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2008年 03月 12日 |
コールドゲーム:荻原浩_a0104226_1432566.jpg
高3の夏、復讐は突然はじまった。
中2時代のクラスメートが、一人また一人と襲われていく…。
犯行予告からトロ吉が浮び上がる。
4年前クラス中のイジメの標的だったトロ吉こと廣吉。
だが、転校したトロ吉の行方は誰も知らなかった。
光也たち有志は、「北中防衛隊」をつくり、トロ吉を捜しはじめるのだが—。やるせない真実、驚愕の結末。高3の終らない夏休みを描く青春ミステリ。
(「BOOK」データベースより)

ちょっと読むのに時間がかかったのは内容が
しんどかったから(汁
ひどいなぁ。。。と。そのいじめの内容が。
マジですか?みたいな。小説と現実を一緒にするなと
言われそうだけれどそれくらいリアルな。
そりゃ仕返しもしたくなるだろ?と。

で、実際に仕返しをされて、ちょっとだけ、あの頃よりも
大人になった主人公たちは考えるわけです。
あいつもこんな風に毎日、恐かったんだ、と。

解説で石田衣良が書いているように
荻原浩の作品は本当に、ぶれがない。
そのテーマを全うしている。
確かにこんないじめを題材としたものなら
もぅエセ評論家よろしく色々と語りだしそうなところ
この話は、高校生の元野球部の主人公をメインに
当時のクラスメート達の、それぞれの動き方を
自然に書き出している。
だからこそ読んでる方も、安心しきって
あぁだこぅだ言えちゃうのです。こいつらマジ反省してんのぉ?とか(笑)
そこまでやるわけ?とか、それって悪いの親の育て方じゃん?とか
もぅ生きてそこにいるかのように。

でもほんと救いがないなぁ。
どことなく、あんな空気の中どこかで息抜きしなくちゃ
いじめでもしなきゃやってらんないよ的な発想や
結局、大人の社会だっていじめあるじゃん、マスコミだって
こぅしていじめるターゲットを探してるじゃん、と
なかなか辛辣。
まぁ、かといってこの本のテーマは、いじめ撲滅じゃないし。
いじめから始まった復讐劇ですから
そのテーマから一切ぶれていない、そーいう意味では
とても巧い小説。
ラストはびっくり。え、そうだったの?と。
裏切られる結末への流れといい
学園もの、サスペンスとしては十分に質の高い一冊。
。。。しっかし、後味は悪いです(苦笑)
ほんと救いがないもの。

それにしても荻原浩、ほんと幅が広いなぁ。
2008年 03月 09日 |
しょっぱいドライブ:大道珠貴_a0104226_23493940.jpg
港町に暮らす34歳のミホが、九十九さん(なで肩で筋肉が
なく七面鳥のように皮膚のたるんだ天然パーマの
へなちょこ老人)と同棲するに至るまでの奇妙な顛末。
ゆったりと走る車からオレンジ色の海を見たり
はんぺんのように軟らかく湿った唇と唇を合わせたり・・・・
「人間と人間関係を描ききった」と絶賛された芥川賞受賞作。

あぁ〜。。。出来る限りここでは「褒め」たいのですけれどね
どんな本でも方向を変えて読めばイイトコあったりしますし
人の好みは様々なので、出来る限り。。。色々な人の
趣味にピンとくるような、あ、これ自分の好きな方向の本だ、とか
これは自分の趣味じゃないな、と思ってもらえるように。。。

でも、これは勧めたくないほどうんざり。
はっきりいって、主人公の語りで進められる文章はうまくもなければ
読みやすくもない、かと言って個性的でもなければ味があるわけでもない。
なんていうんだろう、とっても暗いひねた性格の人の
web上にころがっている日記を読まされているような文章。
おまけにその主人公の鬱陶しさ。
リアルで確かにこーいうタイプの人はいると思います。
そーいう人には共感を得られ、読み手は、共感を
得ることで安心するかもしれない。
けれどあくまで日記レベル。
人間関係を書ききった、ってありますがその底の浅いこと浅いこと。。。

設定からして気持ち悪い。老人と中年女の恋愛とは言いたくない恋愛。
同棲に至るまでの主人公の、はっきりしないいつまでも
なんとかなるだろう的な姿勢もイライラ。
本気で鬱陶しいストーリー展開。
おまけの登場人物、どれをとっても魅力なし。

あくまで感想は「好き嫌い」で語られるべきだと思うので
言ってしまえば嫌いです。

あ、読みやすいですよ。するするっと読めますよ、数時間で。
だって日記レベルですもの。
無駄にした時間が短くてよかった。
それにしても芥川賞ですか?
該当するものがなければ該当なしってできないんですかね?
本を売る為に無理矢理賞を与えているのでしょうかね?
2008年 03月 08日 |
覆面作家は二人いる:北村 薫_a0104226_0225310.jpg
姓は「覆面」、名は「作家」—本名・新妻千秋。
天国的な美貌を持つ弱冠19歳の新人が
ミステリ界にデビューした。しかも、その正体は
大富豪の御令嬢…ところが千秋さんには誰もが驚く
もう一つの顔があったのだ。
(「BOOK」データベースより)

