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カテゴリ: :北村薫( 14 )
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2008年 06月 06日 |
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12分の1のドールハウスで行われた小さな殺人。
そこに秘められたメッセージの意味とは!?
天国的美貌を持つミステリー界の人気作家「覆面作家」こと
新妻千秋さんが、若手編集者、岡部良介とともに
残された言葉の謎に挑む表題作をはじめ
名コンビが難事件を解き明かす全3篇を収録。
作家に探偵、おまけに大富豪のご令嬢と様々な魅力を持つお嬢様探偵、千秋さんの名推理が冴えわたる“覆面作家”シリーズ第3弾。

覆面作家シリーズ3作目にして最終巻。
やっぱり安心してよめる北村作品ですが
数ある北村作品の中でも、実はこの覆面作家シリーズ
いまいちあたしは、思い入れが薄い、というか
さほど登場人物達に感じるものはないのだけれど
最後となるとやはりそれは寂しいような。。。

連作短編集なのだからいつでもそのまま尻切れとんぼ的に
終わらせたってだれもなんの文句も言わないだろう設定なのに
ちゃんと「終わらせている」のはさすが。

今回は写っているはずのない人が写っているディズニーランドの写真の謎
そして、リョースケの目の前で起こった崖からの転落事故の真相。
ドールハウスの中の殺人事件、ダイイングメッセージにこめられた
本当にメッセージ。

その話も丁寧に作られていてますのでじっくり味わってください。
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2008年 05月 31日 |
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昭和40年代の初め。わたし一ノ瀬真理子は17歳、
千葉の海近くの女子高二年。
それは九月、大雨で運動会の後半が中止になった夕方
わたしは家の八畳間で一人、レコードをかけ目を閉じた。
目覚めたのは桜木真理子42歳。
夫と17歳の娘がいる高校の国語教師。
わたしは一体どうなってしまったのか。独りぼっちだ—でも、わたしは進む。
心が体を歩ませる。顔をあげ、『わたし』を生きていく。
(「BOOK」データベースより)

ええええ!なにこれ!もぅ大好き!なんていい本なんだろう!
今まで時間トリップもの色々読みましたが
だいたい「戻ってしまう」もの。これは逆。進んでしまう。
想像でも「○○歳に戻ったら。。。」は思っても
進んでしまったら。。。
それも高校2年生がいきなり42歳の主婦!
身体もたるみ「お腹のお肉をつまんでしまう」年齢。
恋愛も過ぎ結婚し、17歳の娘がいる。
妊娠した喜びも出産の経験も、小さな子供を育てる喜び楽しみも
すべて自分の記憶にはまったくないのに
いま、自分は42歳の女性としてそこに確かにいる。。。
これはすごいショッキング。

なのにこの主人公。
どうしてこんなにも。
前向きで美しくてまっすぐで透明で。
北村作品には本当に「教わる」ことが多い。
心のあり方。

昭和42年から現代へスリップ。それだけでSFチックな要素なのに
これはそんなSFとしては書かれていません。
この本の厚みに負けて(笑)ちょっと先延ばしにしてましたが
全然この厚さ感じさせないほど読みやすい。
主人公は42歳の女性として「高校の教師」となるわけですが
その学校生活部分もとても面白く読める。
まぁあたしが「北村薫」を好きなのだからその人が繰り広げる
「言葉の授業」が面白くない訳なく、本当にこんな先生の授業を
受けたい!と思った、ら。。。北村薫って作家になる前は教師だったんですね。
あぁ納得。先生の「行動」もとても詳しく書かれてたのは、だから、だったのね。

また周りの人物もみんな素敵。
自分のお母さんがおかしくなった!ともっと子供として
パニックになってもいいはずの娘がきちんと相手を個人の
一人の人間として接する、そして、現実ならもしかしたら
病院にでも行かせてしまうかもしれない「夫」も
ちゃんと相手を受け入れる、この設定がまず素晴らしい。
そして相手がそう接してくれるほど主人公真理子の考え方が、いい。
現実にはあり得ない設定、なのに、そんなことを考えてしまうほど
とてもよく丁寧にこの世界が描かれているのです。

