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カテゴリ: :藤沢周平( 15 )
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2009年 07月 31日 |

死を賭して得た剣名、生を捨てて得た剣技、何人にも渡すわけにはいかぬ。—宮本武蔵が、神子上典膳が、柳生宗矩が、はたまた諸岡一羽斎とその弟子たちが、さらには愛洲移香斎が、生死の狭間で駆け抜けた、荒涼とした決闘の辻!迫真の対決描写を通して、剣客たちの生きざまに迫る藤沢版剣豪小説短編集。
(「BOOK」データベースより)

宮本武蔵がこんなおじいちゃんに?(笑)と
驚きながらも、こうだったのかもなぁと思わせる藤沢の上手さ。
はっきり言って武蔵以外、知らない人ばかりだったんですが
読み始めたら、その「瞬間」に手に汗握り夢中に。

決闘そのもののシーンの上手さはもちろん
そこに至るまでの話の深さ、登場人物たちに対して
不思議と親近感が湧いてきます。
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2006年 08月 22日 |
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 彫師伊之助捕物シリーズ第2作。
続けて読んでみました。やっぱり暗いです。
これね、前作もそうなのですがまさに
ハードボイルド。江戸を舞台にしてますが
これをそのまま海外ものに置き換えても
すんなりいくくらいの設定。
ちょっと男性的と言えば男性的。

今回は、伊之助が仕事に行くときに偶然
川に上がった水死体を見つけ
つい以前の癖で死体をちらっと検分したところ
溺れたものではなく殺されたものと見る伊之助。
偶然、岡っ引きをしていたときの知り合いの同心から
頼まれてその水死体の身元を探ることに。
前の仕事や住んでいた場所などを探っていくうち
そこには大店の主人達や寺僧たちの巨悪が
徐々に明るみに。。。そして第二、第三の
殺人が。。。

今回、絶妙なのは伊之助の聞き込み。
長屋の女房達の井戸端会議から貴重な
情報を得ていく様はまさに探偵モノ。
そして前作同様、立ち回りの部分も見事。
伊之助は剣は使わず柔術で相手を
倒していくのですがもぅ手に汗状態。
ここらへんはよくある他の時代モノとは
大きく違うところ。
この時代の女性に対する世間の所行に対して
ひたすら寡黙に優しい伊之助にやっぱり
ハードボイルドな匂いが漂うのです。
ただほんと暗いんでね(苦笑)
きゅんっとなるようなキャラではなく
あくまで美しいストーリーにまとまっているって感じです。
好きだし、早く早く、と次を、結果を
知りたいのだけれどなかなかスピードがあがらない
あたしにはムズカシイ分野です(苦笑)
結構、せつな度は高いんだけどね〜。
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2006年 08月 22日 |
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 久しぶりの藤沢作品。これはもぅしっかりミステリー。
それもなかなか結末のわからないなかなか高度なもの。
そのかわり落ちてからは早いんですけどね。
え?え?え?ってうちにすべてが繋がっていく。
それまではまったく先が読めません。

版木彫り職人の伊之助、実は元凄腕の岡っ引。
ところが女房はその岡っ引きだった伊之助の仕事を疎み
やめてくれと何度も口にしていたがちょうど仕事が
乗っていた時期だった伊之助は
女房の言葉に耳を貸すことができなかった。
そして女房は男と逃げて心中。以来、伊之助は一人
浮かない日々を送っていた。
ある日、伊之助の親分だった弥八から
娘のおようが失踪したと告げられた。
娘を捜せるのはお前だけだと請われて、重い腰を上げた。
岡っ引きに戻るつもりはまったくないゆえ
彫り師の仕事の傍ら、娘のおようの行方を追う。
その先々で起こる怪事件。裏に隠された材木商高麗屋と
作事奉行の黒い繋がり。。。
彫師伊之助捕物シリーズ第1作。

さすが藤沢、女性心理を書かせたら右に出るモノは
いないのでは?と思うほど見事。
ただねぇ。。。。暗いですよ(苦笑)
もぅ救いがないくらい。
でも文体がとにかく美しいから読ませます。
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2005年 11月 04日 |
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 またまた藤沢作品ですが藤沢作品の中でも
これだけ涙腺を何度も刺激される短編集も久々。
どの話もみなじんわり、本当に「いい話」だなぁと
心が洗われるような。
江戸の橋を舞台に市井の男と女と別れと出会い。

「約束」
年季の明ける5年後に萬年橋の上で会おうと決めた幸助とお蝶。
しかし5年の歳月が二人を変えていた。
その日を心の支えに過ごしてきたのは事実。
会いたいけれど変わってしまった自分を晒けだすことへの迷い。。。
最後の幸助の言葉とそれを受けて涙するお蝶にもらい泣き。

「小ぬか雨 」
一人で住む伯父の出店。夜はおすみ一人きり。
しかしそこへ成り行きから人殺しをかくまう事になってしまう。
許婚がありながらこの男、新七に胸をときめかすおすみ。
二人して逃亡を企てるが。。。
女の心理の微妙な動きの描き方、上手い!

