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2009年 07月 31日 |

兄の部屋を偏執的にアサる弟と、罠を仕掛けて執拗に報復する兄。兄弟の果てしない憎しみは、どこから生まれ、どこまでエスカレートしていくのか?出口を失い暴走する憎悪の「黒冷水」を、スピード感溢れる文体で描ききり、選考委員を驚愕させた、恐るべき一七歳による第四〇回文藝賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)

確かmixiの読書関係のコミュで話題になってたので
読んでみました。
これを書いたのが17歳ってのが驚きですが
その若さゆえの若い主人公たちの心理がリアルです。
例えば、若いと世界が狭かったりする。
家と学校、家族と友達、自分が今そこに存在するその世界がすべて。
それがゆえに確執が生まれた時、その中で
もがく、それも両手両足をばたつかせるように必死に。

その必死さがこの兄弟の攻撃になるんでしょうね〜。
本当にすごいですよ、この兄弟喧嘩(笑)
争いごとって外から見たらとても滑稽。
そしてこの子供達の不気味さ、なんともいえない不安感。
ぞっとする笑いを楽しみたい方に。
あっという間に読めますよ。
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2009年 03月 24日 |
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私はなるべく彼女の目にとまるよう心がけてきた。吉田神社で、出町柳駅で、百万遍交差点で、銀閣寺で、哲学の道で、「偶然の」出逢いは頻発した。我ながらあからさまに怪しいのである。そんなにあらゆる街角に、俺が立っているはずがない。「ま、たまたま通りかかったもんだから」という台詞を喉から血が出るほど繰り返す私に、彼女は天真爛漫な笑みをもって応え続けた。「あ!先輩、奇遇ですねえ!」…「黒髪の乙女」に片想いしてしまった「先輩」。二人を待ち受けるのは、奇々怪々なる面々が起こす珍事件の数々、そして運命の大転回だった。天然キャラ女子に萌える男子の純情!キュートで奇抜な恋愛小説in京都。
(「BOOK」データベースより)

これは確かに好き嫌いがわかれるところかも。
でもあたしは好きだなぁ。
なんていうんだろう。
まるで漫画を読んでるかのようにアタマの中で
キャラクターたちが動き回る!
とくに、文化祭なんてもぅ!

あり得ないことが山のように押し寄せてくるけれど
すべて「あり」!
これこそ小説の醍醐味なのでは、と思ったほど。
これほど純粋な片思いをつっぱしっちゃう男子、
時代設定はいつ?!とまず思うのですが
そのうちどうでもよくなる(笑)

本を読んでいてリアリティを強く感じることで
その世界に入り込むことと
突拍子もなく現実離れしてるからこそ
入り込んでしまうことと
どちらも本を読む楽しさ。
あらためてそれを感じさせてもらいました。

語り手が「先輩」と「乙女」と変わることで
それぞれの視点でしか判り得ないところも
読者は見えることができ、それゆえに
話の世界にさらにどっぷり。

この人の独特の言葉遣いさえクリアしたら
あの不思議で楽しい世界へまっしぐら。
ただひとつだけどうしてもクリアできなかったのが
乙女の使う「オモチロイ」
んー、これは何度もひっかかってしまったなぁ。

京都をよくご存知の方にはそちらでもきっと楽しめるはず。
読んでてすっごい京都行きたくなったもの。
まぁそれ以上にこれくらいお酒が強かったらおもしろいなぁ、と(笑)

どうでもヨイことですがあたしは文庫本の表紙より
単行本の表紙のが好きです。
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2009年 03月 19日 |
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つらいときは、ここに帰ってくればいい。
昭和37年、ヤスさん28歳の秋、長男アキラが生まれた。愛妻・美佐子さんと、我が子の成長を見守る日々は、幼い頃に親と離別したヤスさんにとって、ようやく手に入れた「家族」のぬくもりだった。しかし、その幸福は、突然の悲劇によって打ち砕かれてしまう—。
我が子の幸せだけを願いながら悪戦苦闘する父親の、喜びと哀しみを丹念に描き上げた、重松清渾身の長編小説。
(「BOOK」データベースより)

