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2008年 04月 29日 |
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長谷川正人は遭難したダイビング仲間を探すため
奥多摩の地底湖に潜った。そこは水没した鐘乳洞で
中は迷路のようだった。自分の位置を
見失ってしまった正人は死を覚悟するが
突如現れた「彼女」に導かれ、奇跡的に生還した。
あれは幻覚だったのか?それとも—
正人は「彼女」の姿を求めて再び水底へと向かう。
だが、そこで見たものは…。新感覚のサスペンス・ファンタジー。
(「BOOK」データベースより)

友人の恋人に頼まれて、その友人を探すために
多摩の地底湖に潜った主人公、
まぁ「いい人」「やさしい人」と利用されて、なわけですが
そんなこんなでイヤイヤながら潜った先で出会うわけです。
不思議な生物、光の届かない地底湖で独自の進化をした
ほ乳類生物。
この生き物が、相手に幻想を見せることで意思の疎通をはかるという。。。
そしてこの地底湖の表現がまた美しい。「静寂」が見事に描ききられている。
けれど、その世界は人間の浅ましい愚かな欲により
壊されて行く。そのことに焦り、結果、環境保護団体の活動に
巻き込まれて行く訳ですが。。。

もぅね、人間ってなんて愚かなんだろう、と。
自然のままであること、自然をそのまま維持すること
その活動すべてが「人間視点」人間上位で
それがまた愚かな発想だよなぁ、と。
やっぱおかしいよなぁと思ったり。自然を守ろうとかの上から目線。

けれどこの本では決してそんな押し付けがましいことは一切
語られません。すべて読んだ人が感じることであり思うこと。
主人公は別に、自然を守ろうとか、環境破壊について嘆いてもいなければ
闘おうともしてません。ただただ自分の魅せられた相手を
守りたかっただけ。主人公の欲だけです。
むしろ、保護団体の政治的な裏側、社会の醜さをすっぱり描いている。
みんながなんとなく感じているであろうそういった団体の
怪しげなところは怪しげなままにそこに存在し
きれいごとだけで包まれたスローガンもがっしりとそこに存在している。
主人公はそういった活動に嫌悪感を抱きながらも
林道建設に反対することこそ、自分の大切なたった一つのものを
守る為の手段として、行動を開始するのです。たったひとりで。
だからこそ余計に、痛切にこちらに響く。

水の底の「静」と地上の「動」の世界を見事に対比させ
その美しさ、醜さを対比させることで見せる世界は
こちらを異世界へと導きます。
ぜひ一度読んで欲しい本。

でもこの爆弾の作り方、いいのかな?(笑)
と、主人公の住む部屋。。。。あの設定にする意味が
ちょっとわからなかったなぁ(苦笑)
ひたひたと潜む恐さがそのまま地底湖の静けさとリンクしてるのかなとか
思ったけれどそうでもなさそうだし?
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2008年 04月 27日 |
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C63—それは戦時に設計されるも、幻に終わった蒸気機関車。
玩具メーカーの創業者、小羽田伝介は会社の宣伝のために
C63を完全再現させた。しかも本物の中央本線で
東京まで走らせる計画を発表する。
その記念すべきお披露目の日出発駅で変死体が発見される。
不穏な空気の中走り出したC63だが、間もなく
虎の覆面を被った二人組によって乗っ取られ
そしてC63は忽然と消失してしまった!!
「このミステリーがすごい!二〇〇二年版」第4位!
怒涛の展開と驚愕のラストが度肝を抜く、ノンストップ本格推理。
(「BOOK」データベースより)

んーっと。
まずこのテのミステリに対して「バカミス」と称するとか。
もちろんこのバカは下に見たバカではなく
愛情こめて、敬愛してこそのバカ(はぁと)くらいの勢いで(笑)
んも、ばっかだな〜(笑)と。

で、そうしてみるとあたしはバカミスは好きではないなー。
ギャグがあちこちに散りばめられているのだけれど
あたしには笑えないな〜。

あ、ちなみにこの本を知ったのは某SNS内のカキコミで
ラストびっくりする本で勧められてたからなのですが
まぁびっくりするっていやぁびっくりするけれど
本当に読書量の足りないあたしには
まるで笑いのわからない人間がお笑いを見て
「えっとここ笑うとこ?笑うとこ?これ、オチ?」と
醜態を晒してしまうような、そんな読後感。
自分の読書量の足りなさがこの本を十分に
おもしろさを味わえない一番の原因かも。