「思い違い」
朝夕に橋の上でいつもすれ違う女。
ある日、男達に絡まれる彼女、おゆうを助けるが、
仕返しをされる源作。しかしお礼を言いに来た後
おゆうは姿を消す。おゆう探しに明け暮れる日々。
ある日、偶然入った女郎屋でおゆうと再会し
源作は、朝夕にすれ違っていた意味を理解する。

「赤い夕日」
おもんはやくざ者の斧次郎に小さい頃から育てられ
成長してからは夫婦同然の暮らしをしていたがその事実を
隠して新太郎の元に嫁いだ。そんな負い目もあり夫の
浮気を耳にしても確かめられずにいた。斧次郎に
二度と永代橋は渡ってこっちに来てはいけないと
言われていたおもんだが斧次郎の危篤の話を
聞いておもんは永代橋を渡るがそこには罠が仕掛けられていた。

「小さな橋で」
父親は使い込みで家出、母親は飲み屋勤めで毎晩酔って帰り
6歳上の姉は女房持ちの男と「でき」ている。
遊びたい盛りの広次なのに姉の奉公先へ迎えに行かなければ
いけない。広次とおよし、子供の世界。
最後の一行に、ちょっと口の端がにやっと笑いつつ涙。
大好きなお話の一つ。

「氷雨降る」
息子に店を譲り商売の熱も冷め、妻ともしっくりいかず
家になじめなくなった吉兵衛。自分の人生はこんなものかと
寂しく思うそんな折、大川橋で訳ありそうな女おひさを助ける。
色事ぬきで女を守り通した初老の男の揺れる気持ち。

「殺すな」お峰  
お嬢さん育ちの末、婿を取った船宿の女主お峰。
そこで働く抱え船頭の吉蔵と駆落ちをする。
下町の裏店を転々とするうち派手な暮らしをしてきたお峰は
生活に不満を感じ始める。お峰は自分を捨てて出ていくかも
しれないと疑心暗鬼にかられる吉蔵 は同じ裏店に住む浪人の
善左エ門に監視を頼む。そんなある日、亭主に見つかり。。。
善左エ門の自分の過去から諭す最後はちらり涙。

「まぼろしの橋」
美濃屋の主人に拾われて育ったおこうは
血の繋がらない兄信次郎と結婚をする。
幸せな毎日、実の父親を知っているという男が現れる。
年齢的にもだんだんとおこうはその男が
父親なのではないかという思いに駆られるが。。。
最後の信次郎の行動とおこうの言葉にじーん。。。

「吹く風は秋」 おさよ  
イカサマ博打をして江戸から逃げ六年ぶりに江戸に戻った弥平。
年も感じ江戸に戻ったことにほっと安らぎすら感じる。
偶然、知り合った女郎のおさよの話を聞くうちやたらと
気になりだし、おさよの夫を捜し出すが。。。
弥平はまた大きなイカサマの仕事をすることになる。

「川霧」新蔵 おさと  
永代橋で倒れたおさとを介抱したことが縁で
新蔵はおさとと一緒に生活をするようになる。しかし
おさとは何一つ自分のことを語らない。
六年後、おさとは突然姿を消す。
新蔵はおさとを探し消えた理由を知り、もぅおさとを
探してはならないと自分に言い聞かせるが。。。

どの話も秀逸です。
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2005年 11月 01日 |
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 やっぱ藤沢作品を読むととても心が癒され
優しい何かに包まれるような安堵感が。
あわただしく過ぎていく毎日、気が付けば
あっと言う間に1年も終わっていくのを感じる秋
ぜひ静の中に存在する動、この奥深さを味わって欲しい。

中編4作からなるこの本は、短編じゃわかりにくく
長編では取っつきにくそうに感じる時代物初心者さんにも
入りやすいのでは?
4編とも読み終わる頃にはふっと口元に優しい
笑みがこぼれている自分を見つけるはず。

