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2008年 02月 28日 |
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半年前、凄惨な四重殺人の起きた九州の孤島に
大学ミステリ研究会の七人が訪れる。
島に建つ奇妙な建物「十角館」で彼らを待ち受けていた
恐るべき連続殺人の罠。生き残るのは誰か?
犯人は誰なのか?鮮烈なトリックとどんでん返しで
推理ファンを唸らせた新鋭のデビュー作品。
(「BOOK」データベースより)

ミステリは好きだけれど「こ難しい」のは面倒くさい。
読みながら、考えなければいけない(笑)とか
何度も何度も登場人物を(一番前の頁に羅列してあったりね
まぁこの作品にはナイけれど)
見返さなければいけない、図説がありそれを何度も
見直さないとわからない等々その手のミステリは苦手。
第一、この登場人物たち!
いくらミステリ研究会のメンバーだからといって
ニックネームが痛い!(笑)
エラリイ、アガサ、カー、ヴァン、ルルウ、ポウ、オルツィ
ええええ、読みづらいー、誰がだれかわかんなーい、と
思ってたら。。。。これがすごい効果的に使われてる!

すごいです。
この作品は、ある登場人物のたった一言で
話が激変するのです。
そうだったのか!と。
あー、これが新本格と言われるミステリなのねぇと
じっくりその妙技を味わえます。

館の説明とか初めは、食わず嫌いしちゃいそうだったけれど。
まぁしいて言えば、作品そのものの発表が古いせいか
この大学生たちの会話が、古くさいというか痛いんですが(苦笑)

とにかくこの作者もなんとなく避けていたし
密室っぽい状況とか館ものとかすべてにおいて
食わず嫌いだったわけで。

あー、もったいないことをした!
もっと早く読めばよかったよ。
だいたい、叙述トリックとか大どんでん返しとか
絶対に映像不可とか、あたし、大好物なんでした。
ちょっと厚めの453頁だけれど一日で読了。

ちなみにあたしが読んだのは新装改訂版です。
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2008年 02月 27日 |
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二代目教祖の継承問題で揺れる巨大な
宗教団体“惟霊講会”。超能力を見込まれて
信者の失踪事件を追うヨギガンジーは
布教のための小冊子「しあわせの書」に出会った。
41字詰15行組みの何の変哲もない文庫サイズのその本には
実はある者の怪しげな企みが隠されていたのだ—。
マジシャンでもある著者が、この文庫本で試みた驚くべき企てを
どうか未読の方には明かさないでください。
(「BOOK」データベースより)

わーっ。

びっくりした。
すごい。驚きました。この本、すごい(笑)
こんなトリックが!って感じで
早速息子に試しちゃいましたよ!

という本。。。想像つきますか?(笑)

“ヨギ ガンジー”は、ドイツ人とミクロネシア人と
大阪人の混血にして、ヨーガと奇術の達人。
どこかうさんくさい雰囲気がつきまとい
ユーモラスでひょうひょうとした魅力的なキャラで
シリーズ化されてます。
なので話の途中、いかにも「続き」っぽい流れが
語られますがまぁいきなりこの本から読んでも
「わからない」こともなく読み進められます。
というか、そんなとこ、どうでもよくなる(笑)

ストーリーは怪しげな新興宗教の2代目選びが
絡んだ、(げ。また宗教がらみ?とちょっと途中
うんざりしたりも。。。)何の変哲もないミステリ。。。
どころかぱっとしないなぁ、と。表紙も含めて(笑)
思いきや。。。んー、すごい。
「しあわせの書」に隠されたトリック。そして
今、手にしているその「しあわせの書」
どうぞじっくり楽しんでください。

にしてもこれ書くの大変だったろうなぁ〜。
マジシャンでもある作者の素晴らしい作品。
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2008年 02月 26日 |
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九世紀、天台僧が唐から持ち帰ろうとした秘法とは。
助手の徐彬を連れて石動戯作が調査に行った寺には
顔の削り取られた奇妙な本尊が。
指紋ひとつ残されていない部屋で発見された
身元不明の死体と黒い数珠。事件はあっという間に
石動を巻き込んで恐るべき終局へ。
ついにミステリは究極の名探偵を現出せしめた。
(「BOOK」データベースより)

