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カテゴリ:た:恒川光太郎( 9 )
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2008年 02月 18日 |
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十一月七日、水曜日。
女子大生の藍(あい)は、秋のその一日を
何度も繰り返している。毎日同じ講義、毎日同じ会話をする友人。
朝になれば全てがリセットされ、再び十一月七日が始まる。
彼女は何のために十一月七日を繰り返しているのか。
この繰り返しの日々に終わりは訪れるのだろうか——。
まるで童話のようなモチーフと、透明感あふれる精緻な文体。
心地良さに導かれて読み進んでいくと
思いもかけない物語の激流に巻き込まれ
気付いた時には一人取り残されている——。
(出版社 / 著者からの内容紹介より)

『秋の牢獄』『神家没落』『幻は夜に成長する』の短編3話ですが
どの話もテーマは「牢獄」
んー、面白い!
幻想的なんだけれどファンタジーとかホラーとだけで
かたづけたくない奥深い作品ばかり。

「秋の牢獄」は11月7日を何度も何度も繰り返す話。
つい最近読んだ、北村薫の「ターン」と同じテーマ。
(きっとこのテーマは他にもたくさんあるのでしょう)
北村作品では、繰り返している本人以外、すべての人が
消えてしまっているけれどこちらは、まったく「今」が繰り返される。
友達とか、みんな、ずっと毎回毎回、同じ行動をし、同じことを話す。
そして、その中で、昨日と違う行動をしている人、それは
主人公と同じように「同じ日を繰り返しているリプレイヤー」であり
リプレイヤー同士、交流を持ち始める。

色々考えちゃうよね、想像しちゃう。どんなことをしてもすべて
クリアになって元通り朝を迎える。
欲しいものを買っても翌日にはお金は元通り。でもその「もの」も消えている。。。
殺したいほど憎い相手を殺しても、また翌朝、同じように同じ会話をする。。。
残っているのは記憶だけ。だからこそ余計に
自分の起こした行動が、世界になにも影響を与えない、その虚無感。
自分自身、高速道路で事故って死んでも
また翌朝、同じように目が覚める。限りある命だから満たされること、大事なこと
それを意識させる存在、それが「北風伯爵」。

北原作品では、原因と思われるところまでいきつくけれどこちらは。。。
そしてそれで十分、成り立ち、消化不良を起こしていない!
いつの間にか、話の中で納得ができる、成立しているからこそ
ファンタジー、夢物語としたくない。
(基本ファンタジーは嫌いだからこそこれは最高の褒め言葉)

そして「神家没落」
「秋の牢獄」がその一日に囚われた人であればこちらは家という空間に
囚われた人の話。神家として’移動’する家。決して結界を出ることができない。
出ることが出来るのは、他に誰かその敷地内に人がいるときだけ。
こちらも、日常からしたらまったくあり得ないファンタジーでありながら
猟奇的な殺人などの生臭さがあったり、一度、そこから逃げられたはずなのに
その空間に愛情を抱き、次に入る時は本を1000冊と。。。なんて考えるほど
妙に現実的だったり、人間的なのです。
そしてその人間臭さゆえにまた、静かな恐さが背筋を抜けるのですが
その人間臭さゆえに、家に愛情を抱くその理由が
この日常に普通に存在する倦怠感だったりもして、理解ができてしまうからこそ
簡単にホラーと言いたくない。
(中身のないホラーは見下しているのでこれまた最高の献辞)

「幻は夜に成長する」これが一番、分類分けなどを超えた作品だと思う。
祖母だと思っていた相手は祖母ではなく
ごくごく普通の家庭に育ったはずのリオが実は、特別なチカラを
持っていて’祖母’によってそれはさらに大きく目覚めさせられる。
魔女として、神として、存在できるほどの力。
そしてそのチカラゆえに彼女は囚われている。
囚われ、新興宗教の神として存在させられている。
彼女は、波が来るのを待ち、自分の力がさらに強大になるのを待ち
囚われの身から自由になる日を待ち。。。

どの話も、中編と呼ぶには短いのですが短編とも言いきれず。
そして読後に残る大きさは、どんな長編よりも深く。
いや、むしろこの長さだからいいのでしょう。

デビュー作の「夜市」の幻想的な世界そのままにさらに
力をつけた作者の今後の作品も期待大。
あ、その前に2作目を探して読もうっと。
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2008年 01月 20日 |
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改心した悪党・八神は、骨髄ドナーとなって
他人の命を救おうとしていた。だが移植を目前にして
連続猟奇殺人事件が発生、巻き込まれた八神は
白血病患者を救うべく、命がけの逃走を開始した。
首都全域で繰り広げられる決死の追跡劇。
謎の殺戮者、墓掘人の正体は?
圧倒的なスピードで展開する傑作スリラー巨編。
(「BOOK」データベースより)

