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カテゴリ: :宮部みゆき( 22 )
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2010年 06月 19日 |


もう会えないなんて言うなよ。あなたは思い出す。どれだけ小説を求めていたか。ようこそ、小暮写眞館へ。3年ぶり現代エンターテインメント。(「BOOK」データベースより)

つい先週読み終わりまして。。
それまで(ここの更新日時はもぅ読後順でも読後すぐでもナイです)
もぅしばらく本を読むのを離れていたのですが
ここいらで気合いもいれようと厚いハードカバーに手を出しました。

宮部みゆきなら絶対安全牌、途中で投げてしまう心配もない。
絶対に面白いに決まってる。

きっとそう思う人はかなり多いと思う。
宮部なら面白いに違いない。

その通りです。
期待をまったく裏切らない。

本来なら壊してしまって新しい建物を建てる前提で
売り出されている古民家有り物件を買った花菱一家。
けれど一家はそれを取り壊すことなく
リフォームして住み始める。
小暮写眞館のまま。

そこに持ち込まれる心霊写真。その謎解きを始める花菱家長男の
花ちゃん、周囲には個性豊かな友達。

宮部のあのパターンだね、と思いながら読み進める。

そう、これだよ、これ。こんな小説が読みたかった、と思わせてくれる。
小説を読むことの醍醐味を教えてくれる。
気持ちよく泣ける、感動できる。
登場人物達みんなが生きてそこにいる錯覚。
読み終わった直後に最高と言える小説。
後味もよく、かと言ってその世界にどっぷりで止まってしまうことなく
次も読みたくなる、本好きにはたまらないこの感覚。

特にラスト。何度も読み返したくなる心地よさ。

精神的に疲れてる人へのひとつの答えだってしっかり教えてくれている。
素敵な参考書。

ハードカバーですが意外に軽めなのでぜひ。
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2008年 04月 18日 |
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江戸・深川の料理屋「ふね屋」では、店の船出を飾る宴も
終ろうとしていた。主人の太一郎が胸を撫で下ろした矢先
突然、抜き身の刀が暴れ出し、座敷を滅茶苦茶にしてしまう。
亡者の姿は誰にも見えなかった。
しかし、ふね屋の十二歳の娘おりんにとっては
高熱を発して彼岸に渡りかけて以来、亡者は身近な存在だった—。
この屋敷には一体、どんな悪しき因縁がからみついているのだろうか。
(「BOOK」データベースより)

長編時代小説ですがさすが宮部、、時代小説が苦手
読んだことないという食わず嫌いさんも絶対に
するっと読めるのは力量ある作者ならでは。
ほんとにそーいう人にこそ、時代小説への
とっかかりというのも変だけれどぜひ読んで欲しい。
時代小説として欠かせない風俗や言い回しも
さりげなく気づかない程度に説明が話の中に
組み込まれているのでまったく違和感なく「わかる」ように
なってるしね。もちろんその時代ならではの人情味も!
他にも宮部は時代小説を書いているけれど
その中でもこれは秀逸!

それにしても宮部という作家はどうしてこぅ人を書くのが
上手いんだろう。おじいさん、おばあさんも若者も子供、娘
おばさん、みんな生きてそこにいるような、と言っても
お化けさんたちだけど(笑)
そしてみな魅力的な個性をもって存在している。

12歳の素直で澄んだ心の持ち主のおりん
そして女ったらしだけれど頼れる若侍の玄之介
艶やかで優しい姐さんのおみつ、気難しいけれど
人を癒すこと、治すことが好きな按摩の笑い坊
顔中傷で歪んだ暗い過去を持つおどろ髪
そして、おりんに向かってあかんべえをするお梅。
それぞれがまだ成仏できない理由、
その彼らがふね屋にいる理由、見える人と見えない人が
いる訳、そしておりんが全員を見える訳
彼らはちゃんと成仏できるのか
最後の最後まで、ぐいぐいと引っぱりこまれ
いっきに読ませます。

とてもいい世界に一時的に紛れ込んでいたような
現実に戻って来ちゃったのがちょっと寂しいような
それくらい素敵な本です。
ラストいそぎすぎ?な感はあるもののあれくらいで
逆にいいのかも。