ミステリ好きに絶対に勧めない本は?と聞かれたら
迷わずこれをあげてしまう(苦笑)
論理っていうことばを世の中から抹消したら
こーいうストーリーもありだよね?というくらい
とんでもない(苦笑)
いやぁ、すごい。
ミステリ?と思って読んだらほとんど妖怪大戦争状態?!
なんでもありじゃないすか。
もぅ、これ作者絶対、ギャグで書いてるでしょ?
コメディでしょ?そう言って〜。
ホラーとか超自然とか好きな人にはたまらないのでは。
つーか、あたしこれ魔夜峰央のコミックでいいよ(>ε<)ぶっ
もぅそんな感じ。助手の中国人は美少年でね。
探偵の石動(いするぎ)のキャラ、嫌いじゃないし
魔夜峰央の世界が嫌いかと言ったらそうでもないし
じゃあ、この本は傑作かと言われたら。。。
いやぁ。。。。どうだろうねぇ(苦笑)
ミステリと思って読まない方がいいことだけは確実だね。うん。
壁に投げつけたくなる気力も失う本。
斜め読み、流し読み推奨。それで十分通じるし楽しめますよ。
あ、伏線とかも考えちゃダメね。気楽に(笑)

「ハサミ男」はおもしろかったのになぁ〜。
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2008年 02月 25日 |
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食べて寝て、甘えてだらけて体重二倍、年齢四倍になった
犬のグレイは、立派なドアストッパーになった。
道行く人にも平和を分けてくれたグレイだったが
ある日突然の入院—犬が描かせたスケッチ帖『グレイがまってるから』その後の物語。
(「BOOK」データベースより)

「グレイがまってるから」を読んで「わかって」いるから
もぅ泣きっぱなしでした。
飼い主で作者の「絵描き」をはじめとした家族がどれだけ
グレイを愛していたか、必要としていたかが
とてもよく伝わってきます。
絵描きが受け取ったグレイのたくさんの言葉は
本当にグレイが発していた言葉に違いないでしょう。
わかるんだよね、飼ってると、その子がなんて言ってるか。

絵描きの描くグレイの表情、動き、すべて見ていて
見入ってしまいます。
犬好きさん、動物好きさんだけでなく読んで欲しい。
もちろんこのエッセイの1作目から。
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2008年 02月 24日 |
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東京下町、荒川土手下にある小さな共同ビルの
一階に店を構える田辺書店。
店主のイワさんと孫の稔で切り盛りする
ごくありふれた古書店だ。
しかし、この本屋を舞台に様々な事件が繰り広げられる。
平凡なOLが電車の網棚から手にした本に挾まれていた名刺。
父親の遺品の中から出てきた数百冊の同じ本。
本をきっかけに起こる謎をイワさんと稔が解いていく。
ブッキッシュな連作短編集。
(「BOOK」データベースより)

ひっさびさに宮部作品です。
一時宮部ばかり読んでいてまぁ他も開拓したいよねってな
感じでちょっと他の作家さんばかり手に取ってたのですが
やっぱり久々に読むと、この安定感、すごいですね。
さすがだな、と。
すべて出来上がっていてつっこみどころもない。
女王の貫禄って感じでしょうか(笑)

