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2006年 06月 29日 |
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 もぅ伊坂、大好きです。この本もいいっ。
伊坂にしてはグロ度は(笑)低いので
もぅ誰にでも勧められるし、ぜひ
読んで欲しいと思うくらい「おもしろい」!
デビュー作から思うことなのですが
この人の文章は本当にテンポがよくて
読みやすい。言葉のセンスがとてもいい。
そこへ、ミステリ、それも軽い日常に
紛れた事件が含まれれば自然と読み進む
スピードも速くなるってもんです。

さて、この本は、短編集なのですが
形的には連作。陣内を軸に
陣内の歌に惹かれて交流を持つようになった
鴨居、
銀行強盗に巻き込まれたときに陣内と
鴨居と知り合いになった盲目の永瀬、
永瀬の恋人の優子、
陣内が家裁の調査官となったときの
同僚の武藤。
鴨居、武藤、優子、永瀬がそれぞれ
ストーリーテラー的な立場となり
陣内の飛び抜けたキャラクターに
振り回される姿は読んでいて爽快ですら。

「バンク」では銀行強盗に遭遇した
陣内と鴨居。犯人は銃を持った二人組。
12人の行員と4人の客が人質。
2億円とともに消えた犯人。
永瀬は聴覚と記憶を頼りに謎を解く。
銀行強盗が相手でも陣内は至って
オレサマなペース。

「チルドレン」は家裁の調査官となった
陣内のあり得ないほどいい加減で
的確な予言に翻弄されながらも
万引き犯の高校生と無愛想で威圧的な
父親の面談をする武藤。
その「父親」と「少年」の不思議な関係が
オモシロイ。

「レトリーバー」は強盗事件をきっかけに
陣内と交流を持ち始めた永瀬と優子が
陣内の告白に付き合わされた挙げ句
「時間が止まった」と言いきる陣内の
無茶苦茶な言動にひっぱりまわされる。

「チルドレンII」はまたまた家裁での
陣内の話。武藤は少年事件担当から
家事事件担当へと変わり、離婚の調停を
受け持つ。担当が変わってもなお陣内に
翻弄される武藤。でもそのすべてが
思いがけない方向へと向かっていく。

「イン」は全盲の永瀬が語り部。
見えないからこそ聴覚、嗅覚で
動きを判断する彼が遭遇する「ミステリ」
陣内がデパートの屋上でバイトをしていると
鴨居から聞いた永瀬と優子は
屋上で陣内を待つ。優子が飲み物を
買いにベンチを離れた時にやってきた
陣内。声は確かに陣内だけれど
本当に彼は陣内なのだろうか?と疑いを
持ち出す永瀬。
その理由は。。。
伏線の張り方に脱帽。

と、書き出したら何もかもがネタバレに
なりそう!これはぜひ「読んで」
楽しんで欲しいです。絶品!!!
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2006年 06月 27日 |
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 じわ〜んな重松の7本の短編集。
ビタミンFと名付けられたこの本。
ビタミンにFと名の付くものはない。
とすると、このFは?
Family,Father,Friend,Fight,Fragile,Fortune
などなどFの付く言葉をキーワードとした
心に「ビタミン」のようにはたらく小説と
作者が仕組んだようにしっかりと心に効きます。
どの話も、ちょっと心に
答えなんか出せない、けれど、きっと
うまくいくよ、と沁みてきます。

主人公達は36歳〜40歳、「一時の輝きを
失い人生の中途半端な時期」日常に
ふっと襲いかかる様々な違和感。

ゲンコツで誰かを殴ったのはもぅ何年前の
ことだろう?オヤジ狩りのターゲットに
されないようにこそこそしてる自分
昔の正義感はどこに?「ゲンコツ」

妻の入院、なんとなく距離の取りづらい
声変わり中の息子と二人きり。息子を
「悪いことなんかできない「お人好し」
と妻が言っても情けなく感じる「はずれくじ」

中2の娘が年上の男と付き合ってる。
それを許せない自分とどこかで認めている妻。
お前が初めて男を知ったのはいつなんだ?
心に芽生えた妻への不信感。昔の彼女の
電話番号をそらんじてみる「パンドラ」