いやぁ。久々重松節。
産まれてすぐに母を亡くし、父は親戚に自分を預けたまま失踪。
親を知らないまま育ったヤスさんは、幼い頃原爆で家族をいっぺんに
失った美佐子さんと結婚し長男、アキラが産まれる。
幸せな日。家族でバスに乗って借りたカメラを持って海に行く。
それだけで幸せで泣きそうになる。
ようやく手に入れたもの。
もちろんこの時点で、先は想像できる。
突然襲う不幸。
でもそれを一切アタマから排除しても
すでに、その幸せの描写だけで泣ける。
これはすごい。
不器用なヤスさんの愛情とそれを優しく受け入れる美佐子さん。

その後はもぅ浪花節かってほど何度も何度も
泣かせる場面いっぱいです。
泣いてない箇所がないくらい。それもやるせないとか
悔しいとかではなく、感動して涙が出る。

親としてはもぅまさに、とんびなヤスさんと
鷹なアキラの組み合わせ。
時には暴走しちゃうヤスさん。
照れ屋でこっぱずかしい気の利いた台詞なんて
絶対に言えないどころか、わかっていても
むちゃくちゃなことをお酒の勢いでまくしたてちゃうこともあるヤスさん。
それでも、ヤスさんの周りの人たちも
息子のアキラもちゃんとわかっている。
ヤスさんがどれだけまっすぐか。
理ではない情の部分の筋を通すことにどれだけ重きを置いてるか。

どのシーンがよかったか、なんて書き出したらもぅ大変。
全部のエピソードをあげることになっちゃう。

親はとんびでいい。十分に我が子を愛していれば。

脇役といえないくらい大きな存在のヤスさんの周りの人たちもいい。

子の立場ではなく親の立場で読むともぅたまらない作品。
これから親になる人、すでに親な人、すべてに。
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2009年 03月 19日 |
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10年前、抜刀術・名雲草信流を悲劇が襲った。末の妹・綾が放火により焼死してしまったのだ。犯人は、1年後、別の現場に残された遺留指紋が決め手となって捕まった飯浜幸雄。名雲家長男・修作がつきあっていた奈津の父親だった。修作の父・名雲和也は公判に出廷した飯浜に襲いかかる騒動を起こし、失踪。奈津は母親とともに土地を離れて行ってしまう…。守るべきものは何か?愛する者との絆の在処を問う感動巨編。
(「BOOK」データベースより)

「ヘブンズ・ドア」だったり「天国への階段」だったり
色々と違う作品と勘違いしちゃいそうなタイトルですが
こちらは「天国の扉」
まだ妹が生きていた頃、人は死んだらどこへ行くの?天国ってどこにあるの?などと
質問されたとき、兄である修作が答える。
「天国から階段が降りて来てその人のところだけに現れ、そこには扉があり
鍵がかかっている。ドアをノックすれば開けてもらえる」
「誰があけてくれるの?」
「係の人」
みたいな会話がなされているのです。なわけでこれは「天国の扉」です。

いやぁ、初めはかったるかったです(笑)
登場人物たちが、脇役が多くて。それがだいたいきちんと
名前を持ってたりするから、この人は誰だっけ?みたいな。
あたしがちゃんと覚えてないのと、妙に何日もかけて読んじゃったもんだから
ついつい忘れちゃって。。。(苦笑)

死刑廃止論にまで話が及び、それはそれで考えさせますが
何よりこの話の魅力は名雲草信流の決闘シーンではないかと。
かっこいー。
そう、かっこいい話です。まさにハードボイルドミステリ。

かなりグロい、えぐい、惨殺な描写はあるものの
それがなければ非常に説得力が弱くなりそうな、実行を指示している
リーダー格の犯人の残虐性は表現薄くなると思うなぁ。
また今の時代、そんな犯行も実際にありそうで
その恐怖感もこの物語のスパイスになっているので
そーいうのが苦手な人はやめたほうがいいです。