事件は確かに殺伐としたもの、痛々しいものを扱っているけれど
下町の古本屋のおじいちゃんとすれていない高校生の孫の
やり取りが全体を暖かくしているのもお見事。

古本屋のおじいちゃん(でもまだまだ現役)を
中心に繰り広げられる6編の連作短編集。
「六月は名ばかりの月」
結婚式の引き出物の表紙に書かれた「歯と爪」という文字と
姉の失踪。新妻にまとわりついていたストーカーを問いつめて行くと。。。
「黙って逝った」
急死した父の遺品は302冊の同じ単行本。父とは
まったく関係のなさそうなその本の跡を辿って行くとそこには
何ものかに殺された緑のおじさんが。
「詫びない年月」
夢枕に立つ親子の霊の騒ぎの後、家の建て替えをしようと
掘り起こしたら出て来たのは親子らしき戦時中の遺体。
「うそつき喇叭」
絵本を万引きした少年の体に残る暴力の跡。
親によるものかと周りは緊張感を高めるが。。。
「歪んだ鏡」
電車の網棚に忘れられたのか置かれた文庫本「赤ひげ診療譚」
そしてその間に挟まれた1枚の名刺。持ち主は死体となって新聞に。。。
「淋しい狩人」
連続殺人の結末を発表しないまま失踪した作家。そこに
自分はその推理がすべて解けた、と本の内容のまま殺人を
犯して行く犯人。

どの短編も質が高く安心して勧められる一冊。
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2008年 02月 22日 |
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勤め先の二階にある「名探偵・巫弓彦」の事務所。
わたし、姫宮あゆみが見かける巫は、ビア・ガーデンの
ボーイをしながら、コンビニエンス・ストアで働き、
新聞配達をしていた。名探偵といえども
事件がないときには働かなければ、食べていけないらしい。
そんな彼の記録者に志願したわたしだったが…。
真実が見えてしまう名探偵・巫弓彦と
記録者であるわたしが出逢う哀しい三つの事件。
内容(「BOOK」データベースより)

んー。円紫師匠と私シリーズの後に読んだせいか
こちらは「悪意」がある事件ばかりでちょっと違和感が。
殺人事件まであったりするし。
それも「殺人に至るまでがわかってしまう」ほど哀しい事件だし。
初めはコメディかと思ったんですよね。アルバイトする探偵なんて。
それもいい年した大人が。職業として「名探偵」。
痛い人?変な人?みたいに。
ところが、これが変な人なんかではなくて。
巫弓彦曰く、「名探偵はなるものではない、存在であり、意志である」
自分がその存在だと気づいてしまったから、名探偵であるという。。。
そしてその解決方法、「科学的知識は調べればよいだけ、問題は発想」
まさしく、と膝を打ちたくなるほどの名探偵ぶり。

にしてもなぁ。。。。やっぱ実際にいたら痛い人だと思うのですが、と
考えてしまうほどリアリティあるってことでしょうかね。

短編2話と中編1話。悪意が存在した上での事件だけに
とくにタイトル作の「冬のオペラ」は哀しいです。

んー、なんだろう、この窒息感。
決して読後感が悪いわけではないんですけどね。
主人公たちの禁欲的な空気とその周りの登場人物達の
俗物的な空気の温度差でしょうかね?
このとことん、やなヤツ〜って人たち(苦笑)きつすぎです。
北村作品って「優しい」と思っていたけれどこれは辛辣なほど
救いない人たちばかり。
って、そいえば他の作品でもそーいう人たち出てましたね。
「空飛ぶ馬」の「砂糖戦争」に出てくる3人の魔女だったり
「ターン」に出てくるもぅ一人のくるりんしちゃう人物だったり。。。
まぁだからこそ主人公たちの清さが際立つのかも。
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2008年 02月 20日 |
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出版社/著者からの内容紹介
「私たちの日常にひそむささいだけれど不可思議な謎のなかに
貴重な人生の輝きや生きてゆくことの哀しみが
隠されていることを教えてくれる」と宮部みゆきが絶賛する通り
これは本格推理の面白さと小説の醍醐味とがきわめて
幸福な結婚をして生まれ出た作品である。

女子大生と円紫師匠の名コンビここに始まる。
爽快な論理展開の妙と心暖まる物語。
(「BOOK」データベースより)

