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2008年 07月 31日 |
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ホームズ物語は、月刊誌『ストランド』に短編が掲載されはじめてから
爆発的な人気を得た。ホームズが唯一意識した女性
アイリーン・アドラーの登場する「ボヘミアの醜聞」をはじめ
赤毛の男に便宜を図る不思議な団体「赤毛組合」の話
アヘン窟から話が始まる「唇のねじれた男」
ダイイングメッセージもの「まだらの紐」など
最初の短編12編を収録。第1短編集。
(「BOOK」データベースより)

ホームズの名前を知らない人はいないでしょう。
でも果たして読んだことは?
あたしはありませんでした。
あまりにも有名すぎて手を出すタイミングを
なくしてしまっていた感じ。
読書にまったく興味のない息子に買ったのですが
あたしの方が先にはまってしまった(笑)

やっぱり名作として残るだけあって面白い。
ホームズを読んでいて感心してしまうのは
やっぱりその観察力、洞察力。
ホームズ好きの子供達が読み終わって
すぐに気持ちが「ホームズ」になってしまうのもわかる。

時代設定が時代設定なので果たしていまの子供達に
その想像力と知識が追いつくかどうかは不安はあるけれど
それはまた大人になってから再読して味わえばよいことだし。

まずはこの短編集の第一弾だけでも読むと
その雰囲気、味を十分に堪能できるはず。
(この一冊でお腹いっぱいであったとしても(笑)損はなし!)
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2008年 07月 27日 |
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山梨県で地元の有力者の一人娘が誘拐される事件が起こった。
警察の指示に従った結果、身代金の受け渡しは失敗。
少女は死体となって発見された!県警は
遺留品に付いていた指紋から、無実の青年を逮捕。
執拗な揺さぶりで自白に追い込んでしまう。
有罪は確定してしまうのか?そして真犯人は?
現役の法律家が描く、スリリングな冤罪ドラマの傑作。
(「BOOK」データベースより)

いやぁ、こわい本でした。
冤罪なんて自分には関係のないことなんて
思ってなんていられないほど
いつの間にか「仕立て上げられて」しまうのですね。

無知であることが結果的に自分を、そして
最愛の息子を追い込んでしまうことになる。

もちろんフィクションであり、こんなにも最悪な状況は
そうそう揃わないとは思いますが
これはもしかしてドキュメンタリー?ルポ?と錯覚してしまうほど
リアル。
現役の法律家が書いた本なだけにとても詳しく
それでいて素人にもわかりやすい。

途中、犯人にされた被疑者の幼さ、やる気のない弁護士
警察や司法に対し歯痒さを感じ、またやるせなさでいっぱい。
いったいどうなるんだ?でどんどん先を急いで
読みたくなる一冊。
ラストの余韻を残した終わり方は結構好きです。

冤罪を扱った法廷ミステリは当たり外れが大きいようですが
これは絶対に当たり。
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2008年 07月 24日 |
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その夜、「僕」は、奇妙な名前の強烈なカクテルを飲んだ。
ガールフレンドの南雲みはるは、酩酊した「僕」を自分の
アパートに残したまま、明日の朝食のリンゴを買いに出かけた。
「五分で戻ってくるわ」と笑顔を見せて。
しかし、彼女はそのまま姿を消してしまった。
「僕」は、わずかな手がかりを元に行方を探し始めた。失踪をテーマに現代女性の「意志」を描き、絶賛を呼んだ傑作。
(「BOOK」データベースより)

まず最初に、この文体が読めるかどうかが一番の
ポイントではないかと。
「カメラを意識してわざと視線をはずしてる」ような
どこか自分自身に酔っているような
ナルシスティックな一人称。

もしあのときこうしていれば、もしあのときこうしなければ
誰でもそう思うことは一度ならずともあるはず。
この話はずっとそれを引きずりつつ、でも、みんな
なんとなく日々の生活に流されちゃうんだよねってなコト。
まったくもってその通り。

その「こうしていれば」の相手が心から愛する人になる以前の
相手であれば、主人公の取った行動は「自然」なのかなぁ。
「帰る」と言った女性が帰ってこない、それも深夜。
なのに、放っておいて出張に出てしまうもんなんでしょうかね。
そこがね、もぅひっかかって、そこから感情移入が難しく。
その後、探すにしても、「仕事の合間」「もぅ一人の彼女との
付き合いの合間」
けれど切り捨てられない。
その理由が、いきなり理由もなく自分の前から姿を消された、まるで
自分を避けるかのような行動を取られたとこに対する「自信喪失」
「芯のないりんごのような状態」ゆえ。
うーん。
失踪した彼女にしても、そんなにも簡単に日常すべてを
捨てられるような状況ってのも納得しきれず。。。
彼女の友人知人たちの言動も、家族である姉夫婦の行動もすべて。