ただそれ以上に、この親子関係。。。まずそこからして
アリなのかなぁ、とか警察がここまで動くかなぁとか
思っちゃうのは野暮ですかね。
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# by acha-books | 2009-03-19 01:02
2009年 03月 19日 |
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太古の森をいだく島へ—学生時代の同窓生だった男女四人は、俗世と隔絶された目的地を目指す。過去を取り戻す旅は、ある夜を境に消息を絶った共通の知人、梶原憂理を浮かび上がらせる。あまりにも美しかった女の影は、十数年を経た今でも各人の胸に深く刻み込まれていた。「美しい謎」に満ちた切ない物語。
(「BOOK」データベースより 上巻)

雨の音を聞きながら、静かな森の中を進んでいく大学時代の同窓生たち。元恋人も含む四人の関係は、何気ない会話にも微妙な陰翳をにじませる。一人芝居を披露したあと永遠に姿を消した憂理は既に死んでいた。全員を巻き込んだ一夜の真相とは?太古の杉に伝説の桜の木。巨樹の森で展開する渾身の最高長編。
(「BOOK」データベースより 下巻)

 「利枝子」「彰彦」「蒔生」「節子」の4部からなるこの話は
それぞれの部で語り手が変わることで
過去をそれぞれの視点で思い出し、語り合い
一つの絵を描いていく。

彰彦の発案で「美しい謎」を持ち寄り、旅の間にみんなで
それを解いていくというベースは
はじめは「ことば遊び」のように進むがやがてそれは
本人達すら覚えていなかったことや曖昧としていた部分を
徐々に、それがたとえ本人達の内側だけであっても
さらけ出されて行く。
本当は知りたくないこと、光を当てたくない無意識なところまで
極限まで行きつく過程に不自然さがないのは
物語の舞台がY島という特殊な場所だからこそ盛り上がって行く。

その間、事件が起きるでもなく
大きな展開があるわけでもない。
ただ過去の回想と会話が続くだけなのにこれだけ読ませるというのは
やっぱり恩田陸の非常に高い技術ならでは、と思うのです。

これは30代後半の、登場人物達と似たような年齢の人には
とてもしっくりする話だと思う。
若い人が読んだらまた違った感想になるんでしょうね。
もやっとしてる、とか、「わかんない」とか。。。

ある程度の年齢を重ね、ある程度遡れる過去があるからこそ
そして、覚えているはずなのに忘れていること、忘れたいのに
ずっと引きずっていること、そんな様々なことを抱え
立場は違えど、心地よく感じる空気感と同時に
危うい緊張感を感じられること、そして
また、家庭や仕事をもちながらも、異性を含めた昔の仲間と
ラグジュアリーなホテルに泊まり、偉大な自然に身を任すことへの
色々な意味での贅沢さを羨ましがれる年齢こそぴったりなお話かと。

屋久島、行ってみたいなぁ〜。
。。。何故、Y島とかJ杉とか匿名なんだろう?
別にいいような気がするんだけどね。
どうしても、ふっと止まって「J杉ってなんだ?あぁ!縄文杉のこと?」とか
ストーリーと全然関係ないとこで思考が止まっちゃって
ちょっとやっかいでした。

「三月は深き紅の淵を」 や「麦の海に沈む果実」を読んでいると
また違った楽しさも味わえる本です。
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2009年 03月 18日 |
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結納のため札幌に向った鉄道職員永野信夫の乗った列車が、塩狩峠の頂上にさしかかった時、突然客車が離れ、暴走し始めた。声もなく恐怖に怯える乗客。信夫は飛びつくようにハンドブレーキに手をかけた…。
明治末年、北海道旭川の塩狩峠で、自らの命を犠牲にして大勢の乗客の命を救った一青年の、愛と信仰に貫かれた生涯を描き、人間存在の意味を問う長編小説。
(「BOOK」データベースより)

