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2007年 06月 25日 |
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伊三次とお文の目下の心配事は少々気弱なひとり息子
伊与太の成長。いっぽう、無頼派の調べに奔走する
不破の息子龍之進のまわりではいろいろな事件が起きて…。
ますます目がはなせない人情捕物帳。
(「BOOK」データベースより)

髪結い伊三次捕物余話シリーズ7作目。
まぁ時間の流れ的に続いてる話なので
仕方ないのかもしれませんが
一時期のような伊三次とお文のエピソードは
控えめ、龍之進をはじめとする見習い組の話と
子供達の話が加わりちょっと寂しいかな。
そのかわり、お文、ますますいいキャラになってます。
前作よりも好きな話が多いし。

「薄氷」
子は親を選べない。親にそそのかされ
幼い子をかどわかす娘。
相変わらずお文の言葉は重みが合っていいなぁ。
「忘れてやることさ。あの娘はわっち等の顔を見るたびに
事件のことを思い出すだろう。だから、道で会っても
知らぬ顔で通り過ぎることだ。向こうから声を掛けてきたなら
それはそれで結構だが、おそらくそんなことはないだろう。」

「惜春鳥」
お文さん、年増芸者に拍車かかってきてます(笑)
桃太郎として座にはあがるもののおもしろくないことも。
一方、見習い組たちはずっと追っている本所無頓派の
動向を探る日々。

「わっちはてっきり旦那に嫌われたものかとがっかり
していたんですよ」
「桃太郎さん、うちの人は気に入った人に邪険にする癖が
あるんですよ」
「まあ、そうですか。それならさしずめ一番邪険に
されたのはお内儀さんでござんすね」

「おれの話を聞け」
龍之進の同僚である佐内の姉、政江が労咳で
実家に戻っていた。嫁ぎ先の親は離縁させる話を
進めていた。夫である広之助の取った行動は。
夫婦の仲は他人にはわからないもの。

「のうぜんかずらの花咲けば」
龍之進が稽古の後に稲荷前でみかけた若い娘が
私娼窟の手入れで連れてこられた女達の中に。
客を取っていたと嘘をついてまで
親がこさえた借金に縛られた娘が望んだのは
少しでも眠れること、吉原ののうぜんかずら、
そして遊女であるいとこと会えること。

「本日の生き方」
若い職人が盗人の疑いで連れられ、後を追う女房。
お文の目の前で起こった出来事。
疑いの晴れた職人の出て来るのを一緒に待つ間
お文もこうして伊三次を待ったことを思い出す。
一方、龍之進は鉈五郎との行き過ぎた詮索に
反省文の仕置きを受けたりと相も変わらず
無頓派を追う。

本日の小生の生き方、上々にあらず。下々にあらず。
さりとて平凡にもあらず。世の無情を強く
感じるのみにて御座候。

「雨を見たか」
無頓派の仕業と探りをいれた伊三次の情報に
誤りがあり龍之進の伊三次を見る目が変わったことに
憤りを感じるもののお文の言葉で目が覚める。
不破は不破で若い頃の、もしかしたら下手人は
他にいたのかもしれないという思いを
引きずる己に気付く。

雨を見たかい、とは空模様を読む漁師たちの言葉。
「雨は見ましたよ、心の中で」とつぶやく龍之進の心情。
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2007年 06月 23日 |
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「あたくし、象を見ると耳鳴りがするんです」
退職判事関根多佳雄が博物館の帰りに立ち寄った喫茶店。
カウンターで見知らぬ上品な老婦人が語り始めたのは
少女時代に英国で遭遇した、象による奇怪な殺人事件だった。
だが婦人が去ったのち、多佳雄はその昔話の嘘を看破した。
蝶ネクタイの店主が呟く彼女の真実。
そしてこのささやかな挿話にはさらに意外な結末が待ち受けていた…。(表題作)
ねじれた記憶、謎の中の謎、目眩く仕掛け、そして
意表を衝く論理!ミステリ界注目の才能が紡ぎだした
傑作本格推理コレクション。
(「BOOK」データベースより)

元判事の関根多佳雄を主人公とした連続短編集。
かと言って多佳雄自身が事件の中心ではなく
安楽椅子探偵の如く、人から聞いた話の中から
推理をすすめていく「推理小説好き」の本格推理モノ。
鋭い洞察力と観察眼には見事の一言。
もしかしたら、何気ない日常、こんなにも
色々な奇怪な事件が潜んでるのかも。

