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2006年 01月 30日 |
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 タイトルそのままとてもグロテスクなお話。
同じく桐野の「アイムソーリー、ママ」を読んだときも
グロテスクな話と思ったけれどそれ以上でした。
「恐ろしいほどの美貌の持ち主」であるユリコと
大企業のOLの和恵、二人は娼婦であり
娼婦として外国人に殺害された。その二人がどうして
死に至ったかを姉であり、同級生だった「わたし」の
語りとユリコの手記、和恵の日記そして犯人の張の
上申書から綴られていく。そこに見えるのはおぞましい
グロテスクな女達の在り方。
その姿は怪物、モンスターでしかなく。

特に、美しい妹を持って「初めから努力など意味を
成さない」と醒めた目で語る歪んだコンプレックスの
塊でしかない「わたし」の話から始まるので
何が事実かわからなくなり本文中の誰も信じられなくなる中
努力すれば必ず報われると努力し続けて壊れていく
和恵の日記は壮絶そのもの。

前に「嫌われ松子の一生」を読んで
自分では決してなり得ない他の人の人生を
本を通して歩むことができるけれど松子の人生は
ちょっとなぁ〜なんて思ったものですが
この本の凄まじさはそれ以上。
誰かに認められることだけを求めて世間からの
評価だけに気を取られ、人を心から信じることが
できなかった人たち。
でもこの本は実際にあった「東電OL殺人事件」を
ベースにかかれたもの。もちろんフィクションですが。
それでもベースとなる事実があったことが、また
読後感をより一層重くしていると思います。

本を読んでいると知らず知らずのうちにその登場人物に
感情移入し肯定的に見てしまいがちですが
今回だけはそれはなかったなぁ〜と思いながら
タバコの自販機でおつりを落としてしまい
落ちた10円玉を拾おうとかがんだ瞬間、
自分の中に娼婦の和恵が降りてきたようで
ぎょっとしたということも加えておきます。
コワイ本だなぁ〜(苦笑)
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2006年 01月 26日 |
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 いやぁもぅすごいよかったです!ぜひ読んで欲しい♪
12編からなる短編集なので一話ずつゆっくり堪能しても。
どの話も心の琴線にじわわん。