いやぁあたしキリスト教徒じゃないし?
なんて、冷静になんて読んでられないくらい号泣。
泣けた〜。
涙が止まらなかった。

なんて美しく悲しく尊い物語なんだろうと思ったら
実際にそういった行動をとった人がいたんですね。
あとがき読んでびっくりです。
もちろん、その生い立ちやそこに至る思考等は
作者の物語ではありますが
周囲の人たちの彼を評する言葉からみると
本当に立派な方だったようです。

でもなぁ。。。あたしは自分の息子が本当に
こんな死を迎えたら、彼の母親のように受け止められるのかなぁ。
やっぱりあたしにはそーいう信仰心はナイらしい。
親より先に逝ってはいけません。
なんて思いながらも、感動的な作品。

ただ連載されたのはキリスト教徒向けの冊子で
キリスト教徒がキリスト教徒の為に書かれた物語であるだけに
聖書の中の言葉や、作者の宗教観があちこちに散見されるため
違和感を覚える人も中にはいるかもしれませんが
若いうちに一度は読んでおいて損はない一冊。
どう感じるか、それが肯定であろうが否定であろうが
考えるに値するテーマかと。
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2009年 03月 18日 |
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「好きよ」—たった一言を遺して同僚の愛果がビルから飛び降りた。死んだはずの愛果の影を感じる董の前に伊勢崎という男が現われる。伊勢崎の周囲で起こる奇怪な出来事の数々—時空が歪み、記憶も操られる中、董子の故郷、真湯島と東京をつなぐ恐るべき企みが明らかに。
予想を遙かに超える衝撃のラスト。
(「BOOK」データベースより)

んーっと。
タイトルだけ見て、ちょっと実際にありそうな
やっぱ日常の普通の人が一番こわいよね〜って
思わせるような「恋愛ミステリ」かと思った。
いやぁ、まったく違う方向へ。
ホラーというか。。。
鎖国状態のような離島を舞台に繰り広げられる
もしかしたら本当にそんな場所がありそうとすら
思わせるあたりは、オカルトめいてはいますが
その独特の恐さ、ここは好き嫌いが別れるかも。

けれどやっぱりこれは恋愛小説だと思う。
「好きよ」と伝えたいのに
伝えられない相手。
その思いが伝わったところで自分の身体はすでになく。。。
それでも好きな相手の為に身を尽くす。
とてもせつない恋愛小説。

それにしても愛果の「メッセージの残し方」
あれを解くのもすごいけれど用意するのも大変そうだ(苦笑)

ラストの主人公董子の強さは潔く気持ちがいい。
SFもオカルトもホラーも嫌いなのに
読後感がイイ、不思議な一冊。
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2009年 03月 18日 |
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自分は少女誘拐監禁事件の被害者だったという驚くべき手記を残して、作家が消えた。
黒く汚れた男の爪、饐えた臭い、含んだ水の鉄錆の味。性と暴力の気配が満ちる密室で、少女が夜毎に育てた毒の夢と男の欲望とが交錯する。誰にも明かされない真実をめぐって少女に注がれた隠微な視線、幾重にも重なり合った虚構と現実の姿を、独創的なリアリズムを駆使して描出した傑作長編。
柴田錬三郎賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)

桐野夏生はその人間描写、心理的な部分で
そこまで人は醜い、おどろどどろしい部分をベースとして
動けるのか、とやられてしまうことが多く
読後はどっと疲れるのですが
それらの作品に比べるとまだこの作品は
弱いかな、と。。。。思ってるとあとからボディブローのように
じわじわくる作品。
やっぱ桐野。なめちゃいけない。

少女の拉致監禁、犯人と暮らした日々。
当然、解放後、周囲の人の目は「自然と」
まだあんな幼い子なのに男の慰み者になったと見る。
「自然」に。
彼女は監禁生活のことを何も語らず大人になった。
そして手紙を残して失踪したとき
そのすべてが語られる。
犯人との異常な生活は、読む側の想像を遥かに裏切り
愕然とさせる。タイトルを見ただけで
「自然」に想像したことを恥じ入るくらいに。
(十分、異常といえば異常な世界なのだけれど)