ふとした疑問、違和感から広げていく空想。
面白いです。
話そのものの面白さもあるけれど父、多佳雄の
キャラがいいです。
長女で弁護士の夏、その兄で検事の春といった
(未読ですが「六番目の小夜子」に関根秋くんが
登場してるらしいです。お父さんの多佳雄も
出て来てるようで)
キャラたちもみな推理巧みでその推理合戦も
読み応えあるし、何気ないエピソードも
くっと心にひっかかる文章が多く
恩田陸のこの系統の話はもっと読みたいな。

以下、蛇足。

*夏に対しての多佳雄の評価がおもしろい。
  「確かに、上と下の息子のナイーブさに比べ、
  夏の感情の安定度は際立っていた。
  とにかく、怒るべき状況でも、悲しむべき状況でも
  彼女には第三者的に面白がってしまう方が先なのである」

*春に対する評価のとき「ツキ」の話がでていてその一部。
  「人間の一生に与えられているツキの総量は決まっていて、
  早く使い果たすとあとがないというまことしとやかな説が
  ある。これは嘘だ。ツキまくる男はずっとツキまくるし、
  ツキのない男はずっとツキがない。多佳雄が思うに、
  人間のツキに対する妄執の量とツキの量は反比例し
  かつ両者を合計した総量は個人によって決まっている。
  総量の大きさは個人の潜在能力によって決まる。
  妄執が大きくなればなるほどツキは小さくなる。
  妄執の大きさに見合うツキを手に入れるには
  妄執の大きさに見合う能力を手に入れなければ
  ならないのだ。ツキに釣り合うだけの実力がなければ
  ツキに潰されるし、大きくなったパイを切り分けることは
  できない。」

*「ニューメキシコの月」に出てくるアンセル・アダムスの写真
  こちらで見れます。

  他、色々な恩田作品に描かれている様々な作品に対する
  「オマージュ」はこちらのページに詳しく書かれていて面白いです。
  国宝・曜変天目茶碗へのリンクもありますよ。

  トップページはこちら。 情報量、素晴らしいです。
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2007年 06月 19日 |
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山城河岸の料理茶屋「平野屋」の隠居・清兵衛は53歳。
家督をゆずったものの、暇をもてあまし
伊勢屋甚助の誘いで「話の会」という集まりに顔を出し始めた。
作り話でない怖い話を持ち寄って酒を酌み交わし……。
(出版社/著者からの内容紹介より)

宇江佐作品にしては異色ともいえるホラー+時代小説。
副題は「大江戸怪奇譚」
連続短編集です。

遊びもせず家を継いで仕事一筋に生きてきた清兵衛。
長男に譲った頃から体調を崩し寝込んでしまった。
見舞いに来てくれた幼なじみで蠟燭(ろうそく)問屋の甚助。
いきなり床の間に向かって般若心境を唱えた後
強い口調で怒鳴りだした。
その後すっかり元気になった清兵衛。
甚助に理由を問いただすと、男の霊に憑かれていたという。

それをきっかけに甚助とその友達が集う話の会に。
一中節のお師匠をしているおはん、町医者の山田玄沢。
論語の私塾を開いている中沢慧風、北町奉行所の
同心、反町譲之輔、老舗の菓子屋の龍野屋利兵衛。

小人や魑魅魍魎話に生霊、お狐様や悪霊
色々な話が出てきますが
まぁこの季節にぴったり。
もうすこしこのメンバーが集まるようになったいきさつとか
話の会を終わりにする時のあの清兵衛以外のメンバーが
あっさりうなづいた本当の理由とかあったら
深みが増したのでは?なんてちょっともの足りなさも。

あの年代ゆえに子供っぽい妬みをもったおじいちゃんとかは
いそうだけどね(苦笑)

淡々としてるゆえの静かさな恐さも楽しめますが
やっぱり宇江佐は泣かせてなんぼ(笑)
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2007年 06月 17日 |
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天の神さんは、あたしたちを試したのかもしれない…。
のんきな亭主と勝気な女房。ふたりが営む小道具屋を
舞台に情趣ゆたかに描かれる、江戸に息づく熱い人情と心意気。
表題作ほか5編を収録。
(「MARC」データベースより)

これですこれ。この宇江佐節が好きなんです。
ほんわりさせておいて、いきなりほろり。
この連作短編集、大好き!