だいたい、この大掛かりな仕掛けと思いたい「終章」と
「最終章」がまったくわかりませんもの。
は?って感じで。きっとわかる人にはわかる、にやっと
してしまう仕掛けなんでしょうね〜。
電気グルーヴの「N.O」というタイトルを見ただけで
にやっとしてしまうような感じで。

それにあとがきを読んでわかった仕掛けも
あたしには無意味でした。
こまぎれの時間でちまちまと1日で読了しましたが
それゆえにその仕掛けは堪能できず。
読書スピードは速いんだけどねぇ。

トリックについては、消えた機関車については
まぁありふれたモノではあっても「アカムケ様」には
びっくり(苦笑)(ってその呼び方。。。)
ギミックについては、思わず前に戻って
読み返して「んー、でもそりゃ騙されて当然だよなぁ
なーんにも伏線はってないじゃん」とちょっとがっかりしたり
いきなりそこに恨みつらみを持ってこられても
そーいうにおいもさせてなかっただけに動機の弱さを
感じてしまったり。。。
んー。。。ドタバタなスラップスティックな話は
嫌いではないけれど、どっか下品つーかなぁ。
嫌悪するような文体ではなだけに
ただ単に合わないということかなぁ、残念。
登場人物の誰一人、「生きてない」というか
上っ面だけの動きにも見えてそれまた残念。

虎か女か、うーん(苦笑)
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2008年 04月 27日 |
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中道良太25歳。涙もろくて純情で、でも根っから「いまどき」の
男子でもある若き小学校教師が地方都市の名門公立小学校を舞台に
縦横無尽の大活躍!!
(出版社 / 著者からの内容紹介)

いやぁ泣いた、泣いた!(笑)
きもちーーーーっ。
いいねぇ。

まっすぐ、単純、誠実、純情で茶髪、ドクロのアクセサリー
ジャージにだってこだわっちゃうごくごく「普通」の
小学校の先生。
我が子が小学校にいるときこんな先生に見てもらえたら、と
思いながら読んだり、M教師(問題ある教師)の登場に
眉をひそめたり、同僚のクールさの過去にもっと
深く彼に興味を感じたり、とことんこの世界に
引込まれました。人間ドラマとして秀逸なだけではなく
いったい何?と謎解き要素もあったりして
存分に石田ワールドを楽しめました。

優等生なのに授業に参加しない挙げ句
教室を脱走する子供に対するリョウタ先生の
まっすぐな「子供が大事」という思い
不登校になった同僚のために動く龍一とリョウタ
もしかして自分の生徒が自分の家に火を放った?と
会見を受け、その子供の気持ちを思い涙するリョウタ
クラスの順位争い、クラス担当の先生の評価に
直結するだけに、先生の為にと自主学習する子供達
その中で苦しむ勉強のできない子たちの表情に
戸惑う姿、すべてが人間的。

そう、人間的なの。相手を大事にしてるからこそ
損得なしに、直感だけで動くリョウタの行動はとても
人間的、とともに、人として常にこれくらいまっすぐで
ありたいと思うほど。
リョウタは常にぶれていない。
どうしよう?とおろおろしたり、投げちゃいたくなったりするところも
恋したときはちょっと揺れちゃうところも含めて。

「学校は崩壊してるとか教師の質がどうとか
よくいわれてるけれど 自分の子供が学校に
通っている様子をみて、学校の先生はこんなに頑張ってる。
学校ってこんなにすごいよ、とか子供たちも
こんなにすばらしいんだ、といったことを本にかきたくなりました。」
と作者が以前テレビで言ってたらしいですが
まさしくその通りの話。
んー、すべての先生に読んで欲しいだけでなく
リョウタが教師としての仕事を面白がってる描写は
その職業を羨ましく思うほど。

強い人間が弱い人間を守らなくちゃいけない、と
その子の父親を、権力を振りかざし高圧的な父親を
優しくしてあげようと伝える、あぁ奥深い。

なんだろうなー、こんなにも爽やかな「青春小説」で
微塵もイヤミがない、本当に素敵な小説です。

個人的趣味を言えば龍一がめちゃくちゃストライクゾーンです(笑)
メガネ男子ヨワイんで(ゲラ
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2008年 04月 25日 |
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アルファベットのYのように人生は右と左へ分かれていった—。
貸金庫に預けられていた、一枚のフロッピー・ディスク。
その奇妙な“物語”を読むうちに、私は彼の「人生」に
引き込まれていった。これは本当の話なのだろうか?
“時間(とき)”を超える究極のラヴ・ストーリー。
(「BOOK」データベースより)

