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2008年 06月 22日 |
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上野・アメ横通り。繁、サモハン、ヤクショの三人は
この街で暮らす幼なじみ。仕事上がりに
ガード下の定食屋に集まるのを楽しみに生きてる、
そんないまいちクールじゃない毎日。
だが、酔っ払いに息子を殺されたという老人と
知り合ったことにより、アメ横の夜を守るべく「チーム」を結成することにした。痛快青春ミステリー。
(内容紹介より)

ま、さらにその3人に生活支援施設で暮らす”天才”が
加わり、上野が暮らしやすく、風通しよくするために
ガーディアンとして活躍してく様子の書かれた連作短編集。
確かに「IWGP」と比べてしまわれるかもしれないけれど
あたしはこっちはこっちでかなり気に入った!
各章ごとに散りばめられたミステリー的要素も
話のパンチを効かせるいい味付けになっているし
何より登場人物達が魅力あるし
いい感じに石田節が味わえる良作。

街に住む若者の生活を描いた作品を色々と発表しているけれど
これだけ街のその上の世代たちとの絡みもあると
むしろ読んでいて心地よい。
やくざ家業の人たちとの付き合いや、アメ横で商売をする
おじさん、おばさん、ここまで周りと溶け込んでるガーディアン
ある意味理想。
「今が楽しければいい」の思考は至って理解しやすいし
昼と夜、違う顔を持ちたい、持つことで満たされる何かも
わかりやすい。

確かに石田衣良っぽい会話のスムーズさ
予定調和すぎる流れは多々あり、そりゃうまく行き過ぎ?と
思うところもあるけれどそんなところで長々と延ばされても
無駄が多いだけだしね〜。
ただそれにしても、施設住まいの「天才」が
幼い発言や天使的な素直さを見せるのはわかるけれど
それ以外の「その他の登場人物」でもそれちょっと
この人も障害ある人?と思っちゃうような発言や
シンプルすぎる行動が気になったかなぁ〜。
シンナー中毒の男の子や監禁障害を繰り返しちゃう
ダンサーやヘルス嬢に入れあげちゃって些細な
嫌がらせをする男の子や。。。
そんなにおばかさんが多いのか?(苦笑)
メインの登場人物達以外では
アンティーク雑貨屋の店主相良老人や
天童会の「キャスター」はかなり好きなキャラですが(笑)
(立ちんぼの仕事を夜の顔とするレイカさんも
もっと活躍して欲しかったなぁ〜)

さらっと1日で読めて読後感は爽快、そんな本を
探しているのならぜひこれ。
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2008年 06月 21日 |
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いつもあなたを見つける度に、ああ、あなたに
会えて良かったと思うの。
会った瞬間に、世界が金色に弾けるような喜びを覚えるのよ…。
17世紀のロンドン、19世紀のシェルブール、
20世紀のパナマ、フロリダ。時を越え、空間を越え、
男と女は何度も出会う。結ばれることはない関係だけど、
深く愛し合って—。
神のおぼしめしなのか、気紛れなのか。切なくも心暖まる、異色のラブストーリー。
(「BOOK」データベースより)

きたーーーーーーーーーっ(笑)
きましたよ。もぅ大好きです!こぅいう設定!
メロドラマといわれようがなんだろうが好きです。

悲しいとか可哀想とかではなく感動
満ち足りた、きゅーっとくる
こみ上げて来るような何か!
そうきたかーっ!みたいな。
泣きそうな瞬間の喉がくぅぅってなるあの感じ。
鳥肌ざわわ。
そして涙が知らないうちに落ちてる。

SFをベースにしたメロドラマ、恋愛ものなんて簡単に
言われちゃうと絶対に読む気しませんが(笑)
あ、これ、SFだったの?みたいな。
(まぁタイムトラベラーものは好きなので
それがSFと言われればあたしはSFが好きだと言わざるを得ない。
ただし今回のこのタイムトラベルはどちらかと言うと生まれ変わりモノ)

