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カテゴリ: :奥田英朗( 7 )
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2009年 01月 05日 |
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始まりは、小さな放火事件にすぎなかった。似たような人々が肩を寄せ合って暮らす都下の町。手に入れたささやかな幸福を守るためなら、どんなことだってやる—現実逃避の執念が暴走するクライム・ノベルの傑作、ここに誕生。
(「BOOK」データベース単行本より)

及川恭子、34歳。サラリーマンの夫、子供二人と東京郊外の建売り住宅に住む。スーパーのパート歴一年。平凡だが幸福な生活が、夫の勤務先の放火事件を機に足元から揺らぎ始める。恭子の心に夫への疑惑が兆し、不信は波紋のように広がる。日常に潜む悪夢、やりきれない思いを疾走するドラマに織りこんだ傑作。
(「BOOK」データベース文庫本上巻より)

九野薫、36歳。本庁勤務を経て、現在警部補として、所轄勤務。7年前に最愛の妻を事故でなくして以来、義母を心の支えとしている。不眠。同僚・花村の素行調査を担当し、逆恨みされる。放火事件では、経理課長・及川に疑念を抱く。わずかな契機で変貌していく人間たちを絶妙の筆致で描きあげる犯罪小説の白眉。
(「BOOK」データベース文庫本下巻より)

面白いですよー。このスピード感。
上下巻で800ページ超えてるとは思えない。
もぅどんどん引込まれる。

ごくごく普通のありきたりの日常。
夫がもしかしたら放火犯?と疑った日から
足下から砂が海にさらわれるように崩れて行くような
じわじわとくるコワさ、そしてそこでもがく
ごくごく当たり前の専業主婦。
一方
ごくごく普通のありきたりの日常を過ごしているかのように
見えた過去に心の傷をおった一人の刑事。
死んだ妻の母、義母に癒される時間。
けれどその義母は。。。

傑作と思えるほどのラスト。
一人の母としてみれば、えええ?なことも
一人の女性としてみればその強さに圧倒される。
反面、男性の心の弱さを感じたり。。。

家族の為に、子供達の為に、と向かっていたはずなのに
どんどんどんどん状況があらぬ方向へ行ってしまう様子は
この話どうなっちゃうの?というよりも
この人たちこのあとどうするの?な感覚で
どんどん先を読み急ぎたくなる一冊。
そう、それくらい人間たちに厚みがある物語です。
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2008年 03月 18日 |
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自称青年実業家のヨコケンこと横山健司は
仕込んだパーティーで三田総一郎と出会う。
財閥の御曹司かと思いきや、単なる商社の
ダメ社員だったミタゾウとヨコケンはわけありの現金強奪をもくろむが謎の美女クロチェに邪魔されてしまう。
それぞれの思惑を抱えて手を組んだ3人は美術詐欺のアガリ
10億円をターゲットに完全犯罪を目指す!が…!?
直木賞作家が放つ、痛快クライム・ノベルの傑作。
(「BOOK」データベースより)

痛快なスラップスティックコメディ。
読後感すっきり。とても気持ちのよい一冊。
特に中盤からのテンポの良さ
さすがです。
「最悪」とも「伊良部先生シリーズ」とも違う
奥田英朗の手腕、おそるべし(笑)

登場人物達もオモシロイ。
こーいうドタバタものってラストすごい大事。
とくにこんなあり得ない!ってくらいな話だと
最後の最後まで読む側をちゃんと巻き込んで
気持ちよく着地してくれないと
いっきに「あり得ないくだらない」話に成り下がっちゃう。
最後まで気持ちよく、その世界が堂々と
成り立っていないとね。
そーいう意味でもほんとこの本はよくできてると思う。

まぁ初めはちょっとだらだらなのは
こんなだらだらな毎日だからなんとかしたい!という
流れに持って行くのに仕方のない設定ということで。。。

語り手が自然に変わり、それぞれの「変えたい」を
語らせているのもまたいいんでしょうね。

さらっと一気読みできて読後感すっきり。
どこかで彼らが彼らの生活をそのまま続けているような
どこかあったかい気持ちで読み終えられる本
オススメです。
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2007年 09月 08日 |
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不況にあえぐ鉄工所社長の川谷は、近隣との軋轢や
取引先の無理な頼みに頭を抱えていた。
銀行員のみどりは、家庭の問題やセクハラに悩んでいた。
和也は、トルエンを巡ってヤクザに弱みを握られた。
無縁だった三人の人生が交差した時、運命は加速度をつけて
転がり始める。比類なき犯罪小説。