で、長文な感想を書いたのですがうっかり更新させずに
ブラウザを閉じた模様。。。(涙
本、図書館に返しちゃいました。
また後日あらためて感想かきます。
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2007年 06月 16日 |
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大人でも子供でもない、どっちつかずのもどかしい時間。
まだ、恋の匂いにも揺れる17歳の日々—。
背伸びした恋。心の中で発酵してきた甘い感情。
片思いのまま終ってしまった憧れ。
好きな人のいない放課後なんてつまらない。
授業が終った放課後、17歳の感性がさまざまな音符となり
私たちだけにパステル調の旋律を奏でてくれる…。
女子高生の心象を繊細に綴る8編の恋愛小説。
(「BOOK」データベースより)

数時間で読めますがその数時間の間、まるで
10代に戻ったような、もどかしい甘いせつない思いを
味あわせてくれる素敵な一冊。

年上の男性と恋をし、学校を去って行く大人びたカナ、
ただのバスケットボール好きな幼なじみだったはずなのに
彼を恋して見つめるリエの視線で気付いてしまった自分の感情。
夏休みに南の島で喋ることも聞くこともできない相手との恋を
語るマリ。中学生の頃の同級生でアメリカンスクールに行った
帰国子女の雅美の初体験。
クラスメートの男子に降られて醜くののしるカズミとそれに同調する
女子たち。ヤクザの娘と言われクラスから浮いている夜の女を
思わせるヒミコがうっかりもらした足の痛み、
音楽の先生と素敵な恋をしているカヨコ先輩。
そして、私と幼なじみの純一の恋。

初めは短編集と思ったらひとつの物語でびっくり。
どれもこれもひとつずつ抜き取っても素敵な話ばかり。

両親の離婚にどちらを選ぶかと迫られた時
自分は女だから男である父親のほうが自分を必要としていると
父親と暮らすことを決めた主人公の決断。
そんな女子高生だからこそ、クラスでまるでトイレに一緒に
行くような女子たちと違った空気をまとった女の子たちに
一目置かれ、また、こんな素敵な放課後を「見る」心の目が
あったのかな。

「彼に手を握られた時、私は、それ程、感動しなかった。
けれど、後でその感触を思い出すと、小さく叫びそうになる。
実際に触れた時よりもはっきりと思い浮かべることが出来る」

あぁ、これわかるなぁ〜(笑)

学校のクラスメートの中にいて何かが違うと感じる女子高生に
ぜひ読んで欲しい本。
そして、女子高生だった大人たちへ。
この本を読んで、今に嫌悪を抱かないことに誇りを持って欲しい。
微笑ましく、ちょっときゅんっとした思いを味わいながら読んで欲しいです。
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2007年 06月 13日 |
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江戸・両国広小路。
年頃を迎えた水茶屋「明石屋」の娘・お初の前に
何の前触れもなく現れた若い男。彼女の見合い相手と
身を明かす青物屋「八百清」の跡取り息子・栄蔵に
お初が淡い恋心を抱き始めた矢先、事件は起こった…。
(「MARC」データベースより)


またまた宇江佐真理。もぅこの人、筆早すぎってくらい
ちょっと他の本に夢中になっていると
どんどん出ていてびっくり。

これは宇江佐作品にしてはめずらしく
。。。ドラマっぽいです。まるで昔流行ったジェットコースター型
ドラマ?ってくらいもぅ次から次へと。
「運命のいたずらに翻弄される二人。純愛の行き着く先は?」
なんて帯がぴったりです。
現代に置き換えたら。。。さしずめお触りナシのキャバクラ社長の
娘と商社社長息子ってとこなんですかね?
習い事は裁縫ではなく有名なシェフのお料理教室あたりで。
そこに通い始めた恋敵(笑)この子がまた憎たらしさ全開!
店の女の子に次々と手を出すボンクラな兄と
それを甘やかす母親にイライラする主人公。
やっと結ばれると思ったら相手の家が
火事に見舞われ母親が亡くなり
自暴自棄になって失踪した彼が見つかった先は
池袋あたりのキャッチの呼び込み。
あぁ。。。できそう(苦笑)
失踪してる間に、恋敵はさっさと次のいいとこのボンボンと
式を挙げようとしたら、式当日、二股かけてた女に刺殺されちゃったり
もぅそれはそれは、つっこみ入れたくなるほど、事件につぐ事件。
ほんと昼ドラ並。

ただそれでも宇江佐真理だなぁと思わせる重要人物が
キャバクラ社長、じゃなくて、お初の父親、源蔵。
軽口やつまらない冗談飛ばしながらも
お初を陰ながら支え、娘の幸せを願うおとっちゃん。
江戸の粋な男っぷり、かなりいいキャラ。