失踪をテーマに現代女性の意思を、とあるけれど
そんなはっきりした意思というようにも取れなかったし。
なんとなく流されちゃって、とか
なんとなく、そんなこと言われちゃあね〜みたいな。
意思ある女性が白黒はっきり付ける、というのとは違う。

したたかな女性たちに振り回される優柔不断な男の図という
小説なのかとも思ったけれど
それ以前に、この男、みんなに嫌われてるのか?とすら
思えるほど彼に対する周囲の女性の言動が不自然。
さほどしたたかとも思えないし。

色々な点において腑に落ちない、はっきりした疑問符ではなく
なんとなく違うぞ?と感じながらも
どんどん次へ次へと読み勧めたくなるのは
佐藤正午節の文体にはまったから、のひと言に尽きるのでは。

山本文緒の解説は読んでみる価値十分。

「著者は物語の中で主人公に自覚させたりはしない。
なにしろ駄目で鈍感な男なのだから
そんなことに気づかせてはいけないのだ」
それを読んだ作者が「そこまで考えてなかった。そこまで
作ってなかった」と言ってくれればそれこそ上出来なのに
そこまで出来すぎた話はないですよね〜(苦笑)
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2008年 07月 22日 |
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あの銀行を撃ち落とせ!謎の老投資家が選んだ
復讐のパートナーはフリーターの“おれ”だった。
マーケットのAtoZを叩きこまれた青年と老人のコンビが挑むのは
預金量第三位の大都市銀行。
知力の限りを尽くした「秋のディール」のゆくえは…。
新時代の経済クライムサスペンスにして、連続ドラマ化話題作。
(「BOOK」データベースより)

これ、石田衣良なんだよねぇ、と何度も確認してしまった。
確かに石田衣良らしい表現は多々あるけれど
こんな「経済小説」も書くんだ〜とびっくり。
(後から知ったのですが石田氏、作家になる前は
株で生計をたてていたとか)
株は未経験、まったくわからないあたしでも
なんとなくわかったような気がしちゃう、知らない世界を
ちらっとだけ見せてもらったような。。。。という軽さがこの作者の
いいところなんでしょうね〜。
なんとなくわかったような気がするお得感みたいな。
実際に株をやっている人には、そんなもんじゃあない、ってもんでしょうが。
あくまでそこは「エンターテイメント」として
純粋に楽しむところかと。

バブル期に行われた大手銀行の、老人をターゲットとした悪徳商法のような
融資付き変額保険に憤りを感じ復讐する、と
いうことなのですが(まぁ実際にダメージを与えられたのは
銀行というよりも投資家たちだと思うけれどそーいうつっこみは
置いといて。。。(苦笑))
巧みな情報操作(らしき)動きを楽しむと結構気分盛り上がって
なかなか面白くはまれましたが。。。
違う人が書くともっとシリアスで哀しい話にもなるんでしょうね。
着眼点が違うというか。そこがまた面白い。
結構、石田作品にはそーいうパターン多いと思う。
現代の病巣や問題を取り上げつつさらっと読ませる。
気持ちのよい読後感とともに。

騙される側と騙す側、それに対する考えのやり取りも
とても興味深く読めました。

銀行内部の話も多々出てきます。
元大手銀行員ですが(笑)支店勤務経験はナイのでそこらへんは
ノーコメントで(苦笑)
小説だから、と切り捨てきれない自分がいます(>ε<)ぶっ
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2008年 07月 20日 |
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犠牲(サクリファイス) わが息子・脳死の11日

冷たい夏の日の夕方、25歳の青年が自死を図った。
意識が戻らないまま彼は脳死状態に。
生前、心を病みながらも自己犠牲に思いを馳せていた彼のため
父親は悩んだ末に臓器提供を決意する。
医療や脳死問題にも造詣の深い著者が最愛の息子を喪って動揺し、苦しみ、生と死について考え抜いた11日間の感動の手記。
(「BOOK」データベースより)

