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2005年 04月 29日 |
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 髪結い伊三次シリーズ5作目です。
んもぉめちゃくちゃいい。読後感がなんて気持ちのよい本なんだろう。
ここ最近読んだ中で一番のお奨めかもっ!と思うくらい、いい。
タイトルを見てストーンズ?なんて思いましたが
それとは関係なく(当たり前〜)納得のいくストーリー。
この伊三次シリーズは、毎回毎回、同じ登場人物で短編が続くので
そういう意味でも読みやすい本。本のタイトルはその短編の中の
一つを毎回取っているのですが、これが「黒く塗れ」である理由を
作者に聞きたい気分。あたしは「夢おぼろ」か「慈雨」のがぴったりするなぁ。
以下また自分用覚書(笑)

「蓮華往生」ちょっとミステリー仕立てな捕物帖。お年寄りが
望んで「大往生」できると話題の寺の宗教に不破の同僚、緑川の妻が
はまっている。あきらかに怪しいその行いを止めたい緑川。
その謎を解いていくうちに裏では妻のてやと緑川の昔からの思い人
お文の芸者仲間だった喜久寿との目に見えない「鞘当て(さやあて)」が。
謎解きとしてもなかなか読ませる展開。
二人目の子を身籠もっていた不破の女房いなみの出産も本編にて。
「畏れ入谷の」
お腹も大きくなってくるお文はお座敷をこれで最後にと思った最後の
お客がここ最近酔っては問題を起こしているお武家様。お文は
芸者の器としてその訳を聞き出し言葉をかけ力づける。
城の殿様に女房を差し出さなければならない男の話を聞き思うのは
養母の葬式に聞いた僧侶の説教に、人の苦には生・老・病・死の他に
愛別離苦(あいべつりく)、怨憎会苦(おんぞうえく)
求不得苦(ぐふどくく)五陰盛苦(ごおんじょうく)の四苦がある、と
出てきますがその愛別離苦に苦しむ男の話。
「畏れ入谷の鬼子母神」という言葉は聞いたことがある人も多いと思いますが
その言葉を吐くのが「彼」というところがまた微笑ましい。
「夢おぼろ」
桜の季節、伊三次が心寂しい気持ちになるのは桜のせいだけではなく
「暮らしの掛かりが生じていること」懐の寂しい伊三次は
再会した、自分の大工だった父親の元で働いていた朝太郎こと「御大」の
話を聞くうちに富くじを買い夢を広げる。
そこで出会ったのが、不破の息子、龍之介の剣術の先生である
美雨に想いを寄せる監物(けんもつ)。男勝りの美雨にふられ
まだ諦めつかない監物は富札を当てて美雨に贈りたいものがある、と。
強い女と弱い男、二人の恋の行方。そして御大に降りかかる「一生の不覚」
読後感爽やかな一遍。
「月に霞はどでごんす」
どでごんす、が初め理解できなかったのですが「どうでしょ?」って
ことなのね。お文のもとを半年ぶりに尋ねてきた喜久寿と同じように
お座敷にあがる太鼓の笑助の芸「見立て」の中に出てくる言葉です。
笑助をお縄にかけようと動く伊三次達と、逆子に悩み喜久寿に相談するお文
その二人の先に繋がる緑川。話の作り方がうまいなぁと思う一遍。
そして最後は捕り物とお文の出産をうまく重ねて読んでいる側の
気持ちの高揚感を煽ります。
一人涙し悩んでもこれ以上、伊三次に心配事を与えたくないと思うお文の
気持ちがとても心に沁みますが、何よりも心に残るのは最後の文章かな。
「笑助最後の芸」にもうるっときたけどね。ただのとんでもない悪人なのにね。
「黒く塗れ」
蓮華往生と同じくミステリー色強い作品。髪結いである伊三次の
得意先、翁屋八兵衛の悩みを聞くとそれはそれはまるで操り人形のように
不思議な行動をおこす妻の話。伊三次お得意の聞き込みで次第に
二つの不思議な出来事が重なって謎を解いていきます。
前にお文の女中をしていたおこなも再登場。
「家のある小路へ急ぎ足になる。伊与太の顔が早く見たかった」
すっかり、伊三次、おとうさんです。
「慈雨」
本作の中では一番読ませ、泣かせる話じゃないかな。それも
じわじわと口の端が緩んでしまうようなとても素敵な「お伽噺」
不破の家のかかりつけの医者の母が行方不明に。
不思議とイヤな予感を感じない伊三次はお婆さん探しにまわります。
情報を集めに行った増蔵の先で話にあがった直次郎のこと。
巾着切り(すり)に捨て子だったのを拾われて巾着切りとして
育てられた直次郎。伊三次の昔の相手だったお喜和の娘、お佐和に
惚れて商売道具の指を切り落としてまでして足を洗ったものの
矢張り、伊三次には大事な人の娘をむざむざ不幸にするような
縁組に手は貸せないと二人を引き離したのはもぅ一年前のこと。
なのにまだ伊三次にはそれを認めることはできない。
そして、お婆さんを助けたのは。。。