タイトルがそれぞれ並んでますが「連作短編」ではなく
あくまで長編と見るべき。
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2007年 06月 11日 |
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人間不信のサーカス団員、尖端恐怖症のやくざ、
ノーコン病のプロ野球選手。困り果てた末に
病院を訪ねてみれば…。ここはどこ?なんでこうなるの?
怪作『イン・ザ・プール』から二年。
トンデモ精神科医・伊良部が再び暴れ出す。
(「BOOK」データベースより)

いやぁもぅすっかり伊良部の暴走っぷりにやられてます。
実はあたし、この伊良部、本で読む前にちらっと
ドラマを昔、見まして。単発でやってたモノ。
阿部ちゃんが伊良部役のほう。映画じゃなくてね。
看護士のマユミちゃんが釈ちゃんでぴったりだったなぁ。
なので、読むときアタマの中ではマユミちゃん=釈ちゃん。
(釈ちゃんかなり好きだし)
あたしがドラマで見たのはこの本に収録されている
「空中ブランコ」と「ハリネズミ」
まぁコメディタッチのドラマで本作も笑える小説ですので
先に映像を見ていても、全然、嫌悪感ナシ。
まぁ伊良部に関しては、阿部ちゃんではなく
あたしの中での小太りな伊良部に脳内変換。

映像でも文章でも楽しめる貴重な作品かと。
映画の方はまだ見ていないのでわかりませんが
きっとこれならイケルでしょう。

映像と違って、伊良部の受診を受けるまで、と
受診後の心の変化に関してはやっぱり
映像よりも文章の方が深く沁みますけどね。

「空中ブランコ」
人間不信に陥りパートナーが信じられない空中ブランコの
花形スター。相手がちゃんと自分を受けてくれないと
思っていたけれど実は問題があったのは自分だった。

「ハリネズミ」
ヤクザが先端恐怖症。刃物なんて向けられたら。。。
周りに対して自分自身をまるでハリネズミのように
威嚇し、尖っていた自分の心の内側。そんな時に
出会った対立するヤクザも抱えていた悩み。

「義父のヅラ」
おちゃらけキャラだった自分。教授の娘を嫁にもらい
子供も授かり前途洋々。なのに飛んでもない突飛な
行動に走りたくなる衝動。

「ホットコーナー」
騒がれる新人選手を前に自分の野球人生はまだまだなのに
なぜか思い通りに投げられなくなった。
いつまで誤摩化せるか?そして何故自分はそんなことに?

「女流作家」
お洒落な要素だけを取り込んだ中身のない小説。
でも自分が本当に書きたいものは売れなかった。
売れる為に、自分が自分の今の地位を保つ為には
これしかないけれど。。。見栄と虚像、プライド。
人間の宝物は言葉なのに。

どれもこれも本人に取っては深刻な悩みだけれど
周りからみたら些細なことだったり、何?あれ?程度だったり
そう見ると世の中病んでる人だらけ。
その人たちすべてに伊良部の療法(?)に効果があるかな(苦笑)
ただ伊良部の治療(?)のベースはすべて
相手を受け入れること。否定しない。
これってやっぱり基本かもね。

笑えるシーンもいっぱい、くだらないと、こんなヤツいねーよと
思っていてもふっと癒される。
お勧めです。
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2007年 06月 08日 |
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日暮れの両国広小路。商家の裏手口から男が現れる。
深編み笠に、着物の上には黒い被布。
置き行灯をのせた机と腰掛け二つ。
一つは男が使い、一つは客のためのもの。
男は黙って話を聞く。ただ聞くだけだ。
が…。
おもわず語ってしまう胸のうち。
誰かに聞いて欲しかったこの話。江戸・両国。
人の心の機微を描く連作時代小説。
(「BOOK」データベースより)

久しぶりに宇江佐節、心底堪能しました。
そうそうそう。これがキモチいい。
人情味溢れた優しい世界。
もちろんそこには欲の突っ張った輩もいれば
やっかみからいじわるをしてしまう若者もいる。
けれどその根底は誰もがみな
生きることに必死だった時代だからこそ
本当の意味での人間らしさが流れてる。