リーダー格の役目を買って出るような
明るい中2の娘。学校の話もよくしてくれてた。
嫌われてる転校生の話も。「いじめてるとは違う。
嫌ってるだけ。いじめは悪いことだけれど
好き嫌いは個人の自由じゃん。いじめはやめろと
言えても嫌いになるなって言える?」
来るなと言われた運動会を覗いてみると
そこに仲間はずれにされた娘「セッちゃん」

決定的な何かがあったわけではない。
今の生活にふっと嫌気がさした。
俺の人生こんなもんか、と家族が和む
リビングで。それ以来、妻を見ていると
いらつくようになった。そして昔の恋人からの
配達付きのタイムカプセルを受け取った「なぎさホテルにて」

完璧であろうと頑張ってた。上司としても
夫としても父親としても。のんびりした長男と
優等生の長女。その長女がつまづいたとき知った。
「あなたには弱いところを見せられないのよ」
こんなにも自分への不満がたまっていたとは「かさぶたまぶた」

父を置いて出ていった母。熟年離婚だった。
それから10年。母が一緒に暮らした人が
死んだとき、無口で無愛想な父がまた母と
暮らしたいと言い始めた「母帰る」

どれも胸の奥にきゅっと小さな痛みと
その痛みが柔らかくちょっとだけほぐれ始める
そんな話が詰まってます。
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2006年 06月 24日 |
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 コミックです。「百日紅」と「合葬」
むかーしむかし高校時代とかに杉浦日向子は
友達の影響もあり読んでいたのですが
先日、宇江佐真理の「桜花を見た」に
収録されている「酔(え)いもせず」を
読んで懐かしくなり購入。
「百日紅」は北斎の話。
北斎と娘のお栄、居候の栄泉達が
イキイキと暮らす江戸の模様が素晴らしい。
ひとつひとつの話が短いのでまたそれが
いい余韻を残して心に残ります。
お栄の思い、そして北斎の生き方
北斎を慕った人たち。
宇江佐の描く小説の中のお栄も
魅力的ですがでも矢張りあたしの
頭の中では小説を読みながら
杉浦日向子の描くお栄の表情が
浮かんでました。もちろん宇江佐真理自身
それを厭わないことと思います。

「合葬」は上野戦争をテーマに
彰義隊に参加した3人の少年の話。
こちらのほうが絵が拙い感じもしますが
当時の少年達の生き様に読んでいると
引き込まれ時間をワープしていく気分。

小説で時代物は苦手〜〜〜という方も
ぜひコミックから江戸の楽しさ、せつなさを
味わって頂きたい♪
つくづく惜しい人を、と、合掌。
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2006年 06月 22日 |
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 これも宇江佐なのですがまったく予備知識
なしで読み始めて、いきなり舞台が
長崎なので、おおっ北から今度は南へ?と
思ったら登場人物は榎本武揚、はい、蝦夷絡みです(笑)

主人公はおたみ。父親の通詞(通訳)の
仕事の都合で家族で江戸から長崎へ
移り住んでいた。
父親の影響を受け幼い頃から語学に
慣れ親しんだおたみは英語とオランダ語
そしてフランス語も操るようになっていた。
おたみの家族が江戸にいた頃
世話になっていた榎本家の次男
釜次郎(後の武揚)が海軍伝習所の
生徒として長崎にやってきた。
おたみは徐々に釜次郎に恋心を抱く。

父親の死、江戸へ戻ったおたみと母親
生活のため芸者となるおたみ
そして軍艦頭として出世した釜次郎との
再会。話のテンポは早くまるで
その時代の流れそのままのように話は
矢継ぎ早に移っていきますが
かと言ってそれで話が乱雑になることもなく
むしろどんどんと引き込まれていきます。