実はこの本、前に友達に借りて、その設定、女子大生と
噺家の師匠というコンビが何故かそのときは性に合わず
読めずに返却。。。。
しなければよかったぁ!ほんとに、こんな面白い本なんで
もっと早く読まなかったのか!と思うくらい楽しめました。
あぁ、もったいないことを。
基本的にあたしは、読み始めた本は最後まで読まないと
「負けた」(何に?!(笑))気がして、途中でつまらないと
思っても意地でも読み切ってやる〜というタイプなのですが
(人によっては、時間の無駄はいやだから途中でいやだと思ったら
やめる、という人もいますが)
この本は読み始めて数頁で「負けた」
それがくやしくて実はずーっと心の中でいつか読んでやる!と
思ってたのですが。。。。なんでそんな気負っちゃったのか
わからないくらい今回はするすると読めて。。。
たぶん、「きちんとした」若い女の子が理屈ばっかり
こねてるような勝手なイメージをもったのかも。。。
アタマよすぎるような、うざって感じの育ちのよろしい女子大生。
いや、でも理屈ばっかりではないのですが、確かに
言葉がよく出るアタマの回転のよい育ちのいい女の子、
そして同じように出来すぎた美しい所作が似合う中年男性。
うーん。なんでそのときダメだったんだろう?
こんなに読んでいて心地よいのに。
(もしかして表紙のかわいさかなぁ)

どの話も、日常ミステリー系。そして、それにきちんと気がつく
目と話をきちんと整理して話すことができる知性
そしてそれを聞く上で、すべてお見通し、と言った感じの
「千里眼」を持った円紫師匠、二人の会話に流れる空気が
とても素敵です。
つか、これがデビュー作ってやっぱすごいなぁ。

随所に散りばめた落語も、知らない人(あたしを含めて)にも
わかりやすく登場しているのでこれまた楽しめるはず。
むしろ、それを実際に聞いてみたいと思わせるほど
効果的な使い方がされていてオススメです。
(若い頃、落語は好きで寄席も行ってたのですが噺を
ちゃんと覚えてない。。。笑って終わっただけでもったいないことを。。。)

以下、簡単なあらすじ。
「織部の霊」
噺家円紫師匠とのつながりを作ってくれた教授が
まだ織部の存在もしらない小さい頃に切腹する織部の夢を見た謎。
「砂糖合戦」
初めて入った紅茶専門の喫茶店。怪しげな行動をする3人の女の子たち。
その動きを口頭で説明するだけで円紫師匠の千里眼が。
「胡桃の中の鳥」
円紫師匠に誘われた蔵王での独演会。友達と3人で山形へ
旅行に出る主人公。そこで出会った小さな少女が置き去りにされた場所は。。。
「赤頭巾」
小さな頃から密かに憧れていたピアノの上手な女性は
絵本作家になっていた。彼女と話し好きの主婦の口から
聞かされた噂との繋がりは「赤ずきん」だった。
「空飛ぶ馬」
あったはずのコンクリートで固められた動かない木馬が
ある夜、一日だけ姿を消したわけ。クリスマスに円紫師匠が解いてくれた
「人間というのも捨てたもんじゃない」話。

それにしても細部にわたる主人公の心理描写といい行動パターン
思考回路、すべて男性が書いたものとは到底思えないなぁ。
ベッキーさん読んだ時も思ったけれどほんとすごい。
続きもぜひ読もうと思います。すっかり北村作品にやられてます。
。。。あぁ、もったいないことした!!!
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2008年 02月 18日 |
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十一月七日、水曜日。
女子大生の藍(あい)は、秋のその一日を
何度も繰り返している。毎日同じ講義、毎日同じ会話をする友人。
朝になれば全てがリセットされ、再び十一月七日が始まる。
彼女は何のために十一月七日を繰り返しているのか。
この繰り返しの日々に終わりは訪れるのだろうか——。
まるで童話のようなモチーフと、透明感あふれる精緻な文体。
心地良さに導かれて読み進んでいくと
思いもかけない物語の激流に巻き込まれ
気付いた時には一人取り残されている——。
(出版社 / 著者からの内容紹介より)