誰にも言えないことだからこそ、ふと
口にしたくなること、誰かに話したくなること
そして、聞くことで自分の内側に広がる
様々な思い。
今の時代にも聞き屋がもしいたら
それはそれでおもしろいかもしれない。
さしずめ現代版聞き屋は精神科医ってとこかな。
でもそんなに深刻なことではなくて
ちょっといい話、ちょっと泣ける話、ちょっと
腹の立つ話や不思議な話、怖い話
もしかしたらそれはこのネットの世界で
覗いてることなのかも、と思ったり。。。
あぁ、やっぱりそれじゃあ人間味にかけるねぇ。
やっぱり相手がいてこそ、相づちを打たれてこそ。
人はどこまでも人と人の繋がりを求めてる。

両国広小路の薬種屋の大旦那、息子3人も
それぞれ立派に育ち何不自由なく見える暮らし。
それでもそんなことを始めた与平自身が抱える
人には言えない、墓場まで持って行こうと決めたこととは。。。
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2007年 06月 06日 |
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北島早苗は、ホスピスで終末期医療に携わる精神科医。
恋人で作家の高梨は、病的な死恐怖症(タナトフォビア)だったが
新聞社主催のアマゾン調査隊に参加してからは
人格が異様な変容を見せ、あれほど怖れていた
『死』に魅せられたように、自殺してしまう。
さらに、調査隊の他のメンバーも、次々と異常な方法で
自殺を遂げていることがわかる。
アマゾンで、いったい何が起きたのか?
高梨が死の直前に残した「天使の囀りが聞こえる」という言葉は
何を意味するのか?前人未到の恐怖が、あなたを襲う。
(「BOOK」データベースより)

強いて言うのなら「バイオホラー」です。
貴志祐介は「黒い家」「青の炎」に続き3冊目。
(まだブックレビューを始める前に読んだので書いてませんが)
前2冊を読んだ時の読後感も同じような感じで
こぅ。。。。なんて言うのかな、重い、気持ち悪い、怖い。
グロテスク。
そうまさにグロテスクという言葉がぴったり。
前読んだ本では恐いのは幽霊でもなんでもなく
生きてる人間だ、と思わせる本でしたが
その人間が無意識下で、自分の意思で
動いていると思わせつつ。。。

初めは至って冷静に追って読んでいけたのです。
なんたって場所がまずアマゾンだし。
ストーリーは唐突に、アマゾンの未開の地にいる作家が
恋人に送るメールから始まります。
そしてその恋人が、エイズの末期患者専用のホスピスで
働く精神科医。もぅどこにも接点なさすぎだったので。
それがなぜ、読み終わる頃にはこんなにも
身近な恐怖として自分の中に巣食っているのか。

すごいのは、はっきり言ってこの本には
「わからなかった」「知らなかった」ことがいっぱい。
ゆえに、説明的な文がとても多いのにそれすら
すっと入ってくる。自分がこの本の中の登場人物の
一人であるかのように、その謎を解きたくて、知りたくて
知らない分には恐すぎて、そして熱心に抗議を受ける
生徒よろしく、小難しい説明も「聞き入って」しまうのです。

バイオホラーならば、そこにある恐怖感は自分も
感染してしまうのではないか?という部分なのですが
この本の恐さは、果たしていま、あたしが口にしていること
起こしている行動は、果たして本当に「自分自身の意思」
なのか?という不安感。
本当に自分で動いているのか?
これは怖いねぇ。。。(苦笑)

色々なものに病的に感じる不安。それを克服することは
そんな結果をもたらすのか、とそこにも恐怖。
ミステリとホラーの融合。
次々とこれでもかと出てくる不審な自殺の描写と
人が壊れて行く過程。
お腹いっぱい、つか、食欲不信に陥りそうです(苦笑)
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2007年 06月 04日 |
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殺人事件の時効成立目前。現場の刑事にも知らされず
巧妙に仕組まれていた「第三の時効」とはいったい何か!?
刑事たちの生々しい葛藤と、逮捕への執念を鋭くえぐる
表題作ほか、全六篇の連作短篇集。
本格ミステリにして警察小説の最高峰との呼び声も高い
本作を貫くのは、硬質なエレガンス。
圧倒的な破壊力で、あぶり出されるのは、男たちの矜持だ—。
大人気、F県警強行犯シリーズ第一弾。
(「BOOK」データベースより)