「麦屋町昼下がり」
初めて縁談を持ちかけられた敬助、ところが相手は
家禄三十五石取りの御蔵役人の敬助には身分の違い過ぎる
百二十石、御書院目付の娘。
戸惑いながらも初めて意識した縁談に少しは気持ちが
高ぶるのも事実。ところばその晩、家に戻る途中に
刀を振り回す男と追われる女に出くわしてしまい
その女と我が身を守るため相手を斬ってしまう。
その男は三百石の上士、ましてやその息子は
奇人として聞こえる弓削新次郎。女はその嫁であった。
縁談の話は流れ、上の計らいで
弓削の手からも身を守るため閉門の処分を科される。
しかし必ずや報復に来るに違いない、そう見る周りから
敬助は四面楚歌の空気を感じていたが。。。

「三ノ丸広場下城どき」
粒来重兵衛は若い頃は剣で名を鳴らしたものだが
今は家老となっている臼井と争ってまで妻にした女子に
先立たれてからは寂しさから酒に溺れ
剣の腕を磨くこともせず、腹も出っ張り
御馬役として娘と家の事を手伝いに来てくれている
茂登と細々と暮らしている。
そんな重兵衛に臼井の企てた罠が仕掛けられる。

「山姥端夜五ツ」(やまんばばしよるいつつ)
息子の俊吾が最近、道場で無用の喧嘩が多いと聞く。
柘植孫四郎が妻の瑞江の不貞を責め離縁してからだ。
家の中の不穏な空気を感じながらも、柘植はさらに
大きな波にのまれていく。友人である半之丞が自害したのだ。
半之丞の残した遺書には前藩主が病死ではなく
暗殺されたことを記していた。
柘植は以前にある人物の護衛を頼まれたものの
失敗に終わり家禄も減石されていた。その護衛も
前藩主の暗殺と関わりがあるようだとみた柘植は
一人、その闇を解くべく奔放する。

「榎屋敷宵の春月」
田鶴は夫の織之助を執政への後任に選ばれるべく
労を尽くす。というのもその後任の候補の一人が
同じ行儀見習いとして城中に上がっていた三弥の
夫も含まれていたからだ。
過去に思い焦がれていた兄の自害に三弥の
兄への裏切りがあると思っている田鶴は
三弥には負けたくなかった。
しかし田鶴はある夜、江戸屋敷から使いの関根を
助けたことから、藩の秘事に関わりを持ってしまう。
夫を執政に就かせたい思い、三弥に対する意地
そして不正に対する憤り、様々な思いが
田鶴の胸に広がっていく。

それにしても藤沢ってどうしてこんなにも
女子の心がわかるのかなぁ?(笑)ね?
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2005年 10月 14日 |
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 ちょっと時代ものに戻って藤沢周平。
今回の藤沢作品、ちょっと手がこんでます。
「しぐれ町」というひとつの町を舞台に
その町に暮らす人たちの生活を短編連作にしたもので
一つの話で主人公だった人が次の話で
脇役として登場したり、前の話の中の会話に出てきた人が
次の話に出てきたり。。。。と読んでいるうちに
その町の住人たちすべてに不思議な愛着がうまれてきたり。

自分の人生の中では誰もがみな主人公と歌っていたのは
さだまさしでしたっけ?まさにそんな感じです(笑)

話を進めていく「狂言回し」役を大家の清兵衛と書役の万平が
雑談をする中で勧めていくのですがこの二人がまたいい味を
出してる。
 世間の目をきにしながらも、旦那のいるおもんと
不義を働く小間物屋の若旦那栄之助は今夜も闇に紛れて帰っていく。
 息子夫婦に家督を譲り女房もなくし一人しぐれ町に悠々自適に
暮らす萬屋の隠居佐兵衛は、最近ちょっとぼけてはきたがそれでも
まだまだ少しは女子に興味だって持ってる。
 油屋の主人政右衛門は、大酒のみの父親と病気の幼い兄弟の
世話をする十歳のおきちを心配する傍ら、女房のおたかと
喧嘩ばかりの日々、ふと20年前に思い合っていたおふさが
恋しくなる。
 うさぎ屋に頼まれて作った櫛の出来の良さを栄之助に
認められても、重助は出ていった女房のおはつを
息子の長太と待つ暮らしなのであまり根も詰められない。