榎本が自分の下に着くものたちのことを
考え、蝦夷に新天地を求める姿に
小説でありながら榎本が好ましくなったり(笑)
また歴史には一切残っていない、蝦夷まで
榎本と共にした男装の通詞であったおたみも
本当にいてもおかしくないんじゃないかとすら
思わせるほど説得力のある小説です。
これはもぅ作者の力量の素晴らしさ。
おたみの老後もいいなぁ。
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2006年 06月 18日 |
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 さてさてこの宇江佐作品は江戸モノなのですが
サブタイトルが「松前藩士物語」
どーいうことかというと、江戸詰めであった
松前藩士、相田総八郎の話。
蝦夷松前藩が蝦夷地から
文化4年(1807)陸奥国伊達郡梁川へと
移封(お国替え)になった時
藩は一万石の大名から九千石の小名へと降格され
340名いた家臣すべてに扶持を与えられず
士分66名、医師4名、部屋住み16名、
足軽70名の士籍を削った。
鷹部屋席の総八郎もその一人。
国許には祝言をあげたばかりの妻を置いたまま
総八郎は江戸で浪人となっていた。

国許で相田家からは追い出され、実家では
兄嫁にいじめられ総八郎を頼りに
江戸に出た妻のなみは
総八郎が暮らす徳兵衛店(とくべえだな)と
呼ばれる裏店(うらだな)に一緒に
暮らし始める。

「桜花を見た」に収録されている「蝦夷列像」に
描かれている松前藩の執政(主席家老)の
蠣崎広年(波響)が絵を売り、帰封(松前藩を
元通りに蝦夷に戻す)の為、資金を作っていた頃
浪人にまで身を落としてもなお
松前藩を思う元藩士達の側から描いた作品。

一つの出来事であっても様々な立場から見た
蝦夷松前藩。かなり興味深い。
その中でも特にこの連作短編集は
江戸に住む魅力的な登場人物が多く読みやすいです。
特に小間物屋の「よいよい」の息子
とん七の存在は大きいなぁ。
松前藩モノで最初に読んだ宇江佐作品は
「おうねぃすてぃ」なのですがそれに比べて
どんどんストーリーテラーとして巧くなってるなぁと
いうのが正直な感想かな。
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2006年 06月 15日 |
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 いいっす!うん。先日読んだ「たば風」よりも
こっちのが好きかな。
同じく短編集なのですが、短編よりも気持ち
長めな5編を集めた作品。
うち3編は江戸モノ、2編は蝦夷モノです。
やっぱ宇江佐は江戸モノだよねぇ〜と思って
前3編を読んだのですが、徐々に後の2編を
読むうち蝦夷モノもいいぞ、と。
歴史上の登場人物がほぼ固まってくるので
妙に親近感が湧いたからだと思いますが。

まず3編の江戸モノ。
「桜花を見た」はなあんと遠山の金さんには
隠し子がいた!という飛んだ設定から。
と、これが別に違和感なく話が進むんだなぁ。
もぅほろりです。
こーいう静かな部分にほろりとくる
奥深い、哀しいけれど、満ち足りてはいる、
そんな情感を感じられるオトナになった
自分を感じます(笑)

「別れ雲」は28歳の「出戻り年増」な
「れん」と年下の絵師「鯛蔵」の歳の差カップル。
そこへ元夫の卯之吉との間、年を取った
筆造りの父親の子を思う気持ちも重なり
揺れ動くれんの気持ちを切なく描いた一作。
この鯛蔵というのが
「北斎とは対立する歌川派の浮世絵師ながら
北斎の画風を慕って出入りする」歌川国直という
実在の人物。もちろん「小説」ですが
本当にこんなことがあったかもしれない、
こんな思いを抱えて、あの時代、確かに
あの人達は存在したのかもしれない、と
宇江佐の話は、ほんわりした気持ちにしてくれます。