真理子はこう言うのです。
「途中で何があったか知りませんけど、結局、彼女が選んで
ここまで来たわけですよね。だったら、今のわたしが
時間をもらってやりなおしても同じことになる筈です。
ならなかったら、おかしい」
自分が好きで自分を信じていなければとてもでない言葉。
これには胸を打たれました。

はっきり言って残酷な作品です。
絶対に泣くものか、泣いたら認めてしまうことになる、と
泣かなかった真理子が泣くシーン、
両親のことを思うシーンには涙が止まらなかった。
思い出しても涙。

あたしの年齢は42歳の真理子に近いけれど
10代の人が読んだらまたそれはそれでとても感じるものがある本だと思います。
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2008年 05月 02日 |
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絵に描いたような幼なじみの真理子と利恵を
苛酷な運命が待ち受けていた。ひとりが召され
ひとりは抜け殻と化したように憔悴の度を加えていく。
文化祭準備中の事故と処理された女子高生の
墜落死—親友を喪った傷心の利恵を案じ
ふたりの先輩である『私』は事件の核心に迫ろうとするが
疑心暗鬼を生ずるばかり。考えあぐねて円紫さんに打ち明けた日
利恵がいなくなった…。
(「BOOK」データベースより)

大好きな円紫師匠と「私」シリーズの3作目。
シリーズ初の長編です。
「私」が遭遇する日常の謎を話から解いていく円紫師匠、が
このシリーズのパターン。
「私」の成長物語としても読めるこのシリーズ、「私」も
大学生活3年目を迎え、そろそろ卒論やその後のことを考えながら
仲のよい正ちゃんや江美ちゃんとじゃれながら
そして息をするように本を読みあさる日々
突如としてもたらされる、後輩の死。残されたもぅ一人の後輩。
よろしく頼む、と以前の担任から任されたからにはと
その事故の様子を追って行くと。。。

今回のテーマは「日常」とはちょっとかけはなれ、そしてその分
とても重いです。重くてせつなくて、胸の奥深くに響く。

円紫師匠の言う「許すことはでき なくても、救うことはできる。」
これはとても深い。
自分も親として生きているだけにこれは、きた。
そして「今生きているということが大事」
この言葉だけを取り出すと当たり前すぎてなんともない言葉だけれど
このストーリーを読んでからではずっとその深みが変わってくる。

読み終わった後も何度も何度も自分の中で
反芻して味わう、そんな小説です。
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2008年 04月 15日 |
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ペンネームは覆面作家—本名・新妻千秋。
天国的美貌でミステリー界にデビューした新人作家の正体は
大富豪の御令嬢。しかも彼女は現実に起こる事件の
謎までも鮮やかに解き明かす、もう一つの顔を持っていた!
春のお菓子、梅雨入り時のスナップ写真、
そして新年のシェークスピア…。
三つの季節の、三つの事件に挑む、お嬢様探偵の名推理。
人気絶頂の北村薫ワールド、「覆面作家」シリーズ、第二弾登場。
(「BOOK」データベースより)

北村作品はやっぱり読後感がいい。
今回は、殺人事件や幼児誘拐といった事件を絡ませながらも
柔らかな空気をそのままキープしているのは
やはりお嬢様である千秋、編集者のリョースケそして
新キャラ編集者の賑やかな静さんたちのキャラが
しっかり立っているから。
けれどちょっとキャラが増えた分、どこか雑多になった感も。
まぁ北村作品のシリーズの中ではこのシリーズが
少し好みからはずれてるせいか、と。
文庫にのみ挿絵が増えているらしいのですが
逆にちょっと気恥ずかしい(苦笑)
解説が北村氏担当だった編集者の方が書かれているのですが
これがなかなか。泣けました、ってここでかよっ(苦笑)