小説のタイトル通り、それはそれは「最悪」な状態。
何気ない日常。取り立てて魅力的な登場人物でもなく
本当にどこにでもいそうな、それぞれの立場の人たちが
「自分は悪くない」という考え(それは誰でも同じように
自分に感じていること)からどんどん「最悪」な事態に。

どうして?なんで自分がこんな目に?と思うような出来事
それをこの本はこの厚みとスピード感を持って
その「ずれ」を見事に書いてます。
だってそれじゃだめだろ?と真面目なはずの女子行員にすら
思ってしまうほど納得がいってしまう。

描き方は、読んでいてずっと「絵」が浮かぶほどで
それゆえにまた読みやすい。
感情移入できそうもない立場の登場人物ですら
ついついその中に入り込んでいる自分に気づきます。
そして。。。読んでいてこちらまで「最悪」な
ずと〜〜〜〜んと落ちるような感覚に(苦笑)

どうなっちゃうの?!という最悪な状態がどう落ちをつけてくれるのか
もぅどんどん読めちゃう本です。この厚さなのにまったく
だれない、スピード感が落ちない、これはすごいなぁ。

一番読んでてむかついたのは零細企業の社長相手に
理屈をこねまわすマンション住人ですかね〜。
あたしも殴りそう(苦笑)
ってな感じに話にはいっちゃってます。

暴力シーンは結構グロいのでお気をつけて。
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2007年 07月 17日 |
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小学校六年生になった長男の僕の名前は二郎。
父の名前は一郎。誰が聞いても「変わってる」と言う。
父が会社員だったことはない。
物心ついたときからたいてい家にいる。
父親とはそういうものだと思っていたら、
小学生になって級友ができ、ほかの家は
そうではないらしいことを知った。
父はどうやら国が嫌いらしい。
むかし、過激派とかいうのをやっていて、
税金なんか払わない、無理して学校に行く必要などない
とかよく言っている。家族でどこかの南の島に
移住する計画を立てているようなのだが…。
型破りな父に翻弄される家族を、少年の視点から描いた、長編大傑作。

ここのところよく読んでる奥田作品。
もぅやっぱりこの人の作品はオモシロイです。
東京、中野と沖縄、西表島と一つの家族を
中心に舞台を南に移して描かれるので
それだけ登場人物は多いのに
その登場人物のキャラがしっかりと描かれて
文中に書かれていない場面でしっかりと「生きている」と
感じられる本は大好き。

一部は二郎の中野での生活を中心に。
中央線のアンダーグラウンドな小学生を
それはそれはリアルに描いていて
ちょっと母親目線で見たらコワイくらい(苦笑)
小学生をカモにする不良中学生相手に
悩む二郎の姿、ちょっと前まで泣けば済む立場だった自分から
大人なんて役にたたない世界で
友達と向かって行く姿は頼もしくすら。
二部は破天荒な父の意向で家族で向かった先は
沖縄、西表島。
ちなみに「サウスバンウンド」とは南に行くという意味。

二部ではもぅお父さん大活躍!元過激派という強烈なキャラクター
炸裂です。現実ではあり得ないけれどもしかしたら
アリかもしれないと思わせてしまうパワーは
伊良部先生にも感じましたが、この父親はそれ以上。
そして沖縄の人たちも、こんな感じなのでは?と思ってしまうほど。
田舎への移住は考えたことは無いけれど
いざ行ってしまえば二郎の姉のように
居着いてしまうかも。

一部だけでもお腹いっぱい、これだけで1冊できちゃうよ?と
思えるほど、詰め込み過ぎ感がないでもないけれど
そこまでしっかりと、東京での二郎の生活を
描いているからこそ、二部で沖縄に移ってからの生活のギャップが
しっかりといきており、また二郎が父親に対する感情も
深く伝わるし、また、家族の絆がしっかりと描かれています。

スピード感もあり考えさせる内容でもあり
十分に楽しめました。
今年の秋には映画公開なのね。
どこまでこの父の破天荒さ、家族の絆を映像で
伝えきれるか、ただのドタバタ劇になりませんように。
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2007年 07月 12日 |
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伊良部、離島に赴任する。そこは町長選挙の真っ最中で…。
「物事、死人が出なきゃ成功なのだ」
直木賞受賞作『空中ブランコ』から2年。
トンデモ精神科医の暴走ぶり健在。
(「BOOK」データベースより)

重い話の後には軽いモノ♪ということでまたまた伊良部先生です。
「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」に続き3作目。