夢で何度も見たり、あるいは突然目の前に現れたり
片方しか覚えてなかったり、両方とも思い出せなかったり
「その時」ごと条件が変われど
エリザベスとエドワードは互いに求め合い、やっと出会っても
その僅か後にはまた別れなければ行けない。
その別れがあるとわかっている辛さ、せつなさ
必ず別れなければならないのなら出会わない方が幸せ、なんて
言葉では済まされないほど
「あなたに会った瞬間に、世界が金色に弾けるような喜びを覚えるのよ。」
この為に生まれて来た、この時、この一瞬の為に
生きていた、と思えるような充足感、幸福感。。。

けれどせつなすぎる。辛過ぎる。

その上で、読者はまた楽しんでしまうのです。
次はどんな「エドワード」とどんな「エリザベス」が
どんな形で生まれ変わり、巡り会うのか、と。
そして、そうか、次はこんな形なのね、次はこうなんだ、と
読んで行く二人の様々な「出会いの形」は
各章ごとに章の扉に挿入された絵からまたインスパイアされ
広がって行くのです。

章が進むうち、何故二人がそんな運命のいたずらに翻弄
されるようになったかの「始まり」も描かれ
その物語にすっきり。。。。したところで終わり、ではないのです。

最後に用意された「記憶-1855年-オックスフォード」で迎えるクライマックスは
本当に鳥肌もの!

あぁ〜素敵な本を読みました。
大好き。
。。。。少女漫画好きさんにも絶対におすすめ!
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2008年 06月 17日 |
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過労死続出の職場を辞め、Uターンしたのが9年前。
啓一は田園都市の市役所勤務。
愛する妻に子供たち、あぁ毎日は平穏無事。…って、
再建ですか、この俺が?あの超赤字テーマパークをどうやって?!
でも、もう一人の自分が囁いたのだ。“やろうぜ。いっちまえ”。
平凡なパパの孤軍奮闘は、ついに大成功を迎えるが—。
笑って怒って、時々しんみり。ニッポン中の勤め人の皆さん、必読。
(「BOOK」データベースより)

正直、手に取ったとき「え〜〜〜〜」って思った。
えぇぇ〜〜〜またこのパターン?
サラリーマン必読、サラリーマンの悲哀をコメディタッチで
描いて読んだら明日も頑張ろうと思えちゃう良作ですよ〜ってやつ?
と、読む前、ちらりうんざりしたのは事実。
もぅいっそのこと「サラリーマン悲哀シリーズ」とかなんとか
シリーズものにしちゃって、あぁ今度はこーいうパターンできたか!と
逆に、わかった上で、楽しませた方がいいんじゃないの?とまで。

「なかよし小鳩組」「神様からひと言」もそうだし。。。
なんて読み始めたのにやっぱり読後は
「いいっ!やっぱり荻原作品、気持ちいい!」と手のひらを返したように(笑)
主人公啓一の、いかにもありそうなお役所の上司たちの反応と
孤軍奮闘する様子はもぅ読んでるこちらも胃が痛くなりそう!(苦笑)
と、そう思えるほど、登場人物たちの描き方に愛があるのです。
入り込んでしまう。
だから、結局、仕方ないよね、と苦笑いするような勤務先での
仕事が続こうとも、そうだよね、ま、お互い頑張ろうや、と
ビールジョッキを片手に話しかけたくなるような
そんな愛情もって本を閉じるような、そんな作品。

働いている人もまたそうでない人も十分にその世界を
「理解」できるし「想像」できるし楽しめるのはまた作者のすごいところ。
ハッピーエンドですべてまるく収まりました、な安易な
終わり方でないからこそ深い余韻が残る作品。
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2008年 06月 15日 |
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皮膚の内側に潜むものは静かに激しく蠢いている。
魂の孤独を抉る待望の作品集。
閉じこめられた想い封じ込んだ願い叶えられない夢…
出口を塞がれた感情がいつしか狂気と幻に変わる。
(「BOOK」データベースより)

あれ?これってほんとに桐野作品?と一瞬思いましたが
そういえば、この人、こーいう日常に潜む、あるいは日常の
裏側に誰にでもあり得るような狂気、不気味さを
静かに描く、描ききる面もあったよな、と。
読後、なんとも言えない嫌悪感、気持ち悪さはないの。
そんなのあり得ないからこそ小説を通して体感できる
貴重さはそーいう桐野作品にありがちな空気はなく
ただじわっと普通の生活の裏側にあり得る恐さ。
かえってそこらへんの生半可なホラーより恐い日常。