もぅもぅもぅ本を読むって素敵だなぁと改めて思ったくらい!
はぁ〜。(うっとりタメイキ)
お文のアドバイスも、それを聞く伊三次もとてもいい関係を築いてる。
そして伊与太の世話をする伊三次もいいなぁ〜。
紆余曲折、色々あっても、じんわりと染み入る日常の些細な幸福感。
あ、あと気になるのはおこなの前にお文のところで
女中をしていたおみつとの関係?
すでに六作目も出ているので楽しみです。
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2005年 04月 26日 |
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 初めての藤沢周平作品。
ひとりの少年藩士が成長していく姿を描いた作品。
友情と淡い初恋、年上の色香を感じさせる女性
そして少年が知り得ないところで
密かに起こっていた策略とその流れに
巻き込まれ、その中から得ていく
精神の強さと剣への道。
初めは正直ちょっととっつきにくかったんだよね。
でも読んでいくうちに不思議とどんどん引き込まれたのは
風景描写の素晴らしさと一連に漂う郷愁感。
主人公、文四郎の優しく聡明で実直な魅力もその一つ。
もぅ子供じゃないという思いに懐かしさを感じたり。
しっかり殺陣の場面もあり読んでいるのに
「見応えがある」と言いたくなる。
養父が謀反の罪で切腹後に色々と浮かぶ言葉の数々には涙。
おふくとのラストシーンは少年の成長を描いた話だからこそ
「大人」としての二人を描くことでというそのコントラストが
よりこの話を美しいものにしているような気がする。
いつまでも「蝉しぐれ」の声が残るような。
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2005年 04月 26日 |
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 宇江佐真理の長編時代小説。雷桜(らいおう)。
雷桜とはこの話に出てくる不思議な桜の木で
この話にはこれ以上のタイトルはないというほどぴったり。
特筆すべきはその人物設定の面白さ。
生まれてすぐにさらわれて死んだと思われていた庄屋の娘、お遊。
ところがお遊は生きていて「狼少女」として戻ってくる。
お遊の生存を強く信じてきた次兄の助次郎は
清水家当主、斉道に仕える。斉道は複雑な生い立ちの中
心を病んでいる。初めはぶつかりあっていた助次郎と斉道。
やがてそこに生まれる主従関係。助次郎は斉道の身体を案じ
自分の村へ静養の為、滞在させる手はずを。
そしてお遊との出会い。
お遊は山の中で生きる上では必要のない女性らしさを
持たずに育った15歳の女の子。
でもね、お遊はとても女らしいと思うよ。
さばさばして正しいこととそうでないことには絶対で
自分の心にも素直なだけではなく相手に対しても
いつだってとても真摯。気持ちがいいほど。
だからなおさらお遊の決断がせつない。
読んでいて「絵」が浮かぶような描写がとても美しい本。
映画を見たような美しいシーンばかりが心に残る。
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2005年 04月 26日 |
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 すっかり宮部と時代物のリピ読書日記になってますが(苦笑)
「長い長い殺人」開くと目次。
それがとても異様。だって
『刑事の財布』『強請屋の財布』『少年の財布』。。。
と延々10個のお財布の話が続きます。
と、いうのもコレ、語り手が「財布」
うまいところついたなぁと。だってお財布を
持ち歩く習慣のある人ならまずどこでも必ず
持ち歩くものがお財布。色々なことを見て聞いているわけです。
今なら携帯電話でも可能かも。話もしっかり聞いてるし。
ということで財布がそれぞれの持ち主について語ります。
その持ち主がどう人か、どんな行動をしているか
つぶさに観察し、そして一人の財布だけでは
わかりえないことが数々の財布を通して見ていくと
殺人事件の真相が次第にあきらかにされていくわけです。
ちょっと突飛すぎる設定だけに
どことなくユーモラス。さらっと読めるミステリなのに
実はその奥底はとてもよく計算されてます。漫画並に楽しく読める1冊。
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2005年 04月 19日 |
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 髪結い伊三次捕物余話の2、3、4作まとめて。
一日1冊程度のスピードで読んでしまいました。
さらに読み返してじっくり味わっています。
何度読み返しても同じようにせつなく
同じようにほろっとさせてくすっとさせる。
名作だと思います。