『秋の牢獄』『神家没落』『幻は夜に成長する』の短編3話ですが
どの話もテーマは「牢獄」
んー、面白い!
幻想的なんだけれどファンタジーとかホラーとだけで
かたづけたくない奥深い作品ばかり。

「秋の牢獄」は11月7日を何度も何度も繰り返す話。
つい最近読んだ、北村薫の「ターン」と同じテーマ。
(きっとこのテーマは他にもたくさんあるのでしょう)
北村作品では、繰り返している本人以外、すべての人が
消えてしまっているけれどこちらは、まったく「今」が繰り返される。
友達とか、みんな、ずっと毎回毎回、同じ行動をし、同じことを話す。
そして、その中で、昨日と違う行動をしている人、それは
主人公と同じように「同じ日を繰り返しているリプレイヤー」であり
リプレイヤー同士、交流を持ち始める。

色々考えちゃうよね、想像しちゃう。どんなことをしてもすべて
クリアになって元通り朝を迎える。
欲しいものを買っても翌日にはお金は元通り。でもその「もの」も消えている。。。
殺したいほど憎い相手を殺しても、また翌朝、同じように同じ会話をする。。。
残っているのは記憶だけ。だからこそ余計に
自分の起こした行動が、世界になにも影響を与えない、その虚無感。
自分自身、高速道路で事故って死んでも
また翌朝、同じように目が覚める。限りある命だから満たされること、大事なこと
それを意識させる存在、それが「北風伯爵」。

北原作品では、原因と思われるところまでいきつくけれどこちらは。。。
そしてそれで十分、成り立ち、消化不良を起こしていない!
いつの間にか、話の中で納得ができる、成立しているからこそ
ファンタジー、夢物語としたくない。
(基本ファンタジーは嫌いだからこそこれは最高の褒め言葉)

そして「神家没落」
「秋の牢獄」がその一日に囚われた人であればこちらは家という空間に
囚われた人の話。神家として’移動’する家。決して結界を出ることができない。
出ることが出来るのは、他に誰かその敷地内に人がいるときだけ。
こちらも、日常からしたらまったくあり得ないファンタジーでありながら
猟奇的な殺人などの生臭さがあったり、一度、そこから逃げられたはずなのに
その空間に愛情を抱き、次に入る時は本を1000冊と。。。なんて考えるほど
妙に現実的だったり、人間的なのです。
そしてその人間臭さゆえにまた、静かな恐さが背筋を抜けるのですが
その人間臭さゆえに、家に愛情を抱くその理由が
この日常に普通に存在する倦怠感だったりもして、理解ができてしまうからこそ
簡単にホラーと言いたくない。
(中身のないホラーは見下しているのでこれまた最高の献辞)

「幻は夜に成長する」これが一番、分類分けなどを超えた作品だと思う。
祖母だと思っていた相手は祖母ではなく
ごくごく普通の家庭に育ったはずのリオが実は、特別なチカラを
持っていて’祖母’によってそれはさらに大きく目覚めさせられる。
魔女として、神として、存在できるほどの力。
そしてそのチカラゆえに彼女は囚われている。
囚われ、新興宗教の神として存在させられている。
彼女は、波が来るのを待ち、自分の力がさらに強大になるのを待ち
囚われの身から自由になる日を待ち。。。

どの話も、中編と呼ぶには短いのですが短編とも言いきれず。
そして読後に残る大きさは、どんな長編よりも深く。
いや、むしろこの長さだからいいのでしょう。

デビュー作の「夜市」の幻想的な世界そのままにさらに
力をつけた作者の今後の作品も期待大。
あ、その前に2作目を探して読もうっと。
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2008年 02月 17日 |
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倒産寸前の零細代理店・ユニバーサル広告社に
大仕事が舞いこんだ。ところが、その中身は
ヤクザ小鳩組のイメージアップ戦略、というとんでもない代物。
担当するハメになった、アル中でバツイチのコピーライター杉山のもとにはさらに別居中の娘まで転がりこんでくる。
社の未来と父親としての意地を賭けて、杉山は走りだすが—。
気持ちよく笑えて泣ける、痛快ユーモア小説。
(「BOOK」データベースより)