前からちょっと気になっていた佐藤正午
偶然友達が貸してくれて初正午作品となりましたが
あたしの大好きな時間トリップものです。

あのときもし。。。していれば、していなければ、とは
誰でも思うこと。果たしてそれが叶ったとしたら。。。
まるでアルファベットのYのように左右に別れている分岐点。
けれど、どんなに違った未来を進もうとも
縁ある人とは必ず違った関係でこそあれ、必ず自分と
関わりを持ち現れるという視点はおもしろい。
初めは、その現在の語り手「僕」と昔の同級生だった「彼」と
彼の話の中で存在する「僕」=同級生だった彼と「君」=現在の語り手と
さらに、同じ名前で存在する現在の自分の周りの人たちと
彼の話の中に登場する人たちと。。。
もぅかなり混乱しますが、その混乱こそが
で?どうなるの?どっちがどうなの?と読み進めるスピードを
より早めて。。。気がつくと引込まれています。
そう、引込まれる本です。
多くの人がみな、一度は考える、過去をこうしてたら、という
願いの結末を教えてくれるような。。。

ラブストーリーというのはどうかな?ちょっと弱いような。
まぁむしろそのおかげで読みやすかったですが。
普段本を読まない人でもきっと「おもしろがれる」本。
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2008年 04月 24日 |
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この世には不思議なことなど何もないのだよ—古本屋にして陰陽師が
憑物を落とし事件を解きほぐす人気シリーズ第一弾。
東京・雑司ケ谷の医院に奇怪な噂が流れる。
娘は二十箇月も身籠ったままで、その夫は密室から失踪したという。
文士・関口や探偵・榎木津らの推理を超え噂は意外な結末へ。
(「BOOK」データベースより)

いやぁ、大好きだ。これ。
京極作品ってやたらと分厚くて小難しくてみたいな
イメージだったけれどいやいや読みやすい。
うんちくうんぬんなんて逆に心地よいくらいじゃないですか。
好き嫌いはわかれそうだけれど。
テンポもいいし、なんだろ全体に流れる空気感が
とても心地よくて、読んでいる間、異世界に
気持ちが飛んでるようなまさしく読書の醍醐味。
現実世界に帰ってくるのがしんどいほど。

古本屋の主である京極堂が延々と語る前半があるからこそ
この物語のミステリがより楽しめる、というか
すっと自分の内側に入ってくる快感。
もし、あの京極堂の語りがなければ
そんなんあり得ないだろ、と投げたくなるような
ミステリとしての解決部分。あの最初があるからこそ
逆に、認められないのはおかしいだろ?とすら
思ってしまうくらい。
要するに謎解きの講釈を先にしておきながら
その通りに解いてみせるという作り、これがまた
素晴らしい。
ほんとにこれがデビュー作と思ってしまうほど。

言葉の世界で戯れたい人にはたまらない一冊。
ちょっと京極作品すべていこうと決めました。
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2008年 04月 18日 |
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江戸・深川の料理屋「ふね屋」では、店の船出を飾る宴も
終ろうとしていた。主人の太一郎が胸を撫で下ろした矢先
突然、抜き身の刀が暴れ出し、座敷を滅茶苦茶にしてしまう。
亡者の姿は誰にも見えなかった。
しかし、ふね屋の十二歳の娘おりんにとっては
高熱を発して彼岸に渡りかけて以来、亡者は身近な存在だった—。
この屋敷には一体、どんな悪しき因縁がからみついているのだろうか。
(「BOOK」データベースより)

長編時代小説ですがさすが宮部、、時代小説が苦手
読んだことないという食わず嫌いさんも絶対に
するっと読めるのは力量ある作者ならでは。
ほんとにそーいう人にこそ、時代小説への
とっかかりというのも変だけれどぜひ読んで欲しい。
時代小説として欠かせない風俗や言い回しも
さりげなく気づかない程度に説明が話の中に
組み込まれているのでまったく違和感なく「わかる」ように
なってるしね。もちろんその時代ならではの人情味も!
他にも宮部は時代小説を書いているけれど
その中でもこれは秀逸!

