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カテゴリ: :西加奈子( 3 )
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2007年 09月 27日 |
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26才スナック勤務の「あたし」と
おなかに「俺の国」地図を彫っている4才年下の
ダメ系学生風間くんとペット亀の「バタ」の
ほわほわ脱力気味の同棲生活から一転
あたしはリセットボタンを押すように
気がつけばひとり深夜長野の森にいた。
人っ子一人いない、真っ暗闇の世界のなかで
自分のちっぽけな存在を消そうと幽体離脱を試みたり
すべてと対峙するかのように大の字になって
寝っころんだりしていたあたしの目に、ふと飛び込んできた
うす青色の野生の花。その瞬間、彼女のなかでなにかが氷解した——。
ゆるゆるなのにギリギリなデイズ。
そこで見つけた、ちっぽけな奇蹟。
あンたのことが好きすぎるのよ。
今世紀の女子文学に愛の一閃を穿つデビュー作。
(出版社 / 著者からの内容紹介)

気がついたらあたしは、真っ暗な山の中で大の字になっていた。しかも、深夜。ひとりぼっちで—。
(「BOOK」データベースより)

いやぁ、好きだわ、西加奈子。
関西弁がなんて心地よい。
3話収録されてますがどの話もパンク!
そう西加奈子はパンクだと想う。

最初はとても詩的な文章から始まります。
果たしてこの話は?と読み進めると
そこは関西弁のキャッチボール。
会話と感覚で綴られる世界。

どんなに言葉の少ない人でもその人の頭の中は
言葉で広がっている。
会話が少ないから、話したことが少ないから、
接する時間が短すぎるから、と相手の言葉を
たくさん受けてないがゆえに「変な人」と
思われてしまう人もこの世にはたくさんいて
でもその人の内側も実はこれくらい言葉が
浮かんでいて、そして、それがすべてこの本の中身のように
読み取ることができたら
きっとそこに表れる感情は親近感以外なにものでもない。

はっきり言ってそんな平和な「お話」なんかじゃないです。
レイプされた女の子がどんな大人になるか
それは別に劇的なヒロインぶった涙、涙の話ではないだけに
もっと痛々しい。

主人公のさっちゃんが本屋で見つけて気になった
女の子みいちゃんの存在もいい味出してます。

ネタバレすりゃあ、主人公が妊娠したけれど
その相手はダメ男な彼氏ででも大好きで
でもどうしていいかわからないで距離を置こうとしたけれど
それも面倒くさくなりなんだかんだで
もとに戻るってだけの話なんですけどね。
そこじゃないんですよ。
人生で一番頑張った夜(といってもそれはすべて
冷静にみりゃ自業自得なんだけれど)
でもその夜、相方が初めて見せた「必死」
なんかそれはとてもあたしには劇的で
涙が出そうなほどだった。

好き嫌いのわかれる作家さんだと思いますが
あたしはこの「空気」大好きなんです。

短編集っていうのかな。
他に収録されている「サムのこと」
これもすごいですよ〜。
もぅ登場人物がパンク。

主人公はホモで、モモは彼氏の家に転がり込んでは
別れてまた違う男の家に転がり込む生活をしてるし
スミはレコード家で働いてたまにDJなんかして
もてるから女の子達に電話番号聞かれて断るのが
面倒で教えてでも出るのが面倒になって携帯を
変えるような奴だし、ハスは人とは違うところ、人に
理解されにくいところでえらいナーバス、その恋人の
キムは在日朝鮮人で16歳で家出、めちゃくちゃ
可愛いのにモモと同様、人の悪口ばかり、口癖は
「うっとーし」
僕らの共通点は面倒くさがりとプロレス好き。
そしてもぅ一人、サムはウェブデザイナー。
そのサムのお葬式。
トラックに撥ねられたサム。
サムのおかげで普段、話さない胸の内を
語り合う通夜の席。
そして僕らの日常はまた淡々と続いていく。

パンクだわ〜〜〜〜。

「空心町深夜2時」はもぅ独り語りで
めちゃくちゃ短編ですが読み終わった後は
(これまた関西弁のせいか)まるで別世界から
ふっと帰って来たような錯覚すらおこさせます。

西加奈子の描く世界、とても新鮮で心地よい空間
ぜひ体感してみてください。
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2007年 09月 08日 |
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『さくら』『きいろいゾウ』の西加奈子、待望の最新刊は初めて
の短編集!
・・・・・・・・・・・・・・
そうか、あなたがいたんだ。

迷っても、つまずいても、泣きそうでも。
人生って、そう悪くない
・・・・・・・・・・・・・・
少し笑えて、結構泣ける、「女どうし」を描く六つの物語
(出版社/著者からの内容紹介より)

読んでいて、気づくと少し元気になっている、そんな本です。
大きな事件も、びっくりするような奇跡も起こりません。
それでも、読み終えた後には、心の凝りがほぐれたような、
あたたかい気持ちになれました。
どうかひとりでも多くの方が、この本と出会ってくれますように。
心からそう願っています。
(出版社からのコメントより)

あ〜〜〜〜。いい本読んだ。
そう本を閉じることのできる本。

「ランドセル」
久しぶりにあった幼なじみとの海外旅行。
「灰皿」
老婦人が一人で住むには大きすぎる家、貸した相手は
小説家である若い女の子。
「木蓮」
大好きな、結婚したい彼はバツイチ。
その彼の7歳の娘を1日預かることになった30女。
「影」
人に対して自分を偽る女と旅先で出会った
うそつきな女の子。
「しずく」
仲のいい夫婦とその互いの猫2匹の会話。
「シャワーキャップ」
几帳面なあたしと雑で、乙女のような心を持った母。