「虫卵の配列」
この人ならわかってくれると話した自分の失恋話、そして聞かされたのは
彼女自身の劇団の脚本家への盲目的な愛。その本人の語る本人だけの
事実と周囲から映る彼女の姿への異様さ。

「羊歯の庭」
15年ぶりに再会した恋人との不倫。別れた理由を思い出せないまま
のめり込み家庭が崩れたときに受ける仕打ち。男の狡さと悲哀。

「ジェイソン」
自分が酒乱だったと初めて知った主人公。学生時代の友人達は
影で自分をジェイソンと呼んでいたが一切彼には知らされず。。。
それは彼らなりの報復だった。

「月下の楽園」
荒廃した庭の美しさを愛し、やっと見つけた理想の庭を持つ大家の裏に
建つ借家に済むことになった主人公の奇行と大家の奇行。

「ネオン」
暴走族のヘッドから暴走族に喧嘩だけでのし上がり場所を
広げた組、そこへ「仁義なき戦い」にかぶれた若者が弟子入りを志願。

「錆びる心」
10年前の浮気から夫の監視下、家政婦のようにこき使われた
主婦がその仕返しに家出を実行し「家政婦」として「本当に
必要とされる自分」を見つけるために働き始めたが。。。

耽美なグロテスクさだったり、乾いた生活からの欲だったり
ヤクザの世界の狡猾さと滑稽さをユーモア交えて描いたり
同じくユーモア色のオブラートをかけつつ「後で本人が勝手に
困ればいい」といった仕返しだったり
どの話もテイストもカラーも違うのにごった煮的な雑さがなく
不思議と一冊としての仕上がりが出来上がっている。
どの作品もぞわっとくる快感が味わえる秀逸な
短編としての「落ち」を存分に味わえる一冊。
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2008年 06月 14日 |
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維新の騒擾燻る帝都東京の武家屋敷で
青年軍人が殺された。被害者の友人で
公家の三男坊九条惟親は事件解決を依頼されるが
容疑者、動機、殺害方法、全て不明。
調査が進むほどに謎は更なる謎を呼ぶ。
困惑した九条は博学の変人朱芳慶尚に助言を求めるが…。
卓抜な構成と精妙な描写で圧倒する傑作本格ミステリ。
(「BOOK」データベースより)

公家の三男坊九条とその友人で「安楽椅子探偵」のごとく
九条からの話を聞いただけで色々な可能性を
考えて行く朱芳が事件を解いていくシリーズ第一弾。
「妖奇切断譜」が続編にあたり、そちらの方が一般的に評価が
高そうでしたが、こちらも面白かったですよ。

ただあたしの思考能力の低さか
登場人物のキャラたては曖昧ではないのにもかかわらず
これはどんな人だっけ?誰の孫で誰と結婚してて、あれ?と
何度も家系図を見直したり、じゃあここから忍び込めなのか?と
何度も間取り図を見直したり。。。で、話に集中できなかったかも。
そこを見返さず、何も考えず、読むことだけで
うぉ!と唸らせるものではなく、それをすべて理解した上で
おおぉ。。。と唸らせる結末なので
そこがちょっとしんどかったと言えばそうかな。

犯行理由も何もかも、他人には理解できないこーいうモノだから、と
言われてしまった気もしますが(苦笑)
九条の好奇心旺盛さ、朱芳の頭脳明晰さ加減
このあたりのキャラ作りは面白いし
シリーズとして十分成り立っていると思います。
朱芳の理屈っぽい言葉の嵐は
どこか京極作品を彷彿とさせてなかなか好きな空気です。

このシリーズやっぱりぜひ読むのならこちらからを
おすすめします。
(これでうんざりして次、手を出さない可能性も(苦笑))
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2008年 06月 10日 |
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小さな町の小さなコンビニ、ミユキマート。
オーナーの幹郎は妻子を事故で亡くし
幸せにできなかったことを悔やんでいた。
店には、同じように悩みや悲しみを抱えた人が集まってくる。
堅気の女性に惚れてしまったヤクザ、声を失った女優の卵、
恋人に命じられ売春をする女子高生…。
彼らは、そこで泣き、迷い、やがて、それぞれの答えを見つけていく—。温かさが心にしみる連作短編集。
(「BOOK」データベースより)