それにしても宮部という作家はどうしてこぅ人を書くのが
上手いんだろう。おじいさん、おばあさんも若者も子供、娘
おばさん、みんな生きてそこにいるような、と言っても
お化けさんたちだけど(笑)
そしてみな魅力的な個性をもって存在している。

12歳の素直で澄んだ心の持ち主のおりん
そして女ったらしだけれど頼れる若侍の玄之介
艶やかで優しい姐さんのおみつ、気難しいけれど
人を癒すこと、治すことが好きな按摩の笑い坊
顔中傷で歪んだ暗い過去を持つおどろ髪
そして、おりんに向かってあかんべえをするお梅。
それぞれがまだ成仏できない理由、
その彼らがふね屋にいる理由、見える人と見えない人が
いる訳、そしておりんが全員を見える訳
彼らはちゃんと成仏できるのか
最後の最後まで、ぐいぐいと引っぱりこまれ
いっきに読ませます。

とてもいい世界に一時的に紛れ込んでいたような
現実に戻って来ちゃったのがちょっと寂しいような
それくらい素敵な本です。
ラストいそぎすぎ?な感はあるもののあれくらいで
逆にいいのかも。

こんなお化けさんたちならいるかもしれない
いても不思議じゃないよなぁと妙な説得力もあるし(笑)
そうそう!
この話に出てくる「料理屋」の料理がどれもまた
魅惑的!添え役程度の出番だけれど
どれも美味しそうでそーいう細かいところでも楽しめます。

おすすめっ。
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2008年 04月 15日 |
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ペンネームは覆面作家—本名・新妻千秋。
天国的美貌でミステリー界にデビューした新人作家の正体は
大富豪の御令嬢。しかも彼女は現実に起こる事件の
謎までも鮮やかに解き明かす、もう一つの顔を持っていた!
春のお菓子、梅雨入り時のスナップ写真、
そして新年のシェークスピア…。
三つの季節の、三つの事件に挑む、お嬢様探偵の名推理。
人気絶頂の北村薫ワールド、「覆面作家」シリーズ、第二弾登場。
(「BOOK」データベースより)

北村作品はやっぱり読後感がいい。
今回は、殺人事件や幼児誘拐といった事件を絡ませながらも
柔らかな空気をそのままキープしているのは
やはりお嬢様である千秋、編集者のリョースケそして
新キャラ編集者の賑やかな静さんたちのキャラが
しっかり立っているから。
けれどちょっとキャラが増えた分、どこか雑多になった感も。
まぁ北村作品のシリーズの中ではこのシリーズが
少し好みからはずれてるせいか、と。
文庫にのみ挿絵が増えているらしいのですが
逆にちょっと気恥ずかしい(苦笑)
解説が北村氏担当だった編集者の方が書かれているのですが
これがなかなか。泣けました、ってここでかよっ(苦笑)

「覆面作家のお茶の会」
南青山にある人気洋菓子店の店長が、息子の嫁が
作ったケーキを食べて「修行しなおしてくる」といきなり出家し
それ以来、姿を表に現さなくなった謎。
「覆面作家と溶ける男」
少女誘拐殺人事件が下町で続いている中、静の甥が
手袋をした不審な男に手紙の投函を頼まれる。
雨の日に現れるその男の目的は。。。
「覆面作家の愛の歌」
舞台女優が殺された。しかし最も怪しい劇作家には
しっかりアリバイが。時間と電話のトリックは?
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2008年 04月 11日 |
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録音スタジオで、起きた密室殺人!
ROMMY(ロミー)とは何者だったのか?
天才シンガーの死の謎に迫る
アンコールの大合唱に応えてROMMYがステージに上がると
スタジアムが揺れた。が、もうそんな情景を見ることはない。
録音スタジオの仮眠室で彼女は息絶えていた。
犯人はスタッフの中にいるのか!?
時代を疾走して逝った、天才シンガーの隠された真実とは。
歌野晶午がミステリー・フロンティアに挑む問題作。
(出版社/著者からの内容紹介より)

最後に、え?と言わせるミステリを、と言われたら
絶対に歌野作品を紹介しちゃう、そんな歌野作品の一つ。
むしろここまで、厳重に(?)凝られるとは、と
感服してしまう。

現代と過去を軽妙に絡めていくことで徐々に
あらわになっていく事実。
またそこから始まるミスリーディングと
文章だけにとどまらない「写真」や「イラスト」から
見せたり、歌詞や年表などを配置することで
読み手側は実際に「ROMMY」という歌手がいて
その歌手の最後の「商品」=完成されたDVDの特典を
手にしているような錯覚すら起こさせる様々な演出は
作者自身、楽しんでる感が伝わって来て
「おもしろがってる〜」とこちらまで愉快になってしまいました。
人によっては、それをうざっと思うかもしれませんが
あたしはそーいう読ませ方、嫌いではないです。
歌野サンってば♪って程度で(笑)