簡単によくある「泣ける実話本?」なんて思って
読んだのですがそんな軽い本じゃあない。
読み始めて、しまった、と思った。
あまりにも深刻でデリケートで重い問題で
出来ることなら考えることすら避けて通りたいほど
辛い問題定義。
けれど矢張りこれは読むべき本だと。
考える機会を与えてもらってよかったとすら。
脳死。
それも自分の家族。
どう捉えるか。

神経症を患い、親も気づかないほど長い間
苦しみ、その挙げ句、自殺を図り脳死状態に陥った息子。
それは中学生から12年間という長い苦しみ。

年間何万人と自死を選ぶ人たち。
何故?と問う気持ちに、この本は一人の答えを
あますところなく描き出し、それはもぅとても
悲痛に満ちた壮絶とも言える心の内側を
見ることができる。
さらに救おうとしながらも救えなかった父親の
苦しさ。

妻はその前から強度の不安と不眠と抑うつの状態で
朦朧状態で寝込んだまま
長男はウィルス脳炎を経験しており、その頃には
完治後、家をでて生計をたててはいたが
結果、二男の治療に共に立ち向かえるのは父一人。
2時間も3時間も待たされるような精神科の外来。
それでもいつか、息子が自立して社会生活をおくれるように
なるという期待をすべて奪われたような空疎感。
しかしそれ以上に、苦しんでいた、父も知らなかった
息子の内側を、息子の残したノートは語る。

さらにその後に続く脳死という診断に対し
ジャーナリストでもある父は、過去様々な文献を
目に通したことから知識はあるものの
いざそれが自分の愛する家族が対象となったとき
父の下した決断は、立花隆の脳死に関する著書に
深く同意しつつも、結局「父親」としての
センチメンタルな感情を一番に持って来ることを選び
そして、三人称としての患者の死ではなく
二人称としての患者の死として扱ってくれる医療機関の
充足を本書にて促す。

自殺という道を選ぶ心と死なれてしまった父の心
その双方を痛いほどにこの本は書きつつ
さらに個人的な経験を一般論へ転換していく作業。
これは柳田氏だからこそ成し得たことでは。
だからこそ、あたしたちはこの本を読むべきではないかと。
そして考えるべきではないかと。

この本にて、目からうろこが落ちたような気分にさせたのは
脳死判定についての一考。
死というものをある時点で線引きするのではなく
個人の選択の幅のある、面にて決めようという考え。
日本的、東洋的なゆったりしたファジーさの有効性
そしてその為の医療機関の二人称としてみる扱い
これらはかなり強く認められてもいいのではないかと。
ただ現在の慢性的な医療機関の人手不足を考えると
それはまだまだ難しい。

真面目な父と優しい息子。
世間一般的にみれば素晴らしい形であるのに
それがゆえに引き起こした結果とも思えなくはないこの親子関係。
この本からは様々な点において色々と読む側に
考える機会を与えてくれると思う。
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2008年 07月 17日 |
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「口にダイナマイトをくわえさせて火を点けたら、こんな感じじゃないかね」
東京都下で頭部を木端微塵に吹き飛ばされた死体が、
相次いで発見された。不思議なことに、
首から下には外傷がまったくない。
この異様な連続殺人は人間の仕業か?それとも…。
10から0へ。日常に溢れるカウントダウンの数々が、一転、驚天動地の恐怖を生み出す新感覚ホラー。
(「BOOK」データベースより)

「ゆび」の続編です。
まぁ「ゆび」もね、こんな設定ならなんでもありだよな〜と
思ったのですがやっぱりなんでもありでしたよ(苦笑)

ただしあまりにも前に読んだ為、うろおぼえで
この人なんだっけ〜とかそんな登場人物達がいっぱいで
それだけ人が本の中であまり生きてなかったんでしょうねぇ。。。
登場人物が冒頭に並んでますが
それも、物語途中で、これだれだっけ?とめくり返しても
たいした意味もってません(苦笑)

殺され方がはんぱなくて(苦笑)映画化でもされたら
血の量だけで18禁になりそうなほどです。

ホラーといっても好きなホラーとどうでもいいホラーと
あるんだなぁと。。。
まだまだ続くようですがもぅおなかいっぱい。
摩夜峰央あたりが漫画化してくれたら読みますって
そんな台詞、他の本読んだときも書いたな(苦笑)
主人公が美少年に変えられてるかもしれないけれど(>ε<)ぶっ
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2008年 07月 15日 |
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もしも過去に跳べることができたら、今は亡き、
愛する人を救いにいける。
すでに滅びた物を目の当たりにできる。
それだけでなく、過去の世界で、新たな恋に落ちるかもしれない。
ついに「クロノス・ジョウンター」という機械が開発され、
誰もが夢見るそれが現実となったとき、そこにさまざまな物語が生まれた。
さあ、「時」と「おもいで」の一流シェフの腕前をじっくりとご堪能を。
小社既刊文庫に1話を加えた増補版。
(「BOOK」データベースより)