「酔(え)いもせず」は、その国直こと鯛蔵が
慕っていた北斎の娘、お栄の話。
北斎があれだけ名声を得てもなお、貧乏な
暮らしをしていたこと、引っ越し回数が
転居90回を越えていたことなど
ちょっとした北斎通に(笑)「渓斎栄泉」も
出てきたり、と杉浦日向子好きは
ちょっと嬉しい絵が浮かぶ一品。
もちろん参考書目にもしっかり「百日紅」が。
しっとりいい作品です。

「蝦夷列像」は先日読んだ「たば風」にも
出てきた松前藩の蠣崎波響(かきざきはきょう)
絵を得意とする松前藩の家老。
波響こと広年の叔父は藩主である道広の命を受け
「寛政蝦夷騒動」の折り蜂起した蝦夷達を
鎮めた厚岸の蝦夷達の功労をねぎらい
藩の宝である蝦夷錦を纏った蝦夷達を
絵にすることになった、その広年の心の
内側の葛藤。そして松前藩が移封となり
陸奥国梁川に居を構え、復領の為の賄賂の
資金のため絵を売る広年、その広年の妻
かな江との愛のかたち。
松前藩が一方的に蝦夷から搾取したという
蝦夷側からだけではなく藩側からみた
苦しさも描ききれているからこその辛さ。

「シクシピリカ」はその反対側、蝦夷を
庇護する上で、松前藩及びその土地の
見分を幕府から言い渡された立場からの話。
「たば風」の中の「錦衣帰郷」に出てきた
最上徳内こと元吉の少年期、青年期から
蝦夷に渡りその余生まで。
羽州西村山群谷地村出身で
貧しい家に生まれた百姓の子ながらも
武士になった元吉の意思の強さ、
蝦夷に米作りを教えたいという思い。
言ってしまえば、松前藩の裏を暴くための
密偵として蝦夷に渡り、例え一人でも
蝦夷との交流を持った冒険家として
読んでも面白いです。

どの話も歴史小説として読むよりも
人間ドラマとして大好きな作品ばかりです。
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2006年 06月 11日 |
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 久々の宇江佐節、やっぱこの人の描く女性は
いいなぁ。ほろり加減もいい感じ。
蝦夷捨遺と副題にあるように北海道に
徐々に人が移り始めた頃の蝦夷松前藩を
テーマにした短編集。

蝦夷松前藩、城下に暮らす幸四郎25歳、
まな18歳は祝言をあげる予定だったが
幸四郎の突然の病。まなを思う親は
命を取り留めたものの半身不随の身となった
幸四郎との縁談を反故に違う男の元に嫁がせた。
初めは諦めの気持ちでいたまなも子をなし
夫の優しさに触れ、家庭を守る妻として
生きたが、藩内は相続問題に揺れていた。
小姓組に属し藩主に仕える夫の伝十郎は
その争いに巻き込まれ、その火の粉は
まなと子にも及んだ。そんな時に
救いの手を延べてくれたのは幸四郎だった。
ーたば風
共に相手を想いながらも結ばれない関係は
確かに宇江佐版「蝉しぐれ」

どの話も倒幕の時代、攘夷と騒がれ、諸外国の
船が次々とやってきては開港を迫り
松前藩内は世継ぎ、相続問題に右往左往している
時代の裏側で、蝦夷と江戸のそれぞれの地で
生きる武士や町民たちの様々な運命を描いた作品。

個人的には「恋文」が好きです。
惚れられた相手に嫁ぐのだからと武士である
刑部のもとに嫁いだ町家の娘だったみく。
好きではない相手との生活に不満を持ちながらも
3人の子を育てたが、国許の蝦夷に老後は
帰るという夫と離縁を考える。
別れることを元服を済ませた三男にだけは
打ち明けると、三男は「父上に恋文を100通
書けたら離縁を認める」という条件。
蝦夷で問題が起こり、駆り出された主人に向けて
条件である恋文を書くうちに、みくは
夫への思いが変わっていくわけです。
そのハッピーエンドにじわり。