以下、ねたばれ含む簡単なあらすじなので
これから読もうと思っている人は飛ばしてね(笑)
いや、絶対に読んだほうがいいって♪
特にあたしは「ひで」と「菜の花の・・」は泣きました。
ぽろぽろ涙が本を読みながらこぼれるなんて
なんて気持ちいいんでしょ。
(これはもぅrecommendではなく覚え書き(笑))

廻り髪結いの伊三次と恋人の深川芸者お文
伊三次は北町奉行所廻り同心不破の小者も努める。
「紫紺のつばめ」では
前の旦那の息子に言い寄られ続けていたお文は
ライバルでもある喜久寿と比較されケチをつけられたことに
芸者魂に火がついたことがきっかけで
芸者ならこれくらい貢がせてもいいだろうと
深川の家を直してもらい着物を仕立ててもらう。
結果的に、それは伊三次を傷つけまた伊三次の
見栄もあり二人は別れてしまう。
周りは気を揉む中、事件は次々と。
「ひで」はそんな伊三次の幼なじみ。
小さい頃から要領の悪い貧乏くじを引くタイプのひでは
料理人として見習い、やっとというところで
惚れた娘の親の言いなりにその家の大工の仕事に就く。
また見習いからの出直し。そこへ突然起こる不幸。
伊三次はそんなひでに心を痛める。
消沈する伊三次にまだまだ事件は続き
「菜の花の戦ぐ岸辺」ではたまたま寄った
昔の馴染みの隠居先がもとで人殺しの罪を
着せられてしまう。
心配し、伊三次の為に証人となる娘に詰め寄るお文。
なんとか本当の下手人は捕まえられたが
自分を使ってくれていた同心の不破が
自分を信じてくれなかったことに対する不信感から
不破と縁を切る伊三次。
そんな伊三次にそっと寄り添うお文。
殺される前に隠居と話した言葉を胸に
寄りを戻す二人。
不破とは今後一切関わりを持つまいと決めた伊三次のもと
不破の家の者達が「いなみ(不破の女房)が
昔の親の仇を打つようだ」と相談が入る。
いったい後となって伊三次を動かしたのは
なんだったのか本人すらわからないまま
命を落とす覚悟でいなみの敵討ちを止める「鳥瞰図」
「摩利支天横町の月」ではそんな二人にまた新たな事件が起こる。
町娘ばかり神隠しにあったように次々と姿を消してしまう。
そしてお文のところで働く妹のように可愛がっていたおみつも。
助け出されたおみつをはじめ数人の町娘達
城のお殿様の慰み者にされていたと心ない人たちに
噂され、噂の届かない遠くの村の年の離れた子持ちやもめの元に
嫁がせようと親が算段する中
以前、伊三次が床を持つために貯めたお金を盗んだ
門前仲町の岡っ引き留蔵の子分弥八との淡い恋が形となっていく。