そんな風に人々は普通に暮らしているのに
そこには小さな物語がしっかりと存在するのです。
この本の中では「主人公」にならなかった他の色々な
しぐれ町の人たちの話をもっと読みたくなる。

この話のいいところはやっぱり最終話。
みんなみんなそれぞれに自分の人生を歩んでいる。
もぅ一度といわず何度も再読したくなる本。
藤沢の書く話はほんと優しさに溢れている。
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2005年 10月 05日 |
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 長屋に住む市井の人たちを描いた短編小説。
藤沢周平の書く本はどうしてこんなに美しいのかなぁ
と改めて感動した本。時には哀しく時にはコミカルに。

酒浸りの父親のせいで結婚ができなくなると泣きつく娘。
仕事もできなくなり自分が働くことになり、そこで
嫌な思いもし、さんざん恥ずかしい思いを
させられてもなお娘より夫を思う妻の情と
娘の言葉を聞いて妻子の前から姿を消す夫の情。
色々な情の形があることに深く考えてしまう表題作「夜消える」

岡場所に身を沈めた幼馴染が病気の為、戻ってきた。
自分の幼い頃の過ちを誤るために再会するが。。。「にがい再 会」

久しぶりに偶然出会った別れた妻、その後ろ姿にふと見た寂しさ。
また所帯を持ったもののどこか腑に落ちない暮らしを感じる菊蔵は。。。「永代橋」

10歳の信次の住む長屋で遊び友達のおきみの家が夜逃げをした。
そこに残されたのは寝たきりの老婆一人きりだった。老婆はまるで
死を待つかのように長屋の人たちが用意した食事を拒む「踊る手」

所帯を持って1年、真面目で特別変わったことのなかった夫が
いきなり姿を消した。5年後、人づてに夫の消息を聞き探し始める「消息」

たった一人の家族である弟が妻になる人を連れてくる。親の残した借金と
年の離れた弟のためと身体を売ってきたなみは、本当なら
祝ってあげるつもりだったのに、出世した弟と「お嬢さん」を見るなり
卑屈な思いがこみあげてきてしまった「初つばめ」

喜左衛門は妻に先立たれて10年になる。後添いの話も幾度と
あったがすべて壊れた。というのもすべて邪魔がはいるから。
死んだ女房の幽霊が邪魔をする「遠ざかる声」

特に「踊る手」が好き。最後の場面には涙。
「遠ざかる声」も好き。きっとね、死んだはつは
とてもとても愛してたんでしょうね。喜左衛門を。
それも喜左衛門が思っているような生半可な嫉妬ではなく
本当に、自分がいなくなった後、喜左衛門にとってのいい女性を
妻に置きたくて、という思い、わからないでもないな。
きっとね、はつにはお見通しだったと思うのです。
喜左衛門がはつの嫉妬から隠そうとした闇の中の幸福感すら
すべてそうなるとわかっていて、その上でそう導いたような
そんな気がするのです。

そこまでは書かれていないのにそんな風に
どんどん、きっとこの後は。。。と思考を巡らせる心地よい余韻を
藤沢の書くこの本は優しく残してくれます。
短編集ならではの醍醐味。
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2005年 09月 23日 |
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 信濃毎日新聞夕刊ほかに昭和57年より連載された
長編小説。
その内容は重く暗くなのに心をふっと軽く爽やかに
させるのは藤沢の美しい文体の成せる技。

奉公先から出て仲買いから始めて今では株をもち
店を一代で起こし中堅の紙問屋として人も雇い
順調に商いをしている新兵衛。
しかし、40歳を迎えた頃、髪に白いものを見つけ
こんなものか、とふと寂しく思ったことから
女中の若い身体にふらりと動かされ、妾として
囲ったが、今ではそれもきれいに精算した。
なのに妻はずっと無言で新兵衛を責め続ける。
もともと心の通い合う女子ではなかったのだ、と
特に繕うでもなく、家はいつも冷えびえとしていた。
頼りのはずの長男は、一向に店に力を入れることもない上
岡場所に通い遊びほうけ家を黙って空けることもしばしば。
そんな折り、ふとした縁で同業者である丸子屋のおかみ
おこうと知り合い、おこうこそ、本当に心通い合わせることの
できる運命の相手だと確信するが
不義密通は人の道として世間様は許してくれるわけもない。
時同じくして、新兵衛の得意先が次々と「割り込み」と
呼ばれる極端な値引きにより横取りされていく。
相手は格式のある老舗の問屋達。
新兵衛は目に見えない大きな策略に嵌められていくのを感じた。

