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カテゴリ: :角田光代( 4 )
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2008年 01月 22日 |
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行方不明の兄を追うようにしてアジアの国へ来た私。
闇両替で所持金のほとんどを失い、一日パン一個で食いつなぎ、
安宿をシェアして、とうとう日本企業の前で物乞いを…。
帰る気もなく、行くあてもなく、いったい今ここで何をしているのか。
それでも、私はまだ帰らない、帰りたくない—。
若いバックパッカーの癒しえない孤独を描く表題作他一篇を収録。
(「BOOK」データベースより)

表題作「真昼の花」と「地上八階の海」の2編が収められた作品。
どちらも目立たず地味な、どちらかというと言葉で表現するより
心の中でずっと自問自答するようなタイプの女性が主人公。
そしてどちらの作品も、とりたてて大きな事件が起きて
それにどう対処して。。。なんて話ではなく
淡々と彼女たちの世間からはどこか歪んだ「日常」が
描かれていきます。

「真昼の花」そのものはどこかアジアの貧しい国を舞台に
しているのでより、あたしたちが感じている日常からは
遠いのですが、そんな地から日本に電話をかけたとき
友達の「今いる会社の中の音」に、今までいた自分の「日常」を
描きつつ「今いる異国の地」をより際立たせ
「地上八階の海」では、そんな勤め先あるの?という不思議な職場の
中で辞めていった女性たちが、辞めた理由を想像する「ごくごく
一般的な考え方」を並べることで、常識を見せつつ
別れた男からの手紙の異常さを際立たせる、不思議な平行線が
感じられる。

恋愛小説でもなければミステリでもなく
そこに蔓延しているのはある種の不安感。
そういった意味では、今の日本の女性のリアルさが
出ているのでは。

自分はどこにいたいのだろう?帰りたくない、今のまま
ただ漠然と旅をしたい、かと言ってその旅にはなんの目的もなく
旅先でも、受け入れられたとしても、いずれは出て行く人とだけしか
見られない、絆なんてどこにも感じられない、けれどそれを強く
求めているわけでもない自分の内側に気づきつつも
見ようとしない不安、
年老いた母が義理の妹からの報告をうけてもしやボケたのでは?と
実際、母にその行動を尋ねれば母なりの理由があり
それでも、真新しい綺麗なマンションに向かう母の後ろ姿を
見つけたとき始めは気づかず、その場にそぐわない老女と
見てしまったときの不安感。

本を読む面白さは、自分の体験することのない世界を
擬似的に味わえることも一つにあるけれど
この作品たちは、その立場に立っていない自分までもが
気づかなかった自分の内側の不安をぼんやりと
浮かび上がらせる、ただ漠然と。
そこに答えはなく、それゆえに妙に心に残る作品。

にしても。。。。男を嫌いになった理由が、朝起きていきなり
要求された「オレンジジュース」っての、すっごい共感してしまうなぁ。
そう、そーいう細かい部分。
うわぁ。。。。そうだよねぇ。。。。と思わず共鳴してしまう部分。
それ以外、それまで否定していても一気に本の中の女性に
同化してしまう。作者の力ってそーいうところに出るのね。
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2007年 10月 23日 |
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「私はただ、ずっと彼のそばにはりついていたいのだ」
—OLのテルコはマモちゃんに出会って恋に落ちた。
彼から電話があれば仕事中でも携帯で長話、
食事に誘われればさっさと退社。
すべてがマモちゃん最優先で、会社もクビになる寸前。
だが、彼はテルコのことが好きじゃないのだ。
テルコの片思いは更にエスカレートしていき…。
直木賞作家が濃密な筆致で綴る、全力疾走片思い小説。
(「BOOK」データベースより)

第一感想、ばっかじゃないの?
キモチワルイ。
。。。。。。でも。。。なんかひっかかる。
そんなコワイ小説。
ええ、恐いですよ、これ。そんじょそこらのホラーよりも
ずっと恐いんじゃないですか。

恋しちゃったら周りなんか見えなくなっちゃう♪きら〜ん
なんてカワイイものではないです。
もぅこれは依存症なのでは?というくらいの徹底ぶり。
気持ちいいだろうねぇ、アドレナリンでまくりでしょう。
好きなものに一途!とことん!
だってあたしがこぅしたいんだものっ!ってその勢い。
その気持ちよさに突っ走るテルちゃん。

ざくっとネタバレいきますよ。(全然知ってても
読めるところがこの本のコワサ)


正社員のOLの仕事もクビ、次を探すときも
いつ呼ばれても行ける仕事、と探す。
野球が好きと聞けば徹夜して並んだあげく
席が悪いとダフ屋から高いチケを買う。
(かと言って二人で行くのではなく「あげる」だけ)
ホワイトデーにあきらかに他の女の子にあげる為の
行列のできるチョコレートを買いに走る。
いつでもセックスおっけーだけど恋人じゃない。
彼の好きになった女の子に、彼に会えるのならと
彼女と付き合い、彼とくっくよう仕向ける。。。

自分のことを1ミクロンも振り向いてくれない相手。。。
あたしには無理だなぁ(苦笑)

いじらしいと思えるかどうか。。。うーん。
ビョウキだろ、ビョウキと吐き捨てたくなる。
読後感もキモチワルイ(苦笑)
なのに、作家占いしたら、角田光代って出ちゃいました(汁