我が子をなくし、今まで家庭を顧みなかったことを悔やみ
妻の為に仕事を辞めて一緒にいられる時間を、と
始めたコンビニ業。なのにオープンしてすぐに今度は
妻をも事故で亡くす。
遺言ともとれるメッセージを残した妻。あれは本当に
事故だったのだろうか、自殺ではなかったのか。
心に傷をもつオーナー幹郎。
そのコンビニで働く治子、コンビニの客たちなど
語り手が作品ごとに変わる連作短編集。

「重松清と浅田次郎を足した小説」って。。。そりゃない。
それは二人の作家に失礼でしょう。

設定はいいんですよー、もぅ絶対に面白い泣かせるせつない
色々な短編がいかにも生まれそうじゃないですか。

でもねぇ
肌にあわないってのはこーいうことを言うのでしょうかね。
どうしてなんでもかんでも性的な話に繋げなくちゃいけないわけ?
そんなに女っていつでもやりたがってるとでも?
だいたい、女が「牡(オス)の目」って表現、使うかなぁ。。。
いや、100歩譲って使ったとしましょう。でも
その表現を立て続けに、違う女性がまた使うってあり得ない。
要するに人物の作りが安易。女性の描き方が下手。
濡れた、という単語でしか表現できないのかね?
だいたい治子だって30歳でしょ?すっごい「おばさん」くさいし
女子高生にしても「やらせてあげてもいいわよ」って
そんな女子高生の語尾が「わよ」かよ!(苦笑)あり得ない。

普段、ここでは出来る限りいいとこ見つけて
出来る限り褒め姿勢なのですが
今回、これだけ言っちゃうのはやっぱりそれだけ
「設定」をもっともっと活かして欲しかった!という
残念さから。
あー、本当にもったいない。
これだけ、せつない泣ける舞台なのにーっ。
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2008年 06月 06日 |
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12分の1のドールハウスで行われた小さな殺人。
そこに秘められたメッセージの意味とは!?
天国的美貌を持つミステリー界の人気作家「覆面作家」こと
新妻千秋さんが、若手編集者、岡部良介とともに
残された言葉の謎に挑む表題作をはじめ
名コンビが難事件を解き明かす全3篇を収録。
作家に探偵、おまけに大富豪のご令嬢と様々な魅力を持つお嬢様探偵、千秋さんの名推理が冴えわたる“覆面作家”シリーズ第3弾。

覆面作家シリーズ3作目にして最終巻。
やっぱり安心してよめる北村作品ですが
数ある北村作品の中でも、実はこの覆面作家シリーズ
いまいちあたしは、思い入れが薄い、というか
さほど登場人物達に感じるものはないのだけれど
最後となるとやはりそれは寂しいような。。。

連作短編集なのだからいつでもそのまま尻切れとんぼ的に
終わらせたってだれもなんの文句も言わないだろう設定なのに
ちゃんと「終わらせている」のはさすが。

今回は写っているはずのない人が写っているディズニーランドの写真の謎
そして、リョースケの目の前で起こった崖からの転落事故の真相。
ドールハウスの中の殺人事件、ダイイングメッセージにこめられた
本当にメッセージ。

その話も丁寧に作られていてますのでじっくり味わってください。
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2008年 06月 05日 |
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憧れの日本にやってきた私立探偵のトウキョー・サム。
しかし、そこは、サムライが生き、茶道がもてはやされ
遊廓が栄える不思議な国だった—。
奇妙なハラキリ事件、茶室の密室、
そしてオイラン連続見立て殺人と、数々の超ジャパネスクな難事件に挑むサムと不思議の国の住人たち…。
かつてない究極の本格謎解きミステリー!!日本推理作家協会賞受賞作。
(裏書きより)