作者は現実社会のそうした下世話なワイドショー的に
扱われる惨いニュース、そうした世間の目に対して
この作品を発表したのかなぁ。

さらに驚かされるのは少女の想像力。
ま、やおいっちゃーやおいだけどね(苦笑)

それにしても。。。痛いのはやっぱこの母親かなぁ。
一番病んでると思うのだけれど。

読めば読むほど「謎」ばかり残るとは皆さんのおっしゃる通り。
けれどそこに逃げ込むしかなかった少女の
心理はすんなり理解できてしまう。
なかなか一筋縄ではいかない作品。
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2009年 01月 05日 |
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始まりは、小さな放火事件にすぎなかった。似たような人々が肩を寄せ合って暮らす都下の町。手に入れたささやかな幸福を守るためなら、どんなことだってやる—現実逃避の執念が暴走するクライム・ノベルの傑作、ここに誕生。
(「BOOK」データベース単行本より)

及川恭子、34歳。サラリーマンの夫、子供二人と東京郊外の建売り住宅に住む。スーパーのパート歴一年。平凡だが幸福な生活が、夫の勤務先の放火事件を機に足元から揺らぎ始める。恭子の心に夫への疑惑が兆し、不信は波紋のように広がる。日常に潜む悪夢、やりきれない思いを疾走するドラマに織りこんだ傑作。
(「BOOK」データベース文庫本上巻より)

九野薫、36歳。本庁勤務を経て、現在警部補として、所轄勤務。7年前に最愛の妻を事故でなくして以来、義母を心の支えとしている。不眠。同僚・花村の素行調査を担当し、逆恨みされる。放火事件では、経理課長・及川に疑念を抱く。わずかな契機で変貌していく人間たちを絶妙の筆致で描きあげる犯罪小説の白眉。
(「BOOK」データベース文庫本下巻より)

面白いですよー。このスピード感。
上下巻で800ページ超えてるとは思えない。
もぅどんどん引込まれる。

ごくごく普通のありきたりの日常。
夫がもしかしたら放火犯?と疑った日から
足下から砂が海にさらわれるように崩れて行くような
じわじわとくるコワさ、そしてそこでもがく
ごくごく当たり前の専業主婦。
一方
ごくごく普通のありきたりの日常を過ごしているかのように
見えた過去に心の傷をおった一人の刑事。
死んだ妻の母、義母に癒される時間。
けれどその義母は。。。

傑作と思えるほどのラスト。
一人の母としてみれば、えええ?なことも
一人の女性としてみればその強さに圧倒される。
反面、男性の心の弱さを感じたり。。。

家族の為に、子供達の為に、と向かっていたはずなのに
どんどんどんどん状況があらぬ方向へ行ってしまう様子は
この話どうなっちゃうの?というよりも
この人たちこのあとどうするの?な感覚で
どんどん先を読み急ぎたくなる一冊。
そう、それくらい人間たちに厚みがある物語です。
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2009年 01月 04日 |
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一人の女教師が学校に血の戒厳令!卒業式前日、人質の生徒処刑が始まった。一人、また一人…。もう誰も逃げられない—。周到な計画、警察との攻防。強行突入か、説得か。タイムリミットが刻々と迫る。TV生中継のなか、ついに教師は用意された身代金で、前代未聞の「ゲーム」を宣言した…。第1回ホラーサスペンス大賞受賞作。
(「BOOK」データベースより)

未成年犯罪の被害者の遺族による復讐の物語なのですが
その設定を高校の教室内でその学校の女教師によって
行われるというその設定からして
かなり「ぶっ飛んだ」作品。

文章的には些細な部分で難があるものの
それを十分に補えるスピード感とテンポのよさ
そして絵が浮かびやすいほどの描写力で
一気に読ませます。
エンターテイメントとしては映像化しても
いけるのでは?と思いますが結構、グロそうですね。

あれだけの大人数を相手に女教師が武器を手に
してるとはいえ、歯向かえないものかという疑問点に
関しては、あたしはありだと思いますね。
死体が教室内に転がっている、いつもは「弱いもの相手」にだけ
強者として立っている子たちが、いくら何人集まったって
その立場に立つ異常性、そして「集団で自分に
向かって来ても最初に来た一人は必ず殺す」と
宣言されたら、その子たちが、「その一人」になるわけがない(苦笑)
そう言った意味で、この展開は「あり得る」と思います。