13階段」の作者です。
すでにこの人の作品を読んだ友達が感想を教えてくれまして
でもこの作品ではなく別の作品。
それがちょっとコメディ?と思えるような設定で。。。
まったくこれとは違う作品なのに何故かあたしのアタマに
コメディ、コミカルとインプットされていて
どうしても文章の隅々に
コミカルなタッチを探す自分がいてなかなかストーリーに
入り込めず違和感を感じたままスタート。
ありゃ(苦笑)

ところが途中から、もぅどんどん話の展開に引きずり込まれました。
スピード感あり緊張感もあり謎をどんどん追いたくなる。
最終的には政治家の裏まで絡み。。。とここまでくると
他にそういった癒着などについて深く書かれてる本に比べると
軽いなぁという印象は否めませんが。
何が悪で何が善かという形がまったくのステレオタイプというか。
まぁ娯楽作品として存在するのならばそれくらいの
設定でちょうどいいのかもしれません。

ヨーロッパ中世の魔女狩りの時代に実在した「グレイヴディッガー」の
殺人方法を模した連続殺人の話なのですが
実はこの作中に登場する「グレイヴディッガー」という存在自体が
作者の作った話とありまさにストーリーテラーとしては逸品だと思います。

でもなぁどうしてもスピード感、アクション的な部分ばかりが
印象に残る本で、どうなのよ?とそれこそつっこみたいところ満載。
あり得るかどうか、とか、現実味がない、とか
そんなの面白ければどうでもいいのでは?と本の評価の甘いあたしですが
そこばかりクローズアップされているともっと深みを求めたくなるのかなぁ。
主人公のキャラが結構楽しめるのが救い。

読後感は悪くはないですし、「はずれたぁ」ともまったく思わないしね。
あ、殺人に関する表現はグロすぎですので気をつけて。
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2007年 12月 04日 |
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「ほぼ日刊イトイ新聞」に連載された「谷川俊太郎質問箱」(2006年3月〜2007年1月)の単行本化。
詩人の谷川俊太郎さんに、幅広い年齢層、様々な人から
質問が寄せられ、谷川さんはユーモアたっぷりに
時には真面目に答えて行きます。
答えにくい質問もあったりしても、谷川さんならではの
やさしい言葉で、ナイスな答えを返しています。
心にゆとりを持つというのはこーいうことなんだなぁと思ったり。

久々に(笑)もぅみーんなに勧めたい本。

64の質問とその答えに心がまぁるくほっこりします。
いつでも手元においてさらっとめくったところから読んでいく
そんな気持ちにさせる本です。
どうぞ読んでみてください。

例えば
「大人」になるということは、どういうことなんでしょう。
谷川さんの「大人」を教えてください。
とか
どうして人間は死ぬの?さえちゃんは死ぬのいやだよ。
(さえちゃんのお母さんが質問された質問)
好きな人をどうやったら信じられますか?

どの質問にも谷川さんはしっかり答えてくれています。

あとがきばなしとして谷川さんと糸井さんの対談付きです。
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2007年 07月 07日 |
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人は一遍は死ぬけん、怖がることないきに—鰹船に乗り
命を張って富を求めようと少年は水平線を見据える。
土佐・中ノ浜の貧家に生まれた彼が歩むことになる
破天荒な人生を、このとき誰が予想しただろうか。
時化の海での遭難、無人島漂着、捕鯨船による救出
そして異郷アメリカでの生活…時代を越えて
記憶され続ける“ジョン万次郎”の壮大なドラマが今、始まろうとしている。
(「BOOK」データベースより)

時代小説は好きですが歴史小説は久々。
たまたま上司に「いいよ」と勧められ読んでみました。
いやぁ。感慨深い。

それまでジョン・万次郎=居酒屋チェーン店でしか
なかったんですけどね(苦笑)

1827年土佐・中ノ浜に生まれ、奉公先での扱いに耐えかねて飛び出し
ずっと憧れた鰹漁の船に炊夫として乗ったものの
2日後に嵐で遭難し無人島(現在の鳥島)へ流される。
飢えと乾きと寒さに耐え、島で生き延び、143日後
アメリカの捕鯨船「ジョン=ハウランド号」に救助される。
時代はまだ鎖国中の日本。海外の船が日本に近寄ることもできない時代。
彼らはホノルルへと上陸し保護を依頼。
その中でも特に万次郎は献身的に働き、英語にも
興味を持ち、その態度に感銘をうけた船長ホイットフィールドは
万次郎をアメリカへ連れて行く。

