2008年 03月 12日
|
▼
高3の夏、復讐は突然はじまった。
中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われていく…。
犯行予告からトロ吉が浮び上がる。
4年前クラス中のイジメの標的だったトロ吉こと廣吉。
だが、転校したトロ吉の行方は誰も知らなかった。
光也たち有志は、「北中防衛隊」をつくり、トロ吉を捜しはじめるのだが—。やるせない真実、驚愕の結末。高3の終らない夏休みを描く青春ミステリ。
(「BOOK」データベースより)
ちょっと読むのに時間がかかったのは内容が
しんどかったから(汁
ひどいなぁ。。。と。そのいじめの内容が。
マジですか?みたいな。小説と現実を一緒にするなと
言われそうだけれどそれくらいリアルな。
そりゃ仕返しもしたくなるだろ?と。
で、実際に仕返しをされて、ちょっとだけ、あの頃よりも
大人になった主人公たちは考えるわけです。
あいつもこんな風に毎日、恐かったんだ、と。
解説で石田衣良が書いているように
荻原浩の作品は本当に、ぶれがない。
そのテーマを全うしている。
確かにこんないじめを題材としたものなら
もぅエセ評論家よろしく色々と語りだしそうなところ
この話は、高校生の元野球部の主人公をメインに
当時のクラスメート達の、それぞれの動き方を
自然に書き出している。
だからこそ読んでる方も、安心しきって
あぁだこぅだ言えちゃうのです。こいつらマジ反省してんのぉ?とか(笑)
そこまでやるわけ?とか、それって悪いの親の育て方じゃん?とか
もぅ生きてそこにいるかのように。
でもほんと救いがないなぁ。
どことなく、あんな空気の中どこかで息抜きしなくちゃ
いじめでもしなきゃやってらんないよ的な発想や
結局、大人の社会だっていじめあるじゃん、マスコミだって
こぅしていじめるターゲットを探してるじゃん、と
なかなか辛辣。
まぁ、かといってこの本のテーマは、いじめ撲滅じゃないし。
いじめから始まった復讐劇ですから
そのテーマから一切ぶれていない、そーいう意味では
とても巧い小説。
ラストはびっくり。え、そうだったの?と。
裏切られる結末への流れといい
学園もの、サスペンスとしては十分に質の高い一冊。
。。。しっかし、後味は悪いです(苦笑)
ほんと救いがないもの。
それにしても荻原浩、ほんと幅が広いなぁ。