「柄杓星」は幕府小納戸役だった仙太郎は
彰義隊として上野の屯所に入隊。上野戦争に
参加、命からがら元許嫁杉代の兄に助けられ
蝦夷地へと新天地を求めて旅立った。
杉代は蝦夷地で行方も生死もわからぬ仙太郎を
想いながらもあの一夜を胸に他家へと嫁ぐ。

他、貧しい家に生まれたが普請役にまで上がった
最上徳内こと元吉の里帰りの様子を綴った「錦衣帰郷」
土方歳三も登場する蝦夷地の6人娘の話「血脈桜」
蝦夷に伝わる押し花の伝説の「黒百合」
どれも粒揃いなほんわり具合。
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2006年 06月 09日 |
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 1月17日、午前5時46分。
近畿地方にてとてつもなく大きな地震が起こったその日
震源地から700km以上離れたN県警察本部では
あり得ないことが起こっていた。
警務課長の失踪。
一晩、無断で家をあけたくらいでコドモじゃ
あるまいし、という反面、警務課長という
「ただのオトナ」ではない人間の失踪。
それは県警主要幹部を突如おそった烈震。

何千人もの死者を出した震災のニュースを
流すテレビをバックに、己の欲の為だけに
奔走する警察幹部達。
何が起こっても、どんな不祥事があろうとも
我が身の為に「震度0」を貫き通そうとする男達。

当初、神戸の震災も被害の大きさに正確な情報が
まったく伝わってこなかった。
一方、N署内では、幹部同士の対立ゆえに
失踪した不破に関する情報が伝わらない。
すべてはこの情報に翻弄される人たちの話。

初めはものすごく読みにくかった!
だってもぅ混乱。
県警本部長の椎野、警務部長の冬木のキャリア組
警備部長、堀川は準キャリア
刑事部長の藤巻、生活安全部長の倉本、交通部長の
間宮の地元ノンキャリア
この6人の幹部達の自宅である公舎と庁舎内にある
それぞれの部長室での話が
時系列順に進んでいくので、あれ?これは
誰だっけ?状態。挙げ句には、あれ?この人は
誰の奥さんだっけ?みたいな。

でも途中からはもぅ一気読み!
読み終わると、とても考えられたわかりやすい
作りになってると気づき、もぅ一度ぱらぱらと
読みなおしてさらに納得。

警察小説として、ミステリとしても読めますが
やはり最後の人間愛的なくだりには感慨深いものが。

ただ、あの阪神淡路大震災を、時間軸の表現
幹部達のマイナス面強調の為に使われることを
非人道的と非難する声もあるようですが
あたしは逆に、あの震災が日本人の共通認識として
最悪な出来事としてあるからこそ
より一層、地方のとある県警の幹部達の滑稽さが
際立ったような気がするけれどどうでしょう?

あ、でもこの人、女性を描くのはダメかも(苦笑)
あくまで男性視点。
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2006年 06月 05日 |
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 あ〜〜〜↓またやられちゃったよ。
表紙のかわいさに騙された。「魂萌え!」と
同じパターンにひっかかりました。
表紙で判断しちゃあいけません。でもよく見ると
コレ、毒きのこかな?なら、ありですね。

全編「悪意」に満ち満ちてます。
女として、人間として、ここまで
女の、人間の醜い部分、グロテスクさを
晒す勇気。これはある意味恐怖小説。
(伊坂のグロさとはそこが違うのね。)
人間の心に潜む残酷さ、ここまで晒せるのは
もぅこの人しかいないのでは?とオモウほど。