また、この主人公である女教師の軸がぶれないのがいい。
最後まで貫き通して欲しいと思いながら読む自分がいました。
果たしてその復讐が正しいものかどうかは別として。
それにしても、よくこれだけ1クラスに「とんでもない生徒」を
集めたもんで(苦笑)そっちの方がよほど非現実的かな。
強いて言えば、女教師が復讐という立場に立つにあたっての
動機が弱いと言えば弱いかも。
そりゃ、大切な、他に血縁関係がまったくなくたった一人の
我が子を殺されたら、そこに弱いも何もないわけですが
小説としては、もっとその部分にページを割いてもよかったかも。
ただ、応募作品ということでページ制限もあったことだろうし
きっと作者自身も深く描きたかったのではないかと思います。
まぁそこまで深く描いても、だれないかどうかの問題がまた
別に出てきそうですが。

D組の生徒達が犯していた犯罪の一つ一つが
現在の日本の側面を象徴しているような事柄ばかりで
そちらの方も背筋がぞっとします。
超過激な問題作。
新年早々読むにはいかがかと(笑)
まぁラストまできちんと描ききれてる分、物語としては
すっきりはしましたが、どうしても少年犯罪がベースとなった作品は
考えれば考えるほどせつなくやるせない気持ちになりますね。
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2009年 01月 03日 |
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きんめ鯛を手土産に恋しいタマヨさんを訪ねる“あたし”の旅。終電の去った線路で、男を思いつつ口ずさむでたらめな歌。家庭をもつ身の二人が、鴨鍋をはさんでさしむかう冬の一日。ぽっかりあかるく深々せつない12の恋の物語。書下ろしをふくむ待望の最新短篇集
(「BOOK」データベースより)

忘れないでいよう。今のことを。今までのことを。これからのことを。
小田原の小さな飲み屋で、あいしてる、と言うあたしを尻目に生蛸をむつむつと噛むタマヨさん。「このたびは、あんまり愛してて、困っちゃったわよ」とこちらが困るような率直さで言うショウコさん。百五十年生きることにした、そのくらい生きてればさ、あなたといつも一緒にいられる機会もくるだろうし、と突然言うトキタさん……ぽっかり明るく深々しみる、よるべない恋の十二景。
出版社/著者からの内容紹介


なんていったらいいんだろう。
川上節全開、ということなのかな。

淡々としていて凛としてほんわかしてるけれどせつない。

一切において無駄がない短編ばかり。
時間の流れというのは本来こういう流れ方で
自然の一部で、川のように風のように
流れて行くもので
その中に身を任せることへの安心感と
茫洋とした不安感が混ざったような世界。

その中で唯一の芯となるのが彼女の
言葉のうまさ。日本語の美しさ。

これはもぅ好きな人にはたまらない世界でしょう。

はっきりとした起承転結、盛り上がりやどろどろとした
恋愛などを求める人には決して向かない一冊。

大人のための童話のような。
枕元において一遍一遍読んでいきたい本。
あ、表紙に騙されちゃいけません(笑)
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2008年 12月 30日 |
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ドレミ…の音が聞こえない?巨乳で童顔、憧れの先輩であるエリちゃんの前でクラリネットが壊れた直後から、僕の耳はおかしくなった。しかも怪事件に巻き込まれ…。僕とエリちゃんの恋、そして事件の行方は?『イニシエーション・ラブ』『リピート』で大ブレイクの著者が贈る、待望の書下し作が登場。
(「BOOK」データベースより)

本を開いて読み始めて。。。あれ?と思う。
裏に書いてある紹介と本の内容が全然違うじゃん?
なに?なんだ、これ。え?と思ったら
なんと最初は「マリオネット症候群」
まったく別の中編。
その後に「クラリネット症候群」
こちらも中編、書き下ろし。
別に連作でもなんでもなくまったく別の話が
2作はいってるといった具合。

