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陰陽師:夢枕獏
2006年 04月 30日 |
陰陽師:夢枕獏_a0104226_22592277.jpg
 遅ればせながら読んでみました。いいねぇ、陰陽師。
一時期、ブームになってましたがその時は
全然、眼中にありませんでした。むしろ避けてたくらい。
なので、友達に面白いと勧められたときも
なかなか手がでませんでしたが。。。
妙な偏見もあったし、なんせ舞台が平安時代。
苦手だったんですよ。
江戸時代ものも苦手だったのに実際に
読んでみたらあんなにもはまってしまったので
食わず嫌いはいかんな、と。
ええ。ほんといけませんよ、食わず嫌いは。
もったいない。
だってももぅこれもホント面白いんですよ。

もぅとても心地よい。
陰陽師である安倍晴明のもとに源博雅より
もちかけられる色々な「事件(あえて)」をゆるゆると
呪(しゅ)を用いて「解決(これまたあえて)」していくのですが
暗闇の中に鬼の住む時代、おどろおどろしくもあり
哀しくもあり、でもその奥にあるゆったりとした
穏やかな静けさ。

そしてこの作者夢枕獏の描く風景描写も美しい。
語り部として素晴らしい部類でしょう。

詠みの会で負けたことを悔いて死んでしまった男の霊の
存在を「元気かい?」と話題にするあたり
かなり趣あると思うなぁ。
それに毎回のように出てくる縁側のシーン。
晴明と博雅が二人で酌を酌み交わすのですが
つまみのひとつひとつもんまそうです(笑)

1話1話の短編連作、読み終わるのがもったいないという
感覚を味わいました。
まだあと2冊、手元にあるのでこれまた楽しみです。

以下簡単な覚え書き(ネタバレです。読んでない人は避けて下さい)
玄象といふ琵琶鬼のために盗らるること
 盗まれた帝の琵琶「玄象」の音を辿ると
 玄象の作者の天竺の鬼が。優しい言葉という呪。
梔子(くちなし)の女(ひと)
 僧のもとに毎晩出てくる口のない女の霊。
 女の霊が伝えたかったのは
 一冊の般若心経の文字のひとつだった。
黒川主
 鵜飼いの孫に取り憑いた「黒川主」と名乗る妖物。
 孫は妖物の子を宿し日増しに腹が膨らんでいく。
 獺(かわうそ)と人の間の
 因果に同じ呪をかけたがための結果。
蟇(ひき)
 雨漏りを直すために応天門の板をはがすと1枚の札が。
 真言の札が押さえていた災いのもとを調べるために幽冥界へ。
 その昔、蟇(ひきがえる)を殺した為に蟇の呪を受け
 死んだ息子とその親の祟り。
鬼のみちゆき
 帝が昔一度だけ交わした娘の一途な想い。辻は魔性の通り道。
 辻に現れる牛のいない牛車。鏡魔法を操る鬼となり
 7日かけて向かう先は。
白比丘尼(しらびくに)
 300年前に千年の年を経た狐にもらった
 人魚の肉を食べた白比丘尼。年をとらなくなったが
 身体には年を取った分と男の精が溜まり鬼となる。
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