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秋の花:北村薫
2008年 05月 02日 |
秋の花:北村薫_a0104226_22584574.jpg
絵に描いたような幼なじみの真理子と利恵を
苛酷な運命が待ち受けていた。ひとりが召され
ひとりは抜け殻と化したように憔悴の度を加えていく。
文化祭準備中の事故と処理された女子高生の
墜落死—親友を喪った傷心の利恵を案じ
ふたりの先輩である『私』は事件の核心に迫ろうとするが
疑心暗鬼を生ずるばかり。考えあぐねて円紫さんに打ち明けた日
利恵がいなくなった…。
(「BOOK」データベースより)

大好きな円紫師匠と「私」シリーズの3作目。
シリーズ初の長編です。
「私」が遭遇する日常の謎を話から解いていく円紫師匠、が
このシリーズのパターン。
「私」の成長物語としても読めるこのシリーズ、「私」も
大学生活3年目を迎え、そろそろ卒論やその後のことを考えながら
仲のよい正ちゃんや江美ちゃんとじゃれながら
そして息をするように本を読みあさる日々
突如としてもたらされる、後輩の死。残されたもぅ一人の後輩。
よろしく頼む、と以前の担任から任されたからにはと
その事故の様子を追って行くと。。。

今回のテーマは「日常」とはちょっとかけはなれ、そしてその分
とても重いです。重くてせつなくて、胸の奥深くに響く。

円紫師匠の言う「許すことはでき なくても、救うことはできる。」
これはとても深い。
自分も親として生きているだけにこれは、きた。
そして「今生きているということが大事」
この言葉だけを取り出すと当たり前すぎてなんともない言葉だけれど
このストーリーを読んでからではずっとその深みが変わってくる。

読み終わった後も何度も何度も自分の中で
反芻して味わう、そんな小説です。
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