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2006年 11月 30日 |
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 恋愛にも大学生活にも退屈し、うつろな
毎日を過ごしていたリョウ、二十歳。
だが、バイト先のバーにあらわれた会員制
ボーイズクラブのオーナー・御堂静香から誘われ
とまどいながらも「娼夫」の仕事をはじめる。
やがてリョウは、さまざまな女性のなかにひそむ
欲望の不思議に魅せられていく…。
いくつものベッドで過ごした、ひと夏の光と影を
鮮烈に描きだす、長編恋愛小説。
(「BOOK」データベースより)

すっかりお気に入り作家の石田衣良。
この作品の中で彼の描く主人公の森中領は
とても実在しないだろうなと思うくらい透明感を
持った少年。どんな相手を前にしても
彼はまず呑み込む。相手を否定しない。
固定観念や世間一般の下らない価値観で
相手を判断しない。淡々と受け止める。
これはもぅ素晴らしい。
こんな20歳いないでしょうね。
ただ、いくら母親を亡くしたことから
年上の女性に対して、他の子とは違った見方を
しているとはいえなぁ(苦笑)
でも年齢を重ねた女性から見たら彼はもぅ天使の
ような存在でしょうね。
そんな天使の見た女性の性の深さ。
性描写が多いので引いちゃう人もいるかも
しれないけれどそれでもこの読後感の爽やかさは
オススメ。ラストのリョウの決断。
なんかすごいイイはナシを読んだなぁと思った後に
あれ?ただの「変な人大集合」な話?と
ちょっと騙された感はあるものの
登場人物がみんな優しく癒される1冊。
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2006年 11月 30日 |
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 年老いた俳人・片岡草魚が、自分の部屋でひっそりと
死んだ。その窓辺に咲いた季節はずれの桜が
さらなる事件の真相を語る表題作をはじめ
気の利いたビアバー「香菜里屋」のマスター・工藤が
謎と人生の悲哀を解き明かす全六編の連作ミステリー。
第52回日本推理作家協会賞短編および連作短編集部門受賞作。
(「BOOK」データベースより)

事件現場へ赴くことなく事件を解決へと
人から聞く話の内容から導く「安楽椅子探偵」もの。
なので、先に言ってしまうと
はっきりすっきりした「解決」を求める人には
向きません。なんたって「きっとこぅだろう」的な
話ですからね。
あたしはかなりこの「アタマのよさ」「観察眼の
鋭さ」にもぅへへーーーーーっとアタマの下がる思いで
ワクワクして読ませてもらいました。
そんな香菜里屋(かなりや)シリーズの第1作です。
色々な料理が出てくる野ですがこれがまた美味しそう!!
(次も楽しみ)

香菜里屋のマスター工藤はまるでヨークシャーテリアが
間違って人間になってしまったような人なつこい笑顔を
もった年齢不詳な男性。その柔らかい笑顔は
人の胸の中にある頑なな言葉すら引き出すかのよう。
そんな工藤の店は美味しい料理と常時度数の違う
4種類のビールを用意した小さなビアバー。
お客さん達が持ち込む日常に潜む謎を解き明かす。
そしてその裏に潜む人生の悲哀。

「花の下にて春死なむ」
年老いたの俳人の死。過去が一切わからず
無縁仏となってしまった彼を故郷へ帰してあげようと
同じ句会のメンバーだった七緒は山口へと向かう。
当時の流行病を封じるために、父のプライドを
守るために犯罪者となった彼の悲しくせつない過去。
自然死の死体からまったく関係のない殺人事件の
解決までもっていくのは見事。

「家族写真」
地下鉄に置かれた誰でも自由に貸しだしできる本棚の
本の中に挟み込まれた家族写真。一体誰が、どんな目的で。
そんな内容の記事を見せられた客達はその謎を
推理していくが。。。真実は裏の裏だけではなく
さらにその裏にもほろ苦さを伴って存在する。

「終の棲み家」
人生に楔(くさび)を打ち込むような仕事がしたい
使い捨てのカメラマンで終わりたくない、そんな妻木の
ファインダーが捉えたのは多摩川の河川敷に
ひっそりと暮らす老夫婦だった。そしてその作品が賞を
獲ったことから、彼らは姿を消す。
もしかして彼らは場所を追われたのか?
そんなとき罪悪感でいっぱいの彼の元へ
届けられたものは。。。
とても読後感爽やかな一編。

「殺人者の赤い手」
赤い手の魔人が小学生を襲うという都市伝説じみた
怪談話。2日前に起きた殺人事件。目撃者の小学生は
犯人は「赤い手の魔人だ」と証言する。
ところがその話に隠された真実が。。。
警察官が私服になるとまったく印象が変わる
そんな職業って案外、多いもの。
赤い手の魔人、それは赤い手袋なのか?それとも?