「チマ男とガサ子」
  “潔癖症の男と片付けられない女”それがどちらも病的に。
  読んでいて他人とは思えない「ガサ子」な加奈子に親近感(笑)
  そう、「好き」は「好き」なんです。
「カーネーション」
  母への感謝を赤いカーネーションに込める、そんな日曜の夕方
  電車の網棚に置かれたカーネーションの赤に、妻と死別し
  二人の子を育て再婚を考える男性、母の生き方にどこか
  イライラしたものを感じて素直になれない女子高生
  強く躾にも厳しかった母が今は身体と心が離れてしまい
  自分を息子とわかってもらえない病院見舞い帰りの男性
  それぞれの心に様々な思いをよぎらせる。
  様々なものを「受け入れる」こと、最後、涙がじわーん。。。
「桜桃忌の恋人」
  「そんなわけで」国文学科の大学生になったオレは
  大学生活を満喫するため「オンナノコがよってきそうな
  作家」をプロフィールに並べる。が、寄ってきたのは
  太宰治に傾倒し、自ら「死」を選択する女。
  太宰をまったく読んだことのなかったのに太宰を読んで
  変わっていく。んー、太宰、昔読んだっきり。
「サマーキャンプへようこそ」
  んー、いい話です。ちょっとませちゃった息子に
  担任から欠陥の烙印を押され「自然に触れさせよう」と
  父と二人安易にキャンプに参加するものの、その父もまったく
  アウトドア派ではなく。。。
  これもうるうるきちゃいましたね。子供ネタには弱いです。
  んふふ。なんか「真理」をついていてアンチアウトドアな
  あたしにはちょっと「にやり」。
「セプテンバー’81」
  37歳の誕生日、自分にとって忘れられない誕生日と
  なった19歳の誕生日を思い出す。二度と会うこともない
  ほんの数時間の間の出会いと別れ。東京に憧れて
  東京に出てくる為の理由と東京を去っていく時の理由。
  いつもと違うちょっとした行動で思考も
  大きく変わったりもするわけです。
「寂しさ霜降り」
  不倫の果てに家族を捨てた父。弱かった母とそのすべてを
  支えてきた姉。そして姉の心は疲れてしまいその果ての過食。
  そんな姉との生活。そこへ持ち込まれる父が癌で余命
  幾ばくもない事実。姉はそれを聞かされて。。。
「さかあがりの神様」
  さかあがりのできない娘につきあう日曜日。
  自分もさかあがりの出来なかった真一はさかあがりが
  初めて出来た日「さかあがりの神様」に会ったことを
  思い出す。
「すし食いねェ」
  テレビの番組の中の1コーナーへの出演を依頼され
  一元さんお断りの銀座の一流寿司屋に向かう家族。
  でもこの日は息子の誕生日、そして夫婦は店員をも
  止めに入るほどの大喧嘩をしたばかり。
  。。。母、強いです。読後爽快。今の自分の
  生活を互いに認めあうってとても大切なこと。
「サンタにお願い」
  クリスマス期間、サンタの格好でデリバリーすることになった
  浪人中のオレは突然、ガングロ女子高生に1時間だけ
  相手をする「バイト」に。連れて行かれたのは中学校。
  街頭募金の決まり台詞に対しての女子高生の言葉。
 「恵まれない子供たちに愛の手をって言うけれど
  恵まれない子に取りあえず必要なのはお金で、愛が
  必要なのは恵まれた子供のほうなんだと思いません?」
「後藤を待ちながら」
  俺達はいじめてなんかなかった、ただ楽しかったから
  遊んでいただけ。「いじめた側」と「いじめられた側」の溝。
  それに気づいたのは我が子がその反対側に立っているのに
  気づいてから。。。。ん〜〜〜、すごく、きました。
  「1時間泣き続ける」その時にはそうアドバイスしたいです。
「柑橘系パパ」
  中学校の3年間、単身赴任でずっと「パパ」はいなかった。
  お母さんと二人とてもうまくいっていた。今更、パパの
  いる生活に馴染めず、受験のストレスも重なってヒトミの
  イライラは大絶頂!「パパがクサいの!」
「卒業ホームラン」
  甲子園球児だったから小学校に上がったばかりの息子と
  キャッチボールをしたくて買い与えたバットとグローブ。
  なのに、甲子園球児だったから少年野球の「監督」という
  立場に立たされ6年。小学校最後の試合。勝たせてやりたい。
  でも息子は萬年補欠、そして今回は補欠どころか。。。
  「がんばれば」「努力すれば」に、どう応えられますか?

どの話も、ふわっと心が軽くなるステキな話ばかり。
どこにでもあるような誰にでもあり得るようなシチュエーションで
すっと重松ワールドに入っていきます。
「疾走」ではなく「流星ワゴン」な重松ワールドね(笑)
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2006年 01月 23日 |
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 以前若年性痴呆症をテーマにした「明日の記憶」
読んでとてもインパクトが強かったので
次の作品も読んでみました。今回も前作同様
「その世代」の人にはとても身につまされるのでは?

43歳の牧村伸郎は有名私大卒業後、大手都市銀行入行
エリート銀行マンだったはずなのに上司への
たった一言の為にキャリアを閉ざされ自分から会社を後にした。
ところがいざ辞めてみればこの不景気、仕事がない。
あったとしてもプライドが邪魔をする。
次の仕事までの間に、とタクシーの運転手には
なったものの成績はまったく伸びず
傷む腰と慣れない仕事に疲れ、帰宅すれば
パートで働く妻とは会話が噛み合わず、年頃の娘は
クチを聞こうともせずわけにわからない音楽ばかり
ならし、息子はテレビの前でゲームの騒音をまき散らす。
疲れた伸郎はやがて現実逃避の白昼夢へ。
あの時、こうしていれば、あの時、それを選んでいれば。。。
誰でも生きていれば思うこと。あの時、あの選択の違う道を
選んでいたら今は違っていたのではないか?
そしてそれは決して実現しない夢。
伸郎は行動を起こす。
あの時の曲がり角を反対に曲がっていたらどうなったか?と
一つ一つ、確認するかのように「もぅ片方の道」の
行く末を辿っていく。今からでも車線変更はできるのか?
えっとあたしには必要ありませんでしたが(笑)
あらためてこうして「今、手のひらにあるもの」に対する
肯定的な事柄を小説で感じるのもおもしろかったです。
読後、ちょっと心が軽くなる、そんな本です。
現在の自分をちょっと否定的に見てしまう時なんかに
読むともしかしたらすっと気持ちがラクになるかも。