藤沢文学として評価の高い作品。
新兵衛はじめ人物の心の静かな動きも洩らさず読み込めるので
読んでいて自然と感情が、新兵衛が感じる得も言われぬ不安感が
海鳴りが聞こえるかのように伝わってきます。

不義密通に対する脅しと仕事の罠、世間の目や、家族問題と様々な
泥沼にはまっているのに、どこか大人のための童話のような
作者の登場人物への優しさは読んでる者の心も癒してくれます。
心の静けさ、一筋の光。
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2005年 08月 28日 |
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 隠し剣 秋風抄の姉妹編、狐影抄です。
前作同様、数々の秘剣とその秘剣の持ち主達の
生き様を綴った短編集。
もちろん武士としての、剣遣いとしての
主人公に引き込まれるのはもちろん
その剣を遣う場面のぐっと読ませる文章はさすが。
それだけでも十分読み応えはあるのに
さらに、女性のこまやかな心の動きも絶妙。
特に、あたしは「必至剣鳥刺し」のラストは涙ぼろぼろ。
以下、ネタバレもありですので未読の方は要注意。
(一応。。。ここを読んでも
藤沢の本を読めばさらに楽しめることは請け負います(笑))

「邪険竜尾返し」
赤倉不動へ初めて特に祈願する者や信仰厚い者が
するようにお籠もり堂で過ごした絃之助。実はそこでは
闇夜に紛れて見知らぬ男女がむつみ合う饗宴が。
絃之助に声をかけてきて、一晩だけ知り合った女の
正体は絃之助が「不敗の竜尾返し」を伝授されたと
思いこみ幾度も試合を申し込んできている赤沢の妻女だった。
試合を受けなければ言いふらすと嵌められた絃之助。
しかし絃之助は本当に寝たきりになり言葉もままならない父から
秘剣はまだ伝授されてなかった。
竜尾返しは流儀の基本にそむく異端の剣。
騙し技と言われるその剣は相手の屍と共に葬るべき剣だった。

「臆病軒松風」
満江は秘剣をも伝授されているという新兵衛と
5年前に祝言をあげたが、とても秘剣を伝授された
人物とは思えぬほどの
臆病振りに半ば失望し軽蔑していた。
そんな折り、遊び人な従兄の道之助に久々に会い
我が夫と比べる自分がいた。
剣使いとは縁遠い自分の身内より剣使いというだけで
憧れ嫁ぎ、実は剣使いであることを疑うような貧相な
臆病者の夫、しかしまた遊び人の従兄と比べたとたん
夫の臆病さに急に愛おしく守りたいものに変化していた。
しかしそんな臆病者の新兵衛に若殿の警護が命ぜられる。
実は松風は守りの剣、臆病者の新兵衛ならでは
松風の秘伝を忠実に伝えていたものだった。

「暗殺件虎ノ眼」
祝言を前にして志野はすでにその相手の太四郎と
家の者を欺き料亭で会っては取り返しのつかない歓びに
身を委ねていた。しかしそんな事の後に
父が何者かに暗殺された。それは「お闇討ち」と呼ばれる
藩主の私の憤りがつのり、堪えかねたときに遣われる
決して表には出ない上意討ちであった。
闇夜に放たれる刺客は虎ノ眼と呼ばれる秘剣を遣う。
闇夜ニ剣ヲ振ルウコト白昼ノ如シと言われるその剣は
藩中にただ一つ父から子に幼い頃より暗闇に
目を慣らすことから伝授されるものだった。
志野の兄、達之助は太四郎に疑いの目を向けたが
本当の代々秘剣を伝えられていた者は。。。

「必至剣鳥刺し」
三左エ門は3年前に藩主の愛妾を城中にて
刺殺していた。その女の浅はかな政治への関心と
藩主への取り込みからの失政の為、藩内には
彼女に対する反発と憤りがみなぎっていたが誰も
それを咎められずにいた矢先、三左エ門はその女を
斬ったのだった。極刑を覚悟してのことだったが
一年の閉門と禄を減らされ役を解かれただけだった。
さらにその後には禄を戻され、藩主の近習頭取の役に命ぜられた。
憎まれているはずの藩主の護衛、その訳は三左エ門自身で
工夫した秘剣、今日まで誰も見たことがなく
彼一人しか遣えない剣の持ち主だからということだったが。。。