「七皿は多すぎる」
回転寿司屋で鮪ばかり7皿も8皿も食べる男。
それだけ食べて店を出てしまう、という
又聞きの話から推理は進む。
「しょせんは他愛のない話から始まった、言葉遊び」

「魚の交わり」
七緒が故郷を探し出した俳人草魚と関わりが
あったらしい女性の甥からの手紙。
昭和42年の暮れ、
足の不自由な彼女が一途に恋した相手は
クリスマスイブの夜、藪の中で胸を刺されて
殺されていた。その翌年、彼女は感電死として
事故死。それまでに残された彼女のノート。
そこから垣間見える草魚のものであろう言葉。
いったい二人にどんな繋がりが?
西行の「願はくは花の下にて春死なむ
そのきさらぎの望月の頃」から取られたこの
タイトル。ちょっと地味な気がするのはあたしだけ?
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2006年 11月 20日 |
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 大企業のサラリーマンから憧れの私立探偵へ
転身を果たした筈だったが—事務所で暇を
持て余していた仁木順平の前に
現れた美少女・安梨沙。
…亡夫が自宅に隠した貸金庫の鍵を捜す主婦、
自分が浮気をしていないという調査を頼む妻。
人々の心模様を「不思議の国のアリス」の
キャラクターに託して描く七つの物語。
(「BOOK」データベースより)

大きな事件はないものの日常生活の不思議を
描いた心温まる連作短編ミステリーってとこでしょうか。
加納朋子らしさ満開。あたしはかなり
こぅいったほのぼのミステリも好きです。
読みやすいし確実に心に残る話ばかり。

螺旋階段のアリス
 亡くなった主人が隠した銀行の貸金庫の鍵を
見つけて欲しい、と初依頼。離婚と結婚を同じ相手と
繰り返した夫婦。亡くなった時は離婚中だったという妻。
金庫にはきっと自分の為に残してくれたものがあるはずと。。。
トランプの女王様、ハートのクイーンの依頼。

裏窓のアリス
 浮気調査ならぬ、浮気してない調査を依頼してきた
向かいのビルに住む社長夫人。
嫉妬深い夫が浮気調査を頼みに来る前に
浮気していないことを証明してくれと。
ところがそれは妻にしてみれば些細な、ダンナにしてみれば
とても大きな「事件」のアリバイ証明だった。
自分たちにミスを隠そうと白い薔薇に赤いペンキを
塗る庭師たちのように。

中庭のアリス
 髪を薄紫色に染めた老婦人に密かにマダム・バイオレット
と命名した仁木。婦人からの依頼は行方不明の犬、サクラを
探して欲しいというもの。ところがマダム・バイオレットの姪によると
「そんな犬、もともといない」と。。。
薄っぺらに感じてしまう白の女王ならぬすみれ色の女王の
見てきたたものは?

地下室のアリス
 仁木が、30年近い年月勤めてきた会社の
地下3階。今回の依頼人は地下室の番人。
鍵のかかった誰もいない書庫で鳴る電話を
調べてくれというもの。誰が何のために書庫へ
電話を掛けてくるのか?
そこからあらわれたのは臆病な哀れなトカゲのビル。

最上階のアリス
 大学時代の先輩・真栄田さんからの依頼。
最近、真栄田さんは奥さんから小さなお使いを
頼まれるらしい。有名なお店のモンブランを
買ってきてとか、知り合いの個展に出て来てなど
他愛のないものだけれど腑に落ちない。果たして妻の
意図したものは?
おかしな発明ばかりしている、馬から落ちてばかりの
白の騎士と現代のドンキホーテの風車の関係とは。

子供部屋のアリス
 赤ん坊を預かってもらいたい。今度の依頼は
産婦人科の先生。ベビーシッターには頼めない、
ぜひとも約束の守れる探偵に、との依頼だが
おかしな点が多い。依頼そのものにも赤ん坊そのもの。
それはまるでトイードルディとトイードルダム。

アリスのいない部屋
 安梨沙がいなくなった。月曜の朝、本人から
「しばらくの間休みをもらいたい」という電話があった。
そして水曜日。安梨沙の父親から電話があり
娘を出せと言われる。安梨沙を誘拐したという
電話があったと。安梨沙はどこへ行ってしまったのか?

