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2006年 03月 24日 |
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 やっぱりねぇ、さすが池波って感じですか。
おもしろいんですよ。なんて言うのかな、小説なんだけれど
まるでドラマを見てるかのように映像が浮かぶんです。
連続短編集なので1話ごと読み切りなんですが
あまりにもその1話1話が優れているため
1話読むごとに「ふぅ〜〜〜〜」と感嘆のため息に
近いモノが。
ようするにとても満たされるわけです。
エンターテイメントを楽しむ心が。
だから逆に、早く読めなかった(笑)

60歳になる「剣と人生の達人」秋山小兵衛。
妻を亡くし、25歳になる息子、大冶郎も
道場をかまえ(でも弟子はまだ一人もなし)
悠々隠居暮らしと思えば
しっかり20歳の小娘を後妻に迎え、飄々としているが
剣を構えた途端に曲がっていた腰がしゃきんと伸び
年老いた小男ながらその強さは並のものではない
いかしたお爺さんのオハナシ。
「勝ち残り生き残るたびに、人の恨みを背負わねば
ならぬ、それが剣客の宿命」
んー、カッコイイ。
この小兵衛とまったく対照的な息子との味がまたいい。

これほど痛快で味のある話はやっぱり池波正太郎という人の
筆のチカラのなせる技かと。
でも、どうしても池波正太郎の本そのものにあたしが
他の時代小説作家よりものめり込めないのは
女性の描き方でしょうね。
性欲の対象だけ?みたいな。(男の格好をしている三冬にすら
そーいう目を向けてるもんなぁ)
女の目ではなく男の目としてみれば文句ない第一級娯楽小説。
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2006年 03月 16日 |
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 うーん。。。。オススメはできないけれど
興味深い本でした。
「廃用身」とは脳梗塞などで完全に麻痺して回復の
見込みのない四肢のこと。
高齢者の為のデイケア医療「異人坂クリニック」
院長、漆原はこの廃用身を切断する「Aケア」という
画期的な療法を思いつき、実践。
Aケアによって、それまで動かない四肢に対して
感じていた老人の様々な悩みを取りのぞき、前向きに
生きることによってQOL(生活の質)が向上し
介護も軽減されるという効果が現れた。
その手記をまとめ発表する前に、マスコミにリークされる。
前半を漆原医師の手記、後半は出版元の編集部註として
「事件」の流れを新聞や雑誌からの記事を
紹介しつつ話は進んでいきます。

使えなくなった手や足がなければ
体重も軽減し、介護もラクになる、と言われたところで
え?という感じなのですが
この小説の巧いところは、そこに至るまでの経緯。
榊原医師の手記の中で書かれる老人達の悲惨な状況。
介護者による老人への虐待の数々。
それを読んでいると、Aケアが選択肢の一つとして
存在してもいいような気になってしまうところ。。。
こわすぎです。

果たしてその行為は、神の行為なのか悪魔の仕業か
人間としてそれは許されることなのか

確実に、老人医療、介護問題はこの先、さらに
大きな問題となり「介護不足」という危機を
迎えるにあたって問題提起として存在する強烈な1冊。
いつかは介護する側、される側となりえるからこそ
フィクションでありながらノンフィクション的な恐さも感じ
読んでいて時々、これが小説だということを
忘れてしまうほどリアリティをもって迫ってきます。

はっきり言ってグロテスクで読んでいて気持ちのいいものでは
ないのでオススメはできませんがぜひ読んだ人の感想を
知りたいところ。
もしあたしが将来、廃用身を持つ身体となったら
介護する人に苦痛を与えるくらいならばAケアやSケアを
受けてもいいなぁ。。。
やばいやばい、感化されてる!(笑)
考えさせる「猟奇小説」(苦笑)
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2006年 03月 15日 |
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 「泣ける」と本好きのコミュニティ内でも
話題だったので読んでみましたが
泣けましたね。設定からして反則です。
「愛する人が死を前にしたとき、いったい何ができるのだろう。」

SMエロ雑誌の編集者山崎隆二は毎日デパートの屋上で
’巻く余地のないゼンマイをきりきりと巻き上げる」ような
憂鬱な時間を過ごしていた。
愛する人を失った喪失感。
断片的に浮かぶ学生時代のトラウマや官能的な思い出。
そして葉子との出逢い。
葉子とのおだやかな同棲の日々。
互いに優しさと思いやる心で成り立っていた時間。
ある日、それがいきなり幕を降ろす。
末期癌と診断された恋人のためにできること。