でもこーいう本ほど後々までずーっと残って覚えてたりするから不思議。
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2007年 09月 02日 |
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私はおとうさんにユウカイ(キッドナップ)された!
私の夏休みはどうなっちゃうの!?
五年生の夏休みの第一日目
私はユウカイ(=キッドナップ)された。
犯人は二か月前から家にいなくなっていたおとうさん。
だらしなくて、情けなくて、お金もない。
そんなおとうさんに連れ出されて、私の夏休みは一体どうなっちゃうの? 
海水浴に肝試し、キャンプに自転車泥棒。
ちょっとクールな女の子ハルと、ろくでもない父親の
ひと夏のユウカイ旅行。私たちのための夏休み小説。
(出版社/著者からの内容紹介)


(本の内容ゆえちょいネタバレあるので注意)


あたしが読みたくて。。。な本だけれど今、息子にも
読ませています。
小学生でも読める文字の大きさと行間@単行本

夏休みの第一日目、私はユウカイされた。
この一行から始まる物語。え?っとさせられ
何?何?どうしたの?え?別居中のお父さんが犯人?
それも合意の上で「逃避旅行」を初めて。。。どうなるの?
と、「?」だらけで始まり、どんどん引き込まれる。

普通に夏休みを送っていたら
決して体験することのないような数々の体験。
というか、普通の保護者の庇護のもとなら、ということ。

頼りない情けないそしてお金もない父との行動は
貧乏で常識はずれで、初めはそれを嫌がり
逃げ出すことをも考える主人公、ハル。
でもその「異様さ」を子供ながらに感じ取り
その「異様さ」を冒険心から彼女自身「ひきこまれていく」。
いつでも帰れるし?という安心を心に持ちながら。

海や山(その先には幽霊話のある旅館)や
キャンプ(でもテントはゴミ箱から調達)などなど
子供にとって魅力的な場所でありながら
「普通」とまったく異なる体験。
父親に怒りすら感じるハル。

ところがだんだんそれが彼女にとって
快感に変わって行く。楽しいもの、おもしろいもの
心地よいもの、そして本来こぅあってもよかったのではないかと
感じる自分自身の変化。
普段絶対に選ばない服や水着、焼けた肌
薄汚れた自分。

そんな変化をもたらした父親に徐々に
惹かれていく。

この本はずっと一環して子供目線。
主人公のハルの言葉。
だから、父親が何故、娘を誘拐しなければならないのか?
母親との交渉の内容はなんなのか?
そういった「?」には何一つ答えてくれません。
あくまで父親と子供の関係性だけに焦点が当てられ
そして、親の都合で振り回される子供という
絶対的な条件は現実もこの小説の中も不変。

確かに、その「?」を解消されず消化不良を
感じるかもしれないけれどあたしは十分これでいいと思った。
ここで終わらなくちゃ。
だってこれは子供目線の話だから。
後はハル自身がこの後いろいろと想像するように
そして多分、ハルが大人になってからではないと
明かされないように、読む側も本を閉じた後
あれはなんだったんだろう?どんな理由があったんだろう?と
考える余韻を与えてくれる、とても心地よい終わり方だと思う。

作者の言いたいことはきっとそんな「説明」や「理由」ではないはずだから。

自分も親として、子供の視線をもっとありのまま
受けてもいいかなとちょっと免罪符的にも考えたり。
ありのままの自分を見せて、子供自身が理解していけばいい。
尊敬できない親であっても。
まぁそれはそれでなかなか難しいことなのだけれど。

一日で読めるステキおすすめ本です。
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2005年 11月 06日 |
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 小泉今日子主演で映画化された「空中庭園」
家族の中では一切秘密を持たないというルールの裏
家族全員が家族に言えない秘密を抱えているという
一言で言ってしまえばそーいう映画と思って予告を
見てました。確かにその通りなんだけれど
とてもコワイ話。
この「空中庭園」まず目次を見ると
ラブリーホーム
チョロQ
空中庭園
キルト
鍵つきドア
光と、闇と
と、タイトルが並んでいます。
実はこれ連作、それも時系列もほぼ正しく並んでる。
ある意味1本の長編。語り手が次々と変わるのです。
郊外の「ダンチ」と呼ばれる巨大マンションに暮らす
女子高生のマナ、父親の貴史、母親の絵里子、絵里子の母のさと子、
中学生の弟コウの家庭教師で貴史の愛人のミーナ、そしてコウ。

マナが一人称の「ラブリーホーム」では
マナが自分の「仕込まれた場所」が「野猿」という
ラブホテルであることを知るところから話が始まります。
隠し事をしない、秘密を持たない、
隠すということは恥ずかしいという気持ちからであり、
家族間で恥ずかしいことなど何もないのだから
当然隠し事なんてあるわけがない、ということから
マナは普通なら隠されるべき「ラブホテル野猿」で
仕込まれたことまで知らされてしまうのです。
隠し事をしないという「ルール」が存在することそのものの
異質、違和感、その上に成り立つ「幸せな」家族像。
そのすべての根元、それは母親のトラウマからくる
強迫観念。
光と影を抱えながらそれは続けられるその恐さ。
絵里子の飾り上げたベランダの花達がとても象徴的。
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