シリーズ3作目、1作ごとに登場人物達はしっかり一つずつ
年を取っていくところも憎いね〜。

「因果堀」ではスリにあってくさっているお文。
ところがこのスリの女性が実は、仲町の親分増蔵と
繋がりが。心配し、一度は別れた不破の元を尋ねると
以前に不破の女房のいなみの為に命まで張った伊三次に
頭を下げる不破。また伊三次は今まで通りに
不破の毎朝の髪を結い、不破のもとで働き探っていくと
心底惚れた女の為に何もかも捨てようとする
増蔵に心動かされる伊三次。
「ただ遠い空」は弥八の元に嫁ぐおみつの心配事は
誰が自分の後にお姉さんの世話をしてくれるかということ。
そこへやってきたのは芸者仲間の喜久寿から紹介されたおこな。
尻の軽いおこなにやきもきしつつもお文は彼女にまかせることに。
おこなには亭主がいて店の騒動から身を守るため
不破の奉行所の仲間の緑川の世話になり、伊三次も一緒に
その身の安全の為に動いてはいたが。。。
「竹とんぼ、ひらりと飛べ」では昔、生き別れた娘を
探して欲しいとの依頼が不破のもとに。
同じ頃、目の見えない口のきけない小さな女の子が
火事場の後から発見され不破のもとで預かることに。
娘探しは僅かな手がかりを元にたどっていくとその先に
待っていたのはとてもせつないお文の過去と
親探しの先には不破のいなみに見せる優しさ。
「護寺院ヶ原」はちょっと異色のストーリー。
異人との混血と噂される幻術使いの鏡泉相手に
津田道場、鏡心明智流のもと修研者となって
立ち向かう不破友之進。その闘いの行方。
表題作の「さらば深川」、前の旦那の息子に
言い寄られていたお文。その妻がなくなったことで
ますますお文に言い寄る忠兵衛に愛想尽かしを
きっぱりと言い渡したことで、前に直してやった
家の代金から着物代からすべて払えと請求がくる。
ところがその請求した男は以前、忠兵衛の所で
雇われていた男であり今は店をわけて詐欺を
働いていた男。今は関係がないと言い張り
改めて家の改築代金を請求されるが結果的に
その家はその男によって放火にあい何もかも失うことに。
住む所のなくなったお文に一緒に暮らすことを
持ち出す伊三次。
「こんな風になるのを待っていたのかえ?」
「そういう訳じゃねェが・・・」
「もっと前にその台詞、聞きたかったねぇ」
「遅いのか?」
「さあて、遅いか遅くないかは、わっちでもわからない。
これが潮時と言われたら、そうかも知れないと応えるだけだ」
「お前ェだって家を焼かれたんじゃ、諦めもつくはずだ」
「全く、一寸先は闇とはよく言ったものさ」
そんなそっけない会話を交わしながらもお文は
忠兵衛に言った言葉を思い出す。
この先、何が起ころうと、それはわっちの決めたこと、
わっち一人が決めたこと、後悔はしませんのさ。
「後悔はしませんのさ」と自分に言い聞かせるように
そっと呟き深川を離れる。

はぁ。。。お文姉さん、格好いいっ。
って完全ネタバレ、大丈夫です!ここを知っていても
十分にその課程も何もかも楽しめます!(笑)