水溜まりばかりを撮影している女性写真家の葉子との
最後のせつない時間を描いたラブストーリーだけれど
これだけ哀しい話なのに読後感はとてもやさしい気持ちに。

女性の目で読むと多少なり陳腐な性描写や愛の言葉の
数々に好き嫌いはわかれそうだけれどそれを補うに
十分な透明感を持った文体と行間。
現在と過去をキレイに操り主人公がブルーから抜ける一歩を
自然に涙が流れるほど味わい深い一冊に仕上げています。

ちなみにアジアンタムとはハート型の葉が特徴の観葉植物。
枯れ始めると手の施しようがない繊細さが特徴。
アジアンタムブルーはその病気の状態。

個性的な特徴ををもった登場人物がこれだけいながら
その行動、言葉、発想に差異が感じられないのは残念。
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2006年 03月 13日 |
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 ドラマ化で話題の「白夜行」です。
残念ながらドラマ1回目だけ見ちゃった後に
読み始めたので、ラストは初めからわかっていたのですが
それをわかっていても十分に楽しめました。
細かく全編に張り巡らされた伏線
「主人公」である二人の独白は一切ないどころか
内面すら書かれていないのに読者は
十分に彼らの奥深い心の内側の寂しさ、哀しさ
やるせなさを感じることができるのはさすが。

1973年、廃墟となったビルの中で起こった
質屋店主殺し。犯人は見つからないまま迷宮入り。
それから19年後、時効となったこの事件を追う
老刑事笹垣。笹垣が追っていたのは
被害者の息子桐原亮司と容疑者の娘西本雪穂だった。

物語はこの二人の成長を交互に描かれます。
どこにも接点のないままそれぞれの人生を
まったく違った世界で歩んでいくように見える二人。
読み進めるごとに謎は増し、そして隠されていた
謎が一つに繋がる時、なんともやるせない虚無感に
おそわれる。
これはきっと二人の胸の内が一切語られないからこそ。
それはもぅ読者それぞれが勝手に思い作り上げる余韻。
あたしが感じたのは愛でした。暗い暗いダクトの中。
しばらくはこの余韻が続きそうな小説。
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2006年 03月 06日 |
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 つくづくね、この人の書く本は「巧いな」と思いましたよ、
あたしも。解説にあるようなPNがどーのと長いことは
言いませんが、巧みな語り口調と江戸っ子のべらんめぇ調
そして朴訥とした東北弁の使い分け=語り手の変化の流れは
素晴らしいの一言。

何度も泣きました。特に下巻はこれでもかこれでもかと
もぅたたみかけるように。

壬生浪(みぶろ)と呼ばれた「新撰組」に入隊した
吉村貫一郎は「鬼貫」や「人斬り貫一」などと呼ばれ
その非情さを怖れられ、また金銭に卑しいことから
仲間からも蔑まれていた人物。
時は大正、あの幕末の時代に生きた吉村の生き方を
吉村と接した人々からの語りから
吉村の本当の姿が浮き上がってくる。
人を斬るのは、自分が死なないため。
自分は死ぬことができない。死んではならない。
遠く離れた南部の地の愛する妻、子供達が
待っている。脱藩した自分が少しでも多く
「銭こ」を稼いで送ってやらねばならない。
愛する家族達を守るために。

本当の武士として、義を貫き、己のためではなく
己の守るべき者のためだけに生きること。

それは武士の時代だけに限らず本当の男としての生き方に
彼を思い起こす男達にとってかけがえのない存在として
深く胸に刻まれている。

慶応四年の一月、雪の舞う夜更け、満身創痍の侍が
大坂の南部屋敷に命乞いに現れるところから話は始まり
そして交互に、吉村貫一郎本人のお国訛りの語り
吉村と同じ新撰組に属した同期や、吉村の教え子
さらに斉藤一や大野次郎右衛門の息子、千秋
吉村の残された息子と語り手が話を進めるうちに
見えてくるもの。

貫一郎の心の内、長男嘉一郎の母に宛てた独白
そして貫一郎の次男が地元盛岡に帰郷するラスト
大野次郎右衛門の手紙は圧巻です。

はぁ〜〜〜〜、だから浅田は「鉄道員」だけで
判断しちゃいけません(笑)
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