。。。あたしなんでコレ買ったの?(苦笑)
とんでもないですよ、これ。
笑えばいいんでしょうか。。。笑えないんだけれど。

まず設定がすごい。
この作者がむかーしむかし手にした外国人の書いた
日本を舞台にした推理小説を日本向けに出版した、と。
そしてその中の怪事件を解くヒントはすべて
その外国人の間違った日本ゆえ、ってそりゃむちゃくちゃだって(苦笑)
フジヤマ、ゲイシャガールは当たり前なヘンテコなニッポン。
それでいて、さらりと「現代」の事情もいかにも、な感じで
組み込んだり。。。シュールなギャグが好きな人にはおすすめですよ。

しっかり推理部分もあるので1粒で2つ美味しい。。。かなぁ?(苦笑)
とにもかくにも、こんな変な小説、一度は体感してみては。
ここまでぐちゃぐちゃにひっくり返して混ぜ返して
一つの流れを完璧に作り上げているのはある意味すごいとオモウ。
ここ最近で一番「ヘンな本」かもしれない〜。
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2008年 06月 01日 |
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俺は今昔亭三つ葉。当年二十六。三度のメシより落語が好きで
噺家になったはいいが、未だ前座よりちょい上の二ツ目。
自慢じゃないが、頑固でめっぽう気が短い。
女の気持ちにゃとんと疎い。
そんな俺に、落語指南を頼む物好きが現われた。
だけどこれが困りもんばっかりで…
胸がキュンとして、思わずグッときて、むくむく元気が出てくる。
読み終えたらあなたもいい人になってる率100%。
(「BOOK」データベースより)

昔、落語が好きでよく二つ目ばかりがでる寄席を
見に行ってたせいか、これははまった!
でもそれだけが理由ではないと思うの。
まず設定が面白い、登場人物が魅力的であり
そして話のテンポがいい。

もぅみんな不器用でバカ正直、要領悪く、言葉下手。
そしてそれが読んでいて、「いや」ではないどころか
応援したくなる、そんな登場人物ばかり。
愛すべきキャラばかり。
それがまた表面上だけではないところがまたいい。

はっきり言って何一つ解決はしてない。
それでもこの読後感のよさ。
みんなちょっとずつ、内面の奥の方が確かに変わった、と
そう感じさせるこの作者の力量、見事です。
あたたかくて、元気がもらえて
読んでよかった!と思える本。オススメです。
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2008年 06月 01日 |
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高度成長期、縫製一筋に生きてきた私は小さな工場を経営し
苦しくとも充実した日々を送っていた。
が、中国製の安価な製品が容赦なく経営を圧迫し始める。
長引く不況、膨れ上がる借金。万策尽き果てた時
私は妻のガンを知った…。
「これからは名前で呼んで」呟く妻、なけなしの五十万円、
古ぼけたワゴン。二人きりの最後の旅が始まった—。
(裏書きより)

「借金を背負った元工場経営者」の手記であり
まるで小説のような話だけれどこれはすべて実話。
だからこそはっきりいって垂れ流しのような稚拙な文章は
それゆえにシンプルに読み手を刺してくる。

この夫婦のとった行動が間違っているとか
何が正しいか、とかではなく、彼らはそのときそんな
行動しか取れなかった。
こうしなければいけない、こうあるべきだ、色々と
世間一般的な、常識的な選択は他にもあるけれど
それができない、選べない、そんな無気力にも近い行動しか
とれない状態だって世の中には確かにある。

次、再発したら3ヶ月ともたないと言われたまだ40代前半の妻
病院で薬漬けになり隔離され、死を待つだけの時間よりも
若い頃、浮気をしたり妻に優しく出来なかった、その罪滅ぼしにも
近い形で思い出を作る二人。

馬鹿げた選択であり、愚かかもしれない。
けれど妻のたった一つの願いは、病院へは行きたくない
一緒にいたい、ただそれだけ。
それを拒めるだけの常識なんて逆にむなしいのかもしれない。
二人の間に流れる愛の形。
ガンに苦しみながらももしかしたら奥さんは最後の最後まで
満たされた幸せな気持ちだったのかもしれない。

あたしならそうはしない、とか色々思ったとしても
それは、その年齢になり、そんな状況に陥ったら
またそれは変わるかもしれない。
読んでいてイライラすることも多々あったけれど
妻の残した娘への手紙には不覚にも泣いてしまった。
それも電車の中(苦笑)
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