 


ちょいネタバレ。
こうしてたらもしかしてこうなる?と夢見たモノが
次々とこうも「そっちに行かなくてよかった」的にうまくなるのなら
誰も夢見ないよな〜。しっかり昔の上司に対する報復まで(笑)
そりゃ出来すぎだろ、と何度ツッコミを入れそうになったか!
それ以前にもぅひたすらぐだぐだぐだぐだ中年オヤジの愚痴を
読まされた分、逆にこの「出来すぎ」な設定が気持ちよくなる(笑)
ってそれが作者の術中に?!なんて思わせていないで
次は、前作並の丁寧に作りこんだ素晴らしい作品を期待!
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2006年 01月 22日 |
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 北村作品の中では異色と言われている本が
初北村です、おまけに気に入ってしまいました(笑)
タイトルと表紙の絵で、チェスが絡むの?え〜、チェス
まったくわかんないしぃ〜と尻込み。
しまった、こんなに読みやすくその上でこんなにも
深い意味を持った本だったなんて!

中堅プロダクションに勤務する末永の家に猟銃を持った
殺人犯が立てこもった。末永の妻、友貴子が人質にされた。
妻を助けたいと訴える末永。彼は友人や自分の職場の手を借り
警察を欺いてでも自分の計画を進めようとする。
はたして末永は犯人に、そして世間、警察に対して
チェックメイトをかけることができるのか?

主人公末永を白のキング、友貴子を白のクイーン
立てこもった殺人犯を黒のキングに見立て話が
進んでいきます。黒のキングを「路上に置いた」章一郎の
語りから話が始まり、白のキングの末永の語り、白のクイーンの
友貴子の回想で交互に話が進み、とても読みやすい。
そしてそのテンポのよさ、後半はしっかり追っていかないと
ついていけないくらい。
そしてそのすべてが一つになり色々な部分に
張り巡らされた伏線にもぅ一度読み返してしまったほど。

本の初めに作者の断りがあります。
「今、物語によって慰めを得たり、安らかな心を
得たいという方には、このお話は不向きです」
確かに理不尽な暴力という形を取っています。
でも読み終わったあと、一瞬「ほっとする」「すっきりする」
自分がいました。「よかった」と。
でもこれが実は本当のトリックにひっかかったような気がします。
黒という悪に対して向かっていく白を本当に
その陣営に立っていていいのか?という不安定さ。

ぜひこの北村マジックにあたなも騙されてみてください。
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2006年 01月 21日 |
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 軽めの文体の後には重めの文体が恋しくなり
また重めの後には軽めが欲しくなるわけで
小野不由美、読んでみました。
いやぁどっぷりはまりました。
仕事を手伝ったことのあるルポライターの
葛木志保が自宅の鍵を預けて、自分が
3日後に受け取りに来なかったら部屋を
始末してくれと残してそのまま本当に戻らなかった。
不安になった式部は少ない手がかりから
なんとか彼女の出身地が「夜叉島」という島で
あることを割り出す。
その島はどの家も風車と風鈴を下げ余所者を
受け入れない島、そして明治以来の国家神道から
外れた「黒祠」の島でもあった。
式部が島に渡り、徐々に露わになっていく事実。
嵐の夜に、神社の大木に逆さに張り付けられた
全裸の女性の惨殺死体。顔すらも焼かれ
誰のものともわからない死体に対し
その島の誰もが犯人を捜そうとすらしない違和感。
島の実力者と古い因習に凝り固まった島民。
一人、式部はその事件の真相を追い求める。