こんなお化けさんたちならいるかもしれない
いても不思議じゃないよなぁと妙な説得力もあるし(笑)
そうそう!
この話に出てくる「料理屋」の料理がどれもまた
魅惑的!添え役程度の出番だけれど
どれも美味しそうでそーいう細かいところでも楽しめます。

おすすめっ。
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2008年 03月 06日 |
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それぞれは社会面のありふれた記事だった。
一人めはマンションの屋上から飛び降りた。
二人めは地下鉄に飛び込んだ。
そして三人めはタクシーの前に。
何人たりとも相互の関連など想像し得べくもなく
仕組まれた三つの死。さらに魔の手は四人めに伸びていた…。だが、
逮捕されたタクシー運転手の甥、守は知らず知らず事件の真相に迫っていたのだった。
日本推理サスペンス大賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)

あぁ。。。宮部だ、と思える作品。初期なのにね。
すでに完成されてたのですね、あらためてすごい。
読み終わって、面白い本というのはこーいうことだよなとか思ったり。

ただ、読み始めはあたしはきつかった。
宮部みゆきの頭の中では
この「いったい何がなんだかわからない」ことがすべて
すっきりまとまっていてそれを、じっと読んで行けば
あたしたちの前に、どう?とばかりに披露してくれるんだろう、と
安心して読めるのですが、それが「わかる」までがつらい。
主人公の少年にしてもキャラ的に魅力もあり
読ませるのですが、何せ、もぅ、ころころと語られる人物と
その世界が変わるので、いったい何がなんだか?と。。。
そして、その幾重にも語られていた話が
やがてひとつにまとまる時、とてもすっきりできるわけです。
徐々にわかっていく興奮、確かにそれはありますが
どうしても読んでいる最中、その「最後にすっきりさせてあげる」感が
疲れるのかもしれないなぁ。
それを求めている時にはもぅまさにぴったりな一冊!
やっぱり宮部はうまいよな、とあらためて思わせます。
(ほぅほぅ、こーいう作りを「ミッシングリンクもの」と呼ぶのですね)

単なるミステリとしてだけではなく、すべてが解決した後も
きちんと描ききれていてその部分、特に好きですが
後々、社会派ミステリとしての片鱗もすでにこの頃から
覗かせていたのですね〜。
ちなみにこの話では詐欺です。化粧品のキャッチだったりね。
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2008年 02月 24日 |
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東京下町、荒川土手下にある小さな共同ビルの
一階に店を構える田辺書店。
店主のイワさんと孫の稔で切り盛りする
ごくありふれた古書店だ。
しかし、この本屋を舞台に様々な事件が繰り広げられる。
平凡なOLが電車の網棚から手にした本に挾まれていた名刺。
父親の遺品の中から出てきた数百冊の同じ本。
本をきっかけに起こる謎をイワさんと稔が解いていく。
ブッキッシュな連作短編集。
(「BOOK」データベースより)

ひっさびさに宮部作品です。
一時宮部ばかり読んでいてまぁ他も開拓したいよねってな
感じでちょっと他の作家さんばかり手に取ってたのですが
やっぱり久々に読むと、この安定感、すごいですね。
さすがだな、と。
すべて出来上がっていてつっこみどころもない。
女王の貫禄って感じでしょうか(笑)

事件は確かに殺伐としたもの、痛々しいものを扱っているけれど
下町の古本屋のおじいちゃんとすれていない高校生の孫の
やり取りが全体を暖かくしているのもお見事。

古本屋のおじいちゃん(でもまだまだ現役)を
中心に繰り広げられる6編の連作短編集。
「六月は名ばかりの月」
結婚式の引き出物の表紙に書かれた「歯と爪」という文字と
姉の失踪。新妻にまとわりついていたストーカーを問いつめて行くと。。。
「黙って逝った」
急死した父の遺品は302冊の同じ単行本。父とは
まったく関係のなさそうなその本の跡を辿って行くとそこには
何ものかに殺された緑のおじさんが。
「詫びない年月」
夢枕に立つ親子の霊の騒ぎの後、家の建て替えをしようと
掘り起こしたら出て来たのは親子らしき戦時中の遺体。
「うそつき喇叭」
絵本を万引きした少年の体に残る暴力の跡。
親によるものかと周りは緊張感を高めるが。。。
「歪んだ鏡」
電車の網棚に忘れられたのか置かれた文庫本「赤ひげ診療譚」
そしてその間に挟まれた1枚の名刺。持ち主は死体となって新聞に。。。
「淋しい狩人」
連続殺人の結末を発表しないまま失踪した作家。そこに
自分はその推理がすべて解けた、と本の内容のまま殺人を
犯して行く犯人。

