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カテゴリ: :北森 鴻( 5 )
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2010年 12月 12日 |


脳死臨調でリーダー的存在であった帝都大学医学部教授の吉井が刺殺された!かつて吉井の部下だった医療ライターの相馬は、やはり研究室を去った元同僚を追う。その男、九条は、新宿のホームレス街にいた。不思議な能力を持つ少女、トウトとともに…。九条と殺人事件との関係は?また、彼が行った禁断の実験とは?深い余韻を残す医療ミステリーの傑作。(「BOOK」データベースより)


はっきり言って本を読み慣れている人でないと
読みにくいと思います。

誰に向けて誰が書いたかわからない手紙から
始まるこのお話。
とても複雑に色々な「立場」「事情」が絡み合い
だからこそ殺人事件の動機も後々明確になるわけですが
絡みすぎてちょっと作り込み過ぎ感が。

単なる医療ミステリーとしてだけでは終わらせず
そこに不思議まで加えちゃってるからなおさら。
なかなか読者に答えをみせない、みえないように
丁寧に作られすぎてじっとひたすら読者側は
差し出されるものを黙って飲み込んでいくしかない
と、いった感じ。
ヒント的なものだったり、後々の伏線とは
思えないほどの展開。

教授が何ものかに殺害されたが重要だったのが
その教授が脳死判定における臓器移植に対しての
権威ある人物だったこと。
脳死や臓器移植というテーマは多いし
結果的には、そか、そういうことか、ととても
シンプルな話なんだけどね、それをなかなか見せませんよ。
そこまでじっくりこの小説の世界に
入っていけるか、読み込んでいられるか
そこかな。

「短編の名手」が「長編」を作り込むとこんなにも
何重にも二転三転読者を翻弄することができるというお手本(笑)

あたしはやっぱりこの作家には「香菜里屋」シリーズの
日常ミステリーを期待してしまうなぁ。
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2008年 10月 10日 |
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「この街で、オレを待ってくれる人はもう誰もいない」戦場カメラマンを目指すため、恋人・奈津実と別れた螢坂。16年ぶりに戻ってきた有坂祐二は、その近くのビアバー「香菜里屋」に立ち寄ったことで、奈津実の秘められた思いを知ることになる(表題作)。
マスター・工藤が、客にまつわる謎を解き明かす第3弾。
(「BOOK」データベースより)

「花の下にて春死なむ 」「桜宵」 に続く3作目。
大好きーっ。
極上に美味しい料理と、心からくつろげる雰囲気。
 東京は東急田園都市線の三軒茶屋駅にあるという「香菜里屋」
オーナーの工藤が作る天才的な創作料理と4種の度数の違うビール。
そしてこの工藤が、安楽椅子探偵よろしく
客たちが日頃のふとした小さな謎を解いてくれる連作短編集。

戦場カメラマンの昔の恋人とのエピソードの裏に隠された「蛍坂」
昔の小説をなぞられた’詐欺’話と思いきや、な粋な話「猫に恩返し」
最開発計画に首を縦に振らなかった画材屋の娘を待つ「雪待人(ゆきまちびと)」
「双貌」と題された作中作にこちらも不思議な世界に引込まれる「双貌(そうぼう)」
幻の焼酎、孤拳を探すことに隠された本当の意味「孤拳(こけん)」

どの話にも本当に美味しそうな料理が出て来るのですが
調理師免許も持っていて、学生時代に居酒屋でアルバイトも
していたという作者ならでは。
つか、本当にお腹が空く一冊ですので夜中に読むのは気をつけましょうね。
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2008年 09月 10日 |
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人の不幸のみを予言する謎の占い書「フォーチュンブック」。
偶然入手した七人の男女は、運命の黒い糸に絡めとられたかのように
それぞれの犯罪に手を染める。錯綜する物語は、やがて驚愕の最終話へ。
連作ミステリーの到達点を示す傑作長篇。
(「BOOK」データベースより)

「花の下にて春死なむ」「桜宵」
「香菜里屋」シリーズが面白いので安心して手に取ってみました。
まず設定が面白い。本屋が自主回収するような
不幸のみを予言する本を手にした人たちの
連作短編集?と思ったらちょっと違う。
連作短編と呼ぶには、深く、まるで因縁かのように
絡み合う関係。
プロローグで松本にある書店員が目にした
本を買い求める人たち、名前がそこで一人一人
店員の目を通してあがっていくわけですが
ついつい、見返してその名前を確認してしまう。

帝銀事件、大学闘争、ホテルニュージャパン火災事故、
横須賀線爆破事件、500円硬貨偽造事件、そしてグリコ・森永事件
昭和を象徴する大きな事件を絡ませていくのですが
途中で人物名同様、え?この人がここに?!と
何度も見返して確認したくなるほど。
あー、この本の流れに添った年表を作りたい!!!と
思ってしまった(笑)