「覆面作家のお茶の会」
南青山にある人気洋菓子店の店長が、息子の嫁が
作ったケーキを食べて「修行しなおしてくる」といきなり出家し
それ以来、姿を表に現さなくなった謎。
「覆面作家と溶ける男」
少女誘拐殺人事件が下町で続いている中、静の甥が
手袋をした不審な男に手紙の投函を頼まれる。
雨の日に現れるその男の目的は。。。
「覆面作家の愛の歌」
舞台女優が殺された。しかし最も怪しい劇作家には
しっかりアリバイが。時間と電話のトリックは?
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2008年 04月 09日 |
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呼吸するように本を読む主人公の「私」を取り巻く
女性たち—ふたりの友人、姉—を核に、ふと顔を覗かせた
不可思議な事どもの内面にたゆたう論理性をすくいとって
見せてくれる錦繍の三編。
色あざやかに紡ぎ出された人間模様に綾なす巧妙な伏線が
読後の爽快感を誘う。
第四十四回日本推理作家協会賞を受賞し
覆面作家だった著者が素顔を公開するきっかけとなった第二作品集。
(「BOOK」データベースより)

女子大生の〈私〉と噺家の春桜亭円紫師匠が活躍する
「空飛ぶ馬」に続く円紫師匠と「私」のシリーズの2作。
あいからずいいなぁ、この世界。
なんて優しさに満ちあふれているんだろう。
もちろん、この3話の短編集には「悪意」も潜んでいる。
その悪意に気づくこと、それを恐いと思う心。
やるせない気持ち。けれど、それを解く円紫師匠の
器の広さが、ほら、世の中ってこんなこともあるんだよ、と
まるで教えてくれているような
そんな、え?という日常の謎解き。

今回の3話では、「私」の姉が出てきます。
初めのうち、あぁ、お姉さんがいるのね、と漂わせ
3話である表題作で「私」と「姉」について語られます。
この流れも見事。
そしてまた一話ずつ「私」が様々な物事の中から
感じ入り、内側で消化していくことで見えてくる心の成長ぶりが
また清々しい。

大学の友達「正ちゃん」がバイトをしている本屋で
度重なり起こる「いたずら」の先に用意されていたこと「朧夜の底」
同じく大学の友達「江美ちゃん」に誘われて行った軽井沢の別荘。
チェスの駒「クイーン」と「卵」と「鏡」の”三題噺”「六月の花嫁」
確かに投函した相手に届かず、投函していない相手に届いた郵便物。
姉と私の間に続いていたほんの僅かなカサカサを溶いていく「夜の蝉」
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2008年 04月 02日 |
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見合い話に苛立ち、後輩の若さがふと眩しい美也子の
淡々とした日々に鳴り響く謎の電話。
そして一年が過ぎて…「恋愛小説」。
同僚に連れていかれた店で飲んだ水割りの不思議な味。
ある切ない夜、わたしはその水の秘密を知る…「水に眠る」。
人の数だけ、愛がある—様々な愛の形を描く短篇集。
(「BOOK」データベースより)

相変らずこの人の文体は美しい。
でもちょっと今までの北村作品とはちょっと匂いの
違う空気も味わえる浮遊感あるせつない短編集。

短編集、として、素晴らしい。
そしてその短編ごとに、解説者をかえた解説。
これは贅沢。

恋愛小説:とても不思議な「体験」を描いた話。
 いたずら電話?と思うような無言電話。ある時、自分は
 その無言電話先に勝手に指が動きかけていたとしたら?
 そしてその無言電話が1年続き、それが生活の一部となり
 そしてある日。。。とても美しく、そして透明感あるファンタジー。

水に眠る:同僚に案内されたバーで出された、水割り。
 マスターが選んだ人にだけ出されるその水の味。
 主人公は、マスターからその水の秘密を聞く。
 実際に誰にでも、それはできなくてもその感触は
 想像の中で体感できる不思議な質感をもった話。

植物採集:才気煥発と呼ばれる主人公の京子。
 見つめる先は小太り丸顔、天真爛漫、人を不快にさせない
 そんな後輩男性、独身30歳近く。
 読後、あぁなんとなくわかるなぁ、この不毛さ、と感じてしまう。
 せつないなぁ〜。