クロノスとは時を司る神の名前、ジョウントとは空間から空間へ
飛んでしまう状態であり、その名前をつけられた「物質過去噴出機」を
巡る短編集。
ただし過去にいられる時間は非常に短く、そのままそこに留まるよう
時間の流れを逆らう「装置」をつけても最長3日間
その装置を付けなければ瞬間だけでも何度でも戻れるけれど
装置をつけて戻ったものは二度と過去には飛べない。
そして遡った時間から現在に戻ることはできず
時間の流れに逆らった分、未来へと飛ばされてしまうのです。
これらの「短所」があるからこそ、成り立った「恋愛」小説。
恋愛小説とは言っても、男性の書く恋愛小説だからでしょうか
それはどこか、夢物語的なご都合主義ではあるけれど
爽やかで心暖まる話ばかりで
読後感がめちゃくちゃよいのです。

タイムトラベルものが好きで何冊も読んでますが
今まで読んだものはまず「飛んでしまって」さてどうしよう的な
話だったのですが、今回はまず先に機械がある。
それぞれ、飛ぶ人たちには「目的」があるのです。
果たしてその目的は達成されるのか、
愛する人を救えるのか、一目でいいからと思った建築を
目にすることができるのか、
また、飛んでしまったからこそ、の展開もあり
それはそれはさくさく読めます。

とにかくどの話もラストがいい。
こういった陳腐さすれすれなシンプルな話も大好きです。
後で知ったのですが「黄泉がえり」を書いた人なんですね。
そりゃ盛り上げる設定うまいわけだと妙な納得をしてしまったり。

ハードカバー、文庫本(ソノラマNEXT)
その後また文庫で新しくでるごとに
1作づつ新作が追加されてるようで。。。
あたしが買ったのはソノラマNEXTの文庫で3作でした。
くぅよく調べてから買えばよかった。
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2008年 07月 14日 |
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短時間、正座しただけで骨折する「骨粗鬆症」。
美人と言われてトイレにも立てなくなる「便秘」。
恋人からの電話を待って夜も眠れない「睡眠障害」。
月に一度、些細なことで苛々する女の「生理痛」。
フードコーディネーターを突然、襲う「味覚異常」…。
恋が、仕事が、家庭が、女たちの心と体を蝕んでゆく。
現代女性をとりまくストレス・シンドロームと、それに立ち向かい、再生する姿を描く10話。
(「BOOK」データベースより)

まったく予備知識なく山本文緒だからいいだろうと
手に取った一冊。
読み始めてその短編集にタイトルをみて、おや?と
「彼女の冷蔵庫ー骨粗鬆症」
「ご清潔な不倫ーアトピー性皮膚炎」
「観賞用美人ー便秘」
「いるか療法ー突発性難聴」
「ねむらぬテレフォンー睡眠障害」
「月も見ていないー生理痛」
「夏の空色ーアルコール依存症」
「秤の上の小さな子供ー肥満」
「過剰愛情失調症ー自立神経失調症」
「シュガーレス・ラヴー味覚異常」

ほぅ。
おもしろい切り口。
現代病とでも言えそうな様々なストレスから誘発される病気。
その病気を抱えた女性たち。
みんなこんなにも必死。痛いくらい頑張ってしまっている。
それゆえの病気たち。
不倫の果て手に入れた結婚した相手の娘も
自分と同じように必死で愛を手に入れるために自分の
表面だけを磨き上げているその姿。
大好きなどうしていいかわからないほど大切な
友達と一緒にいたいからと無理して入った高校で
ドロップアウトしていく自分。
仕事に忙しい彼と親元に住む自分、いつ彼から
会えるよと言われるかわからない、一度帰った家から
夜また出かけるのは親の目が。。。と仕事後
ひたすら携帯を気にしながら夜の町をふらふら彷徨う。
みんなみんな必死で
それは時々滑稽ですらあり、いじらしくもある。