これが両方ともとても良質な中編で
読みやすくて、さらっと中に入れちゃうし
もぅ先が気になってしょうがない。
2作ともそんなパワーを感じる良作。

マリオネット症候群はその名の通り
自分が自分の身体の中でまるでマリオネットのように
他人に自由に動かされ、自分は何もすることが
できなければ、声も発することもできず、操ってる相手と
会話を交わすことすらできない。
いったい誰が自分の身体を動かしてるかと思いきや
主人公、御子柴里美が憧れていた
サッカー部のキャプテン、森川先輩。
けれど先輩はその前夜、誰かに毒殺されていた。
先輩の魂があたしの中に入ってあたしとして生きている。
昨日、バレンタインのチョコをあげたばかりの相手が。。。
犯人は誰?主人公はもとに戻れる?
なぁんてフツーの?をすべて裏切る面白さ!

クラリネット症候群は、あの有名な歌、
ドとレとミの音がでなーい♪のように
ドレミファソラシドの音が聞こえなくなってしまった主人公の話。
もぅこれまた面白い!
文章にあちこち「穴」が〜っ。読者はすべてその音を
想像しながら読まなければいけません(笑)
「 う像 ながら読まなけ ばいけません」てな具合。
育ての親のような存在の「関さん」が大事にしている
商売道具のクラリネットの「クララ」を
壊されてしまってから、そんな症候群になった
主人公、犬育翔太。
まずクララをどうしよう?さらに、そこに関さんが
暴力団に拉致、監禁されてしまって。。。

登場人物たちがみんないいんです。
アパートの住人たちも面白すぎ。

かるーく読むのに最適なこの2編。
おすすめです。
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2008年 12月 28日 |
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四つの高校が居並ぶ、東北のある町で奇妙な噂が広がった。「地歴研」のメンバーは、その出所を追跡調査する。やがて噂どおり、一人の女生徒が姿を消した。町なかでは金平糖のおまじないが流行り、生徒たちは新たな噂に身を震わせていた…。何かが起きていた。退屈な日常、管理された学校、眠った町。全てを裁こうとする超越的な力が、いま最後の噂を発信した!新鋭の学園モダンホラー。
(「BOOK」データベースより)

恩田陸の不思議=静かな気味の悪さいっぱいの
学園モノ。ホラーやミステリというよりもファンタジーなのかな。
確かに、「噂」の発生する理由として
退屈な毎日からの逃避、刺激を求めて、ということなのだと思うし
その年代ならではの退屈さというのも十分ここまでは理解できる。
そして、その噂の発生元を確かめる、という少年、少女達の
動きも面白い。
けれどそれだけに留まらない。
気を抜くともぅついていけない「あちら」側に
話だけが「飛んで」しまって置いて行かれた気分。

東北のある田舎町に重なるようにして存在する「あちら」。
そこは行ける人と行けない人がいる。
必要としていない人もいればそこに安らぎを感じる人もいる。
あちら側へ行くことが進んでいることなのか。
はたまた。。。

と、読後感も消化不良気味。。。

ただ多感な時期の登場人物たちの思考回路を
なぞるのは十分に面白いし、ぐいぐい読み進められる力も
あります。
特に、そういった地域で育った人にはかなり
感じるところがあるかもしれません。
同調する気持ち良さもその中にはあるとは思います。

けれどこの最後に放り投げだされたような感覚。
これが気持ちよいと感じるか不満と感じるかは
かなり人によって別れるところとなりそうです。
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2008年 12月 09日 |
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医者の診断ミスで妻を傷つけられた元新聞記者の松野は“医療過誤”をテーマにしたノンフィクション執筆を思いつく。大学病院の医局に勤務する若き麻酔科医・江崎の協力を得て医師たちの過去の失敗“痛恨の症例”や被害患者の取材を開始した。その過程で、「父は手術の失敗で死んだのではないか」と疑念を抱く美貌の人妻・枝利子が、医学部のエリート助教授・香村を相手に裁判を起こす。が、病院内外の圧力により裁判は難航。その裏で医療を国で統制しようと目論む“厚生労働省のマキャベリ”佐久間が香村に接触を始める…。
枝利子の裁判の行方は?権力に翻弄される江崎と松野の運命は?
そして佐久間の企図する「プロジェクト天寿」とは?
大学病院の実態を克明に描き、来る日本老人社会の究極の解決法まで提示する、医療ミステリーの傑作。
(「BOOK」データベースより)