くらげ:星新一風味なSFだけれど、ほんとコワイ世界。
 不気味なそれでいてどこかユーモラスでありまたそれが
 一段と寂しさを漂わす空気感。ぜひ読んで想像してみてください。

かとりせんこうはなび:これまたSFチックなお話。
 なんだろう、この不思議な感覚。夫婦の会話の妙な心地よさ。
 まずこの発想からして不思議などこかひっかかる作品。

矢が三つ:これもある意味近未来的な話。ママ一人に対し
 パパが二人が法律で認められた世界。ちょっとくすっと
 笑ってしまうけれどそのあとかなり考えてしまったり。
 しかしこんな設定でもこの人の話はどうしてキレイなんだろう?(笑)

はるか:本屋の跡継ぎが駅前に新店舗を出したときアルバイトとして
 「立候補」してきた女子高生はるか。その無邪気さ天真爛漫さに
 翻弄される主人公の気持ちにすっと入り、つい微笑んでしまう。

弟:あぁ、この人はこんな饒舌な作品も書けるのね〜と。。。
 途中からまぁ設定は「わかり」ましたけれど、すごい読ませるなぁ、と。
 面白いとせつないとどちらが勝つかは年齢次第かな。

ものがたり:妻の妹が受験の為に上京し泊まりに来ていたのに
 最後の最後まで仕事を入れて顔を合わせなかった義兄に
 かたるものがたり。スリリングな行間。

かすかに痛い:あぁ、まさにタイトルどおり。かすかに痛い。
 日常の切り取り。
 結婚する気はない、かけがえのない相手でもない
 けれどその相手と時間を過ごす自分。感情の揺さぶりが
 ないからこそ揺さぶられる。


たぶん、読む時期、年齢ごとに読後感がとても変わりそう。
また数年後に読みたい本。
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2008年 03月 22日 |
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遠く、近く、求めあう二つの魂。想いはきっと、時を超える。
『スキップ』『ターン』に続く《時と人》シリーズ第三弾。
「——また、会えたね」。昭和二十年五月、神戸。
疎開を前に夢中で訪ねたわたしを、あの人は
黄金色の入り日のなかで、穏やかに見つめてこういいました。
六年半前、あの人が選んだ言葉で通った心。
以来、遠く近く求めあってきた魂。
だけど、その翌日こそ二人の苛酷な運命の始まりの日だった。
流れる二つの《時》は巡り合い、もつれ合って、
個の哀しみを超え、生命と生命を繋ぎ、奇跡を、呼ぶ。
(紹介より)

ええっとあらためて言いますと
「スキップ」「ターン」「リセット」の順に発表されたものです。
が、あたしは先に「ターン」を読了。
そして次にたまたま手に取ったのが「リセット」
意味はないです(笑)
どれから読んでも話はそれぞれ独立してるので問題もないです。

第一部は,第二次大戦中の話。
芦屋に住む水原真澄。その時代、生徒の家には
みな電話があり、入学の際は「ねえや」は何人いるかまで
聞かれるようなお嬢様学校に通う真澄が
戦争が深刻化する中、生活の変貌ぶり。
一般に語られる戦争体験記とはちょっと違って
「本当に戦時中でもこぅいう人たちが存在したんだ」と
思わせるほど、細かく描かれています。
そして友達のいとこである修一への初恋。

第二部は,昭和30年頃の男子小学生、村上和彦の話。
子供達にテープに録音し、語って聞かせる形で
子供時代の話を、当時の日記をベースに進められます。
そして、その中で語られるのが、年上の女性への淡い恋。

第三部では真澄のその後と村上少年のその後が語られ。。。

初めは、その文体に戸惑われるかもしれません。
あまりにもお嬢様な世界とそのまっすぐさに。
けれどすぐにその言葉の美しさに浸れるはず。
嫌みがなく純粋で可愛らしい。
北村節全開といったところでしょうか。
この人に「少女」として語らせたら右に出るものは
ないのでは。
もぅ、きゅん、ですよ。