「鬼の通る道」では一緒になった二人の様子、
念願の長屋暮らしの女房をはじめたお文の様子がさらりとだけ。
話は、不破の一人息子龍之介がいなみの教育熱心さで
新しい学問所に通いはじめた話。そして起こる盲人の
金貸しの殺人事件。犯人を追ううちに伊三次が気付いたのは。。。
「爪紅」は土左衛門となって発見された娘と
首を吊って自害した娘の爪に塗られていた爪紅(つまべに)。
事件を追ううちに伊三次は昔まだ違法である忍び髪結いだった頃
深い仲にまでなったその頃手広く商売していた廻船問屋のお内儀
お喜和と娘のお佐和との再会も。事件の解決の末
伊三次の胸につっかえるのはお喜和のその頃の胸の内。
増蔵に話を聞いてもらうことで改めて思うのはお文。
帰ると食事が用意され寄り添って眠るそのこと。

『一日仕事をして、お文と差し向かいで飯を喰い、湯屋に行き、
お文を抱いて眠りに就く。これがつまりは幸せなのだ。
このささやかな幸せを阻むものがあるとすれば
よりうまい物を喰いたい、いい着物を着たい、辛い仕事をせずに
楽をして暮らしたいという人間の欲のせいに思えてならない。』

「さんだらぼっち」そんな長屋暮らしに少しずつ慣れたお文。
おみつもいなみも子をはらみ、いつかは自分もと思いを馳せる。そんな折り
幕府の奉行とその娘と知り合いになり、またその娘の不幸な出来事に
長屋で毎晩、母親に折檻される娘と重ねて見てしまった末
起こす騒動。辛いお文の胸の内をその時はまだ気付かない伊三次。
自分の居場所ではないとひとり思うお文。
さんだらぼっちと言った娘の笑顔が心に沁みる作品。
「ほがらほがらと照る陽射し」ではお文は家出し
日本橋で芸者を始める。お文が何故騒動を起こしたかが
だんだんと見えてきた伊三次は住み慣れた長屋を
離れお文の為に新しい家を探すことを思いつつも
お金もかかれば住み慣れた場を離れることにも思いを巡らす。
そんな折り、尋ねたお喜久とお佐和の家にいたのは
すりの直次郎。蛇の道はへびと事件が起こると情報を
もらったりしていたが流行り心底信用はできない。
本気でお佐和に惚れている直次郎。
足を洗うから黙っていて欲しいと伊三次に頼むが
生まれてすぐに捨てられた直次郎はすりの親分に育てられ
もぅそれは身体に染み込んだもの。
お佐和に惚れた直次郎の一世一代の賭けと
お佐和のことを考えた伊三次のとった行動。
どちらもよぅくわかるのでただただせつない。
「時雨てよ」は新居に越した伊三次とお文。
お文はそのまま日本橋の芸者として働く。
そして伊三次のもとには小さな弟子が。
この弟子が流れてくるその理由とそれを
すっと理解するお文と伊三次の格好よさ。
さてこれからというときに、お文だけが
気付く自分の身体の異変。
それを受け止めはじめ、おみつに知らせようと向かった先で
今まで信じていたものが崩れていく。。。

あぁ〜〜〜〜、続き読みたい!!!!(笑)
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2005年 04月 13日 |
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 伊佐次の粋と不粋の狭間に揺れながら
そのまま宮部の不思議度の高い時代物短編集よりは
一気に現代物かな、と読んでみました「理由」
って、飛びすぎ?(笑)