どの短編も質が高く安心して勧められる一冊。
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2006年 06月 02日 |
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 宮部の時代モノミステリ小説。捕物帖です。
霊感=「超能力」のある少女お初が
解決していくという話ですが
時代小説に「超能力」なんて意表つきすぎ。
あり得ない!というムズカシイ状況を
そこはさすが宮部、丁寧にさらっとこなしています。
この霊験お初シリーズ、短編では
短編集「かまいたち」などで発表されてますが
長編としては一作目。

深川の長屋で騒ぎになっている死人憑きを調べるように
南町奉行根岸肥前守に命じられたお初。
しかし事件はそれだけにとどまらず
江戸を騒がす幼児の連続誘拐殺人
夜な夜な鳴動するという、武家の庭にある岩。
すべての事件はひとつの糸を手繰っていくように
100年も昔の赤穂浪士の討ち入りへと繋がっていく。

実は「忠臣蔵」だけではなく実在の人物、南町奉行の
根岸鎮衛が怪異の類を聞き集めて著した「耳袋」も
存在し、その二つの史実を様々に起こる物語中の事件と
上手に絡めてあり、やはり巧いなぁという印象。
それでも読むスピードがさほど速くなかったのは
その話の安定性ゆえに、なのかなぁ。
本として優等生的かな。
新人作家にあるような無茶な引っ張られ方はしない分
落ちついてじっくり読めました。
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2005年 11月 27日 |
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 宮部の「ぼんくら」の続編です。「ぼんくら」から
読むことをお奨めします。

前作「ぼんくら」の登場人物に加え、また様々な人が
登場し、その登場人物たちひとつひとつのエピソードが
最後にはすべて繋がってゆく。もぅ見事です。そしてそれが
いかにも「こうなるんですよ」的にアタマで作られたような
「くっつけられている」感がなく見事に自然。
すべてが必須。余計なものもなければ
じゃああれはどうなったの?なモヤモヤもない。
さらに毎回、魅力的な登場人物たちの面白さが絶妙に
絡み合いもぅずっと読んでいたい、と思うほど。
読み終わるのがもったいない!
ベースは人情捕物帖ですが、普通の小説感覚で読めると思います。

一日一日を積み上げるように暮らすことが
実はどんなに大変かを考えてしまいました。

以下「ぼんくら」のネタバレにもなるのでご注意を。
上巻4作目までは、短編連作として話が進みます。

「おまんま」
一切の食事を拒んで倒れてしまった岡っ引き政五郎の
手下のおでこ。まだ13歳のおでこは自分の
「存在意義」に疑問と不安でいっぱいだった。

「おまんまのいただき方は、人それぞれに違う。
違うやり方しかできない。自分にできるやり方を
するしかないし、それしかやりたくないのが人のわがままだ。」

似顔絵つきの扇子の絵師として人気を博した祥文堂の秀明が
殺された。平四郎がその謎を解けたのは35年前もの事件を
諳んじることのできるおでこの才能があればこそだった。

「嫌いの虫」
鉄瓶長屋で一時的に差配をしていた佐吉。植木職人の
仕事に戻り幼い頃から見知ったお恵と所帯を持った。
周りに祝福され希望抱いて夫婦になったはずなのに
「隠し事」をされていることに気づいていることを「隠す」
お恵の心は揺れていた。
「いつか別れるのではないかと、別れる前から怖れ怯えて
暮らすのも、愚かなことだと教わりました。それは別れが
怖いのではなく、自分の手にしたものを手放したくないという
欲に、ただただ振り回されているだけのことだから」

同じ長屋に住む佐吉の仕事仲間の徳松夫婦。子供を置いて
時々ふらりと姿を消してはきっちりと帰ってくる女房のおとみ。
夫婦の仲のことはその夫婦それぞれ。

「子盗り鬼」
二人の娘を抱えた未亡人のお六とそのお六に病的に
付きまとう悋気持ちの孫八。逃げるために娘達と
住み込みの女中に入った先は「子盗り鬼」が出ると
噂される「葵奥様」が一人で住む屋敷だった。

