アラミスと呼ばれた女:宇江佐真理
2006年 06月 22日
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これも宇江佐なのですがまったく予備知識
なしで読み始めて、いきなり舞台が
長崎なので、おおっ北から今度は南へ?と
思ったら登場人物は榎本武揚、はい、蝦夷絡みです(笑)
主人公はおたみ。父親の通詞(通訳)の
仕事の都合で家族で江戸から長崎へ
移り住んでいた。
父親の影響を受け幼い頃から語学に
慣れ親しんだおたみは英語とオランダ語
そしてフランス語も操るようになっていた。
おたみの家族が江戸にいた頃
世話になっていた榎本家の次男
釜次郎(後の武揚)が海軍伝習所の
生徒として長崎にやってきた。
おたみは徐々に釜次郎に恋心を抱く。
父親の死、江戸へ戻ったおたみと母親
生活のため芸者となるおたみ
そして軍艦頭として出世した釜次郎との
再会。話のテンポは早くまるで
その時代の流れそのままのように話は
矢継ぎ早に移っていきますが
かと言ってそれで話が乱雑になることもなく
むしろどんどんと引き込まれていきます。
榎本が自分の下に着くものたちのことを
考え、蝦夷に新天地を求める姿に
小説でありながら榎本が好ましくなったり(笑)
また歴史には一切残っていない、蝦夷まで
榎本と共にした男装の通詞であったおたみも
本当にいてもおかしくないんじゃないかとすら
思わせるほど説得力のある小説です。
これはもぅ作者の力量の素晴らしさ。
おたみの老後もいいなぁ。
by acha-books
| 2006-06-22 01:30
| :宇江佐真理
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