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カテゴリ: :福井晴敏( 3 )
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2006年 10月 29日 |
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 福井晴敏の初期短編集ということですが
短編なんかではなく中編、中身は長編並の読み応え。
ダイスファンにはたまらない1冊。
もぅかっこよすぎ。
読み終わったときには、市ヶ谷、永田町、桜田門
だけではなく神谷町=ロシア、赤坂=アメリカ、
麻布=中国なんて言いたくなる(笑)

どの話も国益、治安維持という名目で
人殺し等の汚れ仕事を淡々と遂行する
防衛庁情報局の工作員達。
上からの命令には疑問をはさまず
感情を捨て、ロボットのように任務をこ。
そんな彼等が「人間としての情」によって
感情を揺さぶられる6編。
不実な世界に妥協して生きるか?
人間として誠実に死ぬか?

いまできる最善のこと (初出:1998年)
元治安情報局の工作員と小生意気な小学1年生
建設業界で成功し今の仕事の地位を得た自分を狙う
北の元工作員。生きて帰れるのか、この小さな
まったく見ず知らずのたまたま居合わせたこの子を
守ることができるのか?

畳算 (初出:1999年)
ロシアの隠した「スーツケース」を隠し持つ老婆
昔、芸者だった彼女は「畳算」で帰らぬ愛した人を
ずっと思い続けた。とてもせつない美しい話。

サクラ (初出:1999年)
防衛庁情報局員、正局員の高藤と
警補官と呼ばれる必要時のみ招集されて任務に
あたる桜。根っからの事務屋の高藤に比べ
桜はSOF、対テロを目的に結成されながら誘拐、
暗殺などの汚れ仕事の引き受ける特殊要撃部隊上がり。
二人の任務はサブジェクトが「北」に「精算」
されることから守ることだった。

媽媽 (初出:2000年) 
DAIS勤務の兼業主婦。どんな仕事も悩みは
同じなのねなどと思いながらもその重さは
まったく違うわけですが(苦笑)
多発している現在の海賊事件の裏で
隠されていた哀しい母子の生き様。

断ち切る (初出:2000年) 
「断ち切りのタメ」と呼ばれた元スリの椛山
息子夫婦の家に同居し自分の居場所に
思うところがあるそんなある日、
昔、椛山を追い回した刑事の韮沢から受けた
仕事は実は大がかりな罠の一部分だった。
「媽媽」続編。

920を待ちながら (初出:2004年)
「亡国のイージス」より時間軸は前のストーリー。
上手く練られとても深く伝わってくる。
C-blossomとも話がリンクしてます。

結構、ボロボロ泣いちゃったり。とくに最後の1話は
本気でイイ!!!
(タクシー運転手を見る目が変わりそう。。。ってことはナイ)
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2006年 01月 04日 |
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 先日読んだ「亡国のイージス」、すっかり福井作品に
はまってます。こちらは江戸川乱歩賞応募作に加筆訂正をした
もので実質的にはデビュー作と言えるもの。

華奢な体型で並はずれた戦闘能力をもつ主人公と
人情味あふれる中年男という形は「亡国のイージス」と同パターンなら
国自身での決定権すべてを放棄し、事なかれ主義を通す
この国へ問いかけるというテーマは一貫していて
読んでいくとすっかりその思考に染められそうです。

刑事の世界に嫌気がさし退職後は、世捨て人然とした
生き方をしている警備員、桃山。
警備する彼の目の前に現れたのは1組の若い男女。
怪我を負った彼らの世話を焼くことに刑事時代に感じた
存在価値を見出した桃山は、日米そして「北」の陰謀に
次第に巻き込まれていく。