高級超高層マンションで起こった殺人事件。
初めは一家4人と思われたその事件は
次第に謎が深まっていくその様子を
「ルポタージュ」という形をとり
関係者にインタビューしていくことで
あきらかにされていきます。
いったい犯人は誰なのかというよりも
いったい殺されたこの4人の被害者はどこの誰なのか?
家族に見えたこの4人の関係は?という
不思議なこの事件の真相と
そこへ至るまでのその個人個人の理由。
その事件に関わってしまった人たちが
その本人達の口から語られていき
なんとなく掴みかけるとすっと逃げるかのように
舞台が変わり「小説的」文章が始まります。
そしてまたインタビュー。どんどんと
引き込まれていくこの手法。
ただ、この本、基本はルポ形式だけあって
初めは結構、読みにくかったですね〜。
もともとルポものとか嫌いではないのですが
本当に読む「ルポもの」は事件そのものに
興味があってこそ、読み進められるモノだけに
まだその「事件」に興味の浅いうちは
建物の詳しい構造からそのマンションが建つまでの
いきさつやら、次々と出てくる目撃者や管理人の
「インタビュー」にはひたすら「追う」姿勢で読みました。
途中からはもぅ止まりませんでしたけどね。
読んだ後もちょっと重い一冊。
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2005年 04月 13日 |
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また時代モノに戻って宇江佐真理の連作
髪結い伊三次捕物余話の一作目。
床(店)を持たない廻り髪結いをしながら
町方同心のお手先をつとめる伊三次と
その同心である不破と伊三次の恋人、芸者のお文という
個性豊かな登場人物達が
とても魅力的なただの捕物帖ではないおもしろさ。
この三人を中心にほろっと泣かせる短編集。
惚れた男をかばって罪をかぶる女のその理由を
描いた表題作の「幻の声」や
どうしても死ぬ前に自分の作った畳表が
使われているお屋敷が見たいという親友の母親の
思いを叶えてあげる「備後表」には
ほろりどころじゃないぽろぽろ泣いてしまいました。
もぅいい話ばかり詰まってます。
芸者のお文がこれまたいい女で素敵。
ぶっきらぼうな不破もいい味出してます。
早く次が読みたいぞ♪

これが宇江佐真理のデビュー作ってのはかなりスゴイ。
まったくそんな感じがしないほどの描写力で
伊三次の世界にすっと連れて行ってくれます。
今一番のお気に入り!はぁ。せつない。
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2005年 04月 04日 |
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 すっかりお気に入り作家な宮部です。
記憶喪失となった男女と謎の隣人、
行方不明になった女子高生と彼女を捜す相談員。
この二つが絶妙に絡み合って謎が解き明かされて
いくのですがその間僅か4日間。
スピード感と心地よい間の繋ぎ方が
読む側を飽きさせずに引っ張っていきます。
とにかく初めは「謎」だらけだから
どんどん次へ次へとページをめくらせ読ませる。
特にすごいのはその伏線の張り巡らされ方。
読み進むうちに「あ、これって。。。」と
ページを戻すことも(笑)
読み終わってからももぅ一度読み返してしまったほど。
自分探しという心の問題と悪徳病院とホテル火災
過労死などの社会派メッセージも含みつつ
いったい誰が敵で誰が味方かという何転もする
ラストはかなりの読み応え。オススメです。
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2005年 04月 01日 |
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 初宇江佐。江戸深川を舞台に綴られる短編集。
どれもみなしっとりと語られるその話は
じんわりほろり。
『下駄屋おけい』はまぁ言ってみれば
いいところのお嬢さんが自分の好きなものに対して
素直に突き進んだからこそ得られた幸福。
だからこそ何ものにも嫉妬も起きないし素直に
もっと前を向いて生きていける、そんな潔いくらい
素敵な女の子の話。
実らない恋とその裏切りに心中を考える青年に
自分と女房のなり染めを語って聞かせる忠助。
表面だけではなく深い優しさで包み込み
心の支えとなる『がたくり橋は渡らない』
芸者あがりのおりんとその子供達との不思議な
縁を描いた『狐拳』や
絵の書くことの好きな女房とその亭主との関係と
互いの気持ちのすれ違いを書いた『さびしい水音』など
他にも読んでいて心に沁みる話ばかり。
これというものすごい何かに対してではなく
読んでいると泣けてくる。
電車の中で泣きながら読みました(笑)
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