赤の王様はいびきをかいて寝ている。アリスのいる
鏡の国の夢を見ている。目が覚めたときすべてが
なくなってしまう。仁木と安梨沙が解決してきた
謎は赤の王様が目を覚ましたらなくなってしまうのか?

最後までほっとやすらぐそんな1冊です。
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2006年 11月 20日 |
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 サラリーマンから探偵に転身した仁木順平と
助手の美少女・安梨沙(ありさ)が営む
小さな探偵事務所には今日も奇妙な事件が
持ちこまれる。育児サークルに続く嫌がらせ。
猫好き掲示板サイトに相次ぐ、飼猫が殺されたとの
書き込み。仁木の息子の恋人につきまとうストーカー。
6つの事件の後で、安梨沙が心に決めた決意とは?

正直言って、前作よりもずっと読み応えあります。
ミステリとしても裏をかいたトリックたっぷり。
人間ドラマとしても重みを増し
前作が紹介だとしたら本作はその人物達が
その後どう歩んでいくかまでも描ききれています。

虹の家のアリス
一人っ子の親の集まり「いちご(一児)の会」を経て
「にじ(二児)の会」のお世話係を一手に引き受けている
ミセス・ハート。彼女の悩みは育児サークルへの嫌がらせ。

牢の家のアリス
前にベビーシッターの依頼をしてきた産婦人科医。
次の以来はなんと密室から誘拐された新生児を
探し出して欲しいということだった。若い夫婦に
あって話を聞く仁木。

猫の家のアリス
ABC順の名前順に猫が殺されている。猫好きが集まる
サイトの掲示板に不穏なカキコミ。まさか次はうちの猫が?
不安に駆り立てられる飼い主が相談した相手は。。。

幻の家のアリス
安梨沙が自分の服の衣替えをしたいと実家に戻ると
いうので荷物を運ぶのを手伝う仁木。
そこであったお手伝いから依頼を受ける。安梨沙が
すっかり変わってしまった、と。自分に非があるのか
嫌われてしまったのか?と。

鏡の家のアリス
仁木の長男、周平からの依頼は結婚を考えている
女性が前に少しだけつきあった女性が
ストーカーと化し、「彼女」に嫌がらせをしている
ぜひその「彼女」のガードをし、「彼女」を
説得して欲しい、と。
息子のために、と動き出した仁木だが。。。

夢の家のアリス
花泥棒には罪はない?そしてそれが例えコンテナごと
台車を使ってまで盗まれても、高価な鉢ごと
盗まれても?香りの高い花ばかり盗んでいくその理由は?

ずっと様子を見守っていきたい愛すべき登場人物達。
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2006年 11月 17日 |
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 中学に進んでまもなく、どうしても学校へ
足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと
移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。
西の魔女ことママのママ、つまり大好きな
おばあちゃんから、まいは魔女の手ほどきを
受けるのだが、魔女修行の肝心かなめは、
何でも自分で決める、ということだった。
喜びも希望も、もちろん幸せも…。
その後のまいの物語「渡りの一日」併録。
(「BOOK」データベースより)

学校で疎外感を感じて登校拒否、まるで
今の時代にぴったりな設定。
そしてその理由を両親も祖母も問い詰めたりせず
彼女がそこまで言うのならそうなんだろうと
受け止める暖かさ、強さ。
そして、持病の喘息の為、と預けられた祖母の
家での様々な昔ながらの生活スタイル。

これがまたとても具体的に描かれ
(野いちごのジャムを作ること、シーツを
足で踏んで洗ってラベンダーの上に広げて
乾かすことなどなどなど)様々なシーンで
英国風な素敵な習慣にほほぅと感心。