「廃用身」を読んでこの作家さんに興味をもったので
次も読んでみました。
ハードカバーで2段組、450ページ(苦笑)
でも帯の「医者は三人殺して初めて一人前になる」に
やられました。インパクト強い。
内容はそれ以上。
ぴんぴん生きてぽっくり逝く、誰もが理想とする死が
実は医療によって作られたものであったら。
そして医療現場の裏に隠された色々な事故。
医者にかかることがちょっと恐くなってしまうような
話とけれどそれを仕方ないとする現実。
そんな面も含めて、増え続ける人口、老人医療の問題
すべていまそこにある問題ばかりなのに
目をそむけている部分にまさしくメスをいれた作品。
ただたくさんの問題がありすぎて
的が絞りきれずぼやけた印象もありますが
それ以上にぐいぐいとひっぱる力もある内容。

「廃用身」もそうでしたが、当事者にしてみれば
「人に迷惑をかけたくない」という思いが
自分の半身を切り取らせ、またこの本では
ぽっくりと死にたがる、そこは十分理解はできること。
けれど本来、医療とは人を「生かし」「治す」べき立場。
その立場である医療が、治さず切り捨て
また、老人の命を奪う、決して
相容れない二つの要素が重なることこそ
この2冊の不気味さ、グロテスクさがあるのでは。

決して、答えのでないことにもっと光を当て
もっと考えなければいけないのだろうけれど。。。
なんとも読後、深く考えてしまってざらりとした印象が残る本。
ショッキングですが読んで損はなかったと思う一冊。
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2008年 11月 23日 |
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バブル崩壊で会社も金も失い、妻子とも別れたろくでなしの中年男城所安男。心臓病を患う母の命を救うため、天才的な心臓外科医がいるというサン・マルコ病院めざし、奇跡を信じて百マイルをひたすらに駆ける—親子の切ない情愛、男女の哀しい恋模様を描く、感動の物語。
(「BOOK」データベースより)

浅田作品をある程度の数をこなすと
なんとなく泣かせのパターンが見えてきてしまって
あぁ、こうくるなってのがわかるんです。
それでも
泣いてしまう、泣かせる本。
なぜならそこにはとっても大事なことが書かれているから。
もちろんこれが初めて読む浅田作品なら号泣間違いなしでは。

若くして夫を亡くし6畳一間のアパートから
4人の子供をエリートへと育て上げた母。
末っ子の自分も社長におさまり
景気のいいときにはもちろん母を顧みることはなかった。
けれど、母はそれでいいのだ、と。
自分を忘れてくれ、と。辛かった頃の記憶とともに。
そんな無償の愛に始まり
落ちぶれた主人公の安男に対して
なんの見返りも求めず、2年間も面倒をみて
「みーんなよくなってあたしのもとを離れて行くのよ」と
恨みなんて微塵もなく語るマリの無償の愛。
内科医として、それこそ一睡もしなかったであろうほど
最善の治療を施し100マイルに耐える心臓を作った医者の藤本
暑い中、安男の話をきき、クーラーを止めさせて食事をした
ダンプの運転手たち、そしてマルコ病院の曽我医師、歯科医のひげ長他
看護士たち。。。
そこには数えきれないほどの無償の愛が存在し
そのひとつひとつに素直に感動。

作中に歌が効果的に使われているものとして
伊坂幸太郎の「アヒルと鴨のコインロッカー」だったり
東野圭吾の「手紙」だったりと色々ありますが
これもまたピーター・ポール&マリーの「500マイル離れて」が
とても効果的に使われていて頭の中をまわりますよ。
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