アメリカでホイットフィールドの養子となった万次郎は
名門・バートレット校の試験にも合格、航海士としての知識を蓄える。
「わえがメリケで口すぎしてゆくにゃ、メリケの役に立つよりほかには
ないけん、勉強せにゃあかんぜよ」

仲のいい友達、ガールフレンドもでき学校も主席で卒業。
後にキャサリンとは結婚し1846年には捕鯨船「フランクリン号」に
乗りこみ3年の航海へ。
ところが航海から戻り知らされたのは妻の死。

絶望した万次郎は日本で待つ家族に会いたいという思いに駆られる。
ホイットフィールドが万次郎の才能を買い
一等航海士として今後も活躍して欲しい、今、日本に帰っても
異国の回し者と見られて首を切られかねないと伝えても万次郎は
「ここで暮らすほうがなんぼええか分からんでのーし。
ここは極楽ですらあ。ほんじゃけんど、ユナイッシテイトは
わえの国ではありませんろうが。
わえは殺されてもおのれの生まれた国で死にたいわのーし」
そして万次郎は帰国の為、ホノルルに残した仲間の分の費用も得るため
当時ゴールドラッシュに湧いたカリフォルニアに渡る。


と、こんな感じなのですが万次郎の簡単な経略は
こちらのサイトがとても詳しいです。

母親への思慕、家に戻りたいという思い、その為に努力を重ね
戻ったところで幕末の日本の彼への扱いは
まだまだ差別のある飛んでもない時代。

日本の近代化に尽力したにもかかわらずアメリカの文化に
慣れ親しんだ万次郎には風通しの悪い封建社会は
とても居心地の悪い世界。
それでも母に、自分の生まれた地への思いの強さ。

漁師でありながら武士へと出世した万次郎の賢さ、勤勉さ
実直さがとても心地よく、また
遭難から海外での生活、帰国後の生活とどのシーンも
とても興味深い。
何より万次郎のお国言葉がとても生き生きとしていて
物語りの中に惹き込まれます。

上下巻と長いのですが、長さを感じさせない魅力的な話で
あるとともに、長いゆえに、物語が終わりに近づくにつれ
万次郎との「別れ」を寂しく感じた本。

彼は日本に帰ってきて本当に幸せだったのかな、とか
アメリカにそのまま残った方がよかったのでは、とか
でも、ペリー来航で慌てふためいていた幕府に
万次郎の帰国は、日本にとっては幸運だったんだろうな、とか。。。
たった一人の人間の行動一つでその後の時代が
まったく変わっていたと思うとそれまた凄いことで。。。

またぜひ再読したいです。
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2006年 08月 26日 |
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 第47回江戸川乱歩賞受賞作。
事件当時の記憶がないまま死刑判決を言い渡され、
収監されている死刑囚樹原亮。彼の冤罪を晴らすべく
高額な報酬で雇われた刑務官の南郷。
障害致死の罪で服役し
出所後保護観察中の三上純一を
パートナーとし、調査に乗り出す。
樹原が唯一思い出した記憶は階段だった。
平屋の事件現場、二人は階段を探し始めるが
死刑執行までに残された時間はあと僅かだった。
二人の調査は樹腹の冤罪をはらせるのか。
間に合うのか。
果たして真犯人はいるのか?
ネタバレになるのであえて言いませんが(笑)
ここどうなの?な部分があっても
それで止まらない、スピード感もあり
一気に読みたくなる、夜に読み始めると
そのまま朝を迎えてしまう本(笑)

サスペンスとしてのストーリーのおもしろさ
伏線の張り方、最後の最後まで
気の抜けない展開、重い内容でありながら
あっという間に読み終えました。

人が人を罰することは正しいのか
死刑制度や日本の司法制度のあり方を考えさせる小説。
この中で問われていることはとても答えのでるような
ことではなくまた、この話の中でも
答えは呈示されてません。
特にラスト、純一が南郷に宛てた手紙
善と悪、罪と罰について深く考えさせられ
救いのないストーリーに少々後味の悪さも。。。
せめてもの希望として「パン屋のオープン」を
願うばかり(笑)

「罪と罰は、すべて人間の手で行われた。
人間のやったことに対しては、人間自身が答えを出すべきではないのか。」
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2006年 05月 17日 |
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 第12回日本ホラー小説大賞の大賞受賞作です。
ホラーと聞いて、ピンとこなかったものの
1997年の第4回には貴志祐介の「黒い家」も
受賞しているのでちょっと安心して読んでみました。

