日の雨天決行」
消える魔球の如く消えた大型トラックの謎と
雨でも絶対にやると決まった接待ソフトボール。
一度は合併も噂された相手先、持ちこたえたその裏には?


本当に、日常には色んなミステリーが潜んでる。
でもね、毎日会うからと言って、あたしは見ず知らずの
他人の持っているスーツの種類が3着、ネクタイが5本なんて
チェックを入れられるほど注意深くない(苦笑)
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2007年 02月 26日 |
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 「あたし殺されたの。もっと生きていたかったのに」
通り魔に襲われた十七歳の女子高生安藤麻衣子。
美しく、聡明で、幸せそうに見えた彼女の内面に
隠されていた心の闇から紡ぎ出される六つの物語。
少女たちの危ういまでに繊細な心のふるえを
温かな視線で描く、感動の連作ミステリ。
日本推理作家協会賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)

これも連作短編集というのでしょうか。
むしろ、伊坂の「終末のフール」並に
あのときちらっと出てきたあの子が次は主人公的に
話が繋がっていくのでそこがまた読んでいて
おもしろいところ。
冒頭でいきなり殺された女子高生
その女子高生の、放火をしていた卒業生の
ガラスのようにも脆い心を持つこどもたちの
よき理解者であったはずの養護教諭
神野の心もまたガラス細工であったこと
ミステリとしても女性をテーマ賭した小説としても
十分に楽しめました。

「人殺し」と相手に向かって叫んだ瞬間
その事故は、加害者は、人殺しのレッテルが貼られ
呪いの言葉は呪いをかけた者とかけられた者
二人の人間を同時に縛り付ける恐さ。
美しい女子高生は、誰からも、幸せであるべきだと
他人からレッテルを貼られる束縛感。
どの角度から見ても読み応えはあるのですが
加納節ゆえの優しいオブラートに包まれ
少しもの足りない大団円なドラマと読まれないことを。
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2006年 11月 20日 |
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 大企業のサラリーマンから憧れの私立探偵へ
転身を果たした筈だったが—事務所で暇を
持て余していた仁木順平の前に
現れた美少女・安梨沙。
…亡夫が自宅に隠した貸金庫の鍵を捜す主婦、
自分が浮気をしていないという調査を頼む妻。
人々の心模様を「不思議の国のアリス」の
キャラクターに託して描く七つの物語。
(「BOOK」データベースより)

大きな事件はないものの日常生活の不思議を
描いた心温まる連作短編ミステリーってとこでしょうか。
加納朋子らしさ満開。あたしはかなり
こぅいったほのぼのミステリも好きです。
読みやすいし確実に心に残る話ばかり。

螺旋階段のアリス
 亡くなった主人が隠した銀行の貸金庫の鍵を
見つけて欲しい、と初依頼。離婚と結婚を同じ相手と
繰り返した夫婦。亡くなった時は離婚中だったという妻。
金庫にはきっと自分の為に残してくれたものがあるはずと。。。
トランプの女王様、ハートのクイーンの依頼。

裏窓のアリス
 浮気調査ならぬ、浮気してない調査を依頼してきた
向かいのビルに住む社長夫人。
嫉妬深い夫が浮気調査を頼みに来る前に
浮気していないことを証明してくれと。
ところがそれは妻にしてみれば些細な、ダンナにしてみれば
とても大きな「事件」のアリバイ証明だった。
自分たちにミスを隠そうと白い薔薇に赤いペンキを
塗る庭師たちのように。

中庭のアリス
 髪を薄紫色に染めた老婦人に密かにマダム・バイオレット
と命名した仁木。婦人からの依頼は行方不明の犬、サクラを
探して欲しいというもの。ところがマダム・バイオレットの姪によると
「そんな犬、もともといない」と。。。
薄っぺらに感じてしまう白の女王ならぬすみれ色の女王の
見てきたたものは?