実はこちら、荻原浩が小説すばる新人賞を受賞した
「オロロ畑でつかまえて」の続編。
なのですが知らずにこちらを先に読んでしまいましたが
特に問題なし。話的に違和感はないくらい独立した話として完結。

自転車操業も危うくなり倒産寸前の零細プロダクション「ユニバーサル広告社」に
勤めるアル中バツイチの杉山を中心とした愛すべき社員たちが
これまた実は人間味溢れるやくざと対峙し
「小鳩組」のIC、企業イメージ統合戦略を請け負うのだけれど。。。

もぅそんなことあり得ないってとつっこみも笑いながらといったユーモアの
ペーソスばっちり。登場人物すべてが愛おしく感じてしまう。
とくに杉山の娘、7歳になる早苗の存在は最高です。
早苗と元父親としての杉山の、杉山自身の心の再生物語と言ってもいい。

大笑いというのではなく、くすり、とか、にやり、と言った笑いと
大泣きではなくじわり、とか、ほろり、と言った加減もいい。
残念なのは表紙のイラストくらい?(苦笑)まぁ好みの問題ですけれどね。
もっと「お?」と手に取りやすい、惹かれるものならもっと早く
読み始めたのにと(実は購入してからずーっと未読で本棚で忘れられていた)
それだけが残念。

そいえば荻原の「神様からひと言」の中に転職先を
ユニバーサル広告社にすればよかった、という台詞があるのだけれど
まぁどっちもどっちだよね(笑)
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2008年 02月 12日 |
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張り詰めた東京での生活に疲れ、すべてを捨てて
上海に留学した有子。しかし、どうにも断ち切れぬ思いは
70年前、この地で生き、同じ思いを抱えた大伯父の幽霊を呼ぶ。
枯れた玉蘭の花とともに…。
交錯する二つの思いは時を越え、“過去”と“現在”を行き交う。
人は恋愛の果てに何を得るのか。
(「BOOK」データベースより)

桐野作品は正直言ってグロいものが多くてやたらと
「疲れる」のでいいかな、と思ってたのですが
まぁブックオフで100円だったし?と読んでみたら
意外にコレ、あたし好きかも。
現代と70年前の恋愛がそれぞれ違った形で進み
終わりを迎えて行く。
女性のあり方は時代によっても違いはあるけれど
根本的なところで対照的な女性、侑子と浪子。
まるで、散文詩のように、話はぽんぽんと変わるのですが
その変わり具合がいい感じの散漫さ。
「疲れる」と思っていた密度の濃さがちょうどよく薄まった感じ。

「すべてを言葉で表現しつくす」優等生の侑子の愛の求め方と
言葉で話し合うべきことも話さず、むしろ過去を語らず
身体の交わりだけで愛を確認する浪子。
はっきり言ってどちらも利己的。
けれど求めていることは互いに同じ、愛のかたち。
そしてそれぞれの対象となる男性たちの思い。
すれ違う思い。せつないなんて生温さではなく
そこに存在するのは裂くような痛み。
70年前も現代も。
大人の恋愛ものと言った趣向でしょうか。

ただ救いがないのは相変らず(苦笑)

中国へはもちろん行ったことありませんが鮮明に絵が浮かぶ
その描写も見事。
いきなり幽霊話?と思ったらちゃんと最後には美しくまとまってるし。
あ、でもどうやら文庫化の際に、最後の章を追加したようです。
この章があるのとないのでは読後感、まったく違うのでは?
ぜひとも文庫で読むことをおすすめします。
まぁ、かと言って、読後、すべてがクリアと思ったら大違い。
あやふやな、読者の中で広げてください的なベースはそのままです。

読んでいる間は、中国という異空間へ引込まれ漂い
読後、どんどんこの本の話の大きさが胸に広がる不思議な作品。
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