いやいや「黒い家」を連想しちゃいけません。
まったく違います。
一歩間違えるとファンタジーな異世界を
おどろおどろしく、それでいてユーモアもあり
指の隙間から見ていたくなるようなそんな
不思議な世界が繰り広げられる「夜市」

そこへ行けばどんなものでも買える。
なんでもある。なんでも売っている。
「自転車、スーパーカー、本物の。洋服、生き物、
家具、スパイス、日本刀、銃、麻薬、身長が伸びる薬」
人間の首もライオンや象も
なんでも斬れる剣も
老化が早く進む薬も、遅く進む薬も。
そして
野球選手の器。

夜市に行ったことのある祐司と祐司に連れて行かれたいずみ。
二人が夜市を抜けるには「買い物」をしないと出られない。。。
祐司がまた夜市に行って「買いたかったもの」
そしていずみが夜市を抜けるために買ったものは。。。


「夜市」は受賞作ですがもぅ一編の「風の古道(こどう)」
も同じように異世界を描いた作品。

正式な出入り口の他にある綻びから迷い込んでしまった古道。
古道のものは一切オモテの世界に持ち出すことはできない。
もちろん古道で生まれたものも死んだものも。

12歳だった主人公は友達のカズキと古道を探検しようと
軽い気持ちで入っていく。そこで出逢った古道で生まれた青年レン。
そしてカズキはトラブルに巻き込まれて古道の中で
死んでしまう。カズキを蘇らせるためレンと一緒に
「雨の寺」を探し求める間、私はレンから古道に関する話を
レンの生い立ちを聞いていく。

ちょっと「古道」の死者の行進は「陰陽師」の
百鬼夜行を彷彿とさせるものがあってドキドキ。
個人的には「夜市」よりも「風の古道」のが好きかな。
恐いけれどこんな異世界、存在していて欲しいとどこかで
思ってしまう。
ホラーといってもこんな形のホラーもあるんだね。
短いお話なのでさらっと異世界にスリップできる本。
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2005年 09月 19日 |
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 濁点は読まずに「ひけんみつかかみ」と読みます。
あたしでも知っている佐々木小次郎や柳生十兵衛なども
登場しますが、ほとんどはマニアックな剣豪揃い。
それぞれの剣の流派の代表的な剣豪たちのエピソード。
短編集なのですが、あぁ、この人にとっての師匠が
さっきのあの人なのかぁとか、この時のこの人は
ここではこぅなのね的に人の繋がりがあったり、と
読みながら、これ知識としてアタマに入れちゃって
ふとした時にそれが活かされちゃったりする?なんて
思いながら読んでしまったので
小説というよりは歴史書でも読んだ気分。
剣豪好きにはたまらないのでは。
アタシはもぅ少し人の心を描きほろりと
しちゃったりする方が好きかな。
それでももぅ一度じっくり読み返したいと思わせる
魅力的な、知識欲をくすぐる一冊。
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2005年 08月 24日 |
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 いきなり180度変わってまた谷村志穂の
恋愛短編集。
せつない不倫の愛もあれば
病的なストーカーまがいの愛から目が覚める話
年下の彼の愛に真っ直ぐに答えられない女性の話など
20代〜30代女性の愛の話。
一遍だけ夢を追い求めることもできず
でも自分の居場所からの眺め方を自分なりに
見つける男性の話も。
そう、どの話もみんな自分を見失い、さまよい
異性を渡り歩いたり、南の島に逃げたりしながらも
自分自身で、自分の居場所、そこからの眺め方を
時には動物的に、時には痛々しく
探していく、そんな短編が詰まった本。

とりあえずあたしはもぅ谷村志穂はお腹いっぱいです。
げふー。
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2005年 08月 15日 |
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 これまでの読書記録と全然違いますね〜。
100%恋愛ものです。
英語やドイツ語などなどの言葉がタイトルになった
26の短編集。26の恋の物語。
そんな言葉=会話をテーマにしてるだけに恋愛も
国際的です。これについていけるか、が
その後読めるかどうかの分かれ目のような気もしますが。
ダメダメな男も女もいっぱい出てきますが
どれもみなスタイリッシュ。

タイトルに使われている言葉はすべて
ありふれた言葉ばかりなのに
ストーリーの中での使われ方で
こんなにもずっしりとくる「言葉」なんだ、と
言葉があらめて背景を持つことで生きてくる
そんな感じのシチュエーションばかりを集めた
物語達。
どのストーリーが一番心に残るかは読んだ人次第。
読み終わった後改めてコンテンツのタイトルを
見ながらじ〜んとしちゃったりね。
親に反対された国際結婚、子供が出来て
親に書いた手紙とかね。
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