ストーリーはよくある設定と言えばそれまでだけれど
けれど
「お前達のお母さんだ」では、ぞわわわ〜っときましたよ!
鳥肌。そのあとじわっと。

1962年(昭和37年)の実際にあった事故も
ベースにしているのでその時代を知っている人には
また違った意味で興味深く読めるかも、って
うちの母くらいの年代?(苦笑)
なんの事故かもネタばれになりそうなのでやめときます。

「リセット」という言葉からちょっと違う時間の
いたずらを想像していたけれど。。。
心がきゅっとくる恋愛小説。
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2008年 03月 08日 |
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姓は「覆面」、名は「作家」—本名・新妻千秋。
天国的な美貌を持つ弱冠19歳の新人が
ミステリ界にデビューした。しかも、その正体は
大富豪の御令嬢…ところが千秋さんには誰もが驚く
もう一つの顔があったのだ。
(「BOOK」データベースより)

北村薫の代表作シリーズとしての「覆面作家」シリーズ1冊目。
いかにも北村薫といった感じのやさしい文体
内容もほのぼのとしていて(でもめずらしく殺人があったりしますが
そーいう意味では殺人としてのリアリティはないです)
本格ってのはこーいうことを言うのねぇ、と。
事件の様子が伝えられ、読者も一緒に、ん?と考える
そして提示される謎解き。
ほほぅ〜たしかに言われてみれば、という質の高さ。
そこに、くすっと笑える要素が加わり
キャラたちの魅力が加わり。。。
んー、確かに二重人格という設定や双子の一人が刑事だったり
謎解きひとつひとつも出来過ぎっちゃ〜出来過ぎなのですが
それをこだわる必要がまったくないほど
読んでいて、ほのぼのできるミステリ。
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2008年 02月 22日 |
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勤め先の二階にある「名探偵・巫弓彦」の事務所。
わたし、姫宮あゆみが見かける巫は、ビア・ガーデンの
ボーイをしながら、コンビニエンス・ストアで働き、
新聞配達をしていた。名探偵といえども
事件がないときには働かなければ、食べていけないらしい。
そんな彼の記録者に志願したわたしだったが…。
真実が見えてしまう名探偵・巫弓彦と
記録者であるわたしが出逢う哀しい三つの事件。
内容(「BOOK」データベースより)

んー。円紫師匠と私シリーズの後に読んだせいか
こちらは「悪意」がある事件ばかりでちょっと違和感が。
殺人事件まであったりするし。
それも「殺人に至るまでがわかってしまう」ほど哀しい事件だし。
初めはコメディかと思ったんですよね。アルバイトする探偵なんて。
それもいい年した大人が。職業として「名探偵」。
痛い人?変な人?みたいに。
ところが、これが変な人なんかではなくて。
巫弓彦曰く、「名探偵はなるものではない、存在であり、意志である」
自分がその存在だと気づいてしまったから、名探偵であるという。。。
そしてその解決方法、「科学的知識は調べればよいだけ、問題は発想」
まさしく、と膝を打ちたくなるほどの名探偵ぶり。

にしてもなぁ。。。。やっぱ実際にいたら痛い人だと思うのですが、と
考えてしまうほどリアリティあるってことでしょうかね。

短編2話と中編1話。悪意が存在した上での事件だけに
とくにタイトル作の「冬のオペラ」は哀しいです。

んー、なんだろう、この窒息感。
決して読後感が悪いわけではないんですけどね。
主人公たちの禁欲的な空気とその周りの登場人物達の
俗物的な空気の温度差でしょうかね?
このとことん、やなヤツ〜って人たち(苦笑)きつすぎです。
北村作品って「優しい」と思っていたけれどこれは辛辣なほど
救いない人たちばかり。
って、そいえば他の作品でもそーいう人たち出てましたね。
「空飛ぶ馬」の「砂糖戦争」に出てくる3人の魔女だったり
「ターン」に出てくるもぅ一人のくるりんしちゃう人物だったり。。。
まぁだからこそ主人公たちの清さが際立つのかも。
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2008年 02月 20日 |
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出版社/著者からの内容紹介
「私たちの日常にひそむささいだけれど不可思議な謎のなかに
貴重な人生の輝きや生きてゆくことの哀しみが
隠されていることを教えてくれる」と宮部みゆきが絶賛する通り
これは本格推理の面白さと小説の醍醐味とがきわめて
幸福な結婚をして生まれ出た作品である。