わけですが。。。。
その真相に行き着くまでがもぅ!!!
「五里霧中」とは作中にも何度も出てくる言葉ですが
その霧が濃すぎ!!一つの事実が現れても現れても
またすぐに霧の中。早く知りたい衝動をこれでもかこれでもかと
その鋭い文体はどんどん閉ざしていくのです。
後半はもはやそれが快感にすら(苦笑)
寒くて外に出たくない季節に家にこもって
長編本格推理小説に身を委ねるのもまた一興。
ただしこの本は何度も背筋に冷たいものが走りますが。
風車といい風鈴や牛を海に流す儀式などなど
不気味な島の描写は凄まじいものすら感じます。
惨殺死体の描写に弱い人にはオススメできないかな?
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2006年 01月 18日 |
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 まず帯に書かれた文章を読んでのけぞりました(笑)
「芸能界に渦巻く殺意に立ち向かう新人女性マネージャーの
恋愛物語」!!!!
いやぁ。。。詰め込みすぎじゃないですか?(苦笑)
柴田作品は2作目。「Close to You」を読んだときも思ったのですが
「ありえなくない」のです、この人の書く異世界は。
まさかぁと笑い飛ばせないリアリティがあるのに
文体は軽く読みやすい。不思議な作家さんです。
本作は、不倫が発覚し、相手の妻子持ちの男に捨てられた挙げ句
職まで失ってしまった26歳の茉莉緒。
芸能界なんて興味もなく疎いのに偶然出会ったモデルあがりの
まだまだ無名の役者、雨森海がきっかけとなり
彼の所属する事務所でマネージャーとして働くことに。
と、これだけでも十分読めます。
ドラマにでもありそうな設定。
そして、あー、芸能界ってやっぱこんなことあるんだ〜と
思える色々な裏工作や仕事の選び方、タレント、役者の
守り方、育て方、CM契約がいかに大切かなどなど、ええ、十分です。
なのに、ここに死体が二つも出てくる。
見えない犯人に対する恐怖。
何重にもハナシは重ねられあっと言う間に読み進められます。
でもそれは事件の謎に惹かれて、ではなく
この茉莉緒の成長に魅せられて、なのです。
ミステリーとしてよりも、ミスコピーの紙の1枚のようにしか
感じられなかったオンナノコが成長していく、そのハナシだけで
十分にお腹いっぱいです。
。。。個性派俳優として成長していくモデルあがりの
アタマの小さな「雰囲気」のある海は自由に想像して
読める楽しさは腐女子的にはかなりオイシイ本かと。。。(笑)
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2006年 01月 15日 |
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 松本清張といえば知らない人はいない「推理小説界の大御所」
テレビの連続ドラマ「砂の器」「黒革の手帳」がリメイク
されましたが、あたしにとってはこの人は映画や2時間ドラマの
原作者で母親世代のお気に入りといった印象で
本を手に取ることは今までになく、初めて。
1992年に逝去してるので、もう亡くなられて10年以上。
そしてこの本も発行から20年以上経つのにまったく
文章に色褪せたものが感じられない。
さすがです。巨匠、大御所と呼ばれる人の本はチガウのね。
言葉の音の響きも美しくて、とても読みやすい。
読んでいて「絵」が浮かびやすい。
そして、ストーリーそのものの組み立て。
ドラマは結構、変えてあったみたいで
ドラマの公式サイトでざっとあらすじを読みましたが
原作はサスペンスというより、後半はホラーに近い恐さが。
初めはたらたら〜っと読んでいたものが
いつの間にかもぅひきこまれて、主人公元子に
すっかりはまっていました。んー、これぞ「読書」の醍醐味。
とてつもなく巧妙に練られた大きな罠に
もぅ一度読み返したくなりました。
ラスト、その巧みさに口の端がニヤリとあがってしまったのは
久々です(笑)
やっぱりベストセラーと呼ばれる本はオモシロイのね。
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2006年 01月 10日 |
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 岡嶋二人というのは徳山淳一と井上泉の共作著名。
そーいう形で出来上がった小説は初めて読みました。

主人公生駒慎吾は5歳の時に誘拐された。父、生駒洋一郎は
自分の会社が立ち直るか、吸収されるかの分かれ目となる全財産を
身代金として要求された。金の延べ棒に換え身代金は奪われ
犯人は捕まらなかった。無事に慎吾は戻ってきたが
会社は大手企業に吸収合併された。

