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暗いところで待ち合わせ:乙一
2005年 11月 27日 |
暗いところで待ち合わせ:乙一_a0104226_16573882.jpg
 初乙一です。「はじめ」かと思ったら「いち」なのね。
視力をなくして、家族もなく一人で駅のホームの見える
一軒家で父の残した保険金でじっと暮らすミチル。
幼馴染みのカズエが一緒に外に出てくれる以外は
見えない恐さに負けて外に出ることもままならない。
ある日からミチルは家の中にある気配を感じる。
それは駅のホームから人を突き落とした犯人として
追われているアキヒロだった。
人に馴染むことを拒否し、職場の人間関係も
うまくいかず悩んでいたアキヒロ。
死んだのはアキヒロの同僚であり、アキヒロを
追いつめた張本人でもあった松永だった。
自分が気づいていることを悟られたら
己の身の危険になると怯えたミチルは
気づかない振りをしようと決めて普通に
過ごそうとする。
そうして二人の奇妙な生活が始まった。

ミチルとアキヒロの交互の視点から進められる物語に
次はどうなるのか、と、一気読みです。
適度な緊張感と二人の心をしめる他人との距離の取り方への
悩みにどんどんと引き込まれ、事件の結末を追うよりも
二人の関係の行き着く先に気を奪われている矢先に
唐突に明かされる事実。
んー、やられた。

ご都合主義的な結果論なんてどうでもよくなるくらい
読み終わった後、とても心地よい作品。
突拍子もない設定なのに繋げ方のうまさに長編ながら
いい意味でまとまっていて「面白い!」と素直に読めます。
by acha-books | 2005-11-27 17:06 |  :乙一
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