妙にリアルで生々しく実際にいそうな人たちばかりどころか
もしかしたら自分の内側にも、と思えるほど
すっと入れる短編集。
読後感はちょっとアタマをかきながら、はっと鼻で笑い
ゆっくりいこか、と自分に言ってあげたくなる
けれど、結局は
「女性とは血まめがつぶれてもハイヒールを履いてしまう」生き物なんだよね。
頑張っちゃう。
頑張る方向は人それぞれだけれど、自分自身の美意識のためなら、ね。
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2008年 07月 11日 |
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帝国陸軍がマッカーサーより奪い、終戦直前に
隠したという時価200兆円の財宝。
老人が遺(のこ)した手帳に隠された驚くべき真実が
50年たった今、明らかにされようとしている。
財宝に関わり生きて死んでいった人々の姿に涙する感動の力作。
ベストセラー『蒼穹の昴』の原点、幻の近代史ミステリー待望の文庫化。
(出版社/著者からの内容紹介より)

この本の単行本化のときには「消えたマッカーサーの財宝」と
副題がついてるように、過去と現代と視点を
行き来させながら戦争の悲惨さ、悲しさ、ばからしさも
浮き彫りにしていく。

作者のあとがきを読むとちょうど「きんぴか」や「プリズンホテル」を
発表し、ユーモアピカレスク小説作家、極道作家としての
レッテルを貼られ軌道修正をはかるべく書き上げたとあり
この一冊から、この先の「地下鉄(メトロ)に乗って」や
「蒼穹の昴」といった「軌道」も加わった分岐点的作品。
たしかに、この作品の中ではまだ
「きんぴか」にあるようなユーモアの匂いもちらり
残ってしまってはいるけれどそれはもぅ浅田作品の味と
なってるような気が。
「蒼穹の昴」ですら、くすりと笑わせる箇所があるように。
ただ絶対的に軌道が違う、匂いが違う、そいういう意味で
この「軌道修正」いや「あらたな軌道」は成功していると思うし
あたしはこの、新たな軌道の方が好きです。

「壬生義士伝」でも感じさせた、事実ではないけれど
本当はこぅだったのかもしれないと思わせるこの作者の力量
やっぱりすごいと思います。
作者自身ではこの本は「若書き」と色々と辛辣な
評価を下してはいるけれどあえてそのままという部分を
かなり買いたい。

財宝の行方を追うミステリーとしても読めますが
やっぱりこの本の醍醐味は人間ドラマとしてではないかと。
終戦直後の少女達の話はもぅ涙ぼろぼろでした。
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2008年 07月 03日 |
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胸に手をあててみれば思い当たる軽犯罪、約束woやぶったり、
借りたものを返し忘れたり。。。
そんなちょっとした罪にかきたてられる自分の中の不安、
他人への不信感。
誰だって純真でもなく、賢くもなく、善良でもないが
ただ懸命に生きるだけ。
ひとのいじらしさ、可愛らしさをあざやかに浮き彫りにし、
心洗われる物語の贈り物。
(裏表紙より)

「私たちは純真でもなく、賢くもなく、善良でもないけれど
できることを精一杯するだけ。ただ精一杯するだけ。」
これは「100年の恋」の中の一節。
これがほこの本のすべてを表しているような。

この短編集はすべて「軽犯罪」(中にはそうとは言えないものも)が
テーマ。
おもしろいもんテーマに持ってくるなぁと読み始めたのですが
いやぁ。。。。この人のかく人物は相変らず生々しい。
みんなどこかにいそう。
ゆえにちょっとコワイ。
他人が自分が。

結婚式にあらわれた元彼。それを仕組んだ友達と思っていた女の
本当の心の裏側。
「幸せになる人間は、思い切り傲慢に幸せそうな顔をするもんだ。
それが礼儀ってもんじゃないか」と笑う彼。
ママがあたしの貯金をもって「追っかけ」のため家出してしまった。
その「追っかけ」を始めた理由を知った娘は。
何を借りてもすっかり忘れて返していないものがいっぱいでてきたときの
その唖然とした気持ち。昔の知人に連絡をとり、自分が借りていたものが
ないかと尋ね返って来た言葉の数々。。。
大好きなお姉ちゃんが学校でいじめにあってるとしった弟の取った行動は
「誘拐」だった。いじめている相手の「猫」を誘拐したその晩。。。

どれもこれもブラックだけれど、それはほろりだったり
くすりだったりきゅっだったり、と心のどこかが揺れる
おすすめの短編集です。
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