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カテゴリ: :乃南アサ( 5 )
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2008年 03月 03日 |
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十月七日午後五時三十分。萩行きの夜行高速バスが
品川のバスターミナルを出発した。
乗客乗務員は十二人。
約十四時間で目的地到着の予定だったのだが…。
深夜に乗務員が殺害され、バスは殺人者とともに
何処とも知れぬ闇の中に放り出される。
台風接近で風雨も激しさを増し—。
それぞれの人生を背負って乗り合わせた登場人物たちの
多視点から恐怖の一夜を描く、異色のサスペンス。
(「BOOK」データベースより)

ミステリ続きだったのでサスペンスもまた新鮮。
乃南アサってこんなに面白かったっけ?ってくらい。
スピード感もあって読みやすい。
。。。2時間サスペンスドラマ並みに(笑)

いや、初めはね、なんたって裏の説明読むと
バスジャックの話ねぇ〜ってわかるし
読み始めると、まず、そこに乗り合わせるであろう
登場人物たちの細かい設定が語られるわけです。
ここでちょっと引いたんですよ、正直言って。
あぁ〜、こーいうパターンね。
登場人物達の背景を書くことでこの人たちが
被害者になって死んじゃった時に
読者により大きな同情とかねぇ
与えようってことでしょ〜?みたいな。

裏切られました。
とても気持ちよく。なんて言うのかな、確かに
細かい人物設定の話があったこそ
話に深く入り込めるのですが、かと言って
鬱陶しいレベルでもない程度に。

ごくごく普通にそこらへんにいそうな人たち
そして、まったく接点なく普段であれば会話を交わす
機会もない、そんな乗客たちの集まりが
バスジャックという非日常に放り込まれた時
それまでの人物設定がより一層くっきりと際立ち
物語に奥行きを出しています。

ネタばれさえすればこの本がいかに面白いかを
すぐにでも説明できるのですがここはぐっと我慢。
最後の最後まで目が離せない展開。
読後感はとてもヨイです。
あぁ、だからこのタイトルなのね、と。

あんなに人の良さそうな人が極限状態に置かれると
こんなにも自分だけのことしか考えなくなり
うさんくさそうと思った人が実はとても心地よい空気を
醸し出す人だったり、また、思いがけないほどの優しさを
見せたり。。。そして、憎むべき犯人にすら
そこまでに至る心情をよんでしまったりと
人間ドラマとしても楽しめました。

ドラマ化しないの?(笑)
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2006年 11月 16日 |
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 「ごめん。もう、会えない」。東京オリンピック開会式の
前日、婚約者で刑事の奥田勝から、電話で
そう告げられた萄子は愕然とする。
まもなく、奥田の先輩刑事の娘が惨殺され、
奥田が失踪していたことも判明。
挙式直前の萄子はどん底に突き落とされた。
いったい婚約者の失踪と事件がどう関わっているのか。
間違いであって欲しい…。真実を知るため、
萄子はひとりで彼の行方を追った。
(「BOOK」データベースより)

上下巻の長編なのですが、飽きずに読ませます。
謎を解く過程ではなく、謎の答えに辿り着くまでの過程
主人公の陶子は終戦後、事業で成功した親のもと
何不自由なく贅沢に育ったが、その後
消えた婚約者を追って一人旅を繰り返す。
そこで出逢った様々な人たち
そして事件で娘を失った、消えた婚約者の上司である刑事。
陶子とこの刑事の心理状態を中心に
描かれていくのですが、そこにまったく緩みがない。

婚約者の勝が消息を絶った原因となる事件も
とても悲しい出来事。女の横恋慕の果て。
それぞれが自分の幸せを求めていたエゴの結果。

旅の情景、そして東京オリンピック前後の当時の
日本の状態や時事問題も含めて読み応えがあります。
その頃を知らない自分でもすんなり絵が浮かぶほど。
あたしにとっていい本ってのは情景がすっと浮かぶ
ことも条件の一つなのでこれはもぅなんなくクリア。

ミステリと一口に終わらせられない一冊。ちょっと
深めの小説を読みたい人にお勧めです。
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2006年 09月 17日 |
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 いやぁ。。。。こんなにもいやぁ〜〜な
読後感にさせるってのはもぅ作者の術中に
はまってるんでしょうね。もぅまともに。
この読後感は桐野夏生に匹敵する悪さです(笑)
やっぱそれだけ巧いってことでしょうね〜。
人間としての生理的な不快感をまともに
狙ってきます。

よく宗教的なマインドコントロールは
実体験が伴わないのでそんな事件を耳にしても
「どうしてそうなっちゃうわけ?」と
思ったりもしますがこれを読むと
はぁ〜〜〜、こーいうことか、と。
こぅされちゃったらそりゃなるよなぁと
妙に納得できてしまうほどです。
まさにサイコミステリー。
嫌な奴だと呼んでいるだけなのである。」