北村薫の代表作シリーズとしての「覆面作家」シリーズ1冊目。
いかにも北村薫といった感じのやさしい文体
内容もほのぼのとしていて(でもめずらしく殺人があったりしますが
そーいう意味では殺人としてのリアリティはないです)
本格ってのはこーいうことを言うのねぇ、と。
事件の様子が伝えられ、読者も一緒に、ん?と考える
そして提示される謎解き。
ほほぅ〜たしかに言われてみれば、という質の高さ。
そこに、くすっと笑える要素が加わり
キャラたちの魅力が加わり。。。
んー、確かに二重人格という設定や双子の一人が刑事だったり
謎解きひとつひとつも出来過ぎっちゃ〜出来過ぎなのですが
それをこだわる必要がまったくないほど
読んでいて、ほのぼのできるミステリ。
2008年 03月 06日 |
魔術はささやく:宮部みゆき_a0104226_2246571.jpg
それぞれは社会面のありふれた記事だった。
一人めはマンションの屋上から飛び降りた。
二人めは地下鉄に飛び込んだ。
そして三人めはタクシーの前に。
何人たりとも相互の関連など想像し得べくもなく
仕組まれた三つの死。さらに魔の手は四人めに伸びていた…。だが、
逮捕されたタクシー運転手の甥、守は知らず知らず事件の真相に迫っていたのだった。
日本推理サスペンス大賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)

あぁ。。。宮部だ、と思える作品。初期なのにね。
すでに完成されてたのですね、あらためてすごい。
読み終わって、面白い本というのはこーいうことだよなとか思ったり。

ただ、読み始めはあたしはきつかった。
宮部みゆきの頭の中では
この「いったい何がなんだかわからない」ことがすべて
すっきりまとまっていてそれを、じっと読んで行けば
あたしたちの前に、どう?とばかりに披露してくれるんだろう、と
安心して読めるのですが、それが「わかる」までがつらい。
主人公の少年にしてもキャラ的に魅力もあり
読ませるのですが、何せ、もぅ、ころころと語られる人物と
その世界が変わるので、いったい何がなんだか?と。。。
そして、その幾重にも語られていた話が
やがてひとつにまとまる時、とてもすっきりできるわけです。
徐々にわかっていく興奮、確かにそれはありますが
どうしても読んでいる最中、その「最後にすっきりさせてあげる」感が
疲れるのかもしれないなぁ。
それを求めている時にはもぅまさにぴったりな一冊!
やっぱり宮部はうまいよな、とあらためて思わせます。
(ほぅほぅ、こーいう作りを「ミッシングリンクもの」と呼ぶのですね)

単なるミステリとしてだけではなく、すべてが解決した後も
きちんと描ききれていてその部分、特に好きですが
後々、社会派ミステリとしての片鱗もすでにこの頃から
覗かせていたのですね〜。
ちなみにこの話では詐欺です。化粧品のキャッチだったりね。
2008年 03月 03日 |
再生の朝:乃南アサ_a0104226_1393316.jpg
十月七日午後五時三十分。萩行きの夜行高速バスが
品川のバスターミナルを出発した。
乗客乗務員は十二人。
約十四時間で目的地到着の予定だったのだが…。
深夜に乗務員が殺害され、バスは殺人者とともに
何処とも知れぬ闇の中に放り出される。
台風接近で風雨も激しさを増し—。
それぞれの人生を背負って乗り合わせた登場人物たちの
多視点から恐怖の一夜を描く、異色のサスペンス。
(「BOOK」データベースより)

ミステリ続きだったのでサスペンスもまた新鮮。
乃南アサってこんなに面白かったっけ?ってくらい。
スピード感もあって読みやすい。
。。。2時間サスペンスドラマ並みに(笑)

いや、初めはね、なんたって裏の説明読むと
バスジャックの話ねぇ〜ってわかるし
読み始めると、まず、そこに乗り合わせるであろう
登場人物たちの細かい設定が語られるわけです。
ここでちょっと引いたんですよ、正直言って。
あぁ〜、こーいうパターンね。
登場人物達の背景を書くことでこの人たちが
被害者になって死んじゃった時に
読者により大きな同情とかねぇ
与えようってことでしょ〜?みたいな。

裏切られました。
とても気持ちよく。なんて言うのかな、確かに
細かい人物設定の話があったこそ
話に深く入り込めるのですが、かと言って
鬱陶しいレベルでもない程度に。

ごくごく普通にそこらへんにいそうな人たち
そして、まったく接点なく普段であれば会話を交わす
機会もない、そんな乗客たちの集まりが
バスジャックという非日常に放り込まれた時
それまでの人物設定がより一層くっきりと際立ち
物語に奥行きを出しています。

ネタばれさえすればこの本がいかに面白いかを
すぐにでも説明できるのですがここはぐっと我慢。
最後の最後まで目が離せない展開。
読後感はとてもヨイです。
あぁ、だからこのタイトルなのね、と。

あんなに人の良さそうな人が極限状態に置かれると
こんなにも自分だけのことしか考えなくなり
うさんくさそうと思った人が実はとても心地よい空気を
醸し出す人だったり、また、思いがけないほどの優しさを
見せたり。。。そして、憎むべき犯人にすら
そこまでに至る心情をよんでしまったりと
人間ドラマとしても楽しめました。

ドラマ化しないの?(笑)
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