「隠し剣鬼ノ爪」
宗蔵は一人相伝、絶対に誰にもその剣を漏らせない鬼ノ爪という
秘剣を伝授されていた。しかし、その伝授に対し不満を
覚えていた狭間は、後に事件を起こし牢に入っていたが
牢破りをした挙げ句に宗蔵を自分の討手に仕向けるよう
言い出してきた。秘剣を受けられなかった恨みにその
秘剣をうち破るべく時を過ごしていたらしい。しかし
その秘剣は流派の本筋とはずれた屋内闘争の為の短刀術だった。
誤解を受けたまま、宗蔵は、身体を差し出すことすら問わぬ
狭間の妻嫁の夫を見逃して欲しいという願いを断ってまで
狭間の出した試合の要求に応えに向かった。

「女人剣さざ波」
美人と評判の姉のその妹というだけの理由で
顔も見ずに祝言をあげた相手邦江は、実は醜く冴えない女であり
なおかつ仲人は彼女を、猪谷流の高足、道場内では
打ち込める相手もいないと押したが、むしろ剣が
苦手な俊之助にはさらに疎ましく反感を持ったくらいだった。
俊之助の母には心映えのよいよく働く申し分のない嫁でも
俊之助はを疎み優しい言葉のひとつもかけずに
幼い頃から顔見知っていた奉公人の娘であり、今は
芸奴になっていたおもんと遊び続けていた。
そんな茶屋通いに目をつけられ、上から、殺された内偵の
変わりに内偵の任務を他言無用と言いつけられる。
同じように茶屋通いをし、その場で繰り広げられているであろう
密談とその相手を探り出すことだった。
面倒な藩内の政争にまきこまれるのもいやだし、何より
俊之助は剣にはまったく自信がない。しかし決して
断れるものではなかった。そして。。。

「悲運剣芦刈り」
病弱でまだ若い妻女を残して死んだ兄に代わり
家を継いだ曽根は祝言を挙げる予定の奈津がいるにも
かかわらず、嫂の卯女の誘われるがままに関係を
持ってしまった。悩んだ曽根は友達であり同門の
兵馬にうち明け相談したものの、夫を亡くしまだ
婚家を去らずにいる美しく若い嫁とその弟に対して
世間の目は当然疑いを向けてくる。
婚約者である奈津の兄は妹の為と、曽根を問いただし
その事実をとどけでると言われ斬ってしまう。
そのまま出奔した曽根の討手の一人は兵馬だった。
秘剣芦刈りを伝授されている曽根に対して兵馬は。。。

「宿命剣鬼走り」
幼い頃より剣で争い、一人の女を巡って争い
互いに妻を持ち子を持った今ですら
ずっと宿命のように常に張り合い続けてきた
小関十太夫と伊部帯刀。
隠居した二人に子供達すらをも巻き込み
家を捨て最後の闘いに出る。
十太夫は秘剣鬼走りを遣い向かっていく。

はぁ。。。。かっこよすぎです。
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2005年 08月 23日 |
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 藤沢周平の長編伝奇時代小説。
もぅオモシロイ!はまりますよ、これ。
まず始まりは江戸城二ノ曲輪内、一橋邸にて
世継ぎ争いに城内が揺れていることが
ある二人の密談から始まります。
そしてすぐに話は筆耕の職に就いたばかりの
浪人、源次郎に移り、その帰り道
目の前で突然、斬り合いに出くわす。
何の縁あってかその斬り合いで深手を負った
公儀隠密からの密伝を託される。
その密伝はどうやら老中田沼意次と
八嶽党(はちがくとう)が繋がっていることを
知らせるものだった。
八嶽党とはおよそ150年前の慶安の頃より
将軍職の継承に絡んで奇妙な動きを示してきた徒党であり
その八嶽党が動くということは
また将軍家交代を企て影で動いていること。
狙いは世子大納言家基。
その命を守るために源次郎は八嶽党の動きを
公儀探索の佐五達と共に探り始めたが。。。

もぅなんて言ったらいいのか美味しいところが
すべて詰まっているような。
単なる政治争いだけではなく、忍者モノを楽しむような
わくわく感もあれば、源次郎の妻の不倫と離婚と自害への
やりきれなさ、友達の民之丞の絵を志す思い
もちろん藤沢ならではの風景描写の美しさ
市井の生活の音も聞こえてきそうな表現
剣を構える場面では手に汗もの。
たっぷりと藤沢節が味わえる素晴らしい1冊。
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