と思ったらこちらのサイトさんが人間関係と時制をまとめてくれています。
ご参考までに。

にしてもよくここまで作り上げたなぁ、と。
そ−いう妙に感心しちゃう本。
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2007年 03月 30日 |
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 一度たずねてみてください。わたしがあなたに
贈る最後のプレゼントを用意しておきました—。
そう綴られた亡き妻の手紙だけを頼りに
ビアバー“香菜里屋”にやってきた神崎。
マスター・工藤が語った、妻がプレゼントに
込めた意味とは…。
客から持ちかけられた謎の数々を解明かす連作短編集の第2弾。
(「BOOK」データベースより)

前作、「花の下にて春死なむ」がよかったので
安心して読めたビアバー香菜里屋の店主工藤の
探偵椅子形式ミステリー。
文体にクセがなく読みやすい。ふっと人の心の
触れてはいけない奥深くまで感じる連作短編集。
またまた前作同様、工藤の作り出す料理に
酔いしれました。
さらっと読めるミステリー、お酒片手に楽しみたい。
今回登場した工藤の昔からの付き合いを匂わせる
バーマン香月がいいキャラをしていて今後に期待。
かなり好きなシリーズです。あぁこんな店の常連に
なりたいっ。三軒茶屋に本当に存在して欲しいくらい(笑)
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2006年 11月 30日 |
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 年老いた俳人・片岡草魚が、自分の部屋でひっそりと
死んだ。その窓辺に咲いた季節はずれの桜が
さらなる事件の真相を語る表題作をはじめ
気の利いたビアバー「香菜里屋」のマスター・工藤が
謎と人生の悲哀を解き明かす全六編の連作ミステリー。
第52回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門受賞作。
(「BOOK」データベースより)

事件現場へ赴くことなく事件を解決へと
人から聞く話の内容から導く「安楽椅子探偵」もの。
なので、先に言ってしまうと
はっきりすっきりした「解決」を求める人には
向きません。なんたって「きっとこぅだろう」的な
話ですからね。
あたしはかなりこの「アタマのよさ」「観察眼の
鋭さ」にもぅへへーーーーーっとアタマの下がる思いで
ワクワクして読ませてもらいました。
そんな香菜里屋(かなりや)シリーズの第1作です。
色々な料理が出てくる野ですがこれがまた美味しそう!!
(次も楽しみ)

香菜里屋のマスター工藤はまるでヨークシャーテリアが
間違って人間になってしまったような人なつこい笑顔を
もった年齢不詳な男性。その柔らかい笑顔は
人の胸の中にある頑なな言葉すら引き出すかのよう。
そんな工藤の店は美味しい料理と常時度数の違う
4種類のビールを用意した小さなビアバー。
お客さん達が持ち込む日常に潜む謎を解き明かす。
そしてその裏に潜む人生の悲哀。

「花の下にて春死なむ」
年老いたの俳人の死。過去が一切わからず
無縁仏となってしまった彼を故郷へ帰してあげようと
同じ句会のメンバーだった七緒は山口へと向かう。
当時の流行病を封じるために、父のプライドを
守るために犯罪者となった彼の悲しくせつない過去。
自然死の死体からまったく関係のない殺人事件の
解決までもっていくのは見事。

「家族写真」
地下鉄に置かれた誰でも自由に貸しだしできる本棚の
本の中に挟み込まれた家族写真。一体誰が、どんな目的で。
そんな内容の記事を見せられた客達はその謎を
推理していくが。。。真実は裏の裏だけではなく
さらにその裏にもほろ苦さを伴って存在する。

「終の棲み家」
人生に楔(くさび)を打ち込むような仕事がしたい
使い捨てのカメラマンで終わりたくない、そんな妻木の
ファインダーが捉えたのは多摩川の河川敷に
ひっそりと暮らす老夫婦だった。そしてその作品が賞を
獲ったことから、彼らは姿を消す。
もしかして彼らは場所を追われたのか?
そんなとき罪悪感でいっぱいの彼の元へ
届けられたものは。。。
とても読後感爽やかな一編。

「殺人者の赤い手」
赤い手の魔人が小学生を襲うという都市伝説じみた
怪談話。2日前に起きた殺人事件。目撃者の小学生は
犯人は「赤い手の魔人だ」と証言する。
ところがその話に隠された真実が。。。
警察官が私服になるとまったく印象が変わる
そんな職業って案外、多いもの。
赤い手の魔人、それは赤い手袋なのか?それとも?

「七皿は多すぎる」
回転寿司屋で鮪ばかり7皿も8皿も食べる男。
それだけ食べて店を出てしまう、という
又聞きの話から推理は進む。
「しょせんは他愛のない話から始まった、言葉遊び」

「魚の交わり」
七緒が故郷を探し出した俳人草魚と関わりが
あったらしい女性の甥からの手紙。
昭和42年の暮れ、
足の不自由な彼女が一途に恋した相手は
クリスマスイブの夜、藪の中で胸を刺されて
殺されていた。その翌年、彼女は感電死として
事故死。それまでに残された彼女のノート。
そこから垣間見える草魚のものであろう言葉。
いったい二人にどんな繋がりが?
西行の「願はくは花の下にて春死なむ
そのきさらぎの望月の頃」から取られたこの
タイトル。ちょっと地味な気がするのはあたしだけ?
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