はじめはオウム真理教の地下鉄サリン事件を
ベースとして描かれた「地下鉄爆破テロ事件」は
著者の独自の謀略構想。それでも衝撃的事件なだけに
同一視は避けられずもしかしたら本当にその裏には。。。などと
考えてしまうほど本の内容そのものにも引き込まれますが
やっぱり一番この本の中で魅力的なモノは
保と桃山の関係、と葵を守りきること使命とした保の生き方。
もちろん「亡国のイージス」とは切り離しても読めるし
その前史(ダイス誕生秘話)としても読めます。
戦闘シーンでの描写から人の心の動きまで文章が
しっかりしているので多少の無茶や「ありえない」は
戯言にしてしまうのも福井作品の魅力では。

保の日本から北朝鮮へ移ろうとする時の言葉が
なんか妙に引っかかったのでここで。
「考えることを捨てた国から、禁じられた国に移るだけのことだ。どうってことない」
とても耳の痛い辛辣な言葉です。 

ちなみに「川の深さは」というタイトルは葵の読んでいた
雑誌の心理テストから出た言葉ですがその後も「川」というのが
様々な部分で表現として使われておりとても意味深いです。
あたしの答えは「膝まで」でしたが。。。
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2005年 12月 07日 |
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 今年の夏、映画化され自衛隊全面協力だとかで
話題になった作品ですが、あたしはまぁ例えば
戦争モノとか戦艦モノなど苦手な分野なのです。
というのも、色々こむずかしい戦闘機やら機械の
(機械っていうかぁ?!)名前が羅列されちゃうでしょ。
全然興味のない分野なので想像もつかないし
もぅちんぷんかんぷんなのですよ。
映画はどうかはわかりませんが、この本は
そんな分野でありながらめっさ面白かったです!
確かに、戦艦が舞台になっているし色々と
わからない名称も出てきますが
んなことも気にならないほど。
(あ、あと本を開くとまず登場人物名が
ずら〜〜〜〜っと並んでいる本も無意識に避けるクセも
ありますが。。。(苦笑))

海上自衛隊の最新鋭イージス艦「いそかぜ」が
占拠された。その艦には一発で東京を
壊滅させられるアメリカが極秘に開発し
北朝鮮のテロリストによって盗まれた極秘兵器が
積みこまれていた。
占拠によって艦を追い出された、たたき上げ自衛官が
艦を取り戻すべく一人艦に向かい。。。とヒトコトで言えば
そんな話なのですが、それだけではありません。
その中には様々な人間ドラマがしっかりとあります。

何十年も自衛隊に勤めてきた先任伍長、
数奇な運命の中で己に掟を与え続ける謎の青年、
息子を国に殺され復讐を誓った艦長、北朝鮮の”革命”を掲げ
恐ろしい兵器を盗み出した男。それぞれの人間の思惑が交錯し
二転三転する展開に引きこまれ、 敵と味方が不明なまま
事態は進行していき、緊迫の中でギリギリの戦いを強いられる男達。
国を統制する首相や大臣達は自分達の立場と国民の命と
国際的均衡を秤にかけつつ翻弄される。

もぅとにかく先任伍長、仙石と如月行(こう)のやり取りが
いい。最後はじ〜ん、と。
母親との思い出などがきちんと描かれているからこそ生きてます。
息子を思う父親である艦長、宮津もカッコイイ。
あ、あえて言うなら「騙されました」(笑)
ミステリづいてるのでそんな部分でも楽しめましたね。


「イージス。ギリシア神話に登場する、どんな攻撃も
跳ね返す楯。しかし現状では、イージス艦をはじめとした
自衛隊装備は、防御する国家を失ってしまっている。
亡国の楯だ。」

顔のない国、日本に対しての辛辣な、誰もが
心の奥底で気づいていながら目を背けている部分。
本当の平和。
もしこの本の世界が本当に映画化されているのなら
ぜひとも見たいところですが、きっと「辺野古ディストラクション」
やら戦域ミサイル防衛構想(TMD)なんてもちろんのこと
艦長についていく人たちの思いやテロリストとして生きる男女の
思いなんてきっと描ききれてはないでしょうねぇ。。。
ただの戦艦モノになっていそう。
しっかりと人間関係を描ききった作品で見たいです。
まぁこの長編を2時間程度にまとめるってのからして無理でしょうね。
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