何より素晴らしいのは祖母の孫を思う気持ち。
甘やかさない優しさ。
最後には、突拍子もない出来事に思わず涙。

読んで良かったと心から思える本。
あっと言う間に読み終わるのでぜひ読んで欲しい。
悩んでいるコドモから大人まですべての人に。
とても素敵な一冊。読後感に広がる感情に
もっともっと読みたいと思わせるほど。
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2006年 11月 17日 |
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 人は、一度巡りあった人と二度と別れることはできない—。
午前二時、アダルト雑誌の編集部に勤める山崎のもとに
かかってきた一本の電話。
受話器の向こうから聞こえてきたのは、
十九年ぶりに聞く由希子の声だった…。
記憶の湖の底から浮かび上がる彼女との日々、
世話になったバーのマスターやかつての
上司だった編集長の沢井、同僚らの印象的な姿、
言葉。現在と過去を交錯させながら、
出会いと別れのせつなさと、人間が生み出す感情の永遠を、
透明感あふれる文体で繊細に綴った、
至高のロングセラー青春小説。
吉川英治文学新人賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)

「アジアンタムブルー」の前の話。同じ主人公です。
小綺麗な文体と印象的な事象や言葉。
ぼかした時系列で読んでいる間、作者の描く世界に
がっつりはまることで漂うような空間を味わえます。
哲学っぽい匂いを漂わせているだけの青春小説。
村上春樹臭たっぷり。
ってあたし、彼の本、苦手意識から避けてますが。
屈折していたり、哲学的な戯言は嫌いではないはずなのに
どうしてこんなにも胸を打たれないのか?と
不思議に思うほど。
きっと男性視点すぎて女性の思考とかが
現実離れしすぎてついていけないのかもしれない。
癌に脳まで冒され、幻覚で苦しむ上司の見る紋白蝶の卵や
二日酔いの状態を猿の数で言ったり
裕福な都会の家族像とか、ビールを飲みながら
男性が料理をしたりとか
もぅすべてなんかその小賢しさが使い古された手のような気が。
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2006年 11月 16日 |
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 「ごめん。もう、会えない」。東京オリンピック開会式の
前日、婚約者で刑事の奥田勝から、電話で
そう告げられた萄子は愕然とする。
まもなく、奥田の先輩刑事の娘が惨殺され、
奥田が失踪していたことも判明。
挙式直前の萄子はどん底に突き落とされた。
いったい婚約者の失踪と事件がどう関わっているのか。
間違いであって欲しい…。真実を知るため、
萄子はひとりで彼の行方を追った。
(「BOOK」データベースより)

上下巻の長編なのですが、飽きずに読ませます。
謎を解く過程ではなく、謎の答えに辿り着くまでの過程
主人公の陶子は終戦後、事業で成功した親のもと
何不自由なく贅沢に育ったが、その後
消えた婚約者を追って一人旅を繰り返す。
そこで出逢った様々な人たち
そして事件で娘を失った、消えた婚約者の上司である刑事。
陶子とこの刑事の心理状態を中心に
描かれていくのですが、そこにまったく緩みがない。

婚約者の勝が消息を絶った原因となる事件も
とても悲しい出来事。女の横恋慕の果て。
それぞれが自分の幸せを求めていたエゴの結果。

旅の情景、そして東京オリンピック前後の当時の
日本の状態や時事問題も含めて読み応えがあります。
その頃を知らない自分でもすんなり絵が浮かぶほど。
あたしにとっていい本ってのは情景がすっと浮かぶ
ことも条件の一つなのでこれはもぅなんなくクリア。

ミステリと一口に終わらせられない一冊。ちょっと
深めの小説を読みたい人にお勧めです。
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2006年 11月 07日 |
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 200万円でゲームブックの原作を、謎の企業
イプシロン・プロジェクトに売却した上杉彰彦。
その原作をもとにしたヴァーチャルリアリティ・システム
「クライン2」の制作に関わることに。
美少女・梨紗と、ゲーマーとして仮想現実の
世界に入り込む。
不世出のミステリー作家・岡嶋二人の最終作かつ超名作。
(「BOOK」データベースより)

まずこの作品、1989年に書かれたという事実。
これがまずすごいと思う。
今、2006年なので17年前なわけです。
17年前、解説から抜粋すると
パソコンをまだマイコンと呼ぶ人がいて
動作周波数はたったの16メガヘルツ
初めてノートパソコンが出て
ウィンドウズはバージョン2がまだほとんど
普及しておらず、MS-DOSですらバージョン3が主流
アップルはマッキントッシュIIの時代。
マウスを使わずコマンドでプログラムを起動させる時代。
ドラクエはIIIが最新、あのグラフィックが精一杯の頃
こんな話を作りだしたというだけですごいと思う。