見合いで一目惚れした法子が嫁いだ先は両親に
祖父母、曾祖母に妹弟の大家族。
そしてとんでもない資産家。
明るく笑顔の絶えない優しい家族。
家族間の強い絆。
でもそこに感じるちょっとした違和感。
そしてそこから徐々に広がっていく疑心暗鬼。
疑いを持ちその都度、家族全員から
受ける様々な形の「マインドコントロール」
寝かさず延々話を聞かされることで
また、幻覚を伴うキノコなどの薬物で
ひたすら褒めそやし、また時には
とことんまで人格を否定され。。。
法子は徐々に判断が鈍り、友人に
会うことで我を取り戻してもまた。。。

本当にあるい意味恐い、気持ちの悪い一冊。
まぁこれがまた妙に病みつきになりそうな
読後感の悪さなんですけどね
あまり人に薦められないなぁ(苦笑)
やっぱりキモチワルイもん(笑)
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2005年 10月 24日 |
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 ということで、またまた読んじゃいましたっ。
女刑事音道貴子シリーズ。
前回の事件後、立川の警視庁多摩総合庁舎にて
第三機動捜査隊立川分駐所で働く音道の日常を
描いた短編集。
読み始めてすぐに、あぁ〜思い出した、このシリーズって
最後はすっとしてもそのすっとする分、初めは
「落とされる」んだっけ。。。と感じるほど
ため息がうつりそうな憂鬱な音道の日常(苦笑)
今回はいきなり近所の人の、悪い人ではないのだけれど
イライラさせられる出来事から始まります。

ゴミあさりから相手のプライバシーを覗いて悦に入っている
変質的なストーカーに悩まされる「あなたの匂い」
連続路上強盗が解決しないまま、さらに引き起こされた
中年男性が被害者となった集団暴行事件。荒れる家族の
一面を描いた「冬の軋み」
小汚いビジネスホテルで発見された老夫婦の過去を
事件解決の為、辿っていく「花散る頃の殺人」
同僚だったオカマの安曇から紹介された染織家が
謎の投身自殺を遂げる。安曇と一緒に音道はその動機を
探っていく「長夜」
滝沢の所轄署で迎える年越しを書いた「茶碗酒」
高校生達の援交を狙った悪質な強盗を追う「雛の夜」

その読みやすさは折り紙つけちゃう!数時間で読めちゃいます。
音道の友好関係が見えたりと、このシリーズファンへの
プレゼント的意味合いの「架空インタビュー」もあったり
とても楽しめる一冊に仕上がってます。
やるせなく、せつなく、痛々しいけれど自分たちの
できることはここまで、と言った感じの
事件そのものは至って日常的なものが多いだけに
音道という女刑事が本当に日々こんな暮らしを
しているのかな、と妙に親近感すら感じてしまう。
さらに次が楽しみになる息抜き的短編集。
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2005年 10月 20日 |
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 初乃南アサです。第115回直木賞受賞作。
とりあえず初めてなので有名なモノから。

深夜のファミレスで突然、男の体から炎が噴き出した。
検死すると男の身体に残った獣の噛み傷。
その数日後、喉元を咬み殺された死体が発見される。
二つの事件はきっと繋がりがあるに違いない、と捜査が進められる。

たらたら〜っとした余計な前置きなく始まるのでそこは
読みやすかったです。ただこれは事件そのものよりも
刑事の視点からみた「人間ドラマ」
事件を追うのは、バツイチ三十路の女性刑事、音道と
女性軽視も甚だしい典型的な初老の刑事体質の滝沢。
なので、前半は事件の謎を追いながらも
女性不要の世界で、そこに身を置く音道の苛立ちが
延々と語られるわけですが
この音道の、滝沢からみるかわいげのなさ、そして滝沢の
音道からみる馬鹿らしさを含んだ軽蔑
対立しあう二人の心の変化、心理描写が
とてもよく書かれています。
この二人のやりとりを視点を変えながら
読ませるのはおもしろかったな。

そして事件の犯人。牙を持つ獣のその美しさ、従順さ
健気さにやられた〜っ。
一気に中盤までのだらけたあたしの気持ちを
(女性として音道に共感できる人はだらけず読めると思います)
ぎゅっと鷲掴みですよ。

話の終盤のスピード感、臨場感もかなりキモチヨイ。
しっかり事件そのもののトリック、薬物の説明なども
きっちり描かれているのでミステリとしても秀逸かと。
まぁつっこみどころがないわけではないですが。

ただせつないね。事件が解決されたところでその心の痛みは
とても深い。家族の為の仕事が家族を壊してしまうという
それは、音道や滝沢も含めて、その難しさ、哀しさも
十分に汲み取ることができます。
なにより実行犯となった「彼」の孤独感。
これはとてもせつない存在。
その壮絶で静かな意思を持った最後もスゴイ。

あたしはちょっとあまりにも女性として肩肘張ってる姿は
苦手なのでちらり読みにくかったのですが。。。
いずれ物語的には、女性であっても認められるのだろうと
タカを括って読んでいたのですが
そんな100%すっきりいくようには持って行ってないところが
リアリティがあって好感が持てましたね。
あの人、すごかったよね、でも、いない方がラクやね、的な。
それでもシリーズ作ということで次も読んでみたくなりました。
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