とくに猫を通してみる一作「しずく」が好き。
泣けたな〜。
すごくせつない。
愛し合っていた二人。仕事が忙しくなりそして
二人の取った決断と何も知らない猫たち。
猫たちの喧嘩の様子がすごくカワイイゆえに
また一段とせつない。

そうそう「木蓮」、いいねー、これも。
好きで好きで、と思っていた恋人、彼に好かれたい
だからこそ、このくそ生意気な7歳のガキに
邪魔されたくない。いいように彼に言ってほしい
そう思えば思うほど、ガキはかわいくない言動ばかり。
子供なんて大嫌い。
そんな彼女が、自分の心の内側に気づいてからの
子供との会話、とてもいいです。

「シャワーキャップ」大好き。
自分も娘として、最後の気持ち、とてもわかる。
なんとも言えない安心感。
’お母さん’の大丈夫という言葉。
お嬢さん育ちで頼りなくて、無邪気で、まるで
悩みなんてないかのような母と几帳面すぎる主人公。
短編ならではの味。

久しぶりに短編集のよさをじっくり楽しみました。

一日で読めるのですが何度でも読み返したいと思える一冊。
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2007年 07月 20日 |
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スーパースターのような存在だった兄は
ある事故に巻き込まれ、自殺した。
誰もが振り向く超美形の妹は、兄の死後
内に籠もった。母も過食と飲酒に溺れた。
僕も実家を離れ東京の大学に入った。
あとは、見つけてきたときに尻尾に
桜の花びらをつけていたことから「サクラ」と
なづけられた年老いた犬が一匹だけ——。
そんな一家の灯火が消えてしまいそうな
ある年の暮れのこと。
僕は、何かに衝き動かされるように
年末年始を一緒に過ごしたいとせがむ恋人を
置き去りにして、実家に帰った。
「年末、家に帰ります。おとうさん」
僕の手には、スーパーのチラシの裏の余白に
微弱な筆圧で書かれた家出した父からの手紙が握られていた——。
(出版社 / 著者からの内容紹介)

まったく予備知識ナシで読みました。

僕こと長谷川薫が年末年始に実家へ帰ることから
始まり自分の家族の回想へ続きます。
働き者で純粋な心を持ち、宇宙で一番幸せな男のお父さんと
キレイで明るくて優しくて太陽のようなお母さん。
かっこよくて性格も良くて人気者のお兄ちゃんと
誰もが振り返るような美人の妹。
そして女の子らしい犬のサクラ。

若くして手に入れたマイホーム、幸せを絵に描いたような
なんてお決まりの言葉以上に幸せな構図。

でも僕の文章からは、それが過去の出来事であることが、
ちらちらと見え隠れする不安定さ、いったいこの家族は
どうなっていくんだろう?と読むスピードがアップ。

そう、幸せな構図が完璧であるからこそ
兄の事故を境にやってくる闇に
より一層、胸に迫ってくる様々な苦しみ。
でもよく読んでいけば決定的な出来事が起こる前から
少しずつ狂って行く歯車、不協和音、
この人達の異様さはちゃんと表現されてる。
それが事故以来、どんどん表に出て来ているだけ。
口を動かさなければ生きていけないかのように
食べ続けて太っていく母、どんどんやせ細って
仕事もままならなくなっていく父。
決して報われない愛に捕われている妹。
父が家族を捨てて出て行ったように東京に出た僕。

そして再会後、サクラがまた家族をひとつにしてくれる。
けれどこの本は決して「犬頼み」だけの本じゃない。
けれど
このサクラがすごくいい。サクラの「お喋り」がいい。

犬を飼ったことのある人ならきっとわかる。
そう、犬ってあたしたちにお喋りしてる。

確かにこれは、泣ける人には泣ける本なのかもしれないけれど
あたしは泣く以上に、胸を突かれた気分。なのに
読後感はなんかほんわかして暖かい。
とても満たされた気分。

ほんと、すごくいい本だと思うし、本屋大賞ノミネートも
十分納得。
読ませたいと思う反面、万人受けではないかなぁとも
思いつつ。。。

事故にあった後のお兄ちゃんの言葉。
神様はきっといて、みんなの心の中に一人一人いて
ずっとボールを投げてきている、と。
今までずっと直球だけを自分は投げられていたけれど
今回、投げられたボールはもぅ「打たれへん」
悪送球ばかり投げてくる。
「う、打たれへん」と。

すごく辛い。
(そんなシーンでサクラがボールという言葉に反応するのもまた
読ませる!)

けれど僕は最後に気づく。神様はピッチャーなんかじゃなかったことに。
そうしてまたサクラのお喋りが始まる。

とんでもなく素敵なシーンです。ぜひ読んで欲しい。

お母さんが小学生だった妹のミキにセックスについて
話してあげるシーンも素敵。

以下、実際にコレから読まれる方は、本文で読んだ方が
絶対にいいので流してください(笑)


魔法を使ってミキの素をお父さんにもらう。
でもメルヘンな内容で誤摩化したりなんかしません。
汚い!というミキに、ちゃんとお父さんのおちんちん大好きよ、と
言える。どうやって?と聞かれたらミキが生まれるとき
通って来た道の入り口をお父さんがノックして
お母さんはお父さんが大好きだから、どうぞってドアを開ける。
互いに好きで魔法を出し合ったその時から
「ミキやのよ。」と。「ミキ生まれてきてくれて、有難う」
ミキは理解できなくても、自分が
「とても大切な儀式」を通じて生まれたことを感じて
満足する。やがてセックスについて詳しく知ったとき
「自分が途轍もない確率でこの世界に生まれてきたことが分かって
感嘆の叫び声をあげた。」



んー、すてきすぎ。子供が詳しく知った後、すごい!と感じられるような
親の説明。素敵です。
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