今回も暴走しまくってますが暴走の度が過ぎてちょっと
そこまではどうなのよ?とつっこみたくもなりますが
そこは奥田英朗、うまく「興味」を向かせる手法を。

「オーナー」は、巨人の渡辺オーナー、ナベツネを
「アンポンマン」は、ライブドアの堀江貴文、ホリエモンを
そして「カリスマ稼業」黒木瞳をそれぞれに’パロディ’として
仕上げています。
いやいや、普通こんな扱いされたら怒るんじゃない?というような
「オーナー」のナベマンは、権力の座を得て一生現役で
いたいと願う故に死への恐怖が無意識のうちに高まり
暗所恐怖症、閉所恐怖症、挙げ句の果てにカメラの
フラッシュも恐くてパニック障害に、
「アンポンマン」の安保は極端に無駄を省くことを好み
合理化を求めるうちに、なんと「ひらがな」や簡単な名称すら
ど忘れしまくり、
「カリスマ家業」の白木カオルは40代なのに若いと
世間から賞賛されるうち老いに敏感になりすぎて強迫観念に
とらわれる。。。なんて書かれてもきっと
それぞれのモデルとなった人たちは苦笑いだけで
とても怒れないんじゃないかなぁと思うほど
この登場人物達はとても魅力的。
とても偏りすぎて、初めは、違和感があっても
みんなとても「真剣」でユーモラスで愛おしい。
こうるさく考えず、シンプルに楽しめる3作品。
(「カリスマ家業」に出てくるカオルのライバル
川村こと美や「アンポンマン」の熱血して相手を
怒らせることを目的としている司会者とか
脇役にもしっかりモデルがあるのがオモシロイ。)

そしてもぅ一編。タイトル作の「町長選挙」

これがもぅ面白いです。
あたしは離島暮らしは想像はつかないのですが
もしかしたらホントにこんな感じ?と思ってしまうほど。
いや、とんでもなさすぎて逆に、え?こんなのほんとにアリ?と
思ってしまう。
対立する候補者。そして島民すべてが見守る選挙。
自分の応援する候補者が町長となるかどうかで
自分の生活も180度変わってしまう極端さ。
漁業と農業。それぞれの都合のいい公約を掲げる。

東京から出向された東京生まれ東京育ちの良平は
両陣営から支持者になれと迫られ、脅され、金を掴まされ。。。
そして町営の診療所に2ヶ月だけの赴任されてきたのが伊良部。
相変わらずの子供っぷり大爆発。

「どっちも同じ(公約)なら実現せん。うちだけ、という公約から
先に着手するのが政治家じゃ。同じなら永遠に後回しなんじゃ」

「この千寿は過疎の島じゃ。資源もなく、財源も乏しく、
普通なら全員が貧乏じゃ。でもな、曲がりなりにもインフラが
整備された文化生活を送れるのは選挙があるからなんじゃ。
無風選挙なら町長は何もせん。役場もらくをする。
数票差でひっくり返る宿敵がおるから、死に物狂いで
公共事業を引っ張ってくるんじゃ。」
「生まれたときから当然のように病院や学校がある東京者には
わからん」

はぁ〜〜〜〜。そのとおりかも、と思ってしまった。
そして島民すべてが島を愛しているという事実。
不覚にも最後の「決戦」では涙がじわーん。

おもしろいよー、伊良部。ドラマや映画に惑わされず
ぜひ原作かるーく楽しんでみて欲しいです。
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2007年 06月 11日 |
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人間不信のサーカス団員、尖端恐怖症のやくざ、
ノーコン病のプロ野球選手。困り果てた末に
病院を訪ねてみれば…。ここはどこ?なんでこうなるの?
怪作『イン・ザ・プール』から二年。
トンデモ精神科医・伊良部が再び暴れ出す。
(「BOOK」データベースより)

いやぁもぅすっかり伊良部の暴走っぷりにやられてます。
実はあたし、この伊良部、本で読む前にちらっと
ドラマを昔、見まして。単発でやってたモノ。
阿部ちゃんが伊良部役のほう。映画じゃなくてね。
看護士のマユミちゃんが釈ちゃんでぴったりだったなぁ。
なので、読むときアタマの中ではマユミちゃん=釈ちゃん。
(釈ちゃんかなり好きだし)
あたしがドラマで見たのはこの本に収録されている
「空中ブランコ」と「ハリネズミ」
まぁコメディタッチのドラマで本作も笑える小説ですので
先に映像を見ていても、全然、嫌悪感ナシ。
まぁ伊良部に関しては、阿部ちゃんではなく
あたしの中での小太りな伊良部に脳内変換。

映像でも文章でも楽しめる貴重な作品かと。
映画の方はまだ見ていないのでわかりませんが
きっとこれならイケルでしょう。

映像と違って、伊良部の受診を受けるまで、と
受診後の心の変化に関してはやっぱり
映像よりも文章の方が深く沁みますけどね。

「空中ブランコ」
人間不信に陥りパートナーが信じられない空中ブランコの
花形スター。相手がちゃんと自分を受けてくれないと
思っていたけれど実は問題があったのは自分だった。