執拗に追う孫八に「葵奥様」は大がかりな「仕掛け」をする。

「なけなし三昧」
幸兵衛長屋に移り住んだ煮売屋のお徳の並びに
商売敵が現れた。お菜屋のおみねの店では
長屋暮らしの者には手の届かないようなお菜を
法外な安さで評判を集めようとしていた。
自分の存在を「ある人」に知らせるために。

「その人の笑顔を見たい。その人と一緒にいたい。
その人が困っていたら助けてやりたい。惚れると
いうのは、そういうことであるはずなのに。」

商家の娘が首を吊って自害した。散々貢いだ挙げ句に
身籠もり捨てられた果てに。せめてその相手を
突き止めたいという親の申し出を受けた政五郎と
その話を受けた平四郎。仕掛けた罠に荷担したのは
弓之助の従姉、親の縁談に悩むおとよだった。

「日暮らし」
葵が殺された。下手人として捉えられたのは
その場にいた佐吉だった。
無実であると打ち明ける佐吉とどうしても真実を
突き止めたい平四郎たちは事件の解決に奔走する。

煮売屋からお菜屋、果ては仕出し屋へとお徳に
商いを広めるよう手助けをしてくれた庖丁人の彦一。
平四郎が初めて懐柔する時にも二人は
強力な助っ人となる。
一度は解決させたよその島の事件をそうしてまた
洗い直して見えてきたものは。。。

この話一番の長編です。

■鬼は外、福は内
事の顛末を伝え、腰を痛めた平四郎は
佐吉夫婦の家からの帰路、病人を乗せる釣り台に揺られる。

「一日、一日、積み上げるように。
てめえで進んでいかないと。おまんまをいただいてさ。
みんなそうやって日暮らしだ。
積み上げてゆくだけなんだから、それはとても
易しいことのはずなのに、ときどき、間違いが
起こるのは何故なんだろう。
自分で積んだものを、自分で崩したくなるのは
何故なんだろう。
崩したものを、元通りにしたくて悪あがきするのは
何故なんだろう。」

上下巻合わせて700ページを越えますが
一度として中だるみナシ。素晴らしいです。
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2005年 11月 07日 |
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 そーいえばまだ読んでなかったなぁで読んでみた
宮部の処女長編作、「パーフェクトブルー」
お財布が語り手というのは以前読んだけれど
今回の語り手は元警察犬のマサ。

高校野球界のスーパースター、諸岡克彦が
殺害され身体にガソリンをかけられ燃やされるという
むごい事件が起こる。そしてその前に実は
まったく同じ場所で同じように燃やされていたものがあった。
そこからして事件は異様で謎めいていく。
しかしその裏にはもっとむごくあってはならない
製薬会社の作り上げた何重ものヴェールが存在した。
その謎を解いていく弟の進也と蓮見探偵事務所の
加代子と加代子のボディガードである「俺」マサ
謎の先にぶつかったヴェールが彼等を待ち受けていた。

処女長編作という目で見てしまっているからか
それ以降の宮部作品の奥深さを知っているからか
もし宮部でなければ素直におもしろかったと
言えたかもしれないけれど、他の宮部作品と
比べると正直、拙さが目に付く。
会話の流れの最中に、これは誰の台詞?や
○○って誰だっけ?と瞬間襲う「?」は
あたしの読解能力の低さだけではないはず。
強請をかける者、脅されて犯罪に加わる者
主人公達を助ける者、そうした様々な人たちが
今まで生きていた人生の跡さえ見せてしまうような
そーいう手腕はまだ芽吹いてなく
単純にミステリーとしての犯人とその他の
割り振り当てられた登場人物として収まってる感じ。
ゆえに会話ひとつ取っても「自然にその者から出た」感じが
薄いせいかと。

マサ視点の間に「幕間」として木原和夫という人物視点の
まったく違った展開が繰り広げられ
一見接点のないように思えるそれぞれの物語が
徐々に繋がりラストへという点では宮部お得意のという流れですが
うわっとまではさせないちょっとツメの甘い部分と
探偵である加代子そのものの魅力が弱い部分が惜しいといえば
惜しいものの宮部らしい読後の爽快感は楽しめました。
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2005年 09月 20日 |
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 初期の宮部の文句なく「おもしろい」連作短編集。
嵐の夜、ある新興住宅地に侵入しようとした隣の家に
泥棒が落ちてくる。その家の一卵性双生児の中学生に
気を失い倒れたところを助けられ、看病を受ける。
意識が戻ると、何故か親がいない。
問いただすと、父親は愛人と、母親も愛人と同時に駆け落ちし
互いにそれぞれが子供の面倒を見ていると思いこんでいる、と。
ところが実際は双子の中学生ふたりで生活をしていた。
けれど家のローンの支払い、生活費が底をついてきた。
そこで二人は彼に取引を持ちかける。
警察には突き出さないかわりに、僕たちが二人で暮らして
いけるようにお金を出して欲しい、「お父さん」になって欲しい、と。