短編集ですがどれもみな長編にできるのではと
思えるほどの濃い内容。

ネタバレしますよ。

周囲からも嫌われ疎まわれ、臭いと言われ
醜く鈍くさく、キスもセックスも未経験な24歳の
真希という女がいるわけですよ。
当然、おどおどしてる「キモチワルイ変な女」
過去、ただ一度だけ痴漢にされた行為を
思い出しては一人熱くなってるような女。
でもその真希がいきなり思い出すわけ。
自分は、あの「グリコ・森永事件」の中心人物だったと。
突然、自分は主役だと自信を持つのね。
その自信の出た姿も、全然明るくもなければ
爽やかでもない、醜い独りよがりに近い形。
周囲はまた余計に気持ち悪がるくらい。
でもそれはもっと深い記憶を呼び覚まされまた
もとの自信のない自分に戻る、けれど
そこに残ったのは、おどろおどろしい悪意。
小さな幼い存在に向けられた悪意。
これはもぅすごくコワイ話。

これが短編。濃いでしょう。

他にも何年も続いた不倫、相手は家庭があり
自分ばかりが損してるという呪縛に囚われ
壊れていく42歳のフリーライターの女性の
惨めに歪んだ悪意。
相手の家庭にばらしても、相手の家庭は
壊れず、自分だけがすべてから攻撃され
自分だけが壊れていく。けれど
最後の最後まで、他に向けられた悪意の塊。

出版社に勤める48歳の女二人と34歳の女の
海外旅行。酒も入り告白ごっこの内容は
性体験。初体験の相手が父親だったり
自分がレズだと気づいたり性奴隷として売られたりと
凄まじい告白のあとに誘いの言葉は
奴隷として売ってみないか、という悪意。

表題作の「アンボス・ムンドス」は小学校5年生の
女子達の大人に、クラスの一番の嫌われ者であった
相手に対する悪意。これもコワイ。

体力ない時に読むと負けます。
つーか読後のこのなんとも言えない不快感。
うーん。。。これがクセになって桐野作品に
はまるのかなぁ?
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2006年 06月 03日 |
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 ぬお〜、きたきたきたきた。
これはいい。さすが本屋さんがオススメしたくなる
「本屋大賞」を受賞するだけあります!
もぅ久々(?)胸張って薦められる(笑)
いや、この前に読んだのが「グロ、イパーイ」だから余計?

貴子の通う進学校では修学旅行がなく代わりに
「歩行祭」が毎年行われる。
夜通しかけて1時間ごとに10分の休憩
僅か2時間程度の仮眠、食事以外はひたすら歩く。
その「歩行祭」の日、貴子はある賭けを
自分に課す。
それはクラスメートである西脇融に話しかけること。

夜通し友達と過ごす特別な時間は
ただでさえも特別な「告白」が飛び交うのに
身体が限界を訴えることにより
さらに心の内側、自分と向き合い、そして
相手とさらに深く内側で感じあえる。

「みんなで、夜歩く。
たったそれだけのことなのにね。
どうして、それだけのことが
こんなに特別なんだろうね。」
歩くと言ってもそれはもぅハンパじゃない。
足が棒になるどころか悲鳴をあげるその描写に
まるで一緒に歩いているような錯覚に。

恋愛小説ではなく青春小説です。
だいたいあたしは「学生」を主人公にした青春小説は
好きではないはずなのですが(だってもどかしいんだもん)
これは違う。妙にガキ臭くもなければ
変な風に気持ちの悪い背伸びもなく
自然にオトナっぽかったりコドモっぽかったり
自然に物語の世界に入れました。
特別、哀しい出来事や大きな動きが
あるわけではないのにじーんと涙が
うるるるっと滲んでくる、そんな本。

自分がこの年齢の時、もしかしたら
その時じゃあないと聞こえない雑音
色々と聞き落としてたのかもしれない。
(まず、この歩行祭、あたしなら間違いなく
さっさとバスに乗って一晩中友達と
話せる〜♪とはしゃいでそうだよ。
あ〜、もったいない。)
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