暗いところで待ち合わせ:乙一
2005年 11月 27日
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初乙一です。「はじめ」かと思ったら「いち」なのね。
視力をなくして、家族もなく一人で駅のホームの見える
一軒家で父の残した保険金でじっと暮らすミチル。
幼馴染みのカズエが一緒に外に出てくれる以外は
見えない恐さに負けて外に出ることもままならない。
ある日からミチルは家の中にある気配を感じる。
それは駅のホームから人を突き落とした犯人として
追われているアキヒロだった。
人に馴染むことを拒否し、職場の人間関係も
うまくいかず悩んでいたアキヒロ。
死んだのはアキヒロの同僚であり、アキヒロを
追いつめた張本人でもあった松永だった。
自分が気づいていることを悟られたら
己の身の危険になると怯えたミチルは
気づかない振りをしようと決めて普通に
過ごそうとする。
そうして二人の奇妙な生活が始まった。
ミチルとアキヒロの交互の視点から進められる物語に
次はどうなるのか、と、一気読みです。
適度な緊張感と二人の心をしめる他人との距離の取り方への
悩みにどんどんと引き込まれ、事件の結末を追うよりも
二人の関係の行き着く先に気を奪われている矢先に
唐突に明かされる事実。
んー、やられた。
ご都合主義的な結果論なんてどうでもよくなるくらい
読み終わった後、とても心地よい作品。
突拍子もない設定なのに繋げ方のうまさに長編ながら
いい意味でまとまっていて「面白い!」と素直に読めます。
by acha-books
| 2005-11-27 17:06
| :乙一
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