もぅあり得ないような設定なのに楽しく一気に読ませてしまうのは
何よりもキャラの魅力。
頭のいい双子の兄弟と父親役を演じなくなければならなくなった
極々、フツウの感覚で職業として泥棒である彼の会話もいい。

何が「今」自分にとって大切か、何を心地よいと感じるか。
謎解きの間にそんな人と人の心の繋がりにほっとできる一冊。
普段、本なんて読まないけれど、何か、軽い面白い本ない?と
聞かれたらコレ薦めます(笑)
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2005年 08月 01日 |
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 宮部の初期作短編集。短編と一言で終わらせられないほど
どの作品もとても奥深く楽しめます。

表題作の「返事はいらない」は失恋から自殺を
考える千賀子に持ちかけられたATMを使った銀行強盗の共犯。
その中でほんの少しだけ別れた彼に仕返しを加えたことで。。。
実際に(当時なら)出来てしまいそうなリアリティがベースに
あることで引き込まれる作品。

「ドルネシアへようこそ」は服装チェックも厳しい
六本木のディスコを背景に、東京の派手な生活から縁遠い
寂しさを駅の伝言板に、架空の相手に残すメッセージで
紛らわしていた伸治。ある日その伝言板に返事がついた。

「言わずにおいて」もぅ会社では年齢が行き過ぎた聡美に
向けられる上司の嫌味な言葉に啖呵を切ったその夜
目の前で1台の車が衝突事故を起こす。しかしその運転手は
ぶつかる寸前確かに叫んだ。「あいつだ!やっと見つけた!」
聡美にはまったく見ず知らずの相手で身に覚えもなかった。

「聞こえていますか」母と祖母の折り合いが悪く
別居する運びとなった勉とその両親。引っ越した家で
見つけたモノは盗聴器だった。そこに住んでいたのは
一人の老人。彼は本当にスパイで、それゆえに
盗聴器を仕込まれたのか?探っていくとそこには。。。

「裏切らないで」刑事の加賀美が担当した次の事件は
若い女性の転落死。一人暮らしの彼女の家は雑誌の中から
抜け出したようにオシャレでお金がかかっており、そして
督促状やカード使用停止の手紙が山となっていた。

「私はついてない」彼女と喧嘩してその仲直りの様子を
伺っていた裕の元に従姉妹の逸美が。同僚に競馬で作った
借金のカタに婚約指輪を取られてしまった。今夜、どうしても
婚約者の恩師と一緒に会うから指輪が必要、と泣きつかれ。。。

どの作品も舞台を色々と変えながら
ある出来事をきっかけに、その人間の裏側が垣間見える瞬間
人の優しさや寂しさ、せつなさ、ユーモラスさ
色々なオブラートに包まれた上質な謎解き。
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2005年 07月 26日 |
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 財閥会長の運転手が自転車に轢き逃げされた。
その社内広報室で働く元編集者、杉村は
愛する妻菜穂子の父でもある会長から
遺された娘二人が「父のことを書いた本を出すことで
犯人に訴えたい」という依頼をまわされる。
が、乗り気の妹に対して姉は出版に反対している。
姉は父の「暗い過去」を妹に知らせたくないと
杉村にうち明ける。
運転手、梶田の人生を遡っていくとそこに
隠された真実とは。。。
宮部作品にしては淡々とした印象。
驚くような仕掛けはないけれど
登場する人物がみなこの本の中とは違う場所で
それぞれの人生をしっかり生きているような
そんな錯覚を起こすほど個性的。
謎解きとして読むよりもこの世界に
すべて思考をゆだねて流れに沿って追っていくのが
とても心地よい一冊。
後味はいいとは言い難いけれど
そんな人もいるよね、世の中
と、今ある自分の幸せを改めて噛みしめる杉村が救い。
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