んー、おもしろい。
短編なのですがその短さがとても濃厚でひとつひとつ
何度も読み返したくなるほど(実際、読み終わってまた
読み始めてしまいました)深いです。
ミステリとしての謎解きはもちろんのこと人物設定の
おもしろさ、警察という機構の中での男達の生き様
どれをとってもおもしろいです。
各短編、舞台はおなじ高い検挙率を誇り
「常勝軍団」とも呼ばれるF県警捜査第1課なのですが
理詰めで捜査を進める一班「青鬼」の朽木
周りと混じることない二班「冷血」の楠見
動物的とすらいえる叩きあげ三班「カン」の村瀬。
一癖も二癖もある3人の班長と矢張りクセのある
その上司、そして部下達。
話ごとに主人公が変わる連作短編集。

どの話も読後、ほっとどこかがほどけるような快感。
この読後感は素晴らしい。
ミステリとして人間ドラマとして本当に一話ごとすべて
楽しめます。続きが楽しみ。

以下自分のためのネタばれ的覚え書き(笑)



「沈黙のアリバイ」
F県警捜査第一課強行犯捜査一係、通称一班の
班長朽木。
自白したはずの被疑者は被告人となり裁判席で
無実を訴えアリバイがあると唱えだした。果たして取調室で
交わされた会話は?そのアリバイとは?
取り調べの時点から仕組まれたものを探る朽木の中に
蘇る言葉、「二度と笑わないでください。死ぬまで
笑顔を見せないと約束してください」
被告人の薄い笑みに叩き付ける推理。

「第三の時効」
タクシー運転手が殺された。犯人は電気屋で妻の幼なじみ。
妻いわく自分に隙があってあんなことに。その現場に帰宅した夫。
もみ合ううちに刺殺され犯人は逃走。
しかし妻は身籠っていた。犯人の子供を。
時効とされた日、犯人は海外へ1週間逃亡していたため
1週間後に第2時効が敷かれていた。
我が子恋しさに連絡を取るだろうと張っていたのは二班。
ところが子供はその事実を知らない。知らせたくない。
どうか逃げ切ってくれ、捕まったら真実が子供に知れてしまう。
固唾をのんで見守る中、二班班長、冷徹な楠見は
第三時効を敷いていた。あり得ない裏の手を使って。

「囚人のジレンマ」
癖のある班長と班員達を抱えた捜査第一課長、田畑は
同時に殺しを三つ受け持っていた。
主婦殺し、証券マン焼殺、調理し殺し。
好成績を揚げている彼らへの対応とマスコミへの
対応と田畑は疲れ切っていた。
果たして部下を信じきれるのか?
捕われている故に共犯者と連絡の取れない犯人のように
共犯者をどこまで信じられるか、不安に苛まれ
すべてをうたってしまう衝動に駆られる囚人のジレンマに
田畑は陥っていた。

「密室の抜け穴」
三班の班長、村瀬。脳梗塞で倒れたものの2ヶ月で戻り
会議に参加していた。誰のミスで「密室」から犯人を
逃がしてしまったのか。四方八方を監視されたマンションから
犯人はいかに逃げたのか?
イヌワシの兄弟殺しのようにどちらが生き残りどちらを
殺すか、そんな場に身を置いているのは村瀬自身か
村瀬の部下の東出と石上なのか。
「密室に抜け穴を作らせりゃあいってことだ。。。」と呟いた
村瀬の謀。

「ペルソナの微笑」
一班、朽木の下で働く矢代はいつでも笑顔をたやさず
似非落語で笑いを取る。そんな矢代の本当の顔を
見破っているのは笑わない男、朽木だった。
幼い頃、知らずに犯罪の片棒を担いだ矢代、それを
妹に脅され、抱いた殺意。何も知らない幼い子を
使って行われた青酸カリを使った殺人事件に矢代は
幼い日の自分を見る。そして13年後にまた行われた
青酸カリを使った浮浪者殺人事件。
朽木は、矢代に13年前の小学生に会いに行かせる。
最後の会話だけのシーンは秀逸。

「モノクロームの反転」
一家三人刺殺。5歳の子供までもが殺された事件。
向かったのは一班と三班。互いに手柄を取り合う彼らに
いらだつ田畑。それぞれの班でそれぞれの情報を
抱え込む。三班は現場を押さえ、一班は唯一の目撃者を
押さえる。そこで目撃されたのは「穴から見えた車の’白’」
容疑者は二人。妻の幼なじみで多額の金を貸していた
元同級生。殺人後に盗まれた小学校のタイムカプセル。
犯人が隠そうとしたゆえに暴露されていく犯人の小心さと
守りの堅さ。二人の車はそれぞれに白と黒。
怪しいのは。。。
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