ゲーム(システム)のことを描いているのに
まったく古臭さを感じない。
もしかしたらこの先、こんなバーチャルゲームが?
なんて期待してしまうほど。
もっとも存在したらこれほど恐ろしい現実が
待っているかもしれない。。というSFならではの恐さ。
じわじわと迫ってくる感じ。

そう、これはSFミステリです。
なのでラストに不満を感じる前にその世界を
存分に楽しむべき一冊。文体もとても読みやすく
SFが苦手なあたしでもぐいぐい引き込まれました。

ちなみに「クラインの壺」とは
メビウスの輪が2次元のテープ状のものを
ひねり表を辿っていくとそのまま裏に
行き着くようにしたの対し
3次元のチューブをひねり表を辿ると
裏に行き着くようにした立体、だそうです。
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2006年 11月 03日 |
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 うわ。きたきたきた。今までの近藤作品の中で
一番好きかもっ。
もぅとってもキュートでポップな日常ミステリ。

どんなに汚いオフィスでも、キリコちゃんにかかれば
翌朝にはすっきりピカピカ。
床やトイレはもちろん、エレベーターのボタンから
オフィスの人間関係まで! 
歩いた後に1ミクロンの塵も残さない掃除の天才キリコちゃん。

オフィスの清掃員といえばおじさん、おばさん、
おじいさんにおばあさん、ところがキリコちゃんは
「綺麗に日焼けしたつやつやの肌、小柄な身体に
ぴったりした白いTシャツに、黄色いミニの
プリーツスカート、黒のごつい安全靴。
渋谷や原宿なんかを歩いているようなタイプ」で
「どう見ても、社内の掃除をしているのに
ふさわしい人間じゃない。彼女のまわりは
あまりに異空間である」

彼女は、オペレータールームに配属された
社会人1年生の大介が受けた嫌がらせを
あっという間に解決して見せたり
上司の子供へのプレゼントに用意したぬいぐるみが
切り裂かれた謎を解いたり
ネズミ講に引っかかってしまった大介の同僚の
心情を察したり、日常に潜む様々な悪意が招いた事件を
次々とキレイにしていきます。

読んでいて気持ちがいいのは
彼女の仕事への接し方。
掃除のプロとして誇りを持ち、仕事に
気持ちよさを感じていること。
だからその気持ちを汚されたら当然怒る。
そのひたむきな前向きさにやられちゃうのは
主人公の大介だけじゃないはず。

どことなく漫画チックで読みやすいけれど
しっかりこちらの心に残るパワーも持ってる
ちょっと仕事に疲れちゃったり、恋愛、生活に
疲れちゃったりと凹み気味な人にぜひ
読んで欲しい1冊。読み終わった後、きっと
読者のそんなもやもやもクリーンになってるはず。
読後感がとても爽やか。
事件解決への強引さがちっとも嫌味じゃない1冊。
。。。掃除しよう。。。(笑)

この話、シリーズ化され次作もあるみたい。
早く読みたい♪
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2006年 11月 02日 |
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 「誘拐犯の娘が新聞社の記者に内定」。
週刊誌のスクープ記事をきっかけに、大手新聞社が
20年前の新生児誘拐事件の再調査を開始する。
社命を受けた窓際社員の梶は、犯人の周辺
被害者、当時の担当刑事や病院関係者への取材を重ね
ついに“封印されていた真実”をつきとめる。
第49回江戸川乱歩賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)

いやぁ、よくできてます。まず文章がとても上手い。
それだけに引き込まれていきます。
一気読み。
社会派ミステリといった類だと思いますが
人間ドラマもたっぷり含まれ
泣いちゃいましたよ。確かに都合のよい部分は
あるけれども、それ以上にテンポいいので
そんな部分を長々と気にとめず次へ次へと
読んでいきたくなる。
人物像も不要なことは一切ない上で丁寧に描かれ
それぞれに魅力を感じます。
作中の人物それぞれに存在する人生ードラマが
ちゃんとある小説は好き。
余韻を持たせた結末もいい感じ。
重みもある上、作者の優しさも感じられる読後感の
いい一冊。

作者はニッポン放送勤務後、フジテレビ報道局勤務
なんですね〜。それだけあってそういったマスコミの
内部事情等をうまく使ってあります。

雫井脩介や貫井徳郎あたりが好きな人には
かなりぐっとくるのでは。次回作が楽しみな作家。
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