地下室のアリス
 仁木が、30年近い年月勤めてきた会社の
地下3階。今回の依頼人は地下室の番人。
鍵のかかった誰もいない書庫で鳴る電話を
調べてくれというもの。誰が何のために書庫へ
電話を掛けてくるのか?
そこからあらわれたのは臆病な哀れなトカゲのビル。

最上階のアリス
 大学時代の先輩・真栄田さんからの依頼。
最近、真栄田さんは奥さんから小さなお使いを
頼まれるらしい。有名なお店のモンブランを
買ってきてとか、知り合いの個展に出て来てなど
他愛のないものだけれど腑に落ちない。果たして妻の
意図したものは?
おかしな発明ばかりしている、馬から落ちてばかりの
白の騎士と現代のドンキホーテの風車の関係とは。

子供部屋のアリス
 赤ん坊を預かってもらいたい。今度の依頼は
産婦人科の先生。ベビーシッターには頼めない、
ぜひとも約束の守れる探偵に、との依頼だが
おかしな点が多い。依頼そのものにも赤ん坊そのもの。
それはまるでトイードルディとトイードルダム。

アリスのいない部屋
 安梨沙がいなくなった。月曜の朝、本人から
「しばらくの間休みをもらいたい」という電話があった。
そして水曜日。安梨沙の父親から電話があり
娘を出せと言われる。安梨沙を誘拐したという
電話があったと。安梨沙はどこへ行ってしまったのか?

赤の王様はいびきをかいて寝ている。アリスのいる
鏡の国の夢を見ている。目が覚めたときすべてが
なくなってしまう。仁木と安梨沙が解決してきた
謎は赤の王様が目を覚ましたらなくなってしまうのか?

最後までほっとやすらぐそんな1冊です。
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2006年 11月 20日 |
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 サラリーマンから探偵に転身した仁木順平と
助手の美少女・安梨沙(ありさ)が営む
小さな探偵事務所には今日も奇妙な事件が
持ちこまれる。育児サークルに続く嫌がらせ。
猫好き掲示板サイトに相次ぐ、飼猫が殺されたとの
書き込み。仁木の息子の恋人につきまとうストーカー。
6つの事件の後で、安梨沙が心に決めた決意とは?

正直言って、前作よりもずっと読み応えあります。
ミステリとしても裏をかいたトリックたっぷり。
人間ドラマとしても重みを増し
前作が紹介だとしたら本作はその人物達が
その後どう歩んでいくかまでも描ききれています。

虹の家のアリス
一人っ子の親の集まり「いちご(一児)の会」を経て
「にじ(二児)の会」のお世話係を一手に引き受けている
ミセス・ハート。彼女の悩みは育児サークルへの嫌がらせ。

牢の家のアリス
前にベビーシッターの依頼をしてきた産婦人科医。
次の以来はなんと密室から誘拐された新生児を
探し出して欲しいということだった。若い夫婦に
あって話を聞く仁木。

猫の家のアリス
ABC順の名前順に猫が殺されている。猫好きが集まる
サイトの掲示板に不穏なカキコミ。まさか次はうちの猫が?
不安に駆り立てられる飼い主が相談した相手は。。。

幻の家のアリス
安梨沙が自分の服の衣替えをしたいと実家に戻ると
いうので荷物を運ぶのを手伝う仁木。
そこであったお手伝いから依頼を受ける。安梨沙が
すっかり変わってしまった、と。自分に非があるのか
嫌われてしまったのか?と。

鏡の家のアリス
仁木の長男、周平からの依頼は結婚を考えている
女性が前に少しだけつきあった女性が
ストーカーと化し、「彼女」に嫌がらせをしている
ぜひその「彼女」のガードをし、「彼女」を
説得して欲しい、と。
息子のために、と動き出した仁木だが。。。

夢の家のアリス
花泥棒には罪はない?そしてそれが例えコンテナごと
台車を使ってまで盗まれても、高価な鉢ごと
盗まれても?香りの高い花ばかり盗んでいくその理由は?

ずっと様子を見守っていきたい愛すべき登場人物達。
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2006年 10月 29日 |
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 恋をした相手は人形だった。作者は如月(きさらぎ)まゆら。
だが、人形はエキセントリックな天才作家自らの手で
破壊されてしまう。修復を進める僕の目の前に
人形に生き写しの女優・聖(ひじり)が現れた。
まゆらドールと女優が競演を果たすとき、僕らは?
日本推理作家協会賞受賞作家が新境地を開く
初めての長編ミステリー。(出版社 / 著者からの内容紹介)

加納朋子というと「ささらさや」のほんわか優しい世界の
イメージだったのですがこれはまた随分と新境地。
異色な倒錯した世界。
主人公も今までの加納朋子の描く主人公と違って
高飛車な美人なわけで。
でも根本的に文章が「加納朋子」なわけで
優しいわけですよ。なので「おどろおどろしい
倒錯した」世界を描ける他の作家を
知ってる人にはその部分に多少なりとも
違和感を感じるかも。

ストーリー的にはすっかり騙されましたが
その「ゲーム」やってるって設定じゃ
叙述トリックとしては(苦笑)
それでも結構、楽しめたな。
ただ加納朋子には加納朋子の世界をやっぱり求めたいです(笑)
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2006年 02月 02日 |
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 ほっとできる本っていいな〜♪って反動?