女子大生と円紫師匠の名コンビここに始まる。
爽快な論理展開の妙と心暖まる物語。
(「BOOK」データベースより)

実はこの本、前に友達に借りて、その設定、女子大生と
噺家の師匠というコンビが何故かそのときは性に合わず
読めずに返却。。。。
しなければよかったぁ!ほんとに、こんな面白い本なんで
もっと早く読まなかったのか!と思うくらい楽しめました。
あぁ、もったいないことを。
基本的にあたしは、読み始めた本は最後まで読まないと
「負けた」(何に?!(笑))気がして、途中でつまらないと
思っても意地でも読み切ってやる〜というタイプなのですが
(人によっては、時間の無駄はいやだから途中でいやだと思ったら
やめる、という人もいますが)
この本は読み始めて数頁で「負けた」
それがくやしくて実はずーっと心の中でいつか読んでやる!と
思ってたのですが。。。。なんでそんな気負っちゃったのか
わからないくらい今回はするすると読めて。。。
たぶん、「きちんとした」若い女の子が理屈ばっかり
こねてるような勝手なイメージをもったのかも。。。
アタマよすぎるような、うざって感じの育ちのよろしい女子大生。
いや、でも理屈ばっかりではないのですが、確かに
言葉がよく出るアタマの回転のよい育ちのいい女の子、
そして同じように出来すぎた美しい所作が似合う中年男性。
うーん。なんでそのときダメだったんだろう?
こんなに読んでいて心地よいのに。
(もしかして表紙のかわいさかなぁ)

どの話も、日常ミステリー系。そして、それにきちんと気がつく
目と話をきちんと整理して話すことができる知性
そしてそれを聞く上で、すべてお見通し、と言った感じの
「千里眼」を持った円紫師匠、二人の会話に流れる空気が
とても素敵です。
つか、これがデビュー作ってやっぱすごいなぁ。

随所に散りばめた落語も、知らない人(あたしを含めて)にも
わかりやすく登場しているのでこれまた楽しめるはず。
むしろ、それを実際に聞いてみたいと思わせるほど
効果的な使い方がされていてオススメです。
(若い頃、落語は好きで寄席も行ってたのですが噺を
ちゃんと覚えてない。。。笑って終わっただけでもったいないことを。。。)

以下、簡単なあらすじ。
「織部の霊」
噺家円紫師匠とのつながりを作ってくれた教授が
まだ織部の存在もしらない小さい頃に切腹する織部の夢を見た謎。
「砂糖合戦」
初めて入った紅茶専門の喫茶店。怪しげな行動をする3人の女の子たち。
その動きを口頭で説明するだけで円紫師匠の千里眼が。
「胡桃の中の鳥」
円紫師匠に誘われた蔵王での独演会。友達と3人で山形へ
旅行に出る主人公。そこで出会った小さな少女が置き去りにされた場所は。。。
「赤頭巾」
小さな頃から密かに憧れていたピアノの上手な女性は
絵本作家になっていた。彼女と話し好きの主婦の口から
聞かされた噂との繋がりは「赤ずきん」だった。
「空飛ぶ馬」
あったはずのコンクリートで固められた動かない木馬が
ある夜、一日だけ姿を消したわけ。クリスマスに円紫師匠が解いてくれた
「人間というのも捨てたもんじゃない」話。

それにしても細部にわたる主人公の心理描写といい行動パターン
思考回路、すべて男性が書いたものとは到底思えないなぁ。
ベッキーさん読んだ時も思ったけれどほんとすごい。
続きもぜひ読もうと思います。すっかり北村作品にやられてます。
。。。あぁ、もったいないことした!!!
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