20年後、奪われたはずの身代金が海の底からある男の死体と共に
発見された。父の残した事件の経緯を綴ったノートを読み
事件の真相を知った慎吾は復讐の誘拐劇を練り上げる。
その犯行はコンピュータによって制御され、前代未聞の完全犯罪が幕を開ける。

 書かれたのが1988年なので多少「ハイテク」に
古臭さもありますが、それを越えるトリックとテンポのよさがあり
初めから「犯人」はわかるので果たしてその犯罪が
成功するのかに次第に興味が湧き、一気に読めます。
誘拐とはいえ、誰も傷つかないのも好感度が持てる設定。
まぁ犯罪は犯罪ですけどね。
ただその犯罪を繰り広げる「人」達の心情が
十分に吐き出されていない分、ちょっと読後の爽快感はあっても
主人公はじめ登場人物に感情移入することもなくさらっと
終わってしまったのはちょっと残念かな。
動機は「わかって」も理解しにくいというか同調しづらいというか。。。
ただ、吉川英治文学新人賞受賞の上、「この文庫がすごい!2005年版」
で第1位にも選ばれているだけあって読んでて途中から
ものすごい勢いで引き込まれました。

それよりも巻末の解説を読んでこの2人の作者そのものの方が
もっとドラマがありそうで気になってしまいました(笑)
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2006年 01月 08日 |
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 久々、コミックスのご紹介。
文句なくおもしろくて、文句なく癒される。
色々、?はあっても、そんなこたぁ関係ない。
すっかりこのバカ姉弟の世界にはまります。
うちの息子もお気に入り。
世代問わずに楽しめる本です。
基本的に1話完結。またこれが読みやすい。
このキャラクターのかわいさにもやられちゃいました。
読んでいてとても幸せな気持ちになれる本。
平成15年度文化庁メディア芸術祭優秀賞受賞作品。
(同じ15年度の優秀賞に「蟲師」と
岡崎の「ヘルタースケルター」も受賞してるところが
オモシロイな、と)
バカ姉弟のファンサイトもあるのでどうぞ。
愛が感じられますよん。
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2006年 01月 04日 |
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 先日読んだ「亡国のイージス」、すっかり福井作品に
はまってます。こちらは江戸川乱歩賞応募作に加筆訂正をした
もので実質的にはデビュー作と言えるもの。

華奢な体型で並はずれた戦闘能力をもつ主人公と
人情味あふれる中年男という形は「亡国のイージス」と同パターンなら
国自身での決定権すべてを放棄し、事なかれ主義を通す
この国へ問いかけるというテーマは一貫していて
読んでいくとすっかりその思考に染められそうです。

刑事の世界に嫌気がさし退職後は、世捨て人然とした
生き方をしている警備員、桃山。
警備する彼の目の前に現れたのは1組の若い男女。
怪我を負った彼らの世話を焼くことに刑事時代に感じた
存在価値を見出した桃山は、日米そして「北」の陰謀に
次第に巻き込まれていく。

はじめはオウム真理教の地下鉄サリン事件を
ベースとして描かれた「地下鉄爆破テロ事件」は
著者の独自の謀略構想。それでも衝撃的事件なだけに
同一視は避けられずもしかしたら本当にその裏には。。。などと
考えてしまうほど本の内容そのものにも引き込まれますが
やっぱり一番この本の中で魅力的なモノは
保と桃山の関係、と葵を守りきること使命とした保の生き方。
もちろん「亡国のイージス」とは切り離しても読めるし
その前史(ダイス誕生秘話)としても読めます。
戦闘シーンでの描写から人の心の動きまで文章が
しっかりしているので多少の無茶や「ありえない」は
戯言にしてしまうのも福井作品の魅力では。

保の日本から北朝鮮へ移ろうとする時の言葉が
なんか妙に引っかかったのでここで。
「考えることを捨てた国から、禁じられた国に移るだけのことだ。どうってことない」
とても耳の痛い辛辣な言葉です。 

ちなみに「川の深さは」というタイトルは葵の読んでいた
雑誌の心理テストから出た言葉ですがその後も「川」というのが
様々な部分で表現として使われておりとても意味深いです。
あたしの答えは「膝まで」でしたが。。。
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