ミステリはすっかり好きなジャンルになりましたが
以前のあたしのようにミステリは苦手という人も
いるかもしれません。そんなミステリはちょっと。。。と
いう人にも十分に楽しんでもらえる1冊。
連続短編集になってるのでとても読みやすいし。
殺人なんて一切ない、雑学欲が刺激されるような
そんな謎解き。それをちょっとオシャレでキュートな
文体で綴られるこの本はもぅ「あたり」です。
オンナノコには特にね。

女性のバーテンダーが経営する「エッグ・スタンド」を
舞台に若いカップルがそれぞれに過去や
つい最近起こった出来事を語り合っていくのですが
その語る話の中にはちょっとしたトリックが隠されています。
日常に起こり得る「ちょっと不思議な出来事」
注意深く聞いていればその裏に隠された事実が見えてくる。
「つまらない偶然に、ちょっとした作為」
そのちょっとした作為を見抜くことができれば
日常はもっともっと深みを増していく。

「掌の中の小鳥」
油絵の絵の具を幾重にも重ねて出来上がった
素晴らしい作品がおぞましい作品に変わってしまったことや
おばあちゃんが孫のためにした囲碁の石を使った
ちょっとした「作為」

「桜月夜」
浮気をして家庭を顧みない父親に対して
考えられた子供の狂言誘拐の話から
推理される彼女の名前

「自転車泥棒」
付き合いだすようにはなったけれど
毎回、とんでもない時間、待たされる彼、圭介。
自転車を盗まれた彼女の遅刻の理由の裏には
とんでもないシンンデレラストーリーが隠され
また彼女の待つ間に目撃した傘泥棒の行動心理も
わかったりする。

「できない相談」
昔からの幼馴染みは、ちょっとした作為で
太陽を東に沈ませてみせるトリックを用いる

「エッグ・スタンド」
圭介の従兄の結婚する相手を視察しようと
大寄せ茶会に出席すれば、ちょっとした嘘に
現実味を持たせるための作為に遭遇する。

殺人なんかないミステリのネタバレなしの
あらすじほど難しいものはないね(苦笑)



昔、ある所に偉い賢者がいた。彼にはわからないことがない。
ある日、一人の子供が「彼に絶対に解けない問題を思いついた」
それは手の中に小鳥を1羽、隠し持ち賢者に尋ねる。
「手の中の小鳥は生きているか、死んでいるか」
死んでいると賢者が答えたら空高く鳥を放ち
生きていると答えたら手の中で握りつぶす
「賢者はなんて答えたの?」と彼女は圭介に尋ねる。
「彼はこう言ったんだ。『幼き者よ、答は汝の手の中にある』」
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2005年 10月 03日 |
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 「ささらさや」の続編です。
ちっぽけな田舎町「佐々良」駅に一人の女の子が
降り立ったのは平日の真っ昼間、春の嵐の日。
お金に関して極端にルーズで金銭感覚ゼロの両親の
飛んでもない借金の為、せっかく合格した
高偏差値の高校にも行けず、会ったこともない
遠い親戚と言われる人の家に行くはめになった照代。
何に対しても腹が立つ、イライラする
もともと愛想もかわいげもナイ照代を迎えたのは
のどかな佐々良の町とそこに住むマイペースな人たちと
不思議な体験だった。

「ささらさや」同様とても「優しい」本です。
高校生(であるはずだった)女の子が今回は主人公で
その子の目線で進むのでちょっとストーリーが
時には幼く、時にはお説教めいた感もありますが
それすらも包み込むような優しいお話。
彼女の心の成長の過程はとても痛々しく
設定そのものは、幼児虐待に繋がるハードさを
ベースにしながらそこにはしっかり救いがあります。

頼りなげで一人じゃ何も出来なかったさやもしっかり(?)
佐々良の町の一人として生活し、もちろんさやを囲む
三婆達もヤンママなエリカもみんな郵便屋さんすら再登場です。
「ささらさや」に比べてちょっと泣き度は落ちますが
涙腺うるうる状態。(前回は涙ぽろぽろもんだからね〜)
強さの中の優しさ、優しさの中の強さ
考えさせられることもしばしば。母と子、親子の繋がり。
ぜひ「ささらさや」を読んでから。
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