「ハリネズミ」
ヤクザが先端恐怖症。刃物なんて向けられたら。。。
周りに対して自分自身をまるでハリネズミのように
威嚇し、尖っていた自分の心の内側。そんな時に
出会った対立するヤクザも抱えていた悩み。

「義父のヅラ」
おちゃらけキャラだった自分。教授の娘を嫁にもらい
子供も授かり前途洋々。なのに飛んでもない突飛な
行動に走りたくなる衝動。

「ホットコーナー」
騒がれる新人選手を前に自分の野球人生はまだまだなのに
なぜか思い通りに投げられなくなった。
いつまで誤摩化せるか?そして何故自分はそんなことに?

「女流作家」
お洒落な要素だけを取り込んだ中身のない小説。
でも自分が本当に書きたいものは売れなかった。
売れる為に、自分が自分の今の地位を保つ為には
これしかないけれど。。。見栄と虚像、プライド。
人間の宝物は言葉なのに。

どれもこれも本人に取っては深刻な悩みだけれど
周りからみたら些細なことだったり、何?あれ?程度だったり
そう見ると世の中病んでる人だらけ。
その人たちすべてに伊良部の療法(?)に効果があるかな(苦笑)
ただ伊良部の治療(?)のベースはすべて
相手を受け入れること。否定しない。
これってやっぱり基本かもね。

笑えるシーンもいっぱい、くだらないと、こんなヤツいねーよと
思っていてもふっと癒される。
お勧めです。
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2007年 05月 25日 |
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「いらっしゃーい」。伊良部総合病院地下にある
神経科を訪ねた患者たちは甲高い声に迎えられる。
色白で太ったその精神科医の名は伊良部一郎。
そしてそこで待ち受ける前代未聞の体験。
プール依存症、陰茎強直症、妄想癖…
訪れる人々も変だが、治療する医者のほうが
もっと変。こいつは利口か、馬鹿か?名医か、ヤブ医者か。
(「BOOK」データベースより)

初奥田作品。
面白かった〜。数時間で読めます。
いやぁこれこれこれ。これくらいラクにかるーく
楽しめる本がちょうど今読みたかったの。
いいね〜、このノリ。

以前、ドラマで阿部ちゃんが主役で釈ちゃんが
看護婦のをちらっと見たけれど
まぁ悪い印象はなくそのうち読みたいなーと
思って忘れてました(苦笑)
もっと早く読めばよかったよ。人気のある本ってのは
やっぱりそれなりに理由があるのね。

現代人にありがちな、でもそれよりもちょっとだけ
進行してしまった患者たちの問題を
いつのまにか癒してしまっている不思議な
破天荒な子供っぽいマザコンで注射フェチな精神科医。
彼は患者を治療しているようにはまったく見えないけれど
結果、患者達が自分自身で、立ち直って行くサポートに
なっている。
「カウンセリングなんかしない」と言い切る伊良部と
初めは不信感いっぱいの患者達。
ところがいつの間にか彼らは伊良部と話す時間が
癒される時間となっていく不思議さがまったく
違和感なく、こちらもすっと入れちゃう説得力はすごいなぁ。


30歳を超えてから自分自身に自信を持ちすぎて
周りに対するストレスから心身症を煩い、適度な運動が
必要と言われプール通いを始めたら今度はプール依存症に
なってしまった男。

浮気され離婚した妻に対して、自分を小馬鹿にする年下の
女性社員に対して、色々なところに怒りを感じながらも
周りを気にしすぎて怒れない男はアタマに血が昇るかわりに
下半身が24時間ずっと何日も何日も「勃ちっぱなし」な状態に。

ストーカーがつきまとっている、と視線を意識しているうち
周り中すべてが自分のストーカーだと恐怖を
感じている自意識過剰で被害妄想になったコンパニオン。

自分には友達がいる、常に繋がっている、そうすることで
不安を感じないでいたはずがいつのまにか
繋がっていないことに不安を感じ携帯、メール依存になった
男子高校生。

「確認行為の習慣化」から逃れられず脅迫神経症を
患っているルポライターは自分の家が火元に
なっているのでは、と不安になり何度も家に戻る。
挙げ句の果て、自分が関わったものすべてにおいて
それが悪い結果を引き起こしていないかと常に不安を感じている。

そんな変な人たちが変な精神科医とあってどう変わっていったか
どうぞお楽しみください。
どれもこれも、他人事として笑える話ばかりなのに
その笑いの中にある哀しみ。
かなり奥深いですよ。

装丁もいいなぁ。この青。
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