順に読んでいくことで途中から、読者はすんなり
じゃあ、犯人この人じゃん、とわかる仕組みになっていますが
「叙述トリック」としての一番の見せ所はちゃんと
用意されてますが、ROMMYというアーティストの伝記的な構成に
弱くなってしまってるかも。
ROMMYの最後の独白はかなりせつなくやるせない〜。
けれど
何故かずーっと手に取る前からも読後もどこか
B級な匂いがするのはこのタイトルのせいか
内容で扱われているROMMYという架空のアーティストのせいか
ただ単に時代や音楽性のせいか(苦笑)
あか抜けてなさ加減がまたせつない(笑)
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2008年 04月 09日 |
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呼吸するように本を読む主人公の「私」を取り巻く
女性たち—ふたりの友人、姉—を核に、ふと顔を覗かせた
不可思議な事どもの内面にたゆたう論理性をすくいとって
見せてくれる錦繍の三編。
色あざやかに紡ぎ出された人間模様に綾なす巧妙な伏線が
読後の爽快感を誘う。
第四十四回日本推理作家協会賞を受賞し
覆面作家だった著者が素顔を公開するきっかけとなった第二作品集。
(「BOOK」データベースより)

女子大生の〈私〉と噺家の春桜亭円紫師匠が活躍する
「空飛ぶ馬」に続く円紫師匠と「私」のシリーズの2作。
あいからずいいなぁ、この世界。
なんて優しさに満ちあふれているんだろう。
もちろん、この3話の短編集には「悪意」も潜んでいる。
その悪意に気づくこと、それを恐いと思う心。
やるせない気持ち。けれど、それを解く円紫師匠の
器の広さが、ほら、世の中ってこんなこともあるんだよ、と
まるで教えてくれているような
そんな、え?という日常の謎解き。

今回の3話では、「私」の姉が出てきます。
初めのうち、あぁ、お姉さんがいるのね、と漂わせ
3話である表題作で「私」と「姉」について語られます。
この流れも見事。
そしてまた一話ずつ「私」が様々な物事の中から
感じ入り、内側で消化していくことで見えてくる心の成長ぶりが
また清々しい。

大学の友達「正ちゃん」がバイトをしている本屋で
度重なり起こる「いたずら」の先に用意されていたこと「朧夜の底」
同じく大学の友達「江美ちゃん」に誘われて行った軽井沢の別荘。
チェスの駒「クイーン」と「卵」と「鏡」の”三題噺”「六月の花嫁」
確かに投函した相手に届かず、投函していない相手に届いた郵便物。
姉と私の間に続いていたほんの僅かなカサカサを溶いていく「夜の蝉」
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2008年 04月 07日 |
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ぼくの名はエイジ。
東京郊外・桜ヶ丘ニュータウンにある中学の二年生。
その夏、町には連続通り魔事件が発生して、
犯行は次第にエスカレートし、ついに捕まった犯人は
同級生だった—。その日から、何かがわからなくなった。
ぼくもいつか「キレて」しまうんだろうか?
…家族や友だち、好きになった女子への思いに揺られながら
成長する少年のリアルな日常。山本周五郎賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)

あーやっぱり重松はいいっ!
もぅなんなんだろう、この巧さは。

別に。さあ。特になにも。
そんな言葉を大人の前で繰り返す中学生が
こんなにも考えていること。
自分自身が中学生の頃、もぅ考えることが
自分自身の今までの何かと変わってしまっておいつかずに
ぐるぐるしてしまうことを思い出させる。
あぁ、そうなんだ、中学生ってそーいう年齢だった。
身体はどんどん大人になって行く。背も伸びて行く。
けれど心はまだその成長に追いつかない。
いや、成長していくのに自分自身が追いつけない。
ざわざわした心を抱えて
友達や先生やそして親、家族との付き合い方とか
どんどんどんどん。。。
そして
一回り、大きくなって行く、その変化。

そう、ここなんです。
この主人公、エイジが一回り大きくなっていくその過程
その変化の具合が
もぅ実にうまい。

学校という、家族という、友達とかもぅ色んな鎖に繋がれて
キレてしまいたいけれどキレられない、その窮屈さ
そして心にもつ見えないナイフを様々な人に向けていく鬱屈感
当然、暗くて重いそんなテーマを扱っているのに
こんなにも必死なエイジの姿に引込まれ
読後感はとても気持ちいい。
エイジ、ツカちゃん、タモツ等々
キャラ立てもしっかりしていてその点でも読みやすい。

おすすめの一冊。
あー、いい本読んだ、と本当に思えるはず。
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